2012年4月16日(月)13時、ジャーナリストであり、歌手でもある八木啓代氏が代表を務める、健全な法治国家のために声をあげる市民の会が、東京地方検察庁に質問状を提出し、その後14時30分から司法記者クラブで、記者レクを行った。
特集 陸山会事件
※公共性に鑑み、しばらくの間、フルオープンにいたします。(25/9/10)
2012年4月16日(月)13時、ジャーナリストであり、歌手でもある八木啓代氏が代表を務める、健全な法治国家のために声をあげる市民の会が、東京地方検察庁に質問状を提出し、その後14時30分から司法記者クラブで、記者レクを行った。
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■ハイライト
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質問状は、陸山会事件において、田代政弘元検事が、石川知裕議員の取り調べをした際に、虚偽の報告書を作成した問題についてのもの。
その内容は、虚偽報告書の作成を指示したと推定される大鶴基成元東京地方検察庁次席検事・弁護士、佐久間達哉元東京地検特捜部長、吉田正喜元東京地検特捜副部長、斎藤隆博東京地検特捜部副部長の4名に対し、作成事実・関与の有無と作成の理由、そして経緯などを問うものだ。
【以下、質問状】
※会員ページには、全文書き起こしを掲載しています。
<ここから特別公開中>
八木氏「皆さま、本日はお忙しいところお集まり頂きましてありがとうございます。先ほど、私たちは東京地方検察庁に参りまして、今お手元にあります資料のような質問状を提出して参りました。
宛先は元東京地方検察庁特捜部、部長だった佐久間達哉検事。元東京地検次席検事、今弁護士になっておられます大鶴基成さん、この方はすでに検察庁を離れていらっしゃいますので別途直接ご本人に送らせて頂きました。そして東京地方検察庁前副部長の吉田正喜検事。現在の特捜部副部長、斉藤隆博検事、そして陸山会事件主任検事である木村検事。この5人でございます。
この質問状の内容につきましては、一見非常に似た文章ではありますが、みなさんそれぞれ内容が違うものになっております。簡単にレクチャーさせていただきます。
最初の、元特捜部長であった佐久間検事に対してですけれども、この件に関しまして、すでにいくつか週刊誌などで指摘されておりますが、先週ぐらいでしたか、出ました“世界”という雑誌に検察の在り方検討会議の委員でもあったジャーナリストの江川紹子さんがかなり詳細な文章を書かれています。もちろん全ての公判を傍聴されたとして書かれており、検察の在り方検討会議の委員でもあったということで、文章には大変信頼性があると私たちは考えました。
そこに、石川氏の取り調べの具体的状況について、田代検事が4回席を外して上司に報告に赴き、上司と思われる人からの電話も1度受けていたとはっきり書かれております。そして江川さんは『田代検事はいちいち上司の判断を仰いで取り調べを行い、調書を作成しているのだ。逮捕、勾留中の取り調べでも同様なことが行われていたに違いない』と上司の関与の疑いを指摘されています。この『違いない』というのは江川さんの主観に過ぎないわけですが、ただ田代検事が4回席を外し、上司に報告に行った。そして(上司と思われる人からの)電話を1回受けていた。これが事実であるとすれば“田代検事が1人で考えてだれにも相談せずに報告書を書いた”ということは根底から崩れてしまうわけです。
となると“この上司がいったいだれであったのか。田代検事に指示をしたのは誰なのか”ということが問題になってくるわけです。私たちは、そもそも田代検事のこの報告書自体が、田代検事が1人で考えて独断で暴走して作ったものとはほとんど考えられないということを再三にわたって指摘してまいりました。そのことはすでに告発状でも捜査要請書を2度出しましたが、そちらでも言及致しております。今回、裏付けとしてこういうものが出てきたのでございます。
そしてまた、佐久間元部長の名前がここでなぜ出てくるかと申しますと、前田元検事が12月16日、公判で証人として出頭した時に『陸山会事件で積極的に小沢さん立件まで繋げたがっていたのは当時の佐久間元特捜部長と木村主任検事、大鶴次席検事ら一部の幹部でした。他は乗り気でありませんでした』ということを言っておられながら、それでも『部長らは1億や2億、場合によっては4億を出して来いと現場に言ってくるのです』と言って、前田元検事が佐久間元部長のことを再三名前を出して、語っておられる。
つまりそれは佐久間元部長がこの件に対して非常に情熱を傾けておられたという状況証拠になるわけですので、特捜部長の籍にある方が初めからそういうストーリーありきの捜査を行っていたということになってしまいます。
そのことも含めて、果たして佐久間元部長の責任がないのかどうか。このことに関して、もちろん田代検事の取り調べ中でもありますが、特捜部長という社会的立場、そしていま大阪地検特捜部の村木さんの問題で、大坪さん、佐賀さんが有罪判決を受けている。このような状況で、検察が社会の信頼を非常に失っている中、これは法律的に答える義務があるとかないとかいう問題ではなくて、きちんと説明をする社会的な義務があると思います。
