大阪府市エネルギー戦略会議自主会合 2012.9.17

記事公開日:2012.9.17取材地: テキスト動画
このエントリーをはてなブックマークに追加

(IWJテキストスタッフ・花山/澤邉)

 2012年9月17日(月)、大阪府大阪市のシアターセブンで「大阪府市エネルギー戦略会議自主会合」が大阪府市エネルギー戦略会議の委員有志により行われた。まず、この会が自主会合となった経緯について説明したあと、原子力規制委員会、革新的エネルギー戦略、原発ゼロ実現シナリオの3点について議論した。

■全編動画
・1/2

・2/2

  • 参加者
    植田和弘氏(京都大学大学院経済学研究科教授)、古賀茂明氏(元経済産業省大臣官房付)、飯田哲也氏(認定特定非営利活動法人環境エネルギー政策研究所所長)、大島堅一氏(立命館大学国際関係学部教授)、河合弘之氏(さくら共同法律事務所弁護士)、佐藤暁氏(原子力コンサルタント)、高橋洋氏(株式会社富士通総研経済研究所主任研究員)、長尾年恭氏(東海大学海洋研究所地震予知研究センター長)、圓尾雅則(SMBC日興証券株式会社マネージングディレクター)、大林ミカ氏(自然エネルギー財団)。
  • 日時 2012年9月17日(月)
  • 場所 シアターセブン(大阪府大阪市)

 まず、古賀氏より会合開催の経緯に関して説明があった。「大阪府市エネルギー戦略会議は、大阪府市のエネルギー戦略を作る上での諮問機関である。こうした会議は、地方自治法による付属機関という位置づけになり、条例を通さない場合、違法と疑われる可能性が指摘された。そのため、府市において条例を通すまでの時間、こうした議論を自主的に進めていき、戦略会議が再開された時には、いろいろな提言を出せるように準備したほうがいいということで、この会議を開くことになった」。

 まず、原子力規制委員会の問題点に関して意見が出された。古賀氏は、規制委員会そのものの仕組みは評価するとしたが、今回の委員の任命手順については脱法行為と指摘。また、委員の人事に関する問題点も指摘、さらには、原子力規制庁の例外人事に関する問題点を指摘した。佐藤氏は、アメリカの規制委員会の事例を紹介し、「委員はそれまでのバックグラウンドとは無関係に中立でなければならない」と指摘した。

 次に、革新的エネルギー戦略について意見が出された。原発ゼロという言葉が入ったことを評価する意見も出たが、今後の実現性に関して疑問の声が上がった。

 最後に、原発ゼロの実現シナリオについての議論があった。飯田氏からは、「現実的な原発ゼロ実現に向けた提案として、使用済み核燃料の保管が問題になる」と指摘があり、「現在あるものとこれから生み出されるものの量を国民的合意で確定し、国が責任を持って引き取ることが必要」との説明があった。また、圓尾氏は「廃炉にする場合の電力会社の損失が大きくなりすぎる」と指摘し、「段階的に負担させることが必要」との説明があった。

 質疑応答では、「会合で決まったことが提言されるかどうか疑問」との声が上がった。これに対し、委員からは「現状の最大の成果は、この会議により大飯原発稼働を遅らせたこと、大飯原発の問題を国民に提起できたこと」との回答があった。また、脱原発を担う政党の要件、会議の違法性の認識、脱原発に向けた電力会社の位置づけ、福島第一原発事故の放射能による体調への影響、橋下市長の考えと会議とのギャップ、今後の会合の方向性に関する質問があった。

IWJの取材活動は、皆さまのご支援により直接支えられています。ぜひ会員にご登録ください。

新規会員登録 カンパでご支援

■お買い求めはこちらから

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です