【青森県知事選】「米軍基地や原発がある青森は、戦争になれば格好の標的になる」――青森県知事候補の大竹進氏が第一声 2015.5.21

記事公開日:2015.5.26取材地: テキスト動画
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(IWJテキストスタッフ・関根)

特集 3.11から11年!『ウクライナ侵攻危機』で、IWJが警告し続けてきた『原発×戦争リスク』が明らかに!

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 「現職の三村知事は、外交も防衛も県政とは関係ない、と言うが、大間違い。青森県には、レーダーや米軍基地、原発に核燃もある。戦争になったら、ここが標的になるのは明らかだ」──。

 任期満了に伴う青森県知事選が、2015年5月21日告示され、立候補した大竹進氏(無所属新人)が、同日、青森市内の各所で街頭演説を行った。

 今回の知事選は、自民・公明が推薦し、4期目を目指す三村申吾現知事(59)と、社民・共産が推薦する大竹進候補(医師・64)の一騎打ちとなった。投票は6月7日に行われる。この日の応援演説には、「大竹進を支援する全国医療関係者の会」代表代理の遠藤順子医師、社民党の吉田忠智党首も駆けつけ、大竹候補にエールを送った。

 遠藤氏は、「大竹候補は徹底して、患者の立場の医療を実践してきた。命に貧富の差をつける混合診療、自由診療のTPPや、『戦争法制』を進める安倍政権の姿勢に反対している」とアピールした。

 吉田氏は、去る5月15日、国会に「戦争法案」が提出されたことに触れて、「そのあとの最初の選挙になる。きわめて重要だ」と青森知事選の重みを訴えた。その上で、「国から予算を取ってくるだけの発想はもう古い。青森県民の思いをしっかり実現させる大竹候補が、今、求められている」と力を込めた。

 医師である大竹候補は、短命県ワーストワンの青森県の汚名返上、子どもと弱者に手厚い県政、脱原発、「戦争法案」の断固阻止、TPP反対などを聴衆に訴えた。特に、大間原発と核燃サイクルについては中止を目指すとし、大間原発建設差し止め訴訟を起こしている北海道函館市と共闘したい、と述べた。

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■全編動画

  • 日時 2015年5月21日(木) 9:00〜
  • 場所 青森市役所前(青森市)

1000人の医師不足――全国ワースト1の短命県の返上を

 「私の診療所には、膝、腰、肩が痛いという高齢者がたくさん訪れる。皆さん、畑に行って100歳まで現役でがんばってください。120歳まで長生きしてください」

 青森市郊外のラ・セラショッピングセンター前で、青森県知事選挙に出馬する大竹進候補は第一声を上げた。

 青森県は全国一の短命県で、1000人の医師が不足しているという。その対策として、日本全国から医師を集めて医療の質を上げ、無医村をなくす、と大竹候補は述べ、「長寿県である長野との一番の違いは、喫煙者の割合。タバコはすぐに止められないので、禁煙を助け、子どもたちにも禁煙教室を、タバコ農家には支援をする」と具体的なプランを語った。

 人口減少問題では、「安倍政権は人口減少を理由に脅しをかけ、地方村合併を企む。青森県庁は要らない、県議会は要らないと、道州制を狙っている」と危惧し、宮崎県西米良村のワーキングホリデー制度を成功例に挙げて、このように述べた。

 「都会の若者に1週間滞在してもらい、農繁期の3日は農作業ボランティア、残りの3日間は観光してもらって、滞在費を自治体が負担するシステムです。今、田舎で暮らしたい若者が増えている。来年(2016年)の農繁期には、ぜひ、青森県版ワーキングホリデーを実現させたい」

「子ども第一」の政治で人口削減を食い止めたい

 また、増税、年金削減、保険料の値上がりで生活は苦しくなっていると現状を憂い、子どもたちとその家族への施策としては、保険料と医療費の引き下げを公約に掲げた。「政府が、社会保障費に全額使うと約束した消費増税分。青森県は59億円だが、(社会保障に回す約束は)かなっていない」とし、増税3%分を医療費や介護費に使いたいと話した。

