民進党・岡田克也代表の地元、三重選挙区で拮抗する「自民」vs「野党」の一騎打ち。32の一人区で野党統一候補が最後に調整された選挙区で、民進党の現職、芝博一氏が野党統一候補として立候補した。
2013年の参院選では、自民党が当時の民主党を約5万5千票上回った。今回の野党共闘で、共産党票が芝候補に流れれば、ギリギリの当確ラインに食い込む。芝氏の対抗馬となるのは自民の新人で、衆議院議員を7期つとめたベテラン、山本幸雄元自民党議員の地盤を引き継ぐ、山本さちこ氏だ。勝機はあるはず、である。
伊勢志摩サミットの舞台となった三重県に、今、自民党も候補者応援を集中投下しているという。なんとしても、落とすわけにはいかない、岡田代表のお膝元。2016年6月24日、野党統一候補の芝博一氏が近鉄津新町駅前で演説を行い、応援弁士に京都2区選出の前原誠司衆議院議員がかけつけた。
- 弁士 松田直久氏(民進党、衆議院議員)/岡歩美氏(市民連合みえ)/前原誠司氏(民進党、衆議院議員)/芝博一氏(参院選三重選挙区候補・現職)
- タイトル 参院選 民進党 三重選挙区 芝博一候補 街頭演説
- 日時 2016年6月24日(金)14:10〜
- 場所 近鉄津新町駅前(三重県津市)
「安倍さんは株価を吊り上げるため、皆さんの年金積立金140兆円の株式運用を50%に高めました。年金積立金は皆さんの将来の財源です。株のリスクは高いため、民主党政権時には25%に押さえていました。安倍政権は企業の利益にだけ目がくらんで、皆さんの将来を本当には考えていないのではないでしょうか」
この日、イギリスが国民投票によりEU離脱を決定した影響で円高が進み、日経株価が一日で1300円以上暴落した。株式市場という鉄火に投げ込んだ我々の年金資産の損失は、いったいどうなるのか。前原議員は、リスクの高い株式に年金積立金の50%を投じている安倍政権を批判した。
安倍政権は毎年7月上旬に公表している年金の運用実績を、今年は参院選後の7月末まで延期する決定をした。「選挙対策であり不誠実だ」という批判を浴び続けたが、選挙前の公開をかたくなに拒み続けてきた。すでに5兆円の損失が出ているのでは、とささやかれてきたが、それは今回の大暴落の前の話である。
どれほどの損失になるかわからず、この安倍政権による「年金博打」で損をしたツケは、また国民の税金で穴埋めさせようという算段である。無責任もいいところだ。株をやっていない大多数の国民には何の責任もなく、何の利益もなく、ただ損失補填の負担がツケ回しされるだけである。
伊勢志摩サミットの「成果」に釘をさした前原氏
前原氏は三重県を意識し、伊勢志摩サミットについても触れた。
「サミットに参加した国の中で経済成長率が一番低いのはどこか。残念ながら日本。経済の6割を占めるのが消費。消費力が全然高まらない状況を作り出しているのが、実はアベノミクスなんです」
「芝さんが負ければ、三重県民はアベノミクスを是認したことになります。憲法違反という疑いのある安保法制も強引に推し進める。安倍政治の暴走を止めようじゃありませんか。(岡田代表の地元、三重県での戦いは)他のどの都道府県よりもはるかに大きなインパクトを持つ一勝です」
候補者本人に劣らない演説をうった前原議員の後に、芝博一候補が登壇し、一票を呼びかけた。
「争点は大きくは2つ。市民の暮らしを守れるのか、70年間戦死者を出してなかった今の形での平和を守れるのかの戦いです。『アベノミクス』といわれて3年半。安倍政権も3年半。アベノミクスの加速をする、再稼働をするといっている、果たしてそれでいいのか。私は反対です。
アベノミクスはすでに失敗し、破綻をし、全国にその格差が広がっている。勝たせていただくことによって今の政治の流れを変えさせていただきたい」
株価の崩壊による損失ははかりしれない。最悪の場合、安倍総理は「リーマン・ショック級の経済危機が目前に迫っている」という現状認識をサミットの場で世界の首脳相手に示して、消費税増税を再延期し、この選挙に臨んだ。
しかし、リーマン・ショック並みの経済危機が本当に押し寄せた場合、年金資金を株式市場で運用していると、最大で約21.5兆円のマイナスが出ると、民進党の長妻昭氏の質問主意書に対し、安倍内閣は答弁書を閣議決定している。
どちらも、安倍総理自身が責任をもって発言し、決定し、決断したことだ。
だったらば、サミットのあの時点で、すぐさま年金資金の運用を見直すべきではなかったのか。これは重大な政治責任であろう。民進党も他の野党候補も、もっともっと安倍政権の、無責任きわまりない経済失政に対して、厳しく批判すべきだ。
このままでは、海外のタックスヘイブンに富を持ちだして租税逃れを行うような、一部の特権層を除いて、あとの大多数の国民は焼け野原となってしまう。