IWJは参議院選挙にあたり、トランプ政権による「相互関税」について、自民党、公明党、立憲民主党、日本維新の会、国民民主党、れいわ新選組、日本共産党、社会民主党、参政党、日本保守党の、与野党10政党に、以下のアンケートを送付しました。
当初の締め切りは14日月曜日午前中でしたが、その時点で届いていたのは、れいわ新選組、国民民主党、立憲民主党、共産党、日本維新の会の5党だけでしたので、電話連絡をして督促するなどして、2日、待ちました。結果、届いたのは社民党でした。
自民党は、一般用のファックス番号に送ったため、担当者に届いておらず、15日に質問状を送り直したところ、16日の朝に回答がありました。
各党の回答の詳細は、以下のURLを御覧ください。
7月19日、参政党から回答が届きましたので、ご紹介します。
質問は、以下の通りです。
2025年7月7日、トランプ大統領は、日本に対して25%の「相互関税」を課す方針を一方的に表明しました。
これは、日本経済、とりわけ自動車を中心とする輸出産業・その裾野を支える中小企業・雇用に重大な影響を及ぼすことが懸念されます。
つきましては、以下の質問に対して、貴党としての公式見解をお聞かせいただきたく、ご多忙のところ恐縮ですが、参議院選挙前につき、有権者が投票する際の参考にできるように、ご回答をお願い申し上げます。
質問1
トランプ政権による、日本から米国市場への輸出に25%の相互関税が8月1日から実施されます。トランプ大統領からの書簡では、30%以上の関税率もあり得ること、その税率は、米国が一方的に決めることなどが記されています。
貴党として、米国のトランプ政権のこの高関税政策をどのように受け止めていますか?
質問2
トランプ政権に対して、相互関税を下げるために、実施前であろうと、実施後であろうと、日本政府はどのように交渉すべきだとお考えですか?
質問3
自動車をはじめ、米国市場における輸出企業の売り上げの急激な悪化が予想されます。
輸出大企業本体だけでなく、その関連下請け企業も含めた、経営の悪化、株価の暴落、倒産の危機、雇用の切り捨てなど、短期的に見ても、危機的状況が、さまざまに予想されます。
長期的には、各企業が米国へ生産拠点を移し、日本における生産と雇用の空洞化が懸念されます。
米国市場における売り上げ低迷の穴埋めに、各企業が国内での販売価格の引き上げを行う可能性もあります。
8月1日以降、関税が実施された場合、日本経済への影響(特に自動車などの輸出産業・下請け企業・雇用・物価・景気後退・反米感情の高揚)について、貴党は、どのように予想し、どのような国内対策を考えていますか?
質問4
報復関税などの対抗措置について、貴党は、どのようにお考えですか?
報復関税が必要と考える場合、その程度はどの程度に定めるべきだとお考えですか?
また、関税以外の報復的措置や、米国への依存度を下げる必要があると考える場合、例えば米国債の売却などの対抗措置を具体的にお考えですか?
質問5
国内における景気後退の対策として、内需拡大策が必要になると思われますか?
その場合、どのような分野に、どのような手段で、どの程度の対策をすべきとお考えになりますか?
質問6
輸出大企業だけでなく、日本の中小企業や労働者、消費者に対する負担軽減のために、減税や社会保険料などの国民負担軽減について、どのような施策をすべきとお考えですか?
質問7
このような米国の相互関税に対抗して、代替の輸出先を見つけるべく、貿易相手を、中国、ASEAN、EU、インドなどへ振り替え、米国主導による経済制裁の対象国としてきたロシアやイランなどとの関係の改善や、南米やアフリカなどのグローバルサウスなどへの一層の関係の深化を押し進め、販路を拡大してゆくべきだとお考えですか?
質問8
今回の極端な米国の高関税政策は、敵対国に対する経済制裁を思わせるものであり、同盟国に対する仕打ちとは思えません。不誠実であり、経済問題を超えて、安全保障上の懸念を抱かせます。
日本は安全保障を、もっぱら、米国・米軍に依存しています。安保政策は、このままでいいのか、それとも、米軍への依存度を下げて、日本の自立を図るべきなのか、長期的な視野も含めて、あるべき外交・安全保障条約とは、どのようなものなのか、貴党の考えをお聞かせください。
【参政党】
回答1
トランプ政権は「アメリカ・ファースト」政策を掲げ、国内産業の振興など国益重視という観点から関税政策で強い姿勢を取ることは十分予想できた。これまでの密接な日米関係を維持しつつ、建設的な交渉ができる新たな信頼関係の構築が必要である。
回答2
トランプ大統領との関税交渉をすすめるためには、以下のようなステップが必要と考える。
(1)まず、理念や思想の共通点を理解し合い、信頼関係を構築する
(2)米や食料品の輸入拡大ではなく、消費税廃止やエネルギー輸入を交渉材料にする
(3)デジタル分野等における日米間の貿易不均衡を主張(日本は約7兆円の対米デジタル赤字)
(4)関税率の高い他国の製品や違法薬物を日本経由で輸出する「迂回輸出」を止める
回答3
関税の影響により、日本の自動車産業をはじめとする輸出企業および下請け中小企業の業績悪化、雇用不安、国内物価の上昇などが予想される。特に地方の雇用への影響は深刻である。
このような状況に備え、政府は大胆な減税・補助金政策に加え、国内投資や雇用創出に資する積極財政を講じるべきである。また、ガソリン減税、過度な燃費・廃棄規制の緩和等で日本の自動車産業を守らなければならない。
回答4
日本が報復関税を実施する場合は、感情的ではなく戦略的に対象品目を精査し、米国の一部産業に限定的な影響を与える程度で行うべきである。前述のとおり、交渉にはまだまだやるべきことがあり、あくまでも日米同盟の維持を前提に、対話・交渉を通じて解決を図る姿勢が基本である。
回答5
内需拡大は、日本経済の持続的成長の鍵である。消費税減税と積極財政で経済成長基調に移行させる。農林水産業・エネルギー・インフラなどの分野に重点的な財政出動を行い、併せて人工知能・自動車などの製造業・マンガやアニメ、ゲームなどのコンテンツ産業を重点産業とし支援を強化する。中長期的には、地域経済を担う中小企業への支援と地方自治体への財源強化が求められる。
回答6
参政党は、減税と社会保険料の引き下げを通じて国民の可処分所得を増やすことが急務であると考え、公約で「国民負担率に35%の上限をつける」ことを謳っている。
回答7
米国に限らず、一部の国への過度な依存から、ASEAN諸国、インド、中東、アフリカ、中南米など成長ポテンシャルの高い地域との経済連携を強化すべきである。政治的理由で関係が疎遠となっている国々に対しても、国益に照らし合わせた戦略的経済協力の道を探るべきである。日本独自の外交経済政策によって、多極的な市場戦略を構築する必要がある。
回答8
戦後長らく米軍に依存してきた日本の国防体制を見直す。対等な日米同盟関係の下、自主的な外交・防衛戦略を持つべきと考える。その上で、段階的な米軍撤収と日米地位協定の構造的な問題を協議し、日本の主権と安全保障のため、独立自存の国づくりを進めるべきである。また、軍備面だけでなく、情報戦に耐えうるスパイ防止法の制定、経済・エネルギー・食料等、各分野での安全保障の強化を進めていく。
以上



































