「国会議員何やってんだと、こんなに集まってんだぞって声を上げていきましょう。後ろから蹴っ飛ばして『頑張れ』って言ってやりましょう!」——。
集まった市民に対し、「SEALDs(シールズ)」の奥田愛基(あき)さんが訴えた。若者たちの有志主催で行われる毎週金曜夜の国会前「戦争法案」反対抗議は、2015年7月3日、5回目をむかえた。強い雨にもかかわらず、抗議にはこれまでで一番多い3000人が参加。「人を殺すな」「安倍政権は沖縄守れ」「戦争法案、絶対反対」の声をあげた。
▲「戦争反対」「国民舐めるな」声を枯らしてコールする参加者
また抗議では、7月2日に石破茂・地方創生相が「自民党がガタガタとするのは『なんか自民党、感じが悪いよね』と国民の意識がだんだん高まっていったときだ」と発言したことにちなみ、「なんか自民党、感じ悪い」というコールもあがった。
先月25日に行われた自民党若手勉強会での、百田尚樹氏や若手議員の言論弾圧発言にも関わらず、政府・与党は7月15日にも安保法制の強行採決に踏み切るかまえだ。
初回から抗議に参加しているという古賀茂明氏は、IWJのインタビューに対し、「この抗議にも野党がようやく出て来ているが、みんな来年の参議院選のためにやっているように僕には見える。来たら挨拶してすぐに帰っちゃう。だけどそんなに悠長なことを言ってられないんですよ。ここで(法案が)通っちゃったら終わりだから」と危機感をあらわにした。
- スピーチ 後藤祐一氏(衆議院議員、民主党)/間宮陽介氏(青山学院大学特任教授、京都大学名誉教授、安全保障関連法案に反対する学者の会発起人、経済学)/山下芳生氏(参議院議員、日本共産党)/横湯園子氏(元中央大学教授、元北海道大学教授、女の平和国会ヒューマンチェーン呼びかけ人、臨床心理学)ほか
- 日時 2015年7月3日(金)19:30〜21:30頃
- 場所 国会議事堂正門前北庭側(東京・永田町)
- 主催 SEALDs(自由と民主主義のための学生緊急行動)
「まさか戦争反対なんて本気で言う日が来るなんて思いもしなかった」若い女性がスピーチ
▲この日も雨のなか、多くの若者が集結した
最初にスピーチした若い女性は、「正直に言うと、私は今日ここに来ることが恐かった」と語った。
「ネット上に顔が出て、就職がうまくいかなくなるかもしれない。情けない話かもしれないけど。奨学金も返さないといけないし。ぶっちゃけとてもビビってます。なぜ当たり前の話を、ただ国会で話すのにリスクを覚悟しなければならないのか。
でも、そんな生き辛い世の中に文句ばっかり言っていても、何も変わらないし、得体の知れない圧力に押されて、自分の言葉を失ってしまったら、そっちの方が自分の自由を狭めることになるんだと言うことを思い出しました」
勇気を振り絞ってマイクを握ったというこの女性は、「おかしいことに『おかしい』って言うのが当たり前の社会に、少しでも近づけるために、私は自分の言葉でここに立ち、自分の言葉で主張します」と力強く訴えた。
去年の夏に安倍政権が集団的自衛権の行使容認をした際は、「漠然とした不安を抱きながらも、個別的自衛権と集団的自衛権の違いも分からなかった」という。しかしその後、本を読み、先生に質問し、友達と話して、新聞を読んで勉強したところ、「少し勉強したら、いま政府が行っていることが憲法違反であることが、すぐ分かりました」と語った。
「高校生の弟が、朝ご飯を食べている時にぼそっと、『この先、徴兵制ができるなんてことあるの?』と言った時、すごくドキッとしました。戦場に行くのは私と同世代の若者であり、まだ選挙権も持たない私よりも年下の人たちであり、そして、これから生まれてくる子どもたちです」
自分の身近に戦争の気配が迫ってきた恐怖を、実感とともに語った女性は、「私だって、まさか戦争反対なんて本気で言う日が来るなんて思いもしなかったけど、いつまで見て見ぬ振りを続けるんでしょうか」と、取材陣のカメラに訴えた。
野党議員もスピーチ、民主党・後藤祐一氏「自民党改憲案でこの抗議も憲法違反に」
抗議には野党の議員も参加し、スピーチに立った。
民主党の後藤祐一議員は、自民党勉強会での言論弾圧発言に触れ、「今、表現の自由が本当に危機にあります」と訴えた。
▲スピーチをする後藤祐一議員
そして、自民党の悲願である改憲草案の「第21条:表現の自由」に「公益及び公の秩序を害することを目的とした活動を行わない。ならびにそれを目的として結社を行うことは認められない」と書かれていることを紹介。「つまり時の権力に反するような、邪魔するようなことを言ったり集まったりする人は、憲法違反だということ。絶対、止めなきゃいけない」と語った。
続いてマイクを握った共産党の山下芳生(よしき)書記局長は、短い国会審議のなかでも安保法制が「何重にも憲法に違反しているということがはっきりしてきた」と語った。
▲終始、参加者の方を向いてスピーチした山下芳生議員
山下議員は、「戦闘地域まで自衛隊を送って米軍に対して物資を補給したり輸送したりする、兵站活動をする、これは武力行使と一体となる活動そのものだ」と指摘。重ねて、「戦乱がまだ続いている地域で治安活動をする、これらは海外で武力行使に道を開く、憲法違反の活動にしかならない」と語った。
「別に何党も支持していない、国会議員何やってんだと声を上げる」
国会議員2人のスピーチの後にマイクを握った、「SEALDs(シールズ)」の奥田愛基(あき)さんは、「一番問われているのは、俺達自身だってことです」と訴えた。
「なんか自民党、感じ悪い!」雨の国会前で3000人が「戦争法案」反対の声! 古賀茂明氏「来年の参院選なんて悠長なことを言っていたら終わり」 http://iwj.co.jp/wj/open/archives/251499 … @iwakamiyasumi
未来を担う若者たちの悲壮な訴え。この声を聞かない政治とは何だ?
https://twitter.com/55kurosuke/status/617076319344431104
僕は福井県ですのでデモに参加したいのですがいけません。でもこのように若い人が参加していて「ありがとう」と画面の前で感謝しています。本当にこの人たちは正義の味方で英雄だと思います。
IWJさんが中継してくれなかったら福井県では戦争法案反対のデモが起きていることすら分からない人がほとんどです。
いまの政府はおかしい国民を騙すおれおれ詐欺内閣だ。倒さなければならないと思います。政治の基本は江戸時代の上杉鷹山ですら「民があって国家(君主)がある」と説いている。彼らには民主主義も立憲主義主も理解でいていない幼稚な人たちなのです。