突然の大地震が九州を襲った。
2016年4月14日夜、熊本県益城町では最大で震度7が観測され、今も激しい余震が続いている。熊本県によると、5日午前2時現在で県内約350カ所に計約2万3千人が避難。家屋倒壊や火災も各地で発生し、怪我人も相次いだ。県内5カ所の主要病院だけで負傷者計約390人を受け入れているという。
いったい、この地震の正体は何なのか。IWJ代表・岩上安身は15日未明、関西学院大学災害復興制度研究所客員研究員で、4月9日に行われた「ロックの会〜IWJ Night」でも巨大地震に警鐘を鳴らした青木正美氏(医師)に見解をたずねた。
以下、青木正美氏のコメント。
「今回の熊本の地震は、内陸部の活断層の浅い部分が動いた模様です。日本列島の西部は大陸のユーラシアプレートの下に海のプレートであるフィリピン海プレートが潜り込んでゆく構造になっています。
2つのプレートによる歪みが限界に達した時、陸のプレートが跳ね上がってプレート境界で起こるのが南海トラフ地震です。南海トラフ地震は約100年に一回の頻度で起こりますが、プレート境界で地震が起こる前には、圧迫された陸のプレート内で地割れのように断層が動き地震が起こります。
この陸のプレート内で起こる地震が浅い場所で何度も繰り返し起こった場所を「活断層」と呼びます。ですので南海トラフ地震の前には沢山の活断層性の地震が起こります。
日本列島を横断するように活断層が中部地方から四国・九州を貫いていますが、この活断層は『中央構造線』と呼ばれ、日本で最も大きい活断層と言われています。
今回の熊本の地震は、この『中央構造線』の一部である布田川断層と日奈久断層が動いたのではないかと思われています。今回、地震の深さが10kmと浅かったためマグニチュード6.5であっても大きな揺れとなりました。この断層は過去にも何度も動いている場所ですので、今後もしばらくは余震が続くのではないかと思われます。
一方でこの内陸地震は地震のメカニズムの観点から見れば、南海トラフ地震の存在を抜きには語れません。いつプレート境界型地震が起こるのか時期は定かではありませんが、今後も南海トラフ地震の発生に備えを万全にしておくべきと思われます。
また、伊方原発が中央構造線上にあります。ここも動く可能性があります。南海トラフ地震発生のリスクを鑑みて、伊方原発の再稼動はするべきではないと思います。
また震源地の近くの阿蘇山などの活火山では、陸のプレートに掛かっていた圧のバランスが変化するために、マグマの上昇の可能性があるため、十分注意を要します。
伊方原発は南海トラフ地震では震度6ぐらいの地震に見舞われると予想されます。津波も来ますが、南海トラフ地震の前に、大きな地震が来るのではないかと思われます。今回の熊本地震と同じメカニズムの活断層型地震です。
ロックの会では、南海トラフ地震によって直撃される代表的な原発として、伊方と浜岡の名前をあげましたが、浜岡の真下は、東海地震の震源域になります。この地震は、南海トラフ地震の一部なのです。浜岡原発の直下には、プレート境界があるのです。
伊方、浜岡、川内、玄海とも、再稼働の有無だけが問題なのではない。停止していても使用済み燃料があります。そのプールは原子炉建屋よりもはるかに脆弱な構造であり、再稼働を停めただけで満足してはならず、これから必ず起こる南海トラフ大地震に備えるには、乾式保存が必要。
ちなみにロックの会では南海トラフは100年以内と言いましたが、前回の南海&東南海地震が1944年と1946年でした。3枚揃わずに、しかも一年飛びで起こりました。でそれから70年経っていますので、約100年間隔でくるとしたら、残り時間は30年になります」
青木氏がロックの会で語った「南海トラフ地震」の脅威は、以下の動画からご覧いただきたい。公共性に鑑み、特別フルオープンで公開する。(フルオープンは終了しました)