2012年以上の「過剰警備」にSEALDsや見守り弁護団が申し入れ――国会前抗議が盛り上がる9月、表現の自由を守り、安全なデモにするために 2015.8.14

記事公開日:2015.8.15取材地: テキスト動画
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(取材:細野香・ぎぎまき、記事:ぎぎまき)

 酸欠になる、パニックになる、目的地に辿り着けない、イライラしてもみ合いになるーー。

 安全保障関連法案に反対する国会周辺デモの過剰警備に対し、主催者や参加者の間で戸惑いや批判の声が相次いでいる。

 歩道上で抗議する参加者を「檻」の中に囲うような行き過ぎた規制。人ごみの中で身動きが取れなくなった参加者がパニックを起こしたケースも発生した。また、スペースが空いているにも関わらず「これ以上は進めない」と警察の誘導で通行を妨げられた結果、目的地に到達できないといった混乱も起きた。

 多くの参加者から「ニセの誘導をされた」「噓をつかれた」という声が上がった。

▲「安倍政権NO!」が行われた7月24日、過剰な交通規制に苛立つ参加者と警察官がぶつかる場面もあった

■ハイライト

過剰警備に戸惑うSEALDsのメンバーたち

 国会前周辺のデモに対する過剰警備の改善を求める申し入れが、2015年8月14日、「安倍政権NO!★実行委員会」と官邸前見守り弁護団により行なわれた。申し入れには6月頭から国会前で「戦争法制反対」の金曜行動を続けている学生団体「SEALDs」のメンバー、柴田万奈さんも同行。申し入れ後、柴田さんが、警視庁前の歩道でインタビューに答えた。

 「去年一年間、秘密保護法でデモや抗議をしていた時には見られなかった過剰警備の様子に戸惑っているメンバーも多く、弁護士や首都圏反原発連合のメンバーに相談していました。今回、こういう機会が持てたので、(警備に対し)反発するだけではなく、話し合って、安全に抗議が続けられるようにできたらいいというスタンスです」

 行き過ぎた警備によってどんな影響があるのか、柴田さんが続けた。

 「過剰警備されているとそれだけでイライラしてしまって、警察と参加者が揉めたりすることが多かった。私たち(SEALDs)が仲介しようとしても何もできない。鉄柵のこともそうですし、機動隊の車がずっとエンジンをかけているのですごく暑くて匂いも臭くて、それで気持ち悪くなる人が何人も出たこともあります」

▲午前11時から行なわれた警視庁への申し入れ後、記者の質問に答える柴田万奈さん

参加者を「檻」の中に囲い込むための鉄柵

 過剰警備が目立つようになったのは、衆院で安保法案が強行採決された2015年7月15日、国会前に10万人が押し寄せてからだと言う。万単位の抗議者が連日国会前に詰めかけるようになると、それまで、参加者が車道に出ない目的で設置された鉄柵が、参加者を「檻」の中に囲むための鉄柵に変わった。

 さらに、それまでは鉄柵の外にいた警察官が「通路の確認のため」と称し、鉄柵の内側に並ぶようになったうえ、警察は鉄柵の内側にさらに鉄柵を設置。狭いスペースで長時間身動きが取れない参加者が、体の不調を訴えるというケースが相次ぎ、危険な状態に発展した。

▲7月24日、二重に鉄柵が設置された内側に警官が並び、抗議スペースが極端に狭められた(弁護団による資料提供)

 中には、指揮棒と称する白い警棒用のものを振り回して、参加者を挑発した警官の姿も確認されている。さらに、警察は視覚障害を持った4人の参加者に対しても交通規制を解かなかったといい、警察の行き過ぎた行為が抗議の現場を危険な状態にしていると見る声も少なくない。

 弁護団は警察への申入書の中で次のように記している。

 「むしろ警備により危険な状態が作り出されているのである。このように、警察法の趣旨に反する行き過ぎた規制は、参加者からは、集会たる表現行為を抑圧しようという意図に基づくものではないかとの疑念すら上がっており、警察の中立性を毀損する結果を招いている」

 申し入れでは、国会、官邸周辺の警備を必要最小限度にすることを求め、必要な規制を行なう場合には、主催者に事前に警備計画を示して了解を得たうえで、現場の全ての警察官に周知徹底することを求めた。

警備隊は日替わりでぐるぐる担当が変わる!?

 「機動隊は日替わりでぐるぐる担当が変わる。毎回、同じ隊の同じ人が同じ場所を警備するのではない。8個ある隊の中から振り分けられ、時には全く慣れていない人たちが、(警備に)つく場合があるということで、(管轄の)麹町署の指令がうまく現場に回っていない」

 申し入れ後の記者会見でこう説明したのは、7月24日に「安倍政権NO!」のデモを主催したメンバーの一人、ミサオ・レッドウルフさんだ。ミサオさんは2012年夏、官邸前で10万人以上を集めた再稼働反対抗議の現場を指揮してきた中心人物でもある。

(…会員ページにつづく)

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「2012年以上の「過剰警備」にSEALDsや見守り弁護団が申し入れ――国会前抗議が盛り上がる9月、表現の自由を守り、安全なデモにするために」への1件のフィードバック

  1. @55kurosukeさん(ツイッターのご意見) より:

    2012年以上の「過剰警備」にSEALDsや見守り弁護団が申し入れ――国会前抗議が盛り上がる9月、表現の自由を守り、安全なデモにするために http://iwj.co.jp/wj/open/archives/257905 … @iwakamiyasumi
    警備により危険な状態が作り出されている。これを「弾圧」という。
    https://twitter.com/55kurosuke/status/632652585132933120

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