「強制やらパワハラやら、社会的に問題になるものがある」
「今後、新聞沙汰にならないようにならなければ」
「あまり良い話を聞きません。一度に先生がたくさん辞めるとか、転園をされる保護者の方が何人もおられるということを聞いております」
「教育基本法の精神に抵触するようなことがあってもいけませんし、子どもや保護者の思想・信条の自由に抵触するようなことはあってはいけません」
その議事録には、上記のような、学校法人・森友学園(籠池泰典理事長)による塚本幼稚園の運営への疑問点、財務内容をいぶかしむ委員の声がびっしり記されていた。多くの委員が疑念を示していたにも関わらず、大阪府は「認可適当」の方向に強く後押しをしたのだ。
「学校法人森友学園」の小学校設置許可をめぐり、2014年12月から議論を重ねてきた「大阪府私立学校審議会」の議事録の中身が、一部、明るみに出始めている。
2017年2月22日、民進党の玉木雄一郎議員は衆院予算委員会の第4分科会で、手に入れた私学審議会の議事録をもとに、森友学園に対する疑惑や懸念が審議会のメンバーから噴出していた事実を松野博一文科相に突きつけた。
深刻な問題提起が相次いでいたこの私学審議会の中身について、松野文科相は、「議事録は今日、初めて読んだ」などと、とぼけてかわそうとした。国の教育をつかさどる文部科学省の大臣として、あまりにも不誠実で無責任な態度である。
玉木議員は、この日、森友学園を経営する「塚本幼稚園」を退園した園児の保護者から直接聞き取りをしたという「児童虐待」の実態も明らかにした。中には、「パンツでうんちをくるみ幼稚園のバッグに入れて持って帰らせた」「犬を家で飼っている子どもが『犬臭い』と言われ、幼稚園で勝手にリュックサックを捨てられた」という証言もあった。
こうした「児童虐待」の事実については、IWJ記者も元園児の保護者に直接、聞き取りを行っており、その生々しい証言をもとに「極右学校法人の闇」第8弾として詳しくお伝えしている。
小さな子供がおもらしをしたら、罰としてウンチを下着で丸めてカバンに入れるとか、「犬臭い」と言ってリュックを捨てるとか、児童虐待以外の何ものでもない。さらには外国人に対するヘイトも行われ、それらすべてが「日本精神」の名のもとに、有無を言わさず押しつけられる。こんな学校法人の新設をしようとしている小学校の名誉校長が、首相夫人の安倍昭恵氏であること、さらには「安倍晋三記念小学校」という名をかたって寄付金を集めていたことも大問題である。
また、玉木議員は、憲法改正に賛成する署名用紙や、安倍昭恵総理夫人や橋下元大阪市長、松井大阪府知事の名前が入った配布物が保護者に配られていた事実にも言及。教育基本法第14条2項の「法律に定める学校は特定の政策を支持し、またはこれに反対するための政治教育、その他、政治活動をしてはならない」という規定に反しているのではないかと問い正した。
松野文科相は森友学園をめぐる様々な報告を受けて、「まぁ私立の場合、建学の精神、理念等に基いて行われるものと思います」と教育基本法を逸脱する「自由」を認めるかのような発言をした上で「大阪府に報告を求める」としぶしぶ、重い腰を上げた。
この「森友学園」問題は、国有地が「ただ同然」で払い下げられたという「学校法人への利益供与」だけでは済ませられない、児童虐待を含む深刻な人権侵害をはらんでおり、さらにはそんな学園が、教育基本法に違反する政治的偏向教育を行っていることも大問題である。
以下、2月22日の衆院予算委員会での玉木議員による質疑を掲載する。