「マスコミ懲らしめなければ」自民党勉強会での発言に懲りない大西英男議員、過去にはセクハラ野次やNHKへの圧力も 〜「TPPで聖域は守られない」!? 岩上安身のインタビューで暴露した自民党の本音とは 2015.7.1

記事公開日:2015.7.1 テキスト
このエントリーをはてなブックマークに追加

 「マスコミを懲らしめるには広告料収入がなくなることが一番だ。われわれ政治家には言えない。ましてや安倍首相は言えない。文化人、民間人が経団連に働きかけてほしい」

 自民党若手議員が、作家の百田尚樹氏を招いて2015年6月26日に開いた勉強会で、堂々と「言論弾圧」発言を行った大西英男氏。党から厳重注意処分を受けたにも関わらず、30日には国会内で記者団に再び「マスコミを懲らしめなければ」と語った。

 大西氏は安保法制について、戦争に導く、徴兵制につながるのではないか、という一部報道について「全く事実無根」としたうえで、「そう報道している一部マスコミがある。こういうことを懲らしめなければいけないんじゃないか」「日本の国を過てるような、そういった誤った報道をするようなマスコミに対して、私は広告なんかは、粛すべきじゃないかと個人的には思います」と発言。

 さらに「懲らしめようという気はあるんですよ」と繰り返し、朝日新聞の従軍慰安婦報道について「日本や日本国民の名誉や信頼を傷つけた。これ、いいんですか?」と批判した(※)。

 勉強会でも、また国会での囲み取材でも、大西氏は何度も言論弾圧を煽っている。しかし一方で、「言論弾圧ではない」「言論の自由や表現の自由の規制は全く考えていない」「マスコミ規制をするとか、言論の弾圧をするなんてのは絶対にあり得ない」などと、支離滅裂な言説を繰り返している。つまり、党としては表立ってメディア規制はしないが、スポンサーなど第三者には、自粛を要請している、ということだろうか。これはれっきとした、実質的な言論弾圧だ。

 大西氏はこの、メディアに自粛を呼びかけながら「言論弾圧ではない」と開き直る姿勢を、過去にも繰り返している。

NHKは今後、孫崎享を番組に出すな!? 過去にも言論弾圧

 2013年3月21日、2013年度のNHKの予算を審議する衆議院総務委員会で質問に立った大西議員は、同年1月1日にNHKで放送された「NHKスペシャル2013世界とどう向き合うか」に出演した孫崎享氏の、日中間の尖閣諸島をめぐる領有権問題に関する発言を問題視。「NHKの番組において、正しい認識とは思えないような主張を延々と続けていく。こういうことが許されていいのかどうか」「間違った考えを語る人間を、ひとりでしゃべらせてはいけない」などと発言した。

 「NHKは今後、孫崎氏を番組に出すな」と、あからさまに訴えている。「公正中立」であるはずのNHKに対し、その番組構成に国会議員が介入するというのは、言論弾圧に他ならない。

 岩上安身は同年5月14日、渦中の大西議員に単独インタビューを行い、問題発言の真意を聞いた。すると大西氏は、それは「国会議員の言論の自由の範囲である」と言い放った。他人の言論の自由は制限する、自分の言論の自由は守られる、というのである。

 しかし岩上安身から「自民党の憲法改正草案には、『公共の秩序を害するかどうかで、言論の自由を制約する』とあるが、公共の秩序の線引きは誰がするのか」と問われると、大西氏は「政府は国民から選ばれて作っているので、(政府の判断が)国民が判断した公共の秩序、ということになる」と述べた。

 「我々が公共の秩序を判断する」という主張だが、大西氏はとても「公共の秩序」とはいえない、下品な「セクハラ野次」を国会で放っている。

セクハラ野次も…ついつい「本音」が出てしまう大西氏が暴露したTPPをめぐる自民党の「本音」とは

 2014年4月17日、国会の衆院総務委員会で、日本維新の会の上西小百合議員が少子化問題について質問中、大西氏は「まず自分が子供を産まないとダメだぞ」とセクハラ野次を飛ばしたのだ。しかも、当初は「記憶にない」などと否定していた。

