県民健康管理調査「甲状腺検査」説明会(伊達市) 2013.3.10

記事公開日:2013.3.10取材地: テキスト
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(IWJテキストスタッフ・花山/奥松)

 2013年3月10日(日)13時半より、福島県伊達市の保原市民センターで、福島県と福島県立医科大学による「県民健康管理調査『甲状腺検査』説明会」が行われた。説明を行なった福島県立医大の鈴木眞一氏は「放射線被曝により甲状腺がんのリスクが高まったが、検査により早期の治療につなげれば、生活に支障はない」と述べた。

※事情により動画はございません。ご了承ください。

  • 説明者 鈴木眞一氏(福島県立医科大学 放射線医学県民健康管理センター 甲状腺検査部門部門長)
  • 日時 2013年3月10日(日)13:30〜
  • 場所 保原市民センター(福島県伊達市)
  • 主催 福島県、福島県立医科大学

 鈴木氏は「原発事故発災後から4ヶ月の外部被曝線量は、福島県が昨年12月までに実施した、35万4736名の基本調査結果から、66.2%の人が1ミリシーベルト未満、28.7%の人が2ミリシーベルト未満、4.4%の人が3ミリシーベルト未満であった」と話した。その上で、「甲状腺がんの発生要因として、内部被曝線量が重要とされるが、福島の場合、事故直後からの原乳廃棄や、水、食品流通の規制により、外部被曝を上回る内部被曝があるとは想定しにくい」と説明した。一方で、「現状、何も考えなくていいわけではない。放射線被曝で小児の甲状腺がんが心配だ」と話し、「福島の子ども達における甲状腺結節の有無を、低侵襲な超音波で検査し、保護者の不安の解消を図り、現時点での甲状腺の状態を把握して、福島県民の甲状腺の変化の有無を生涯に渡って見守るために、甲状腺検査が必要性である」と説明した。

 甲状腺検査の結果に関して、「平成23年度は、嚢胞20ミリ以下結節5ミリ以下のA2判定が35.3%、嚢胞20.1ミリ以上結節5.1ミリ以上のB判定が0.5% 、ただちに2次検査を要するC判定が0%。平成24年度は、A2判定が43.6%、B判定が0.6%、C判定が1名いる」と説明した。また、環境省が実施した、山梨市、弘前市、長崎市の幼稚園児から高校生の4500人を対象にした検査結果について、「56%がA2判定、B判定が1%であった。3地域を合計した結果で、年齢分布も福島とは異なるが、このことから、福島の結果が極端に高いとはいえない」と話した。

 2次検査結果について、「平成23年度は、186名の2次検査対象者に対して162名に実施した。2次検査終了者のうち、76名に細胞診を実施し、その結果、10名が悪性もしくは悪性がんの疑いとなり、そのうち3例がすでに手術などの診断により、甲状腺がんが確定した」と報告した。また、「甲状腺がんになると大変だと思うかも知れないが、きちんと治療すれば生活に支障はない」と述べた。

 質疑応答で、「甲状腺がんになった子どもが3人みつかったのは、多いのか」と問われると、鈴木氏は「事故から2年で甲状腺がんができるのは、もし放射線の影響であるとしたら、極めて早いことになる。チェルノブイリでは、5才以下の小さい子どもが非常にリスクが高かったが、今回確定した3人と、疑いのある人も含めた平均年齢は15歳以上であり、チェルノブイリとはパターンが異なる。事故から2年という期間と、今、甲状腺に異変があった人たちの年齢から考えて、放射線の影響とは考えにくい。ただし、検診を続けて、福島の子ども達の甲状腺がんが、今後どうなるのかを、見ていくことが重要である」と回答した。

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