2013年10月26日、上野の国立科学博物館にて『大恐竜展 〜ゴビ砂漠の驚異〜』が開幕した。本展は、世界有数の恐竜化石産地としてしられるモンゴル・ゴビ砂漠で発掘された、非常に良質な実物化石を、白亜紀前期から末期へと時代順に展示している。IWJでは、10月22日に“恐竜3体の実物全身骨格・組立作業”を、また同25日にはプレス内覧会と、開会式の模様も取材した。
(IWJ・古田晃司)
2013年10月26日、上野の国立科学博物館にて『大恐竜展 〜ゴビ砂漠の驚異〜』が開幕した。本展は、世界有数の恐竜化石産地としてしられるモンゴル・ゴビ砂漠で発掘された、非常に良質な実物化石を、白亜紀前期から末期へと時代順に展示している。IWJでは、10月22日に“恐竜3体の実物全身骨格・組立作業”を、また同25日にはプレス内覧会と、開会式の模様も取材した。
■恐竜3体の実物全身骨格・組立作業
■プレス内覧展
■開会式
今回の見どころは、なんといっても展示に実物の化石が使用されていることである。
恐竜の化石は非常に重量があるため(例えば展示されている竜脚類・オピストコエリカウディアの大腿骨は1本270kg)落下などの危険性もかんがみる必要があったり、何より化石の保存状態が悪く、壊れていたり、つぶれていることも多く、レプリカでの展示も少なくない。だが、今回の展示では、実に約90%も実物を使用しての標本だという。これほど、多くの実物化石を使用出来た理由を、国立科学博物館地学研究部生命進化史研究グループ研究主幹の真鍋真氏にうかがった。
真鍋氏「ゴビ砂漠の恐竜化石は全身がつながって見つかる、ということが最大の特徴であり、また、普段化石は押し花のように押しつぶされていることが多いが、ゴビ砂漠の恐竜化石の場合はほとんどおしつぶされておらず、変形していない化石がたくさん見つかります。そのため、世界で一番保存のいい化石が見つかる宝庫といわれています。今回はそのゴビ砂漠の最高の標本を、できるだけ実物化石で見ていただきたいというのが趣旨なんです」
砂漠という特殊な環境下ゆえに、細部までよく保存され、骨と骨がつながった状態で保存されたすばらしい標本だからこそ、今回、目にすることができる実物化石での恐竜標本なのだ。さらに、モンゴル国内でもこれほどの規模の公開は実施されたことはないそうである。
肉食恐竜として最も有名であろう“ティラノサウルス”が北アメリカに存在した白亜期後期。同じ頃、アジアに君臨した肉食恐竜が、この“タルボサウルス”である。今回、頭だけで長さ1.2m、全長約10mにも達する最大級の標本が展示されている。
また、その雄々しい姿とは正反対のタルボサウルスの“子ども”の実物化石も展示。こちらは、ティラノサウルス類の子どもの化石では世界一の保存状態だとされているもので、全身骨格の全長が、約2mという幼さを残した化石だ。大人のタルボサウルスと比較してもその成長の過程は到底想像のつかないものであるが、そういった恐竜に関する研究の科学的な最新の知見もあわせて紹介されているのも見どころのひとつだ。
さらに、“タルボサウルス”に対峙するように、大型植物食恐竜“サウロロフス”や、全身の骨格は発掘されているのに頭の部分だけ未だ発見されていない謎の恐竜“オピストコエリカウディア”も実物化石にて展示されている。オピストコエリカウディアに関しては、世界で初めての化石の組み立てであるし、これらの恐竜が同じ時代に生きていたことを裏付ける、タルボサウルスがサウロロフスを食べていた証拠となる標本など非常に珍しい展示もされているため、太古の時代に思いを馳せながら、ぜひその目で実物化石で蘇った恐竜たちをご覧になってほしい。
※この『大恐竜展 〜ゴビ砂漠の驚異〜』は上野の国立科学博物館にて、10月26日〜2014年2月23日まで開催されています。