IWJで中継やテキスト関係のお手伝いをしながら報道現場の勉強をしています青木浩文です。
「(今現在、生きている中で)最もセクシーな男」(Sexiest Man Alive)
アメリカの娯楽雑誌『ピープル』が年に一度実施しているこの賞を、1997年と2006年に獲得。30代、40代と、人生で2度も(女性?)人気の頂点を享受した俳優とは?
(青木浩文)
※本稿はIWJ会員に無料で発行している「日刊IWJガイド」2016.10.1日号から転載し、編集・加筆したものです。
※10月5日(火)、テキストを加筆しました!
IWJで中継やテキスト関係のお手伝いをしながら報道現場の勉強をしています青木浩文です。
「(今現在、生きている中で)最もセクシーな男」(Sexiest Man Alive)
アメリカの娯楽雑誌『ピープル』が年に一度実施しているこの賞を、1997年と2006年に獲得。30代、40代と、人生で2度も(女性?)人気の頂点を享受した俳優とは?
記事目次
最近では、ネスプレッソのテレビCMで、「ホワット・エルス?」(What else?)という決め台詞で、再びファンを魅了しているジョージ・クルーニー氏です。
彼は30代でテレビドラマ『ER緊急救命室』の医師役で知名度を上げ、その後、主役を演じた映画『オーシャンズ11』(2001年公開)は、全世界で興行収入4億5000万ドルを記録する大ヒットとなりました。
そんな「超イケメン」かつ「ビッグ・スター」のクルーニー氏ですが、2012年に放送されたインタビュー番組『インサイド・アクターズ・スタジオ』にテレビ出演した際には、その華々しいキャリアからはちょっと想像しにくい、意外なコメントを残していました。
「俳優以外にやってみたい仕事は?」と、番組のホストであるジェームズ・リプトン氏が質問を投げかけると、彼は迷わず「ジャーナリスト」と答えたのです。
卒業はしていませんが、1979 年から1981年まで彼が通った北ケンタッキー大学での専攻は、「ジャーナリズム」だったそうです。このインタビューの中では、彼が「ジャーナリズム」を学んできたことをうかがわせる、こんな発言もありました。
2005年に公開された映画『シリアナ』で、彼はアカデミー助演男優賞を受賞します。この映画は、CIA工作官であったロバート・ベアの告発本『CIAは何をしていた?』(See No Evil)を元に制作され、中東におけるアメリカの石油ビジネス政策の闇を描いていました。クルーニーは、CIA工作官を演じました。
この映画が公開された当時のアメリカは、イラクへ軍事介入してから2年が経とうとしていた頃でした。映画は観客に、約15万人の兵士をイラク戦争に派遣しているアメリカ政府の政策に対して、疑念を抱かせる視点をもたらしました。
他方、クルーニー氏は、『国家に対する裏切り者(A traitor to my country)』と批判されるようにもなりました。クルーニー氏は当時をふり返り、次のように訴えました。
「あの映画は、もともと“政治的”ではありませんでした。しかし、あの時代が、映画を“政治的”にしてしまったのです。『国賊』(traitor)と題した表紙に、私の顔写真を使用した雑誌もありました。私は怒り狂いました。『政府の政策に対して疑問の念を持ち続けることは、市民の義務だ』というのが、私がアメリカで受けた教育です」
ジョージ・クルーニー氏という人物をよりよく理解するためには、「世界で最もセクシーな男」というやや軟派なイメージに、「骨太のジャーナリスト志望」という軸を新たに加えることが必要なのかもしれません。
そんな彼が「セントリー(The Sentry)」という調査団体を設立して、南スーダンの内紛について調査を実施しました。そして、2016年9月13日にワシントンD.C.にて記者会見を開き、交戦を続ける同国の大統領と副大統領らの不正な資金運用について告発したのです。
南スーダンと言えば、安倍政権が自衛隊の任務を拡大し、自衛隊による「駆けつけ警護」を行うべく、派遣の準備をしている国です。
他方、日本で暮らす人々の多くは、南スーダンでの紛争がどのようなものであるのかは、残念ながら知らないままではないでしょうか。日本のマスメディアによる報道が圧倒的に不足していることに加え、海外メディアが報じるニュースにはどうしても「英語」と言う壁があることが理由のひとつだと言えるでしょう。しかしながら、自衛隊が派遣されようとしている今、「知らないまま」放置しておくことはできなくなってきました。
「セントリー」がその調査概要を4分ほどにまとめた動画『戦争で儲けさせてはならない』(原題:War Crimes Shouldn’t Pay)。ナレーションはもちろんジョージ・クルーニー。IWJは、「セントリー」に直接コンタクトし、この動画に日本語字幕を挿入する許可を得ました。
IWJは、クルーニー氏の「セントリー」に関する記者会見後、コンタクトを開始。会見の中で使用されていた動画『戦争で儲けさせてはならない』を、日本で暮らす人々に、英語の壁を感じずに視聴して欲しい、つまり動画に日本語字幕を挿入したいとの思いから、9月25日(日)に「セントリー」の広報(在ワシントンDC)にメールでコンタクト。字幕挿入の許可を求めると、日曜日にも関わらず、先方からすぐに回答が到着しました。
“Yes, please go ahead.” (はい、ぜひどうぞ)
遠い、遠い、南スーダンで起こっていることが、やがて私たちにも関係の深い出来事になる可能性もあります。そんな国の実情を、ジョージ・クルーニーが解説しています。ぜひ一度ご覧いただき、南スーダンのことを知るきっかけとしていただければ幸いです。動画は下記のページでご覧いただけます。
ところで、「セントリー」には、映画『ホテル・ルワンダ』で主役を演じた、俳優のドン・チードル氏も参画しています。チードル氏は、「私たちの目の黒いうちは(Not on Our Watch)」という非政府人道支援団体の創設者でもあります。
非武装中立をうたっていたPKOの姿を、大きく変えるきっかけとなったルワンダ紛争(1990年~1993年)については、次の機会に!