2022年8月4日(木)午後3時より、参議院議員会館にで、日本共産党 旧統一協会問題追及チーム 第3回会合開催された(日本共産党は「統一協会」と表記する)。
冒頭で宮本徹衆議院議員が、8月3日に細田博之衆議院議長宛に提出した「『統一協会』=世界平和統一家庭連合に関する質問主意書」「『統一協会(家庭連合)』の名称変更に関する質問主意書」を紹介。前者は旧統一教会に対する政府としての対応や閣僚等の関係、後者は名称変更の経緯や下村博文文科大臣(当時)の役割等を質問したものである。
ヒアリングは、約10年にわたって統一教会と政治の関係を取材してきたジャーナリストの鈴木エイト氏(やや日刊カルト新聞主筆)を迎えて行われた。
鈴木氏は統一教会と関わった当初、「第二次安倍政権発足直後の2013年参院選で、安倍首相が直々、統一教会に、当時の産経新聞政治部長の北村経夫氏(現参議院議員)への組織票を依頼する内部文書を入手した」という。さらに、「菅官房長官が北村氏を統一教会の地区教会2ヶ所へ派遣をするというような証言を得た」ことから、「官邸と統一教会の間に、何かしらの取引があるのではないか」と考え、取材をスタート。そこから様々な場面で両者の関係を追及していったとのこと。
例えば、2017年(就任の)トランプ米大統領が当選した際(大統領選挙、安倍氏との会談は2016年)は、「ヒラリーが当選すると思っていた官邸、安倍さん周辺の人はトランプ氏へのルートがなかった。そこで、統一教会ルート、共和党ルートを使い、トランプ会談をいち早くトランプタワーで実現させたのが11月の最初の方でした」と鈴木氏は語った。「そのバーターとして」、11月中旬に議員会館で統一教会の関連団体UPF(天宙平和連合)が創設した「世界平和国会議員連合の日本創設大会」が開催され、「閣僚5人を含む100人の国会議員(秘書を代理出席含む)」が参加したという。
鈴木氏によれば、議員の集会参加や祝電等の個々の事例だけでは「すみませんでした」で終わってしまう。が、そうした事象を、「新聞の写真の網点のように、一個一個置いて、濃淡をつけて、少し離れて見る」と、「何らかの絵が見え」、「事象を時系列に沿って追っていくと、そこに明らかに何らかの関係性がある」というのである。
そういう意味では、野党議員で関係があると騒がれる人がいるが、「関係性が淡い方ばかり」で、「深い取引があるのは主に自民党の人が多い」と鈴木氏は述べた。
安倍元総理に関しては、従来、統一教会との関係の「傍証は積みあがってきた」が、確実な証拠はなかったという。
しかし、2021年9月のUPFへのビデオメッセージについて、鈴木氏は、「ビデオメッセージと言っていますが、その場にあたかも登壇しているように演出されたもの」であり、「議員会館に統一教会の撮影クルーが行って撮影したものではなく、安倍さん自身が、統一教会の撮影スタジオ、これはある程度特定できていますが、そこにわざわざ自分が行って、そこで撮影したものを、リモート登壇という形で上映したものなんです」と語った。
この映像を見た鈴木氏は「安倍さんはもう関係を隠さないんだ」と強い衝撃を受けたという。「このことが一般世間、社会に知られても、自分の政治生命、自民党の選挙に何のダメージもないだろうと、安倍さんは判断して公開を許したのだと思います」。
その上で鈴木氏は「かといって、統一教会との関係を大っぴらに、おおやけにしたわけではなく、あのビデオメッセージは、公開を許したのは、配信したその時だけ。翌日からは絶対に出さないようにという条件のもと、公開を許したものなんですね。これは内部情報なんですが」と語った。
その安倍氏の「読み」は正しく、この件を報じたのは「『赤旗』『フライデー』『週刊ポスト』と(鈴木氏が執筆した)『実話BUNKA超タブー』の4誌だけ」で、「一般紙やテレビは一切報じず、何の問題にもならなかった」と鈴木氏は指摘した。
「ただ、それを銃撃事件の山上徹也容疑者が見て、最後のトリガーを引くきっかけになったとしたら、政治生命には影響がなかったが、自身の生命が奪われてしまう状況に発展した」と、鈴木氏は評した。
「安倍さんとしては、あの日(映像を)公開しても何の影響もないだろうとタカをくくっていたと僕は見ています。その見立ては正しかった」。しかし、「その時、政治家、我々メディアも含めて、被害者がいる、その被害者の陰に、さらにその陰で泣いている、苦しんでいる家族がいるということが見えてなかった、見えていたとしても軽視していた」。
さらに鈴木氏は、「オウム真理教の一連の地下鉄サリン事件はカルト団体が起こした重大な社会事件」だが、今回は「カルト団体の被害者が起こした重大な社会事件」であり、「フェイズが全く変わってしまっている」と指摘した。
鈴木氏は「カルト問題や被害者をちゃんと見てケアをできていないことが、今回の事件を生んだ要因」だとして、野党の追及チームも、「自民党を攻撃するためにやるのでは意味がない」「事件自体はちゃんと法にのっとって処罰を受けるべきだが、そこに至る背景を検証しないと、また同じようなことが起こりうる」と注文をつけた。
また、鈴木氏は「関わった政治家は追及すべき」だが、「うっかり電報を送った」ような場合と、「積極的に教団と関わり、運動員を引き入れ、選挙にも協力させた人とは、はっきり分けないといけない」と指摘。
特に金銭授受に関しては、「政治家から(年会費など)お金を出した場合はそれほど重要視をしていません」「逆に、統一教会側から数万円とはいえ政治献金とか受け取った議員は、金額の大小にかかわらず、アウトだ」「なぜかというと、そのお金は統一教会の被害者のお金なんです」と訴えた。
質疑応答では、小池晃書記局長や宮本徹議員、田村智子議員など、共産党の議員団が質問を行った。また、ヒアリング終了後に、小池晃書記局長が囲み取材に応じた。
ヒアリングおよび囲み取材について、詳しくはぜひ全編動画を御覧いただきたい。