岡田外務大臣会見 2010.4.9

記事公開日:2010.4.9取材地: テキスト動画
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2010年4月9日(金)に行われた、岡田外務大臣会見の模様。

■全編動画

外務大臣会見記録(平成22年4月9日(金曜日)15時04分~ 於:本省会見室)

冒頭発言

(1)第1次戦略兵器削減条約の後継条約の署名について

【岡田大臣】まず、第1次戦略兵器削減条約の後継条約の署名について、昨日8日ですが、オバマ大統領とメドベージェフ大統領の間で、プラハにおいて、第1次戦略兵器削減条約の後継条約に署名をいたしました。

 両国が進めていた交渉の結果として、核弾頭と運搬手段の削減の水準に合意したことなど、重要な進展があったことを我が国としても評価をいたします。

 核兵器不拡散条約NPT第6条の核軍縮義務に従ったこの条約が、5月のNPT運用検討会議に先立ち署名されたことは、同会議に向けた重要な貢献であり、我が国として高く評価するところであります。

 両国による同条約の早期批准を期待するとともに、その他の核兵器保有国も参加した世界的な核軍縮の進展及び目標である「核兵器のない世界」に向けて、国際社会の中でリーダーシップが発揮されることを期待しているところでございます。

(4)横須賀市訪問について

【大臣】私(大臣)は明日、横須賀市を訪問いたします。横須賀市では、吉田市長と意見交換をするとともに、横須賀海軍施設、米軍ですが、その視察を行う予定でございます。

(5)沖縄返還に関わる情報公開に関する不開示決定取消訴訟について

【大臣】先ほど判決が出た沖縄返還に関わる情報公開に関する不開示決定取消訴訟でありますが、結果は少し 意外な感がいたしますが、国側が敗訴ということになりました。もう少し判決文などは精査をしなければならないと思いますが、この裁判において、国側として どこまで主張したかというのは、私(大臣)も必ずしも明確に把握している訳ではありませんが、去年の政権交代後、私(大臣)が就任し、その当日に法的な裏 付けをもって事務次官に対して命令を発し、そして徹底的に調査を行ったということが十分反映されていないのではないかと思います。これはもう少し判決文を よく見てみなければいけませんが、少なくとも当方よりそういう申し立てを行わなかったという話もあります。その辺、私(大臣)はよく分かりません。いずれ にしても、今、外務省にそういうものはないということは、調査の結果、明確でありまして、そのことに対して、それ以外のことはないということは申し上げて おきたいと思います。よく判決文の趣旨を検討してみたいと思います。
いわゆる「密約」問題に関する調査(沖縄返還に関わる情報公開に関する不開示決定取消訴訟)

【毎日新聞 野口記者】密約の情報公開の訴訟についてなのですが、今回、判決は国側に開示を命令するとい うような内容になっておりますけれども、外務省の調査で問題になっていた吉野局長とスナイダー公使の文書は見つからなかったという結論になっていますけれ ども、それについても改めて「不存在」ということにする場合には、外務省として、存在しないというときは、なぜ存在しないのかというのを説明しなければな らないと思いますが、その辺り、どういった対応を考えていらっしゃいますか。

【大臣】まだ、判決の結果をよく精査しておりませんで、そういう段階でコメントすることには慎重でありたいというように思います。よく中身を見た上 で判断したいと思いますが、ただ、私(大臣)が今聞きましたところでは、今回改めて徹底的に調査をしたということを、当方から裁判において申立てをしてい ないという少し信じられないような話もございますので、そこのところは、裁判の中身についても、こちらの進め方も含めて精査してみたいと思います。た だ、(文書は)ございません。それは調査の結果、(文書は)ありませんので、ないものをどう説明するかというのはなかなか難しいことだと思います。

【ビデオニュース 神保記者】密約の件でフォローアップなのですけれども、判決の要旨しか手元にないのですが、要旨を見ると、不存在で、見つからな くなった理由を外務省側にきちんと調査をしろと、だからそこの部分の挙証責任、これこれこういう理由でないのだ、ということを外務省の方から説明をしなけ ればならないという判決文になっているのですが、具体的には、歴代の事務次官、アメリカ局長、条約局長、アメリカ第一課の課長を始めとする同課在席者、外 務省が本件、各文書を保有するに至ったと考えられる時期以降に、これらに関与した可能性のあるものに対し、逐一取扱い等について聴取することが求められる と文書にあるのですが、これは、大臣は精査してからというように仰いましたけれども、このような調査というのを今後更に行う可能性というのはあるのでしょ うか。

