2012年4月28日(土)18時半、札幌市のエルプラザで、環境総合研究所の池田こみち氏による「ガレキ広域処理問題講演会」が開かれた。「Shut泊クリーン北海道さっぽろ放射能測定所」など複数の市民団体が共同で開催した。
(IWJテキストスタッフ・久保元)
2012年4月28日(土)18時半、札幌市のエルプラザで、環境総合研究所の池田こみち氏による「ガレキ広域処理問題講演会」が開かれた。「Shut泊クリーン北海道さっぽろ放射能測定所」など複数の市民団体が共同で開催した。
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講演会の冒頭、池田氏は、ガレキ処理問題に関し、「放射性物質が拡散することによる健康への影響や環境汚染を心配されている人が多いと思うが、それも含め、本質的な問題がいろいろ存在する」と語った。この点について池田氏は、(1)放射能汚染の全国化、(2)ゴミ焼却主義や埋立主義の強化、(3)国からの政策強制による地方自治の破壊、(4)中央集権秘密主義や官僚独裁主義による民主主義の破壊、(5)既得権益強化と利権化、(6)被災地の実情を踏まえた議論をせず広域処理そのものが目的化している、(7)住民関与のない政策決定で被災地と他の地域の亀裂を招いている、(8)強引な手法により結果的にガレキ処理を遅らせている、(9)非科学的な誇大宣伝で誤った情報を発信している、という9つの問題点を列挙した。
その上で、池田氏は、「技術至上主義や安全神話がこれまで多くの悲劇をもたらしてきた」と述べ、ガレキ広域処理においても「バグフィルターの能力過信や、処分場から汚染物質が漏れないという新たな安全神話を作ろうとしている」と批判した。
続いて、政府や自治体が発表しているガレキ処理の必要性を訴える広報資料をもとに、本当に広域処理をしなければ復興ができないのか分析したデータを提示し、「広域処理をしなければ被災地全体のガレキ処理に10~20年もかかるというわけではない」と結論づけた。さらに、政府が膨大な予算を投じて、広域処理ありきの、あたかも被災地全体がガレキに埋もれているかのようなイメージ戦略を行っていることや、マスコミ報道を鵜呑みにしがちな国民性などを紹介するなど、様々な角度から広域処理の問題点を詳しく説明した。