常に激戦となる千葉選挙区から参院選に立候補している民進党・小西洋之議員が2016年6月25日、柏駅東口で街宣し、社会保障の拡充や安倍政権が破壊した民主主義の回復を訴えた。
(原佑介)
※6月25日テキストを追加しました!
常に激戦となる千葉選挙区から参院選に立候補している民進党・小西洋之議員が2016年6月25日、柏駅東口で街宣し、社会保障の拡充や安倍政権が破壊した民主主義の回復を訴えた。
記事目次
■全編動画
21年にわたって寝たきりの父の介護にあたったという小西候補は、2010年に初当選して以降、「障害者自立支援法」の改正で障害福祉サービスの改善につとめ、医療法の医療計画体系改革にも取り組んできたという実績をアピールした。
「切れ目のない医療をすべての地域で作らなければいけない。例えば千葉県に脳卒中の患者さんがどれぐらいいるのか、もともと統計や分析もなかった。60年間、自民党政権で続いていた社会保障の運用は『ザル』だったが、私がそれを改革することで、脳卒中の患者の人口を把握し、必要な医療をできるようにした。
千葉はこれから全国で一番の高齢化を迎える。どうか私に社会保障の仕事を頑張らせてほしい!」
続いて小西候補は、「もうひとつは、民主主義を取り戻さなければいけない」と訴えた。
「日本では外国から攻撃されるときに、自衛のみが許されるという解釈となっている。石油戦争が平和的生存権のもとでできるのか、安倍総理に質問したが、安倍総理は何も答えられず、『レッテル貼りをしている』と言って逃げまわった。小学校6年生でも習っている『平和的生存権』について追及されて、『レッテル貼り』などとしか言えない、こういう政治は終わりにしよう! 子どもに説明できない政治はやめよう!」
民進党の最大支持母体である連合の神津里季生会長は、小西候補が安保法案の強行採決を止めようとしたが、自民党の佐藤正久氏の「ヒゲパンチ」に阻まれてしまったことを振り返り、「身体を張って安保法案を阻止しようとしたが、数の力を前に、不誠実な対応で押し切られてしまった」と批判。「ああいう政治を許さないため、民進党に数を与えていただきたい。とりわけ小西さんは国会へ送ってほしい」と呼びかけた。
小西候補は安保法案が強行採決された日、岩上安身のインタビューに答え、強行採決の舞台裏を詳しく語っている。
神津氏は年金問題についても言及した。
「140兆円という年金の半分を安倍政権が株につっこみ、去年の3月までに5兆円も損をした。今、イギリスがEU離脱を決め、株価は1200円以上も下がっている。安倍総理がいう『リーマン級』の事態が、現実になろうとしている。140兆円のうち、30兆円がパーになる。なぜ、そんな不誠実なことをやっているんだと叫びたい」
千葉選出の衆議院議員の野田佳彦前総理大臣は、「小西候補は6年前に、当時の民主党に公募してきた。たくさんの素晴らしい人材が手を上げたが、その中でこの人が一番いいな、ピカイチだと思って私が選んだ」と振り返る。 野田氏は当時の民主党県連委員長だったことから、小西候補を国会に送った「製造物責任」は野田氏自身にあると断言。「舛添都知事の『製造物責任』は自・公にある。私は小西候補を選んだ責任者だが、この6年間の実績を見て、彼を選んでよかったと心から思う」と胸を張った。
さらに、イギリスがEU離脱を選んだことで、24日の株価が前日比で1286円安の1万4952円となったことについて、野田氏は「株価が1000円下がると年金資金は1兆7000億円の損失になると言われている」と紹介する。
「1兆7000億円とは、1万円札を積み上げると高さ17000メートルになる額だ。世界一高い山が8800メートルのエベレストなので、エベレストふたつ分の年金が1日にして消えたことになる。そういう政治を認めていいのか」
野田氏は中国海軍による日本への領海侵犯の際にも、集中豪雨などの災害の際にも、安倍政権は官邸を留守にしていたと、「安保優先」を口にしながら、実は常にゆるみっぱなしで空っぽな「安倍官邸」の実情を槍玉にあげた。
防衛省は15日、中国海軍の情報収集艦が同日未明、鹿児島県沖の領海に入ったと発表。中国軍艦による日本領海への侵入が確認されたのは、04年1月の原子力潜水艦による領海侵犯事件以来2度目。異例の事態であるといえる。しかし、野田氏は「領海侵犯があっても、総理も官房長官も官邸にいなかった」と述べ、安倍政権の危機管理能力不足を指摘する。
「何が安保か。危機管理ができていない。今、集中豪雨が九州を襲っている。常に危機感をもっていなければいけないが、官邸には総理も官房長官もいない日々が続いている。総理は選挙ばかりを優先している。これが国民の命を守る政権なのか!」
野田氏は、「野田政権では、常に午前中は閣僚が官邸にいた。どんな危機が起こるかわからないから、総理がいないときは官房長官が常に官邸にいた。歴代の自民党政権もそうしてきた。違うのは、安倍政権だけだ」と批判。「総理も官房長官も関係閣僚もいない。1兆の年金が雲散霧消しているときも、関係閣僚はいなかった。そんな政権にまだ期待するのか。政治を変えなければいけない」と聴衆に訴えた。
千葉選挙区(改選数3)には自民党、民進党ともに2人ずつ候補者を立てたほか、共産党も独自候補を擁立。無所属候補なども3人が立候補しており、8人が3議席を争っている。
民進党はもともと無所属だった水野賢一議員(旧みんなの党幹事長)を迎え、4月、小西氏とともに千葉選挙区に擁立することを決定した。票割れによる「共倒れ」も懸念されており、小西候補自身、「当落線上」の危機にあると自覚して選挙戦に臨んでいる。
IWJ特番で各選挙区事情を分析した元日経新聞記者の宮崎信行氏は、小西候補について、「今後の緊急事態条項をめぐる議論の中で最大の戦力になる方」であるとし、「今回の選挙で小西候補を当選させたかどうかは、100年後の歴史学者に検証されるかもしれない」と力説した。
千葉選挙区から出馬している自民党・猪口邦子議員は、上脇博之神戸大学大学院教授らが代表を務める「政治資金オンブズマン」によって、「政治資金規正法違反」の疑いで告発されている。
告発状によると、猪口議員が代表を務める政党支部から猪口議員本人に、計517万円の寄付が渡っているにもかかわらず、これが猪口議員の政治資金収支報告書には記載されていないという。猪口候補はまず、立候補届けを出すとともに、刑事告発までされているこうした疑惑に対して、きちんとした説明責任を果たすべきではないだろうか。