第48回衆議院選挙の投開票が2017年10月22日に実施され、自民・公明両与党で313議席を獲得。これは衆院の3分の2議席となる310議席を上回る数字です。さらに、憲法改正に前向きな希望の党と日本維新の会を合わせれば、「改憲勢力」は衆院全体の8割にものぼります。
安倍総理は一夜明けた23日に記者会見を開き、「目標を大きく上回る力強い支持を得られた」と述べ、憲法改正について、「希望の党はもちろん、与野党に関わらず幅広い合意形成ができるように努力を重ねる」と意欲を示しました。いよいよ憲法改正の議論が本格化しますが、自民党が公約にも掲げた「緊急事態条項」の危険性は、まだまだ浸透していません。
緊急事態条項の危険性、そして改憲発議後の「国民投票」の問題点は、これまで以上に広めなければなりません。以下、岩上安身が、選挙の前に会員・サポーターはじめ、関わりのあった方々にメールでお送りした、今回の選挙と憲法改正に関する現実的な問題提起を、ここに再掲します。
文中にもあるように、日本はいよいよ崖っ淵ですが、IWJも崖っ淵です。既存マスメディアが信用ならず、新聞各紙が投開票当日に自民党の広告を受け入れて掲載するという体たらくにあって、これからもメディアとして筋を通す報道と論評を貫いていく所存ですが、活動費が絶望的なまでに足りません。
このままでは、権力の弾圧によってつぶされる、そのはるか手前で、財政的にいきづまってつぶれかねません。どうぞ皆さまのご支援をお願いいたします。
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(2017年10月23日、上記の前文を追記しました)
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いつもIWJをご支援いただき誠にありがとうございます。
IWJ代表の岩上安身です。
明日、いよいよ衆議院総選挙の投開票日です。今回の総選挙は、前代未聞の混沌とした状況の中で行なわれます。民進党の前原代表が突然、党を「解体」して、小池百合子氏が立ち上げたばかりの国政政党希望の党へ「合流」すると言い出したところから、大混乱の政局となりました。
この企てが成功し、民進党前職議員が全員、言われた通りに「改憲賛成・安保法制賛成」の踏み絵を踏んで希望の党へ移ったとしたら、共産党と社民党以外、ことごとく改憲・安保法制賛成の大政翼賛会状態となっていたことでしょう。想像するだけで冷や汗が出ます。
結果はご存知の通り、踏み絵を踏まされることを潔しとせず、踏みとどまった枝野幸男氏を中心として、新党・立憲民主党が結党され、78人の候補者を擁立し、共産党、社民党と市民との間で共闘(あるいは連携)の構図ができあがりました。この間の事情、そして、各選挙区における注目候補の動向などは、IWJが勢力をあげてお伝えしてきた通りです。安倍政権の5年にわたる政治に審判が下されると同時に、改憲が争点となる重要な選挙となります。
今回の選挙において、自民党は公約の中に、「緊急事態対応」をすべりこませています。これは「対応」とは書いていますが、「緊急事態条項」のことです。表向きは災害・テロ発生時への対応と称して煙に巻こうとしていますが、言うまでもなく、これはかつてナチスのヒトラーが独裁体制を樹立するために用いた大統領緊急令と授権法をセットにしたような代物であり、安倍政権の狙いが透けてみえます。
首相となったヒトラーは、ナチスの自作自演と言われている国会議事堂炎上事件を利用して、この事件を共産主義者のしわざと決めつけ、当時のヒンデンブルク大統領に大統領緊急令を出させて、共産主義者や社会主義者その他の反ナチス勢力に大弾圧を加えました。その一ヶ月後に授権法によって、ナチスは独裁体制を確立したのです。
自民党の緊急事態条項は、この大統領緊急令と授権法をまとめて束にしたようなもので、首相に独裁的な権力を与える危険極まりないものです。明日の投票の結果次第で、改憲派が3分の2以上の議席を獲得すれば、改憲の発議が行われ、国民投票を経て緊急事態条項が憲法に書き込まれるでしょう。そして実際に非常事態が宣言されれば、現在の民主的憲法は停止され、国会は立法権を奪われ、独裁政権がこの日本で樹立されます。これは合法的なクーデターのようなものです。今回の選挙が民主的な憲法下での最後の選挙となる可能性さえあります。明日、有権者の皆さんが投じる一票がいかに重く、重要であることか。
IWJでは、そのような危険な改憲を阻止すべく、改憲阻止を明言する候補を一人でも多く我々、市民の力で国会へ送り出したい、その一念で、選挙期間中は採算を度外視して日本全国各地に記者・カメラマンを派遣し、お伝えしてきました。
明日、どのような結果が出るか、わかりませんが、マスコミ各社は自公だけで300議席に届くのではないか、という見通しを伝えています。これに維新と、仮に割れたとしても希望の党から改憲賛成の議員が加われば、改憲発議に必要な310議席を超えてしまうでしょう。
仮に改憲発議されても、国民投票ではね返せばいいのではないか、という方も少なくありませんが、そう簡単ではありません。国民投票に際しては、公選法のような制約がかからず、資金力さえあれば宣伝広告を無制限にうてるのです。プロパガンダ合戦となったとき、改憲阻止派はどれほど劣勢に立たされることでしょうか。スポンサーになびいて転ぶメディアも続出するでしょう。スポンサーに頼らない、独立メディアである我々IWJが「転ぶ」ことはありませんが、我々だけでは力が足りません。
こうした事情について、本日、選挙結果をにらみすえて、『メディアに操作させる憲法改正国民投票』(岩波ブックレット)の著者・本間龍さんにIWJまでお越しいただいてインタビューしました。ぜひ、アーカイブをご覧いただければと存じます。
また、この選挙期間中、前々から予定が決まっていたため、九州へ講演およびトークカフェのために赴きましたが、そのうち、16日に福岡で話した講演を、会員の方限定で公開しています。この選挙のもつ意味、北朝鮮のミサイル危機との関係を考える上で、ご参考になるかと思いますので、ぜひ、ご覧になって選挙の投票前の参考にして下さい。
また、会員でない方は、ぜひ、この機会に会員登録をお願いいたします。毎月15日に、会費未納の方に対しては、サービス提供をお止めしておりますが、つい会費納入が遅れてしまっていた、という方も、ぜひ会費をお納めいただいて、ご覧になっていただければと存じます。
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また、採算を度外視して、と先述した通り、
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岩上安身拝
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