2013年5月14日(火)20時より、岡山市の岡山市勤労者福祉センターで、「田中優さん講演会『原発に頼らない未来のために今できること』」が行われた。自宅に設置したパーソナルエナジーシステムで、電気料金0円を実践する環境活動家の田中優氏が、自然エネルギーシフトへ向けての、具体的な提言を行なった。
※講演会途中からの映像となっております。また、電波不良のため、アーカイブが細切れになっております。何卒ご了承ください。
(IWJテキストスタッフ・阿部玲)
2013年5月14日(火)20時より、岡山市の岡山市勤労者福祉センターで、「田中優さん講演会『原発に頼らない未来のために今できること』」が行われた。自宅に設置したパーソナルエナジーシステムで、電気料金0円を実践する環境活動家の田中優氏が、自然エネルギーシフトへ向けての、具体的な提言を行なった。
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まず、田中氏は「運動には、3つの方向性がある」とした。1つ目は「自分が政治家になるか。もしくは政治家に対して訴えるか。下から上への、縦の方向」。しかし、これは、昨年の衆院選の結果からもわかるように、困難を極めるという。2つ目は「署名をしたり、デモをしたり、市民が横方向に繋がり、広がって行く、横の方向」。だが、これも、デモの参加人数に現れているように、活動する市民の間にも疲れが出始めている。3つ目は「斜めの方向。まったく新しい仕組みを考え、現実に、新しいやり方をやってみせる方向」というオルタナティブな道である。この第3の方向性は、田中氏自身が実践中だという。そして、「どれかひとつではなく、同時に全部やっていくことが大事である」と語った。
田中氏は「原発が推進される理由は、電力会社の総括原価方式によるところが大きい。適正報酬として、電気事業固定資産(発送電施設)に、3%を掛けてよいことになっている。つまり、300億の報酬を得ようと思ったら、発送電設備を1兆円規模に大きくすればよい。ゆえに、架空のニーズと無駄な設備を作ろうとする。有価証券報告書から計算した発電コストは、原子力が最も高い。その結果、世界でもっとも電気料金が高い国になった」と述べて、国際競争力を失ってしまった、現在の日本を憂いた。
そして、「電力が足りないから発電所を増やす、という発想ではなく、電力の消費を抑える。これだけで原子力発電所はいらなくなる」と話す。「家庭内で消費電力の多い四天王は、冷蔵庫、照明器具、テレビ、エアコン。冷蔵庫やエアコンは、15年前に比べ、最新のものなら電気代は半分ほどになる。蛍光灯は、カバーに反射板をつければ、1本でも2本分の明るさになる。『自然エネルギー』というと、売り言葉に買い言葉的に『高くて不安定』と言われるが、無駄な電力消費を抑えて行けば、十分可能だ」と、具体的な数字やグラフとともに説明した。
続けて、「パーソナルエナジーという蓄電装置を、家庭に設置すれば、太陽光で発電して、電気をそのまま貯めこんでおける。10.8キロワットの充電が可能で、太陽が出ていなくても約3日分の電気を賄える。費用は400万円程度で、寿命は25~30年。ブロパンガス発電機を併用すれば、万一の際にも対応できる。上から分配型のタテ型グリッドではなく、地域の住民がお互いに送電線で繋がり合うコミュニティーグリッドにすれば、電力会社に頼る必要がなくなる。収入源が減った電力会社は、その時はじめて、コストダウンを意識するだろう」と話し、田中氏は、実際に使用量0円の中部電力からの料金請求書を見せた。
「日本のエネルギー自給率はたったの4%。石油、天然ガス、ウラン、石炭、この4つを輸入するために。国家予算約40兆円のうち、24.5兆円を使っている。戦争のほとんどはエネルギーの奪い合い。お金とエネルギーの支配は、いつも『上から下に』であり、この仕組みを変えれば、地域単位の社会を作れる」とし、「上位下達の社会から、下克上の社会へ」を提言した。
最後に、田中氏は「二酸化炭素を排出している原因の3分の1は電気、もう3分の1は車。電気を自給し、その電気で電気自動車を走らせれば、二酸化炭素の3分の2が消えてなくなり、地球温暖化も簡単に解決する。では、なぜそこに行けないのか。途中に、利権や既得権益があり、自分たちの利益を優先したり、政治に巣食うことによって、こんな社会を作っている。これをひっくり返す時期に来ているのではないか。生かすも殺すも政治の世界であり、私は緑の党の躍進に期待している」と、政治方面からの改革にも希望を示した。