 「今、株で1億円儲けた人でも、健康保険料の最高負担額は81万円だ。一方で、子どもが多ければ多いほど保険料は高くなる。これではまったく逆だ」と声を大にすると、聴衆から拍手が起こった。大竹候補は、小学生まで医療費無料の現状を、中学生にまで拡大する考えを示し、「そのためにも高所得者には負担をしてもらい、低所得者からは取らない、相応負担にしていきたい」と述べた。

 さらに、他県にあって青森県にない児童育成手当を新設し、「子ども第一の政治をやって、人口削減を食い止めたい」と訴えた。また、「いじめやストレスで、子どもの自殺も増えている」とも指摘。地域でサポートする自死予防システム、クライシス・レスポンス・チーム(こころのレスキュー隊)を設置するとした。

 青森県内では、大間町、風間浦村、佐井村では学校給食がなく、黒石市もミルクだけである。大竹候補は、県内すべての自治体での学校給食の実施や、フードバンク運動の支援を掲げる。また、ひとり親家庭への児童育成手当制度の導入にも言及し、「人口減少は企業を誘致しても解決しない」と数々の対応策を説明した。

大間原発は青森・函館で連帯して中止に

 脱原発を掲げる大竹候補は、フルMOX燃料の大間原発の建設中止と、核燃(六ヶ所村核燃料サイクル事業)の廃止を訴えた。

 その上で、「安倍首相は『放射能(汚染水)はコントロールされている』と言った。しかし、福島原発事故はまったく収束の目処がたたず、放射能がもれ続けている。安倍首相は『アンダーコントロールできている』とウソを言って、東京オリンピックを誘致した。ウソも大きければ大きいほど、また、言い続けるほど真実になるとも言うが、こんな政治は糾さなければいけない」と断じた。

 そして、「大間原発には、(対岸の)函館市民も反対している。青函で連帯するのは観光や新幹線だけでなく、大間原発の反対運動でも共闘していきたい。大間原発は建設中止にして、そのまま博物館にすればいい。原発、核燃に頼らない青森県を作る」と訴えた。

レーダー、米軍基地、原発――戦争になれば青森は格好の標的に

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 大竹候補は、「戦争法案」にも強い反対を表明する。

 「安倍内閣で『戦争法案』審議が始まった。平和、安全と言うが、戦争に向かっている法案だ。70年間、平和憲法で平和を守ってきた。自衛隊員に、海外で人を殺してもらいたくない。もし、人を殺したら、あなたはどう思うか、相手の家族はどう思うかを、安倍政権に問いただしたい。平和憲法のもと、海外貢献をする平和な日本を築くためにも、戦争法案の廃案を訴える」

 さらに、「原発の再稼働と、海外への輸出。平和憲法がありながら戦争法案を審議する。どこか、おかしくなっている。私は、平和な青森県政を行なっていきたい。青森から日本を変えたい。沖縄に学び、オール青森にまとまって、未来の子どもたちに胸を張れる、誇りの持てる青森を作る。現在の三村知事は、『外交も防衛も、県政とは関係ない』と言うが、大間違いだ。青森県には、レーダーも、米軍基地も、原発も核燃もある。戦争になったら、ここが標的になるのは明らかだ」と語気を強めた。

大竹vs.三村――青森で「さまぁ~ず」対決

 「私は整形外科医として、筋ジストロフィーの子どもたちの治療にも多くたずさわり、彼らの希望を後押ししてきた。今では海外旅行にも行けるようになった。多くの子どもたちと家族たちから、あきらめないこと、希望を持ち続けることを学んできた。

 『小医は病気を治す、中医は人を治す、大医は国を治す』という言葉がある。今回、青森県を変え、国を治す政治でがんばろうと決断した。患者の人権を守り、社会的参加をうながすやさしい守り手を作っていきたい」

 大竹候補は、長年の医師としての経験も交えて、聴衆に語りかけた。

 また、「青森県の投票率は、常に最低だ」と投票率アップを呼びかけ、今回の知事選の候補者2人の名前が、お笑いコンビ「さまぁ~ず」と同じ大竹、三村であることに触れて、「青森で『さまぁ~ず』対決がある」とジョークを飛ばして笑いを誘った。その上で、「安倍晋三さんが嫌いな人、危ないと思っている人、力を貸してください。オール青森から、日本を変えていきたい」と力強く訴えた。