【大臣】まだ判決文についてよく精査しておりませんので、それが現実的なことを言っておられるのかどうか、現実的に可能なことを。随分昔の話でありますので、そのことも含めてよく検討しなければならないと思います。

【ビデオニュース 神保記者】調査の可能性は排除されないのでしょうか。

【大臣】現時点では何も申し上げません。

【琉球新報 滝本記者】今の件に関連してなのですけれども、大臣が仰られた中で、訴訟指揮として、なぜ主張されなかったのか。徹底調査したことを裁 判で申立てなかったということがなぜなのかというのが、信じられないという話なのですけれども、そもそもこの裁判に当たって、大臣がどのような指揮でいく のかということについては、一切関与されていなかったということになるのでしょうか。

【大臣】この裁判は、実は裁判手続としては、確か1月か2月ですか、もっと早かったかもしましれません。事実上終っていました。それで判決が延びて いたということですから、私(大臣)が就任してから何回公判が行われたのか、私(大臣)はあまり記憶がないのですが、多くは前政権の下で行われたことで あって、私(大臣)自身が個別の裁判について、何かコメントすることはありませんし、それはそれぞれの司、司といいますか、弁護士もいる訳ですから、相談 して進めていったものと思います。いずれにしても、これは地裁の判決ですから、これから更にどうするかということは、これをそのまま受け入れるということ は、私(大臣)はないと思いますので、今後どうするか、よく検討してみたいと思います。

【フリーランス 岩上氏】今の問題に関連しまして、大臣のご説明を伺っておりますと、そうすると、裁判の訴訟の手続そのものは、ほぼ前政権の時代に終わっていて。

【大臣】今、そこまで断言していません。

【フリーランス 岩上氏】という可能性があって、今の現政権になって、密約問題の開示の命令を下されて、この問題の徹底的な追求、調査を行って報告 を行ったということでした。開示を行ったという、言わばタイムラグが、裁判と実際の現政権での調査と、その発表とのタイムラグが判決へのずれ、それから大 臣が、これは少し現実と違うのではないかという違和感もご表明されている訳ですけれども、その理由になるのでしょうか。

【大臣】よく判決を見ておりませんので、率直に申し上げて、分かりません。これからよく精査してみたいと思います。ただ、法に基づいて、行政組織法 に基づいて命令を発して、そして調査をやったということが盛り込まれていないとすると、そういった主張をしなかった方にも問題があるというふうに言わざる を得ないと、私(大臣)は思います。そういう経緯もよく含めて検証してみたいと思います。

【共同通信 西野記者】判決を精査されるということなのですが、大臣のお言葉を聞いていると、このまま受け入れることはないという言及もありました。これは、もちろん、精査した上でということなのですが、控訴もあり得るという見方でよろしいのですか。

【大臣】よく精査してみたいと思いますが、その可能性は排除できないと思います。我々の納得のいく判決では必ずしもないということであります。

【共同通信 西野記者】一方で、大臣がこの判決に至るまで、外務省の中で、そういう主張していなかったと、きちんと主張していなかったことに、今、 遺憾の意を表明されていると思うのですが、なぜそのようなことが起こっているのか、私たちも密約の取材をする際に、この訴訟と密約が今後どうなるのか、非 常に関心を高く持っていたのです。

 一方で、外務省の中で大臣がどのような訴訟指揮が行われているのか把握されていなかったというのは、逆にこちらとしてはどうしてかなと疑問を持ったりす るのです。そこら辺が少し、大臣がこの判決にしても、やはり「外務大臣は」というところで命令が出ていて、その責任と裁判の中身と整理した上で話をしてい ただかないと、少し分かりにくいです。大臣が遺憾だと仰っていることは、外務省全体の話なので、大臣に返ってくる部分もあると思います。そこのところを少 し整理してください。

【大臣】いずれにしても、私(大臣)は吉野さんの守秘義務を解くということはいたしましたが、個々の裁判における闘い方についてまで、関与、干渉するつもりはございませんので、ある意味では任せていたということであります。

【朝日新聞 鶴岡記者】今のに関連して伺います。外務省の調査結果は、恐らく11月20日の時点で出ていて、その後、年末年始の裁判では、恐らく有 識者委員会の検証が終わるまでは公表しないがために、準備書面では多分、留保するとして明らかにしてこなかったと思うのですけれども、11月の時点で外務 省の結果を発表して、事実を追加して申し立てていれば、こういうことにはならなかったような気がするのですが、つまり外務省の公開の在り方として、11月 に結果が出たのに3月まで公開しなかったというところに問題があるような気がするのですけれども、いかがでしょうか。

