2010年1月15日(金)、亀井金融・郵政改革担当大臣のオープン記者会見の模様。2009年12月施行された金融円滑化法、それを元に出された条件変更対応保障制度に関連して、中小企業の金融円滑化についての質問に答えた。
前回のエントリーの続き。
1月15日亀井大臣オープン記者会見。
この日は、冒頭から、亡くなった新井将敬氏の話題を大臣自ら語り出した。このデリケートな時期に、あまりにも意味深長な話――。
質問に移った。手をあげて指名された記者が、冒頭の話とは関連のない、金融円滑化法の質問をした。続いてもう一つ、金融関連の質問が続き、冒頭からの流れが、いったん途切れる(新井将敬氏の話と、小沢氏の側近に迫る東京地検特捜部の話の続きは、「その3」へ)。
亀井「ま、そんなことかな。あと何か皆さん質問があったら」
佐藤「銀行研修社の佐藤です」
亀井「どこ?」
佐藤「銀行研修社の佐藤です」
亀井「ああ、銀行、銀行」
佐藤「ちょっと話が違うんですけども。12月に金融円滑化法が施行されて、それを元に中小企庁で条件変更対応保障制度というのが出されたんですが、こちらの対象が公的金融を利用していない中小企業者の方々が対象ということで、本当に必要としている中小企業が、公的金融を既に利用されているので、実はなかなか届かないんじゃないか、使いづらいんじゃないかという声が出ていますし、一部報道でも、中小企業の金融円滑化に関する申し出が横ばいだと出ているんですが、その辺についてどう思いますか」
亀井「そりゃあねえ。黙って座ればピタリと当たるようなね、そんな対応というのはね、やりたくてもできないんだよ(笑)ね。これはね、ただ公的な金融機関から受けている場合はね、そうじゃないのも含めて、できるだけ広く金繰りに困っている人たちが、それが上手くいくようにということをね、経済産業省ともね本当に緊密なあれを取りながらね、共同提案と言ってもいいぐらいね、努力をした結果。田村(政務官)君なんかも一生懸命努力をしてくれてね、やったわけなんで、その結果、100%うまく……そりゃねえ、『銀行に相談に来ると、新規の融資をしてくれなくなるんじゃないか』ということに躊躇してね、相談に来ない、行かないという方たちが、本当は猶予してもらいたいのにね。シュリンク(shrink:萎縮する)しとる人達も多いんじゃないかという声も私のところに聞こえます。
だからそういうねえ、メンタルなことまで含めてね、どう効果のある形でこの法律を実施していくか、だからそういう面でも、『金融庁の検査官を含めて、みんなが今、金融機関に対してね、金融機関の方でね、コンサルタント的な役割をどんどん借りている人に対してね、やってくれ』ということを今やっていますので、大分上手くいっているんじゃないかと思いますよ。
あの、一時の空気とはやっぱり変わって、また『金融庁が怖くて』という空気だったんだよ、一時は。検査官が怖くて。あたしなんかもそうだよ。頭取や理事長に言うとね、『いや、いいんですが、亀井先生、検査官が怖い、怖い』ってね(笑)そういう状況は残念ながらね、金融庁の恥を言うみたい、いや金融庁の職員が悪いんじゃない、あれは、あのね、小泉・竹中が悪いんで、金融庁の職員が悪いんじゃないだけれども」 (笑い声)
亀井「そういう空気から、今、ガラッと変わりましたね。だから、『ちゃんとした融資をやって、その結果、金融機関自体が金繰りに困るようだったら資本注入までしますよ』ということを言っているわけだしね。
だから、そういう意味では金融機関としても、逆に、一時はね、『亀井さんのような乱暴な奴があれ(就任)したからね、何やるんだろうか』と言ってね、構えていたけど、実際はね、非常にこのあるべき金融機関の姿を、我々としては取り戻していける状況を、この法律を機会にね、作ってもらったという声もでかいですよ。自画自賛するわけじゃないけどね。
