上関原発SLAPP訴訟報告会とインタビュー 2012.7.18

記事公開日:2012.7.18取材地: テキスト動画
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(IWJテキストスタッフ・富山)

 2012年7月18日(水)、上関SLAPP訴訟の第14回目の口頭弁論が山口地裁で行われ、終了後に報告会が行われた。弁護団は中国電力側の不当性を訴えるとともに、この裁判を通して何を目指すべきか、今後の闘争方針を語った。また、被告となった原康司氏へのIWJ中継特派員によるインタビューも併せて行われた。

■全編動画

  • 日時 2012年7月18日(水)

 SLAPPとは、Strategic Lawsuit Against Public Participationの略称。「対公共関係戦略的法務」と訳する訴訟形態の一つで、公の場での発言や政府・自治体の対応を求めて行動を起こした人々に対して、恫喝・発言封じなどで威圧し、苦痛を与えて疲弊させることを目的として起こされる報復的な民事訴訟である。

 上関原発SLAPP訴訟は、中国電力が2009年11月6日から11日の6日間、上関原発反対運動を行ったリーダー格の祝島島民二人、シーカヤッカー二人に対して、敷地の造成工事が遅れ、損害が発生したとして、4800万円の損害賠償請求を行った裁判である。

 反対運動が行われたのが2009年の11月。裁判はその1カ月後の12月に起こされた。報告会で弁護団は、反対運動の中、誰がどのように行動をしていたのか、それによってどのように工事が妨害されたのか、充分な議論も行わず、事実確認もないままに裁判を起こした中国電力の問題点を指摘する。堀弁護士は「損害をどう見るのか、妨害行為とはいったい何なのか。この二つの議論を通じて、いかに中国電力が大慌てで、事実追求の詰めがないままにこの裁判を起こしたのかが、今日の法廷でますます明らかになった」と語る。

 カリフォルニア州では、1992年に州民事訴訟法の中で、SLAPPを目的とした訴訟の濫用を禁じる成文法が制定されている。

 堀弁護士は「我々は、今後、今回の裁判を通じてSLAPP訴訟に対する制度作りを目指していかなければならない。原発の危険性とともに、国と電力会社が原発に固執し、いかに醜いやり方で建設が進んできたのかが各地で明らかになってきている中で、この裁判が大きな役割を果たすのだという自覚を持って、取り組むことが大事である」と語った。

 小沢弁護団長は「この裁判が中国電力の会社としての格を下げるような訴訟であることを明らかにし、守るだけでなく攻める裁判を行っていく」と今後の方向性を示し、報告会を締めくくった。

 被告の一人である原康司氏(虹のカヤック隊)は、2003年から上関原発反対運動に関わっている。報告会終了後のインタビューで、原氏は「この裁判を、こちらから止めるわけにはいかない。SLAPP訴訟問題の認知度を高め、弁護団とともに、いろいろな方向で煮詰め、気長に粘り強く続けていくしかない」と、証拠資料を意図的に出さない中国電力と戦い続けていく決意を語った。

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