特捜部は今までも小沢氏に対して刑事罰とは別の意味での“説明責任”を非常に表に出しておられたので、私たちは別に小沢氏を支持するわけではないのですが、それと同様の社会的責任というのが検察の側にもあると考えるわけです。そして以下、ほかの方に関しても同様だと思います。
大鶴基成当時の次席。この方に関してはすでにいくつかの週刊誌、および日刊紙、タブロイド紙ですけれども、そちらではもうはっきり実名を出し“この事件の事実上の捜査指揮を取っていたのは大鶴次席であった”というような記事が出ています。そういった記事をどれぐらい信用するかというのは差し置きましても、すでに名前が再三出ている方であるということ。そして、さらに前田元検事の法廷での公判における証言でもはっきり大鶴次席検事の名前が挙がっている。そういうことから、一部タブロイド紙、一部週刊誌における報道というのはまったくの捏造とは言いきれないのではないかと。
そのことに関して、やはり大鶴次席は“説明責任”があると私たちは考えます。自分は一切関与していないということでしたら、どう関与していないのか。そしてまた関与していないということであれば、当時の次席という立場にあって、下でこのようなことが行われていたことに全く気付かないということが果たしてあり得るのか。その監督責任はどうであるのかということも含めてお答えいただきたいと考えています。
そして、吉田副部長。この方に関しては、すでにネット上で公開されている石川議員の反訳書ですね。例の虚偽報告書と内容が食い違っていたという録音の反訳書。これは一部公判で使われた部分がネットで簡単にダウンロードできるようになっておりますが、そちらでも実は田代検事自身が再三この吉田前副部長のことを実名をあげて語っています。そこはこの本行の下から三分の一ぐらいに書いてあります。
その取り調べにおいて、田代検事が『まあ、そうならないようにさ、ずっと逮捕されてきてからやってるし。だけどまあ、なかなか吉田正喜も執念深いし、あはは、吉田正喜もずるいからそういうところは絶対公けには言わないんだけど、あの事実はありませんねとか言わないんだけど』などと語ったということは、はっきり録音に残されています。
いったいこれはどういうことなのかと。これ関して田代検事は、まったく根も葉もないでたらめを、だれも録音していると思っていないような取り調べにおいて石川議員に対して語ったのか。この部分も田代検事の妄想に過ぎないのか。それとも実際に田代検事が言うような事実が当時あったのか。そしてまた、鈴木宗男氏が2010年2月、起訴の3日前に、東京地検特捜部の吉田正喜副部長は、石川知裕代議士に対し『小沢はここで不起訴になっても検察審査会で裁かれる可能性が高い。その議決は参議院選挙前に出るでしょう。そんなことになってよいのでしょうか、と話している』と日記に記載されています。これはもちろん伝聞なわけなんですけれども、石川さんが鈴木さんにそうはっきりと語ったと。そのことを現在は収監されていらっしゃいますが(2012年12月6日に仮釈放されていて、現在は収監されていない)刑事被告人になられた鈴木宗男さんがはっきり日記で公開していらっしゃる。この事実というのは非常に重みがあると思います。まったく根も葉もないということであれば『根も葉もないこと』ということをはっきり答えていただきたいと思っています。
そして、斎藤副部長ですね。この方がまさに検察審査会に対して検察庁から説明に行かれた方だということが分かっております。前回刑事部に質問状を出しましたけれども、田代検事が書いた報告書以外にも数通の報告書があるらしいというお話がうちの会に情報として寄せられております。この話は前回記者レクの時にもお話をさせて頂きました。
その後、また私どもに新たな情報が多少寄せられておりまして、その中に斉藤隆博氏の名義による報告書もあったというお話もございます。もし、そのようなものが本当に存在しているのでしたら、当然ながらこの検察審査会で斉藤検事が行った説明というのはその報告書に準じるものであったと当然思われるわけです。
となると、この斉藤氏の報告書とがもし存在するのであれば、それこそが検察審査会に最も大きな決定的な影響を与えたと類推することは非常に簡単なわけですね。なぜなら、まさしくそれを検察審査会の資料として作成して、検察審査会に提出した本人が説明に行くわけですから、自分の作った報告書とまったく違うことを言うはずがないからであり、当然同じ内容、ほぼ似た内容を(検察審査会で)言われたと思います。
その斉藤報告書に何が書かれていたのか。まさかとは思いますけれども、その報告書の中に別件の……この田代報告書以外の報告書がどのような内容のものかと。
当会に寄せられている情報、あるいは新聞報道。すでに朝日新聞と日本経済新聞には、副部長の報告書として、田代検事の虚偽報告書が引用されている部分があるというふうに書いています。つまりそれが、もし斉藤副部長のことであるとすれば、斉藤副部長の報告書は田代検事の虚偽報告書をどの程度か分かりませんが引用したものである。
