【岩上安身のツイ録】国政にも注視! 日本の右傾化と外資のためだけの「国家戦略特区」 2014.1.29

記事公開日:2014.1.29 テキスト
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※1月29日の岩上安身の連投ツイートを再掲します。

 国家戦略特区は、さまざまなメニューが掲げられているが、大きな狙いは労働者を今以上に解雇しやすくすることと言われる。「ブラック企業が「合法」に・・・安倍政権の本当の狙いは「クビ切り特区」の全国拡大?」というのは、昨秋の週刊朝日の記事のタイトル。

 この記事中で、「特区を一度認めれば、これが『蟻の一穴』となり、最終的には専門職以外の労働者すべてに対象が広がる恐れがあります」と解説しているのが、日本労働弁護団常任幹事の棗(なつめ)一郎弁護士。

 この「クビ切り特区」構想は猛反対にあい、一旦引っ込めざるをえなくなったが、労働法制が一元化されないという批判が出て、厚労大臣が最終的に「憲法違反の疑いがある」とまで言って反対を示し、引っ込められた経緯がある。しかし、昨年12月に国家戦略特区法が成立。内閣府に特区諮問会議が設置された。これは財政諮問会議と並ぶ強大な権限をもつ。

 ここに加われるのは「首相が指定する国務大臣」とされていて、TPPの内国化であり、急進的な構造改革でもある「国家戦略特区」構想に抵抗する大臣は外される。厚労相がストップをかけられなくなる可能性があるのだ。この特区諮問会議の設置を主導してきたのはあの竹中平蔵氏。いわずとしれた小泉構造改革のブレーンである。

 安倍政権は、この国家戦略特区構想をアベノミクスの第三の矢の「成長戦略の一丁目一番地」と位置づけており、特区諮問会議がその推進エンジンとなる。その会議をあの竹中平蔵氏が仕切るのである。

 この特区構想により、クビ切り特区は再浮上するのではないか、といった問題について、前出の棗一郎弁護士に本日、インタビューの予定だったが、あいにく棗弁護士、インフルエンザで倒れたとのことで、本日は延期。ご快復をお祈りする。寛解されたら、すぐにお話をうかがわせてもらうことになっているので、お待ちを。

 自戒を込めていうのだけれど、もう国会は始まっている。この国会で、集団的自衛権の行使容認を憲法解釈の変更で乗り切ってしまうのではないか、と懸念されている。そしてここまで連投してきた国家戦略特区も前進し、3月までには全国でエリアを諮問会議で決めてしまう、という予定を立てられている。

 こうしたことへの報道が極端に少ない。国民の関心も低い。低い方向に誘導されてしまっている。名護市長選挙も大事、都知事選挙も大事。だから僕らは全力でお伝えしてきたし、今も全力疾走でお伝えしているが、国政レベルで何が起きようとしているのか、関心が空っぽになってしまってはまずい。

 理解し難いのは、これだけ愛国主義的な気分をあちこちで煽られ、社会全体が保守化、右傾化しているのに、財界、政府、与党が一体となって特区と五輪まで絡めて外国人労働者の受け入れを一段と本格化させようとしていることに懸念を示す人が非常に少ないことだ。

 東北の復興のために公共事業が多くて人手が足りないからとか、東京五輪のためにこれから工事をたくさんやるのでもっと人手不足になるから、などと理屈をつけて、外国人受け入れを拡大しようと躍起になっていることに、おかしいと思わないのはなぜなのか。

 人手不足というが、景気が加熱しているわけでも、完全雇用が達成されたわけでもない。人手が本当に足りないなら、賃金が上がるはずだ。そうなれば回り回って景気も上向く。ところが賃金は上昇しない。それどころか、外国から安い労働力を入れて上方圧力を冷ましてしまう。

 企業にとって世界一都合のいい特区とは、低賃金労働力を提供して、外資をどんどん参入させる、ということ。低賃金の外国人労働者があふれ、日本人は職にあぶれる。他方、外国人ヘイトやレイシズムは野放し。対外的には隣国との緊張を高める。これがどんなに危険なことか。

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