【大臣】それは、有意識者委員会での結果も含めて公開するということでやっておりましたので、そういうやり方が、まずかったというようには思っておりません。

【毎日新聞 野口記者】11月に外務省の内部の結果が出ていて、そこの密約に関連している外務省の内部のチームと裁判を担当している担当者の間では 連携が取れていなかったということでしょうか。当然、大臣もそれに関知していなかったので、関連させてしっかりと裁判でも主張するように指示もなかったと 思うのですが。

【大臣】ですから、密約の検証といいますか、省の中でやっていたチームというのは独立しておりましたので、外に対してその結果については出さない。省内も含めて、そういう形でやっていたことは事実であります。それ以上のことは、私(大臣)は今、お答えしかねます。

【ビデオニュース 神保記者】大臣はこれまでずっと密約というものがないと歴代政権が言ってきた中で、大臣が外務大臣になられて、とにかく密約の存在を明らかにするための調査をやられて、この度、そういう調査をなされました。

 一方でこの訴訟も、密約の存在というものをとにかく明らかにしたいがために、密約文書の開示ということをやったものだと、私は理解しております。ですの で、両者が同じ方向に向かってこの密約という問題に取り組んできたと思っていたら、本日の大臣の発言は、この判決に非常に不満であるというか、両者の利害 がバッティングしていくような印象があって、少し意外な感じがしたのですが、これは大枠としては、大臣の考えている方向と同じではないのですか。何に対し て大臣がこの判決に対して、そこまで不満を持たれるのか、正直分からなかったのですが。

【大臣】調査を徹底したにもかかわらず、更に足りないというかのごとく判決ですから、それは自信を持ってないということを申し上げておきたいと思い ます。私(大臣)は裁判の中身について、政務である大臣があまり口出しをするべきではないという基本的考え方に基づいて、そういった守秘義務ということに ついてはオープンに、自由にしゃべっていただこうということで、吉野さんの守秘義務は解いた訳ですけれども、中身については関与しない方がいいと、基本的 にそういう考え方でやってまいりました。

【琉球新報 滝本記者】確認なのですが、大臣はこの訴訟において、大臣が命じられた外務省内部の調査、或いは有識者委員会の調査結果、これが反映されるものだというように大臣自身は思っていらっしゃったのですか。

【大臣】少しよく分かりませんので、果たして反映されていないのかどうかも、もう一度きちんとを検証しないと分かりませんので、断定的なことは申し 上げたくありませんが、その時点における最新の情報、或いは主張というものは、当然外務省としてしているだろうと、常識としてそう考えておりました。

【毎日新聞 吉永記者】裁判そのものという訳ではないのですが、外務省が公表した有識者委員会のものではなくて、外務省内部の調査チームの調査結果 について伺いたいのですが、沖縄返還時の原状回復保障費の肩代わりに関する密約について、調査チームの報告書で、原状回復保障費の400万ドルとボイス・ オブ・アメリカの移転費1600万ドルとともに、積み増して3億2000万ドルとすることで日米間で決着したとの経緯を明らかにしました。前政権はこの積 み増し自体を認めていなかったと、当時の福田外相は積み増しを否定する国会答弁をしていたということです。岡田大臣は調査チームの報告のように3億ドルに 計2000万ドルが積み増しされて、内訳に含まれていたと認識していたと理解してよろしいでしょうか。

【大臣】少しよく分からなかったので。たくさん言われると分からなくなりますから。

【読売新聞 吉永記者】要するに、調査チームの調査結果について、当時の肩代わり費用と言われた土地の原状回復費400万ドルに、更にボイス・オ フ・アメリカの移転費の1600万ドル、これを日本政府が肩代わりしていたという調査結果です。大臣自身も3億ドルに2000万ドルが積み増しされていた と、それを日本政府が肩代わりしていたとご認識でしょうか。

【大臣】私(大臣)の印象を聞かれても、それは答えられません。調査結果が外務省の認識であります。

【琉球新報 滝本記者】まさに今の積み増しの関係で、原状回復費の400万ドルであろうが、1600万ドルを更に本来払うべきでないのに払ってとい うのが密約であるのかどうかということについては、そのまま3億2000万ドルを米国側に払ってあって、その内訳をどのように米国が使うかというのは、米 国次第なので日本は関知しないということをこれまで国会答弁してきたと、その範囲を超えないものだったと。確か調査結果のときの会見で、外務省の考えとい うのは、今まで答弁してきた範囲内だから、密約ではないということでお話しされていたと思うのですけれども。

【大臣】密約の定義ですね。「広義の密約」というのが有識者の結論であります。

【琉球新報 滝本記者】その上での質問なのですが、今回、総額での部分ということではなくて、積み増して余分に払ったのだという認識で払ったという認識はあるのかということを確認したいのですが。