だからこれはね、それと一つのサラリーマンの方がね、住宅ローンのね、ボーナスもあれだって給料も……という中で、相当活用しようという形でやってる方も多いからね。あたしは金融庁の職員が夜も徹夜してね、やってくれて、金融マニュアルの改訂を含めてやってくれた、その結果ね、自画自賛するわけじゃないけれども、少しは資金繰りが良くなっていると。
問題は仕事出すことなんだね。前から言っているようにね。いくら金繰りを良くしたって、先々仕事が出なかったら、これはねえ、しょうがない話でしょう? また、出した仕事が今度は儲かる仕事でもあらにゃいかんから、公正取引委員会の連中、呼んだんだよ。『とにかく公正取引法違反で儲かりもしないような値段でどんどん仕事出すみたいなことを、おまえ達は止めさせろ』と言ったんですよ。
一気通貫(マージャンで、同じ種類の数牌(シューパイ)を一から九までそろえて上がったもの)だよね。そういう返済猶予措置もする、新規融資もする、また仕事も出る、その出る仕事が儲かる形で出ていくという形、一気通貫でやって初めて零細企業というのは助かるんですよね。だからそれがまだ全部、うまく全体がいっているかというと、必ずしもね。まあ、今度補正予算もね、執行されていく中で、地方の零細企業向けの仕事がどの程度出てくるかということもね、あると思うんだけど、これは相当力入れてね、やったつもりですから」
佐藤「2月にそのまあ、チェックが入る――」
亀井「ん?」
田村政務官(以下、敬称略)「時間あまりありませんので(と、重ねての質問を制する)」
亀井「(それをさらに制して)俺は女性に優しいから(笑)」 (笑い声)
佐藤「いえいえ。すいません。ごめんなさい。公的金融を利用していない中小企業というのは、実際ほとんどいないわけで、2月の返済猶予のチェックも合わせて、本当に中小企業にお金が回るかというところで、更なる制度が出てくるのかというところを、すいません、お時間もらって申し訳ないですが、最後に――」
亀井「だからそれ、俺がさっきしゃべった……話をしたでしょ。『黙って座ればピタリと当たる』ような事にはならないんだけれども、全力を挙げてこの法律の主旨を貸し手も借り手も理解をして、やってもらう努力を金融庁しても、職員が今必死になって頑張ってやってますから」
佐藤「ありがとうございました」
亀井「そういうこと」
田村「はい、どうぞ」
田口「日本証券新聞社の田口と申します。昨日、東証を訪問されましたが、その理由や背景、また感想や、今後東証に金融庁職員を送りこむという話も出たそうですが、展望につきましてお話いただけたらと思います」
亀井「ま、とにかく、直接金融のね、東証はメッカですからね。行ってちょっと俺びっくりしたのがさあ、株価がさあ、なんか7円ぐらいまで下がったのが10億円の買いが入ってね、10円まで上がっているというようなね、そんな状況を目の前で俺、見てね、『やっぱ株ってのは、怖いなあ』と思ったなあ、ある面では、ねえ。
だから直接金融という経済に対して、大変大事な責任を持っている分野だけれども、いわばそれが『実態経済』と離れて、やはりその、取り引きの中だけで利益を得ていこうという行為がね、これがダーッと肥大化していったら、アメリカなんかそれがバーンとはねちゃったわけだけどね、そういうやっぱり危険性も孕んでる世界なんだ。だから、それを金融庁がどういう形で上手く制御しながらいくかという、それには東証がね、現場のあれとして、きちっとやってもらわなきゃいかん。
ただまあ、金融庁の職員もね、全然実務も知らんわからんでね、そういう監督指導なんてできんわけだから、思い切って職員をね、入れて、実務をちゃんと身につけた上で金融庁の現場の実態をわかった上での、行政をやってもらうということで、長官とも話してね、早速そういう形で人選も含めてね、送りこむということをやらそうと思っています」
田口「ありがとうございます」 (続く)