2014年1月30日17時30分より、中長期ロードマップの進捗についての会見が開催され、廃炉・汚染水対策チーム会合 第2回事務局会議で報告された、薬剤により土中のストロンチウムを捕集する計画等、個別の計画毎の進捗状況が発表された。
2014年1月30日17時30分より、中長期ロードマップの進捗についての会見が開催され、廃炉・汚染水対策チーム会合 第2回事務局会議で報告された、薬剤により土中のストロンチウムを捕集する計画等、個別の計画毎の進捗状況が発表された。
■全編動画
米国ハンフォード・サイトで実績のある、薬剤により土中のストロンチウム(以下、Sr)を捕集する土壌改良計画について発表された。
DOE(米エネルギー省)から、ハンフォード・サイトで実施されているストロンチウムの捕集技術の紹介があり、さらにIRIDの技術提案の中にも同様の技術提案がある。そこで、東電は福島第一原発の構内にて、捕集能力の実証、土壌改良工事の実現性を調査するための計画をしている。
Srを捕集、吸着する薬剤は「アパタイト」。この中にあるCa(カルシウム)と、Srのイオン置換により、地下水の中に含まれるストロンチウムを捕集していくという原理だ。
米国ハンフォードは淡水湖に隣接箇所があったが、福島第一は海岸地帯にあるため、津波による被害や、炉内に海水を注入したことにより敷地内に塩分が含まれている。アパタイトのCaはSrだけでなく、Na(ナトリウム)ともイオン置換するため、福島第一・サイトで期待通りに捕集できるかは未知数だ。
そこで東電は、まず室内試験で、アパタイトの捕集効果の確認をする。それと並行して土壌改良工事の実証調査を行い、地盤の状態確認を行う。その後、福島第一構内で実証試験を行い、Sr捕集能力の向上を図りつつ、実際の運用を行っていく道筋を立てている。
福島第一構内の複数の地下水観測孔からSrが検出されているが、漏洩源は特定できていない。しかし、H4エリアのフランジ型タンクは、昨年夏に漏洩を起こしたため、その周辺の汚染源は当該タンクであることが明らかである。そこで、観測孔Eシリーズ近傍、排水口を挟んだ海側の所で現地試験を実施する計画だ。
福島第一2号機の圧力抑制室(サプレッションチェンバー:以下、S/C)からドレン室に漏洩があるが、漏洩箇所は特定できていない。S/C室内の水位、ドレン室の水位を調査した結果などから、東電は2号機S/Cの漏洩穴は直径32~36mmと推定した。
しかし、通常S/C室の下部には排水管や計装配管などはなく、細い配管の破断が漏洩源ではないと東電は考えている。
1号機も2号機もS/C付近から漏洩があるのはほぼ確実であり、漏洩源の特定のため、水位等の調査を行っているが、漏洩箇所はいまだに分かっていない。
(1)要員計画・作業安全確保に向けた計画
作業者数の計画について発表があり、放射線作業従事者として、昨年9月から11月まで、1ヶ月あたり平均8500名登録していたことが報告された。実際の業務従事者は1ヶ月平均6400名で、東電は「ある程度余裕のある範囲で従事者登録が確保されている」と考えている。
一日平均の作業者数は、おおよそ3000から3500人ぐらいで推移しており、若干上昇気味である。
(2)インフルエンザとノロウイルスの発生状況
本年度1月20日までのインフルエンザの感染者は17名、ノロウイルスの感染者は20名だと発表があり、今後、感染予防対策を徹底するという。
(3)1号機原子炉注水系の追設
2013年7月に復水貯蔵タンクの水源切替えを行うための系統試験を実施した際、系統圧力上昇で、CS系だけから運用上の注水量を確保できないことが判明していたことが報告された。実施計画で要求のある最低注水量は確保していたので、特に問題はなかったという。
原因調査を行っているが、詳細な原因は不明。現場が高線量であり、簡単に調査できない箇所であるという。そこで、緊急的には別の系統で注水できるラインを用意することを検討している。
(4)下部透水層のサンプリング調査は一旦終了
タービン建屋東側の水質調査にて、下部透水層の水質調査を行った。検出限界以下であったことから、東電は採水調査は一旦終了すると発表。分析データは、専門家の意見を踏まえてから発表するとのこと。
(5)構内廃自動車、残り7台を3月までに撤去予定
福島第一の構内には、津波で流された廃自動車が25台散乱していた。今日までに25台中18台の撤去を終えており、3月中までに全て撤去する予定だという。
(6)4号機SFP CB曲がり燃料集合体の調査結果
福島第一4号機の使用済燃料プール(以下、SFP)に保管されている使用済燃料を順次共用プールへ移送している。その中で、取り扱いの不手際からCB(チャネルボックス)が曲がっている燃料集合体が1体あることが判明している。
曲がっている燃料集合体を調査した結果、吊り上げても問題なく、曲がっても専用キャスクに収容できる程度であることがわかった。専用キャスクはCBが曲がっていても収容できるように、集合体を納める升目が広く作られている。
(7)2号機オペフロア調査計画について
福島第一2号機の燃料取り出しに向けて、オペフロア天井に穴を開け、カメラや照明を吊り下げて内部を調査する計画が発表されている。
調査方法を再検討した結果、天井部に開ける穴を12箇所から7箇所に減らしたことが発表された。燃料プールの上を避け、また調査穴から漏洩する可能性を低く抑えるための措置。調査に関しては、カメラの視野が当初の想定より広角であるため、7箇所で問題ないという。
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以下、東京電力ホームページより、リンクを表示
2014年1月30日(廃炉・汚染水対策チーム会合 第2回事務局会議)
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