【大臣】ですから、それは報告書にある通りです。私(大臣)自身の考えというは特にありません。外務省の調査結果が私(大臣)の考えです。

【共同通信 西野記者】整理するという意味で、大臣が仰っていることは、当然主張すべきことを主張していなかったということは、非常におかしなことで。

【大臣】いや、その可能性があるということを言っている訳です。

【共同通信 西野記者】可能性があるということで、それでこのままでは受け入れることはできないと仰っているのですが、外務大臣の立場から考えた ら、裁判で負けたということは、外務省側が言うべきことを言わなかったということであって、それで負けてしまったのですから、どのような理由で控訴するの かよく分からないのです。外務省サイドの中での話であって、訴訟の関係で言うと、向こうは開示しろと言って、こっちはないと言っていて、負けたということ です。外務省の中でいろいろあることについて、それを理由に控訴の可能性を捨てきれないということは、何か少しストンと落ちないところがあるのですが。

【大臣】今の話であれば、私(大臣)も落ちません。ですから、控訴するという可能性があるというのと、それから新たな密約の解明調査を行ったことと いうのは、1対1にリンクした話ではありません。それは仰ったけれど、私(大臣)はそのように言っておりませんので、この裁判の結果については、私(大 臣)は釈然としないところがあるということを申し上げている訳です。そして、その立証の仕方についても、それが常識にかなったものなのかどうかということ も含めて、必ずしも釈然と致しませんので、控訴の可能性について検討をするということを申し上げている訳です。もちろん、中身をもう少しよく精査をしてみ ないと、先ほど判決が出たところですので、私(大臣)自身もあまり詳しく見ている訳ではありません。ただ、そのことと切り離して、では、外務省も十分主張 したのかというと、そうではないかもしれないということです。それは中の話です。そのことについて遺憾であるということを申し上げている訳です。

【琉球新報 滝本記者】また整理させて頂きたいのですが、訴訟手続きの中で外務省が十分立証したのかということはどうなのかなということで、それは 精査されるべきだということでもあって、十分したのかということについては、遺憾なのかどうなのかということは確認したいということがありましたけれど も、それと切り離して、大臣は判決については残念だと仰られたのでしょうか。

【大臣】控訴の可能性があると申し上げました。

【琉球新報 滝本記者】ではなくて、判決自体の受け止めについてなのですが。

【大臣】控訴の可能性があるというように申し上げました。

【朝日新聞 鶴岡記者】確認させて頂きたいのですが、一審の事実認定はもう終わったので、裁判の基本ですが、控訴して何か新たな事実を追加すると、つまり申し立てを追加するということではないですか。

【大臣】もう少し判決を精査しないと分かりませんが、事実の問題というよりも、ここでないということの証明の仕方とか、どちらが証明すべきなのかとか、そういうことについて、必ずしも釈然としないものがあるということです。

米軍再編問題

【ニコニコ動画 七尾記者】視聴者の質問を代読します。 昨日の北澤防衛大臣のご発言についての質問で す。米軍普天間飛行場の移設問題に関連しまして、北澤大臣が「一般的に言えば、迷惑な施設としての米軍の駐留地を建設する」と発言されました。この発言は 「一般的に言えば」という前置きはありましたが、国防のトップというお立場と、今この時期にという点を考えますと、この発言に関しまして外交面での影響等 はいかがでしょうか。

【大臣】その発言は私(大臣)は憶えておりませんが、もし国会で発言されたのなら私(大臣)は隣にいたはずですが。

【ニコニコ動画 七尾記者】報道によりますと、参院の外交防衛委員会です。

【大臣】そうであれば、私(大臣)は隣にいたはずなのですが、あまり記憶しておりません。ですから、コメントは控えたいと思います。

【フリーランス 岩上氏】今朝の産経新聞の1面に「政府はホワイトビーチ案を断念した」という報道が大きく報じられました。この件に関しまして、こ れが事実であるかどうかということと、それから、そうなりますと「政府の腹案」と言われているものはホワイトビーチ案を含んでいると見なされていた訳です が、それが変わってしまったのか、こうなると沖縄県内(の移設)は難しくなり、「現状固定」か、もしくは「県外・国外」を追及しなければいけないのか、こ の点について、今お話し頂けることをお話し頂ければと思います。

【大臣】5閣僚で共有している認識の中身について、お話しすることはございません。それから、産経新聞の1面については、国会でも申し上げましたが、私(大臣)も入った会議でそういったことを決めたという表現ですから、はっきり申し上げますが、全く事実に反しております。

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