「息子が晃華学園小学校2年の時、担任から暴行を受けた事実に、もはや疑いの余地はない」──原告の水岡不二雄氏は、息子の伶龍(れいりゅう)くんが教師から体罰を受けたことについて、裁判所が基本的に受け入れる方向で審議が進んでいることに期待を寄せた。しかし、水岡氏は伶龍くんと2年以上も会うことができずにいる。学校側が「父親が虐待している」と児童相談所に通報し、伶龍くんが「一時保護」されてしまったからだ。
2015年10月26日午前、東京都千代田区の東京地方裁判所において、晃華学園事件の第5回口頭弁論が行なわれ、続いて11時45分より、都内で報告会が行われた。
発端は、東京都調布市にあるカトリック系の私立晃華学園小学校で、教師による児童への体罰が頻発しているとして、被害児童の父親である水岡氏が学校に抗議したことに始まる。
水岡氏によれば、当時の校長は体罰を容認し、適切な対応を怠った上に、逆に「水岡氏が伶龍くんを虐待している」という「虚偽の通報」を児童相談所に行ったという。2013年5月、「一時保護」の名目で、学校側は親である水岡氏の同意なく、4年生になったばかりの伶龍くんを児童相談所へ引き渡した。
以後、水岡氏は息子がどこにいるのか知らされず、連絡や面会もかなわないままだ。この裁判で水岡氏は、伶龍くんを取り戻すこと、学校関係者の更迭、精神的苦痛を受けたことへの損害賠償を求めている。
報告会で、水岡氏の弁護人である南出喜久治弁護士は、「伶龍くんは児童相談所に一時保護されたが、もし、体に痣があることが理由であっても、まず、親に対して同意を求めるべきだ。過去に厚生労働省は(児童の一時保護について)『本来であれば同意が必要。例外として、同意を不要とする場合がある』という言い方をしていた。現在では、原則と例外の逆転運用がなされている。伶龍くんも、要件を満たさずに一時保護された。ここが最大の争点だ」と力を込めた。
さらに南出弁護士は、「児相には(児童の)『保護単価』というものがあり、収容期間や人数が伸びるほど予算がつくシステムに問題がある」と眉をひそめた。
そして施設内に子どもを長く収容するために、親子の面会や通信を制限し、子どもには「親が面会に来ないのは、君を見捨てたからだ」と説明していたケースも実際にあったという。
「ある時、静岡県と静岡市の2つの児相に対する証拠保全の申し立てが通り、さまざまな記録が表に出て来た。すると、厚労省は全国の児相に『今後、証拠保全が通っても、文書はないと言え』と指示した。隠蔽体質きわまれり、だ」。
そして、南出弁護士は「児相(児童相談所)の闇」という言葉を口にした。
「児童養護施設などでは、騒ぐ子どもに向精神薬を与えて、帰りたいと言わないようにしているところがある。厚労省、製薬会社、病院、児相、捜査を放棄した警察という5人組による、利権構造があるのではないか」
- 日時 2015年10月26日(月) 11:00(口頭弁論)〜、11:45(報告会)〜
- 場所 口頭弁論:東京地方裁判所(東京都千代田区)
- 報告会:LEN貸し会議室「虎ノ門天徳ビル」(東京都港区)
「息子が担任から暴行を受けた事実に疑いの余地はない」
報告会では始めに、南出弁護士が晃華学園との民事訴訟の弁論について、「晃華学園側の共同不法行為について、詳細に特定してほしいという要望があり、その準備書面を提出した。さらに、今までこちらから提出したすべての準備書面に対する認否・反論を、全被告に対して次回までに出させる。訴訟進行の基本的なスタンスは今日で決まった」と報告した。
学校関係書類の文書提出命令に対して、晃華学園は「内部文書だから、文書提出命令の対象となる法律文書には当たらない」との意見書を提出した。南出弁護士は、「臨時保護者会で校長が話した内容の報告文書だけは出す、と被告側から言ってきた。それ以外の文書は内部文書だと主張してきたが、これを容認するわけにはいかない」と述べた。
次に、水岡氏が裁判について、「息子の伶龍が担任によって暴行を受けたことについて、書面をすでに提出している。裁判所は、その書面を基本的に受け入れるということで審議が進んでいる。したがって、伶龍が酷い暴行を受けた事実に、もはや疑いの余地はないと認識している」と述べ、こう続けた。
「晃華学園は、学校教育法第11条の但し書き(児童への懲戒・体罰について)に違反する行為を行った。しかも当時の校長は、『それは指導である』と体罰を弁護しようとした。さらに、虚偽の虐待通告というとんでもないことを行った。これについては、すでに6月11日に主張書面を出しているが、今日に至るまで被告側はまったく反論してこない。
被告側は最近、準備書面を出してきた。所沢児童相談所が伶龍を拘禁したことは『学校とは関係がない』、伶龍が学校に行けなくても『学校の責任ではない』との主張をして開き直っている。許しがたい。訴訟になっているにもかかわらず、自らの非を認めようとしない晃華学園の悪辣なやり方に、改めて怒りを覚えている」
水岡氏は、校長らが悪意を持って児童相談所に息子を引き渡したことは、すでに立証されているとし、被告はそれを認め、しかるべき対応をとってもらいたいと要望。「息子が私のところに戻ってきて、再び晃華学園の友だちと一緒に勉強することができる状況を、1日も早く、学校の責任において作ることが必要。また、都合の悪い生徒に対して、同様の事件が起こる可能性が非常に高い。晃華学園が『それは違う』と主張するのであれば、まず、伶龍に対して、きちんとした誠意を見せる必要がある」と力を込めた。