山本太郎議員「大竹候補が当選すれば、永田町がひっくり返る」

 青森県民生協つくだ店前では、「大竹進を支援する全国医療関係者の会」代表代理の遠藤順子医師が、応援演説を行なった。

 「大竹候補は、徹底して患者の立場の医療を実践してきた。命に貧富の差をつける混合診療、自由診療のTPPや、人が人を殺す『戦争法制』を進める安倍政権の姿勢に反対している。5月10日に八戸市の集会に参加した山本太郎参議院議員は、『大竹候補が当選すれば、永田町がひっくり返る』と鼓舞した」

安保法制閣議決定後、最初の民意が示される青森知事選

 青森県庁前、さくら野百貨店青森店前では、社民党の吉田忠智党首も加わり、大竹候補の演説を力強く援護した。

 吉田氏は、「去る5月15日、国会に『戦争法案』が提出された。そのあとの一番最初の選挙が、青森県知事選挙。きわめて重要だ」とし、平和は国だけの問題ではなく、地方自治から作っていかなければならないと訴えた。また、米軍と自衛隊は合同演習や合同司令部により、従来以上に関係が強化されていると危惧し、「そのお墨付きを与えるのが、今回の『戦争法案』だ」と喝破した。

 さらに、今回の安保法制案は、自衛隊法改正案など10本の法案をまとめて、恒久法で1本化している。これについて、「丁寧な国会審議を省いてしまい、集団的自衛権行使で、憲法9条を180度変えてしまう」と、吉田氏は懸念を示す。

 これまでは、非戦闘地域で後方支援を行っていた自衛隊が、アメリカ軍に求められたら、戦闘地域になりそうなグレーゾーンでも後方支援ができることになるという。吉田氏は、「戦後70年間、憲法9条のもと、自衛隊は1度も戦争せず、人を殺したこともなかった。このままでは、それもかなわなくなる。今回の青森知事選で、厳しい国民の意志を、国に突きつけてほしい」と訴えた。

国から予算を取ってくるだけの発想はもう古い

 また、原発の問題では、今なお、汚染水漏洩の深刻な状況が続き、子どもの甲状腺がんも続出していると述べ、「一度、ふるさとが放射能で汚染されたらどうなるか、わかってほしい。12万人以上が故郷に帰れる目処も立っていない。また、それらは、まったく報道されない」と吉田氏は指摘して、こう力説した。

 「現在、原発は1基も稼働していないし、経済性に見合わないことも明らかで、原発稼働と核燃を続ける道理も理屈もない。これからの廃炉も大きな壁で、立地自治体の経済や雇用も解決していかなければならない。それも踏まえてやっていく。イデオロギーだけではない。だから、大竹候補は立ち上がった」

 さらに、3期連続した三村県政のままでいいのかと、吉田氏は聴衆に問いかける。

 「青森県には豊かな資源がある。りんごやホタテなど農水産物、観光資源もまだまだ眠ったままだ。アベノミクスと言っても、地方にその恩恵は行き渡らない。医療、福祉、介護も産業として促進し、雇用の場を育んでいく」

 最後に吉田氏は、「大竹候補は、医療の場で命や健康を守りながら、脱原発など、弱者の目線に立った運動を続けてきた。国から予算を取ってくるだけの発想はもう古い。青森県民の思いをしっかり実現させる大竹候補が、今、求められている」とエールを送った。

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「【青森県知事選】「米軍基地や原発がある青森は、戦争になれば格好の標的になる」――青森県知事候補の大竹進氏が第一声」への1件のフィードバック

  1. @55kurosukeさん(ツイッターのご意見) より:

    【青森県知事選】「米軍基地や原発がある青森は、戦争になれば格好の標的になる」―青森県知事候補の大竹進氏が第一声 http://iwj.co.jp/wj/open/archives/246412 … @iwakamiyasumi
    原発×戦争。六ヶ所への攻撃は日本の壊滅を意味している。青森県民よ、「正しく」怒ってください。
    https://twitter.com/55kurosuke/status/603168543513784321

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