 つい本音を喋り、そのあとごまかす、というのが特性なのだろうか。大西氏は岩上安身のインタビューで、TPPに関する自民党の本音も、うっかり暴露している。自民党が掲げた農産品の『聖域』について、「すぐにではなく、いずれ関税撤廃ということ。自民党の多くの議員も同じ考えだ」と語ったのだ。

 ただ、この発言については現在のところ、言い訳も取り繕いも大西氏の口からは出ていない。つまり、この発言については自民党もお咎めなしの、党公認の発言ということになるのではないか。

IWJの取材活動は、皆さまのご支援により直接支えられています。ぜひ会員にご登録ください。

新規会員登録 カンパでご支援

関連記事

「「マスコミ懲らしめなければ」自民党勉強会での発言に懲りない大西英男議員、過去にはセクハラ野次やNHKへの圧力も 〜「TPPで聖域は守られない」!? 岩上安身のインタビューで暴露した自民党の本音とは」への1件のフィードバック

  1. あのねあのね より:

     報道の多くでは自民党勉強会だとしているが、問題発言があった文化芸術懇話会というのは、外務大臣の岸田文雄さんの『分厚い保守の会』に対抗し次の総裁選を無投票にするという文脈で筆頭副幹事長で総裁の特別補佐の萩生田さんによって作られた安倍後援会が実態だ。2015年5月23日産経配信のネットニュースでは、記事の見出しが《首相に近い「保守勉強会」設立へ》で、《当選1~3回の国会議員が対象で、党青年局メンバーを中心に若手議員20~30人の参加を見込む》そうで《関係者は首相の支援組織であることを認め》《「首相が仕事をしやすいように、邪魔者が出てきたら排除するのが役割だ」と強調》したそうだ。第一次安倍内閣発足の2005年当時でも安倍や故中川昭一によるNHK番組への改変圧力問題があった。安倍は当時からやっていたのだ。
     一連の問題発言と自民党幹部の火消しは実はプロレスであり、高度な世論誘導の手法であるという記事がヤフーニュースに載っている。記事を書いたのは藤代裕之氏で、2015年6月30日 22時33分の記事。題名が『「問題発言」を繰り返すのは、安倍政権の高度な世論操作プロレスだと考えてみる』です。
     記事によると
     《安全保障関連法案や沖縄問題、歴史問題など重要案件で

    問題発言を行う  
       ↓
    マスメディアや野党が批判 
       ↓
    自民党の幹部が諌める 
       ↓
    また問題発言を行う

    の無限ループが起きている》そうで、《以前なら、マスメディアや野党の批判が高まれば、議員辞職などで「終結」して結果が出た》のに現在は《議員らはソーシャルメディアを使い、謝る・言い訳する・開き直るなどと同時にマスメディア批判を展開》したり、産経新聞が《民主議員「書いた記者を外せ!」 政権担当時にも“報道圧力”》という記事で自民党を支援するんだとか。
     その結果起きているのが
    《多くの人が「またか」と面倒になって問題そのものに無関心になったり、追求しているマスメディアや野党が「無力」であると感じたり、自民党幹部は諌めているのだからいいじゃないかと容認する空気が生まれたり、といった変化が起きている》んだとか。
     《問題発言をもぐらたたきのように目の前に繰り出すことで、安全保障関連法案そのものの議論が忘れさられたり、深く議論されなくなったり、している》そうで《リスクが高い問題発言を、あえて「泳がせ」それに対して遺憾の意を表明することで、まともなポジションを取るという安倍政権の高度な世論操作プロレスなのではないか》と疑問を投げかけている。
     《安倍政権は第一期の失敗から学び、メディア・コントロール、ソーシャルメディアと世論調査を掛けあわせた反応確認、ダメージコントロールなどが進化しています。マスメディアが従来通りの批判報道を繰り返しているだけでは、メディアゲームに敗北することになる》と警告を発しています。おとりである百田や大西の発言は安倍の意思だということを忘れてはならない。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です