地下水バイパスでトリチウム濃度が上昇、1リットル当たり2100ベクレルを検出~東電定例会見 2014.6.25

記事公開日:2014.6.25取材地: テキスト動画
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 2014年6月25日17時30分から、東京電力本店で定例記者会見が開かれた。地下水バイパス揚水井No.12から検出されるトリチウム濃度が2100Bq/Lに達したことが判明した。No.1~11の汲み上げ水と一括される一時貯留タンクでは、500Bq/L程度になるため、問題ないと東電は判断している。

■全編動画

  • 日時 2014年6月25日(水) 17:30〜
  • 場所 東京電力本店(東京都千代田区)

地下水バイパスNo12揚水井トリチウム濃度上昇

 汚染水の増加を抑えるため、建屋地下に流れ込む前に地下水を汲み上げて迂回させる地下水バイパスの汲み上げ井戸(揚水井)No.12から検出されるトリチウム濃度がさらに上昇し、2100Bq/Lに達したことが判明した。

 No.12は、運用目標値(1500Bq/L)を超えているが、12本の汲み上げ井戸からの地下水を貯留する”一時貯留タンク”に入れ合わせた場合には約500Bq/L以下になるため、東電は問題ないと判断し、汲み上げを続行する考えだ。

 揚水井No.12からは、汲み上げを始めた4月の段階から高い濃度のトリチウムが検出され続けている。至近では、6月16日採水で2000Bq/L、6月19日採水で1800Bq/L、6月23日採水で2100Bq/Lである。

 揚水井は12本あり、汲み上げた地下水は一括して一時貯留タンクに貯留、そこで改めて水質調査、核種分析を行い、運用基準と比較して海洋放水の可否を判断している。揚水井No.1からNo.11の濃度が低いため、No.12の濃度がさらに上昇して2700Bq/Lに達しても、一時貯留タンクでは417.6Bq/Lだと東電は試算している。

 6月8日から14日にかけての汲みあげ実績をみると、No.12はトリチウム濃度1500~1700Bq/Lだ。一時貯留タンクの濃度は、東電の試算では250~270Bq/Lだが、実際の分析結果では160Bq/Lだった。この値を受け、問題ないと東電は判断し、6月26日に約1900トンを海洋放水する予定だ。

実施計画変更認可申請~3号機燃料取出しに向けて

 福島第一原発3号機の使用済燃料プールからの燃料取出しに向けて、燃料取出し設備に関する”実施計画変更認可申請”を原子力規制委員会に提出したことが発表された。

 3号機は2015年上半期の燃料取出し開始を目標に、がれき撤去等の作業が進められている。いまだに線量が高いため、燃料取出し作業は遠隔操作により無人で行われる予定となっている。すでに燃料取出しが進められている4号機とは異なり、建屋上部の強度の関係から、自立型のレール走行クレーンを使用する。クレーンの容量は50トンのため、4号機で使用しているキャスクは重くて使えない。そこで、燃料集合体7体を収用するキャスクを新規に設計・製造するという。

2号機トーラス室調査ロボットの実証実験を開始

 2号機トーラス室の壁面調査のため、新たに2台のロボットを用いた実証試験を行う。6月25日から7月14日にかけてロボット進入口の穿孔作業を行い、7月6日から24日にかけて調査を行う予定。

深部地下水からもトリチウム検出~下部透水層の水質調査

 タービン建屋の東側(海側)にて、地下水の汚染調査として下部透水層の水質調査を行っている。Fz-5と呼ばれる1、2号機間の観測孔で6月4日にトリチウム4700Bq/Lが検出されたことは、既に発表されている。

 その後の調査、評価の結果、水位が逆転している可能性があり、上部透水層の汚染水が下部透水層に移った可能性があることが、東電の定例会見がない6月24日に、原子力規制庁でブリーフィング形式で発表されていた。

 海への漏洩が懸念されるが、東電の見解では、「海側は、震度の深い下部透水層も含めて鋼管矢板を打つ”海側遮水壁”を設置しており、下部透水層の汚染水は遮水壁で食い止められる。ただ、海側遮水壁はまだ一部施工していないところがあり、そこから漏洩している可能性はある」という。

凍土遮水壁の工事への影響

 上部透水層から下部透水層へ汚染が移行した可能性から、凍土遮水壁の工事に影響を与えないのだろうか。記者の質問に対して東電は、「汚染が拡大しないようなスタンドパイプをつける等の作業量が増えるが、今後調整していく」という。また、複数の場所を同時並行的に作業するなどの工夫を行うことで、特に現段階で作業が遅れることは見込んでいないということだ。

現場公開の案内~7月8日に予定

 7月8日に福島第一原発の現場公開が行われることが発表された。2014年2月26日以来、第8回目の報道現場取材となる。今回は凍土遮水壁の設置工事現場や、暫定事務棟等の取材が予定されている。

株主総会の取材案内は会見ではなし

 6月26日に東京電力第90回定時株主総会が東京国際フォーラムにて開催される。通年では、定例会見にて事前に開催、取材についてのアナウンスがあったが、今年は一切なかった。さらに、開催通知も原子力規制庁記者室や各記者クラブに配布されたのみであった。

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以下、東京電力ホームページより、リンクを表示

報道配布資料

2014年6月25日

2014年6月24日

プレスリリース

2014年6月25日

2014年6月24日

東北地方太平洋沖地震による当社原子力発電所への影響

写真・動画集

2014年6月24日

福島第二原子力発電所からのお知らせ(平成26年6月号)
研究開発「格納容器漏えい箇所特定技術・補修技術の開発」にて開発中のトーラス室壁面調査装置実証試験の実施について

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