「体に痣がある」それだけで親の承諾もなしに連れ去られた
伶龍くんが一時保護される前の休日に、水岡氏と伶龍くんは一緒に山歩きをしており、伶龍くんの体の痣はその時についたものだと、水岡氏は説明している。その痣を見つけた校長らが「父親による虐待」をでっち上げた、との主張だ。
南出弁護士は行政訴訟について、「争点は、一時保護の行政処分の効力だ。それが、相手方の同意を得ずにできるものか、どうか」と語る。仮に、子どもが倒れて救急搬送しなければならないという緊急事態などでは、本人の承諾なしにできる行為として認められているが、それは行政処分の権限関係なしに、一般の私人でもできる行為である。
「ところが本件の場合、伶龍くんは一時保護されたが、もし、体に痣があることが理由であっても、親に承諾を求める時間的猶予がまったくないという事案ではない。過去に厚生労働省が『本来であれば同意が必要で、例外として同意を不要とする場合がある』という言い方をしていたが、現在では、原則と例外の逆転運用がなされている。この一連の取り扱いの中で、伶龍くんも同じように、何ら適法な要件を満たさずに一時保護された。ここに最大の争点がある」
児童相談所が、学校側の虚偽通告を真に受けて一時保護をしたとしても、その後の調査に関して、まったく不作為状態だと南出弁護士は口調を強める。「伶龍くんの件だけではなく、児童相談所の運営自体に問題がある」。
児童福祉法33条の一時保護は、元々は戦争孤児や浮浪児の保護のため、法の規定自体が緊急事態だとして設けられたものである。南出弁護士は、戦争孤児も浮浪児もいなくなった今、その法律自体が合理的根拠を失っているとし、「にもかかわらず、国は法改正もせず、運用上でも原則と例外を逆転運用して、保護者の同意も得ずにどんどん一時保護していく。予算措置においても、保護単価制度で予算を拡大させ、児相権限を広げている。われわれは、これらを主張して訴えの追加変更をしている。それに対する埼玉県の答弁が主要な争点になる」と語った。
子どもが、どこの施設に収容されているかも不明
伶龍くんは現在、場所や名前を一切知らせない「非開示」の形で児童養護施設に収容されている。児童虐待防止に関する法律12条の3項で、非開示の決定が出ているからだ。しかし南出弁護士は、このケースは非開示の要件を満たさない、と言う。
「水岡さんが伶龍くんを連れて帰ると、また同じを虐待する恐れがあることが、非開示の前提でなければならない。ところが水岡さんは、埼玉家裁の審判で虐待を認定されていない。さらに、水岡さんの身分(一橋大学特任教授)や、私が代理人弁護士として対応していることもある。『虐待した児童を強引に取り返そうとする事実』はどこにあるのか。何ら理由がない」
埼玉県下にある児童福祉法人のどれかに、伶龍くんが収容されていると考えて、20の施設すべてを被告にして、訴えの変更をせざるを得ないと南出弁護士は言う。「訴訟進行上も不都合であるから、収容施設を開示すべきだと求めたが、国や県は首を縦に振らない。逆に、20も相手にするのはけしからん、という倒錯した主張をしてきた」。
次回、12月16日のさいたま地裁の弁論までに、国あるいは県がどういう認否・反論をするかを含めて、訴訟は次の段階に入る。南出弁護士は、だんだんと争点が絞り込まれてきているとし、「こちらとしては、20の養護施設全部を被告に追加して、伶龍くんの所在を特定していく方法をとらざるを得ない」と話した。
国連からも指摘されていた、児童相談所による子どもの権利侵害
この事件が起きる前の2010年、国連の「子どもの権利委員会」は、日本の子どもの権利状況をまとめた最終報告書で、「学校において行動面での期待を 満たさない児童が、児童相談所に送致されていることを、懸念をもって注目する」と指摘している。
水岡氏は、「国連の子どもの権利委員会では、日本の児童相談所が、時として子どもの権利を蹂躙しているという認識を、すでに持っている。チリのモーラス委員は、『保護の目的で、子どもや青少年の自由の剥奪が過度に用いられている。これは極めて憂慮すべき事態。したがって、子どもたちが児童相談所に行かなくてもいいためには何をするか、考えなければいけない』と発言した」と紹介した。
また、子どもの権利委員会は、「児童相談所には問題があるから、独立した第三者の調査機関を設置して問題点を検証させなさい」と日本政府への最終見解の中で述べている。
「児童虐待防止法、児童福祉法にも、子どもの権利条約違反が多数存在する。その違反について、どう考えているかという書面を出している。国から反論の書面は来ていない。児童虐待防止法62条を正面から踏みにじることを平気で行われていることを、国連という国際社会に問題提起していきたい」と水岡氏は力を込めた。
「児童相談所の実態は、児童収容所。騒ぐ子どもに向精神薬の投与も」
ガン検診の方も利権構造が出来上がってるみたい。
【「バリウム検査は危ない」の最新記事/国家プロジェクトで企業と共にガン検診率50%を目指す軍隊のような日本/放医研広報誌最新号で日本の医学教育課程で放射線基礎教育の機会が “ほぼゼロ” と判明】
https://www.youtube.com/watch?v=S8TPMNj9gHQ
2015/10/23 市民のためのがん治療の会・第4回講演会 ~がん検診を考える(動画)
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/271752