2012年11月4日(日)13時30分から、福島県福島市A・O・Z(あおうぜ)大活動室で、「田中優氏講演会『原発に頼らない未来へ~福島の私たちにできること~』」が、福島YWCAの主催で行われた。田中優氏は、具体的な事例を豊富に紹介しながら、エネルギーを効率的に使うことによりエネルギー問題は解決できることを論証し、原子力に頼らない未来への道筋を示した。
(IWJテキストスタッフ・齊藤/奥松)
2012年11月4日(日)13時30分から、福島県福島市A・O・Z(あおうぜ)大活動室で、「田中優氏講演会『原発に頼らない未来へ~福島の私たちにできること~』」が、福島YWCAの主催で行われた。田中優氏は、具体的な事例を豊富に紹介しながら、エネルギーを効率的に使うことによりエネルギー問題は解決できることを論証し、原子力に頼らない未来への道筋を示した。
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田中氏は、まず、エネルギー問題を解決する鉄則として、「新たなエネルギーを作り出すことより、エネルギーを効率的に利用することが大事。省エネ、節電が大事」と述べ、「断熱内窓(木製の窓)をアルミサッシの内側に取り付ければ、一日10時間エアコンで暖房していたオフィスが、一日1時間でも十分」と、例を挙げた。また、「電気を熱として使うのは非常に効率が悪い。原発の電気をストーブに使った場合、元の熱の19%しか使われない。日本の国土の68%が森なのだから、ペレット(木くず)ストーブを使えば、はるかに効率が良い」と提案した。
節電と言っても、家庭での努力、忍耐は必要ない、と田中氏は言う。「先進国のうち一番エネルギーの消費量が少ないのが日本の家庭。問題は事業者の電気消費量が非常に多いこと。特にオフィスである。照明器具に反射板を付けたり、エアコンをガスヒートポンプに変えれば、大幅な節電が可能だ」と語った。また、家庭の電気料金が、使えば使うほど高くなるのに対して、事業者は使えば使うほど安くなる仕組みになっている。田中氏は「これを改め、さらにピークの時間帯だけ高くすれば、電気消費量を半分に下げるのは簡単である。発電所では一番のピークに合わせて電気を作っているので、このような取り組みで、今の発電所の25%は要らなくなる」と述べた。
田中氏は「時代は、さらにエネルギーの自給へ向かう」という。「日産のLEAF to homeという装置では、家の太陽光発電で生んだ電気をLEAF(電気自動車)のバッテリーに貯め、夜はLEAFのバッテリーの電気を家に戻す。つまり、送電線に繋がなくても電気は自給できるところまで来た」と、新しいシステムを紹介し、「今、『1万人の予約リスト』というプロジェクトを行っている。LEAF、太陽光発電を1万台買うことを条件に企業と交渉して、一気に値段を落として誰でも手に届くようにしたい」と、具体的なビジョンを語った。
今、日本のエネルギー自給率はわずか4%である。石油、天然ガス、ウラン、石炭の4つだけで、日本は2008年に24.5兆円も海外に支払っている。田中氏は「国内でエネルギーを作れば、日本の中だけで24.5兆円が回る(1都道府県につき5250億円)。福井県は、原子力で250億円お金をもらっているが、それよりも自然エネルギーに変えてはどうか。地域でエネルギーを作ることにより、雇用が増え、地球温暖化が止まり、石油の奪い合いからの脱却で世界中が平和になり、収入が21倍の5250億円になったほうが良いのではないか」と問いかけた。
最後に、田中氏は「将来の子供たちから、『こんな良い社会になったのは、2011年3月11日が社会のターニングポイントになっているんだね』と言われたい」と述べて、講演を終えた。