「私、逢坂誠二は、『立憲民主党』が設立されるにあたりまして、民進党からそちらへ党籍を移したいと思います。(ただし)『立憲民主党』の公認は受けず、無所属の形で今回の選挙を戦いたい――。」
北海道8区の民進党・逢坂誠二前衆議院議員が、2017年10月2日、北海道函館市の連合北海道・函館地区連合会で記者会見を行い、枝野幸男氏の立ち上げた新党「立憲民主党」への参加と、無所属での出馬を表明した。逢坂氏の記者会見から2時間後、東京では、枝野氏が「立憲民主党」の結成記者会見を行った。
逢坂氏は、9月28日に前原誠司代表が「希望の党」への事実上の「併合」となる「合流を提案し、両院議員総会で全会一致の了承を得てから、翌9月29日に早くも無所属での出馬の意向を表明していた。「希望の党への「併合」に対する離反者となったのは、逢坂氏が最初であった。
旧社会党系の赤松グループ出身の逢坂氏は、リベラルとして知られ、「安倍一強を倒すことと「大間原発建設凍結を目指すことを堂々主張している。はじめから、「希望の党」と反りが合わないこと、むしろ、立憲民主党と極めて親和性が高いことは明らかだった。
逢坂氏は記者会見で、立憲民主党の創設への思いを次のように述べた。
「9月29日に『希望の党』に入党せず無所属で戦う旨を発表したとき、私の発言で全国のみなさんに『希望の党』に入党しない、無所属で戦う人が続いて出てきた。そういう状況を見て、それらの方々の受け皿になる組織が必要だろうと思った」
そして、「受け皿を作ることこそ、「先鞭をつけたものの責任だと述べた。鳩山由紀夫内閣、菅直人内閣で内閣総理大臣補佐官を務めたベテランの逢坂氏の「決意」が垣間見える。
■Twittcasting動画(14:59~ 30分)
- 日時 2017年10月2日(月)15:00~
- 場所 連合北海道 函館地区連合会(北海道函館市)
新党立ち上げを応援しつつも「一度決めた方向を安易に転換すべきではない――「立憲民主党」への参加と「無所属」出馬の決意に至るまで
立憲民主党に参加しながら、今回の選挙を無所属という形でたたかうと決めた理由について、逢坂氏は次のように説明した。
「無所属で出ると決めて、様々な活動をしてきた。我々の組織もそれに向けて、一致団結してきたので、方針を変えるべきではないと思う。もっと平たく言えば、新党(立憲民主党)ができて、資金や比例復活という新たな良い条件が出たからと言って、一度決めた方向を安易に転換すべきではないと、強い思いもありまして、私自身は党公認を得ずに、今まで通り継続して戦いたい」
記者からは、「新党に入党しながら無所属で出るのは、有権者にとってわかりづらい」という指摘もあった。これに対し逢坂氏は、「ご指摘のとおりだと認めつつ、「新党の立ち上げの時期に、私なりのお手伝いをしなければならないと思っているので、党籍を持って関与しようということ」と説明した。
「『安保法制反対、廃止』と唱えてきた人が、『希望の党』に入って推進するようになったら、なぜ変化したのかを説明する必要がある」
民進党から「希望の党公認で出馬する予定候補者たちについては、「政策上、齟齬をきたす場面もあるのではないかと推測」しているとして、次のように述べた。
「『安保法制反対、廃止』と唱えてきた人が、『希望の党』に入って推進するようになったら、なぜ変化したのかを説明する必要がある」
穏やかに話す逢坂氏だが、今回の民進党分裂劇に対し、強い憤りを覚えているのは明らかである。
10月3日の報道で、前原代表が民進党の分裂について「全てが想定内だ」「自分の判断は正しかったと思っている」と述べたことが伝えられると、逢坂氏はツイッターで次のように述べた。
「これは本気の発言か?だとすれば前原氏は断罪に値する。間違ったとか、判断が甘かったというレベルでも異常な状態だが、これが本心だとするならば、私は前原氏を絶対に信用しない。報道が間違いであって欲しい
いち早く「野党共闘」の進んでいた北海道で逢坂氏が掲げるテーマは「安倍政権打倒」と「大間原発建設の凍結」
逢坂氏は、2012年の解散総選挙で比例復活も果たせず落選。その後、2014年の解散総選挙で、自民党候補の前田一男氏を破って国政に復帰した。決して、岡田克也元代表のように地元の小選挙区での支持基盤が盤石だとは言えないが、不安要素ばかりではない。北海道では、衆院解散前から道内全小選挙区での「野党共闘」の模索が進んでいた。そのことが逢坂氏の背中を押し、わずか一晩で「無所属」での出馬の決断を可能にしたのかもしれない。
逢坂氏によれば、立憲民主党を創設する政治家たちは、以前から共に政策の議論を重ねてきたメンバーであり、民進党内のリベラルな政治家たちの「従前の政策」が継承されるという。
逢坂氏は、今回の選挙で「安倍政権の打倒」を掲げる。2日の記者会見では、次のように述べた。
「この5年間を総括して、安倍政権を倒すことが大きなポイントだ。立憲主義、民主主義を理解していないこと。平和主義、基本的人権が大きく毀損される政策をやってきたこと。国民主権から国家主権へ移る側面が垣間見える」
「安倍政権は、国家の根幹を揺るがすようなことをこの5年間やってきているのではないか?」
さらにもう一つ、「脱原発」も大きなテーマとなる。逢坂氏は、2011年の東日本大震災以来、北海道の対岸に位置する青森県の大間原子力発電所建設の凍結を一貫して訴えてきた。今回の選挙でも、大間原発建設の凍結を「地元課題」として強く訴えていきたいと語った。
早くから「野党共闘」の進んでいた北海道、そして、いち早く「希望の党」を見限って無所属での出馬を表明した逢坂氏に注目だ。