かつ、こちらは別途寄せられた情報ではありますけれども、裁判で証拠却下された、すなわち当時から取り調べに問題があるということが明らかであったような供述調書の一部に、ことさらにアンダーラインを引いて特定の場所を強調した。そしてまた『小沢証言は虚偽である』といった検事の個人的な心象と客観的な事実が非常に分かりにくい形で書かれていた。もしそのような報告書であるとすれば、当然ながら斉藤氏が検察審査会で行った検察側からの説明もそれに準じた内容であったと考えることが妥当だと思います。
だとすれば、こちらにも書いておりますけれども、偽計業務妨害。要するに虚偽を以って検察審査会の正当な審査を妨害したという罪が該当する可能性が非常に高いと思われます。ということで、この斉藤副部長に関してはその捜査報告書に斉藤氏が関わっておられるのか。そして関わっておられるとしたらそれがどのような内容であるのか。そしてまた検察審査会に対してどのような説明をされたのか。これはもうぜひ、明らかにしていただく責任があると考えます。
そして、木村主任検事。この方に関しても、12月16日の公判において、前田元検事が木村主任検事から着任早々にはっきりと『これは特捜部と小沢一郎の全面戦争だ。小沢をあげられなければ我々の負けだ』と言ったということで、非常に熱心であっと書かれています。そうだとすれば、田代検事は取り調べ中に何度も報告を行い、そしてまた電話で指示を受けていた上司というのが誰かは分からないのですけれども、おそらくこの今あげました斉藤副部長、そして吉田元副部長、そして大鶴次席、そして佐久間元部長、そしてこの木村主任検事。この5人の方のいずれか、あるいは複数である可能性は非常に高い。そのあたりのところをはっきりしないことには、そもそもこの田代検事の虚偽報告書がなぜ作られたのか。そして、どのような目的で作られたのか。それがどのように利用されたのか。その結果、何が起こったのかということはまったく明らかにならないと思います。
これは単に、一人の検事がうっかり誤って、間違って、昔の記憶と昨日のことを混同してまったく違うものを書いてしまったという話ではないと思いますし、またそういう話にしてしまうということは日本の司法の根幹を揺るがす問題であると考えております。
ですのでこの質問状は、もちろん現在の段階では質問状という形にはなりますけれども、内容はネットを通じて公開させていただくことになりますし、これに対して納得のいく説明をしていただけないという場合は、捜査していただくと。そういう行動を取ることになると思います。
ということで本日、この質問状を用意して先ほど提出してまいりました。このことにつきまして、何かご質問がございましたら、お答えいたしますのでどうぞ」
発言者不明「地検の方に提出された際に対応された方がどなたで、どのようなやり取りがあったのか。今年、1月に告発をされたことに関しては何か、進捗状況みたいな説明があったのかどうか、ちょっと教えていただけますか」
八木「進捗状況についてはまだ説明はいただいてはおりません。それと対応されたのは、私どもは今回、特捜部宛てと申し上げたのですけれども、最終的にはご本人様それぞれの手元に届けばいいということで、今まで私たちの告発状、捜査要請書がすべて刑事部の文書課で扱っているということでしたので、一応そちらで受け取るということになりました」
発言者不明「あと、今後の対応の中では、偽計業務妨害での告発というようなことをおっしゃったと思うんですけど、実際に期限は区切っていらっしゃるんですか?いつまでにとか」
八木「特に区切ってはおりませんが、ただこれだけ社会的に大きな影響を及ぼしていることですので、私どもとしては非常に速やかに、1週間ぐらいでお返事が全くいただけないようでしたら、次のことを考える用意はございます。そのときに、一応、偽計業務妨害ということもありますけれども、田代検事も本当のことを言っていないのではないかという点がありますね。
すでに田代検事に関しては、朝日新聞などでも報道されておりますけれども、当時出版されていない本を引用したという、全く事実ではないことを証言していらっしゃるということがありまして、これは偽証ではないかと。
それからもう一つは、これはどういう内容になるかは分かりませんけれども、先だっての大阪地検の事件におきまして、前田元検事による証拠改竄事件。あの時に大坪元部長、それから佐賀元副部長も有罪となりました。この根拠というのが、普段の判例から若干逸脱しているという意見もあるようですけれども、こういった部下の不祥事に関して上司がそれを知りつつ、それを適正な捜査を行わなかったという部分が今回の有罪の根拠になっていると。これは判決文を取り寄せて詳細に検討する必要があると思いますけれども、巷で言われているようにそれが原因で、それが理由であるということでしたら、この場合田代検事の報告書、虚偽報告書と(石川議員の)録音との食い違いが1年前から把握されていたにも関らず特捜部では適切な捜査を行わなかったということになりますので、この場合はどうなるのかと。そのことについてもちょっと検討させていただくことになると思います」
【文字起こし:ボランティアスタッフ @sekilalazowie 校閲:@KinocoMX】