「これからが本格的戦いだ。電磁波、環境影響、軍人・軍属の事件事故などが懸念される」――。米軍Xバンドレーダー基地反対・京都連絡会共同代表の大湾宗則氏は力を込めた。
京都府京丹後市経ヶ岬の米軍Xバンドレーダー基地建設現場に、10月21日、地元住民らの反対にもかかわらず、レーダー本体が搬入された。12月には本格的な運用が始まる予定だ。
2014年11月1日(土)、京都市東山区の東山いきいき市民活動センターで、「米軍Xバンドレーダー基地反対 11.1京都集会 ~これまでの闘いとこれからの展望~」と題した集会が行なわれた。米軍基地建設を憂う宇川有志の会の永井友昭氏による現地の最新報告をはじめ、各地で反対運動を続けてきた人々が、これからの活動について率直な意見をぶつけあった。
同連絡会共同代表の上岡修氏は、「レーダー基地建設に際して、正しい環境影響調査は一切していない。電磁波の照射コースが民家を横切る前例は聞いたことがない。人間や漁場への影響は不明だ」と述べ、レーダーの影響を危惧した。
また、レーダー搬入に伴い、米軍関係者が続々と現地入りしているが、10月27日未明、同市弥栄町黒部の国道で米軍の軍属男女2名が乗った車両が電柱に衝突する事故を起こしている。この事故について、永井友昭氏は「毎日新聞と京都新聞が小さな記事を掲載しただけ」と話し、詳細を把握しようとしない京都府と京丹後市の消極性に憤りを見せた。
- レーダー搬入反対闘争の報告(映像と説明)
- 提起 大湾宗則氏(米軍Xバンドレーダー基地反対・京都連絡会共同代表)/討論
- 現地報告 永井友昭氏(米軍基地建設を憂う宇川有志の会事務局長)
- アピール NO BASE 沖縄とつながる京都の会/「若狭の家」運営委員会
ついにXバンドレーダーが搬入、直後に米軍車両の交通事故も
冒頭、米軍Xバンドレーダー基地反対・京都連絡会共同代表の上岡修氏が、「10月21日早朝、小松基地からXバンドレーダーが搬入されてしまった」と口火を切った。そして、レーダー搬入反対闘争の9・28全国集会、10月7日と18日に行なわれた現地での抗議デモの様子をビデオで上映した。
また、司会を努める池田氏が「10月27日未明、京丹後市弥栄町黒部で米軍車両が電柱にぶつかる事故を起こした。今、周辺の騒音も問題になっている」と現状に触れた。続いて、同会共同代表の大湾宗則氏がマイクを握った。
電磁波、環境影響、米軍の事件事故など問題山積
大湾氏は、Xバンドレーダー基地反対運動をする仲間たちをねぎらい、韓国で米軍基地に反対する人たちと京大でシンポジウムを開催したことを報告。「国際連帯も強固になった」と述べて、次のように続けた。
「安倍首相は、慰安婦問題、教科書問題、竹島問題で近隣諸国を刺激し、日本のアジア外交を脅かしている。北朝鮮とマッチポンプで集団的自衛権を閣議決定し、特定秘密保護法案も(12月10日に)施行になる」
Xバンドレーダー本体は搬入されてしまったが、これからが本格的戦いだとする大湾氏。「電磁波、環境影響、軍人・軍属の事件事故などが懸念される。一方、米軍の現地対策マニュアルは、友だち作戦、微笑み作戦、ボランティア活動(海岸の掃除、無料の英会話教室開催など)、町の祭事への参加などを指示している」と話し、このような対応では住民の不安は解消されないことを示唆した。
その上で、「米軍の基準は自国の国益しかない。京丹後市民が願う安心、安全とは一致しない。住民が反対を続けるためには、米軍基地に依存しなくても生活していけるバックアップを確認しておかなければならない」と語った。
「断固反対」の住民がいない。もっと広報活動を
再び上岡氏がマイクを握り、「正しい環境影響調査は一切していない。電磁波の照射コースが民家を横切る前例は聞いたことがない。人間や漁場への影響は不明だ」と懸念を語った。
続く意見表明では、反対運動をしている市民たちが順次登壇した。最初の登壇者は、住民独自の電磁波測定や、国際世論に訴えるインターネットでの反対署名収集、安倍政権の支持率を下げる方法、基地反対意志の米軍への周知活動などのプランを語った。
現地を訪問し、住民への説明活動をしているという2人目の発言者は、「有事の際、沖合が戦場になるにもかかわらず、住民の中には『道路が良くなる』と基地を歓迎する意見もある」と述べ、さらなる反対運動の必要性を訴えた。
京都、大阪市民もほとんど知らない京丹後の現状
次の発言者は「兵庫県西宮市では、朝鮮戦争前に起きた米軍戦闘機同士の墜落事故の記録が抹消されていた。現在も似た状況で、情報がまったくないのが心配だ」と述べた。最後の発言者は「戸別訪問をすると、米軍基地に断固反対という住民がいない」と語り、広報活動の必要性を強調した。
さらに会場からは、「アメリカは、水質や景観など15項目にわたって調査し、その結果から基地プランを立てる。しかし、その環境調査基準に基づいて、日本側で調査を行なった様子はない」。「自分たちも、もっと京丹後の美しさを知るべきだ。一番の問題は、京都や大阪の市民がこの問題をほとんど知らないこと」との意見も寄せられた。
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