IWJでは2月25日にクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」のクルーを名乗る方(Aさん)から緊急連絡を受けた結果、船内と電話インタビューを行い、その内容を記事化して27日に公開した。
インタビュー時点でAさんは、2月10日から25日まで船内で隔離されており、その間に幻聴などの拘禁症状も出ていたとのことである。検査を2回受け、観察期間の14日をこえる16日間も隔離されたにもかかわらず、陽性か陰性の診断結果も、いつ下船できるかも本人に知らされなかった。
Aさん自身とAさんのパートナーが厚生労働省の窓口に電話やメールで何度も問い合わせたが、「わからない」との回答だったため、IWJにSOSを送ってきたのである。25日のインタビューでは、船内の生々しい様子が語られている。
その後Aさんから「下船する」との連絡がIWJにあった。Aさんは27日午後に下船してバスで埼玉県和光市に移され、28日現在、税務大学校和光校舎に収容されているとのことである。18日目にしてやっとの下船である。
IWJでは28日に改めてAさんに電話インタビューを行い、下船の経緯や、船内隔離の模様について改めてうかがい、さらに、加藤厚労大臣に直接質問して欲しいという質問項目をうかがった。その内容を以下に紹介する。
▲Aさんが収容されている税務大学校・和光校舎(国税庁HPより)
下船してからも、いつ解放できるか「わからない」と厚労省の回答! 「早く出してほしい!」
IWJ記者「下船の経緯を教えてください」
Aさん「2月27日の朝、当日下船できるとの連絡が船内の厚労省担当者からあり、午後1時に下船しました。その日の下船者は全員陰性ですが、そのなかで、濃厚接触者、発熱経験のある人、症状がある人、部屋での隔離を受けてない人の4グループに分けてバスに乗せられ、税務大学校の和光校舎に移されました。
隔離されていたのは、濃厚接触者や発熱者だと思いますが、自分は2月7日に1時間だけ37.6度に上がったため、発熱者のグループに入れられました」
IWJ記者「隔離されていない方は、船内でどうされていたんですか」
Aさん「働いていました。乗客が下船されたあともまだ少し仕事があったので」
IWJ記者「税務大学校に移ってからの経緯は?」
A さん「下船前日に、船内にいる厚労省職員のBさんという方から電話があって、『まず和光市に行き、そこでドクターと会って、その後の方針が決まるが、(隔離が)14日間になるかどうかはわからない』と伝えられました。
和光に着き次第、ドクターと面談とのことでしたが、面談は行われず、しびれを切らして今日の朝、ここの受付に電話してCさんという方に、自分は船内で拘禁症状も出たので、できるだけ早く解放して欲しいと伝えましたが、『できるだけ早めに決断したいが、まだわからない』との回答でした。Cさんは和光校舎の受け入れ施設を組織している方とのことです。
今もいつ出られるかわからないで待っています。非常に長く感じていて、早く出してほしいです」
なおその後Aさんが強く抗議したため、28日夜9時頃になってドクターの面談が行われたが、29日午後時点でもまだ解放されるかどうか通知はないとのことである。
ドクターによる「14日間隔離後に解放」の情報が実現せず、船内で再び拘禁反応が出た!!
▲横浜港に停泊中のダイヤモンド・プリンセス。この時点でAさんはまだ船内で隔離されていた。(2月14日、IWJ撮影)
IWJ記者「乗船中の隔離と検査の経緯を、念のため改めて確認させてください」
Aさん「2月3日に横浜に着いて9日まで働き、10日朝から隔離され、27日に下船しました。働いている間は、自分が所属する業務の部屋を消毒したり、感染者を送り出す時に本人確認のため通訳したりしました。検査は8日と18日に行われ、最終的に陰性だと告げられたのは26日です」
IWJ記者「隔離中の様子を教えてください」
Aさん「ずっと窓のない部屋だったので、隔離1週すぎた頃からカウンセリングを受けました。
DPAT(災害派遣精神医療チーム)の方だと思いますが、外部の看護師さんから、船のメディカル・チームのドクターと確認の結果『あなたは14日間の隔離期間が終われば、普通のクルーに戻る』と言われて、この期間が終われば自由になれると期待していました。
しかし14日過ぎても降りられなかったので、また『拘禁反応』が出てきました」