【大義なき解散総選挙・岩上安身のツイ録】アベノミクスは「成長戦略に偽造された、強者への不公正な分配」 ―本日16時より、『アベノミクスの終焉』著者 服部茂幸・福井県立大教授へ岩上安身がインタビュー! 2014.12.5

記事公開日:2014.12.5 テキスト
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特集 総選挙2014|特集 天下の愚策 消費税増税

※12月5日(金)の岩上安身の連投ツイートを再掲します。

「詐欺は、需要によって決定される」。つまり騙されたい人々の求めに応じて、詐欺師は現れるのだと、『熱狂、恐慌、崩壊ーー金融恐慌の歴史』の著者・チャールズ・キンドルバーガーは書く。

「ブームのときには、財産家となる人々が増え、誰もがだんだん欲張りになってゆき、詐欺師たちはこの欲張りを食い物にしようとして登場する。この状況は丸裸にされそうな羊がたくさんおり、腕のいい詐欺師が現れさえすればその犠牲になろうとしている、つまり『だまされやすい人が次々に生まれる』場面といってもよい」。この警句を冒頭に掲げて、安倍政権の経済政策を腑分けしてみせた『アベノミクスの終焉』の著者・服部茂幸・福井県立大学教授に、明日、インタビュー。

 今日は関西で、ある中堅企業の経営者の集まりに呼ばれて国内外の時事的テーマについて話し、大阪泊。明日、サンダーバードで、福井へ向かう。服部教授とはまったく面識がないのだが、その著書の筆致から、気骨の人、という印象を深くする。

「現在の異次元緩和も実際にはそれほどの効果をあげていない」と、服部教授は述べる。「この異常事態に気づかないとともに、それを隠蔽しているのは、政府・日銀であり、彼らに加担する経済学者である。逆に異次元緩和によって日本経済が復活を遂げていると思い込ませている」。

「アベノミクス前の日本経済は、欧米諸国と比べても、その回復は遅れていない。逆に異次元緩和開始後の経済成長率は、低迷している」と、意外な事実を服部教授は、指し示す。そして「ここから生じる自然な疑問は、異次元緩和には効果がないのではないかということであろう」と続ける。

「しかし、黒田=岩田日銀の下で経済成長率が低迷しても、単に無視される。低迷していることを認めても、その対策は追加の金融緩和となる。雨乞いで雨を降らせることができないならば、もっと強力な雨乞いを行えばよいのである。こうして雨乞い師の失敗は免責される。そして、異次元緩和に政策効果があるのかという根本的な疑問は無視される」。なぜ、そのような過ちの継続が起こるのか。「経済政策は政治の一環」だからだ、と服部教授は説く。

「力の強い少数者を利する政策は、しばしば政治的には有効な政策であろう。現在のアメリカの政治を動かしているのは、ウォール街の金融業者であるといわれている。アメリカの政策担当者と経済学者は彼らの利益を守ることによって、その影響力を確保している」。そして、こう続ける。「日本において、強力な少数者とは輸出関連の大企業である」。

「世論調査をみても、大多数の国民は、アベノミクスによる経済回復の実感はないと答えている」し、「経済データによっても、家計の状況が悪くなっていることは明らか」であり、しかも「国民の大多数は今後も賃金上昇が見込めないと答えている」。けれども!

「けれども、円安による輸出価格の上昇の結果、製造業の大企業の利益は急増した。それが本当に異次元緩和の成果だったのかは別として、有力な少数者の利益は結果的には守られた。こうして政策は続くのである」。アベノミクスは、「輸出企業に所得をシフトさせる分配政策」だったのだ。

 もちろん、多くの国民は事実を知れば、「こうした形の分配政策には反対するだろう」。だから、と続ける。「成長戦略に偽装することが必要であり、それによって国民の抵抗を受けることなく政策が可能となるのである」。成長戦略に偽造された、強者への不公正な分配こそ、その本質なのだ。

「リフレ派は日本経済の停滞は日銀の責任であると論じてきた。バーナンキを模範とし、異次元緩和を行えば、日本経済は復活すると論じた」。彼らリフレ派は、「異次元緩和かこれまでの日銀かという二者択一を迫った」。「ところが、異次元緩和が行われると、日本経済の成長率は低下した」。

「しかも、低い経済成長を支えるのは、政府支出と消費増税前の駆け込み需要である。政権担当者が宣伝するところと正反対に、実質賃金と家計の実質所得は急減している。消費者物価は上昇に転じているが、それは輸入インフレによる部分が大きい」。

 つまり、「リフレ派の提起した二者択一もまた偽りだった」のだ。「リフレ派も日銀に入り込むことに成功した。現在の日本経済が低迷していても、さらなる緩和を行えば、(少なくとも一時的には)異論を封じ込めることができるであろう」。まるで、ドーピング依存である。

「偽りの二者択一の政治的効果は大きい」。しかし、服部教授は、こう結論をくだす。「我々経済学者がすべきことは、政治のレトリックに加担することでなく、本当は何が起きているか明らかにすることであろう」。ジャーナリストもまた、しかり。選挙の前に、可能な限り明らかにする。

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