【福島県知事選】前岩手県宮古市長の熊坂氏「国策として原発政策を推進してきた国の責任を問い、言うべきことは言っていく」 2014.8.29

記事公開日:2014.9.5取材地: テキスト動画
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(文 IWJテキストスタッフ・富山)

 東日本大震災と福島第一原発事故後、初めてとなる福島県知事選挙への立候補を表明している、前岩手県宮古市長で医師の熊坂義裕氏が、2014年8月29日、福島市の福島市文化センターで政策発表会を行った。

 福島市出身の熊坂氏は、原発被害対策の抜本的見直し、原発に依存しない社会づくりなどの政策を公表。政党の支援を受けず、無所属で選挙に挑むとしている。福島県知事選挙は10月9日に告示、10月26日に投開票を迎える。

■全編動画 ※ 録画開始後、19分後ごろに再開します。

25分~ 主催挨拶/31分~ 熊坂氏政策発表/1時間6分~ 質疑/1時間38分~ 音楽演奏/1時間45分~ 主催から
  • 日時 2014年8月29日(金)
  • 場所 福島市文化センター(福島県福島市)
  • 主催 ふくしま県民のわ・ネットワーク

福島の大変さは「半端じゃない」

 はじめに熊坂氏は、3.11の震災から3年5ヵ月を振り返り、自らも岩手県宮古市で被災し、多くの知人を失ったこと、実父の住む福島と宮古を往復する中で、故郷の福島の被害の大きさを実感したことなどを述べた。

 震災後、自身が立ち上げた24時間無料電話相談「よりそいホットライン」に寄せられる被災地からの相談でも、「特に、福島県からの相談は非常に深刻で、なかなか解決策が見つからない」という。

 熊坂氏は、さまざまな要因や制度の問題から、復興が前進しない現状を痛感していると言い、「私の、(宮古市の)市長として12年、医師として36年の経験と、ふるさと福島への思いを皆さんにわかっていただき、福島県を牽引できる立場にさせてもらえたなら、私はすべての人生を懸けてがんばりたい」と決意を表明した。

福島の未来へ向けたビジョンと4つの基本政策

 続いて、熊坂氏は「新しい福島 創生ビジョン」と題して、「県民のいのちとくらしを最優先し、被災地に寄り添う優しい福島」「少子・高齢化への対応を急ぎ、未来への希望を描ける明るい福島」「持続可能な環境と経済を支える、産業と雇用を生み出す強い福島」というビジョンを掲げ、それに基づいた4つの基本政策を示した。

 基本政策のひとつ目は「原発被害対策の総見直し」。熊坂氏は、国策として原発政策を推進してきた国の責任を問い、「言うべきことは言う」と述べた。その上で、原発事故子ども・被災者支援法の理念に則り、放射線を避けて暮らす権利を保障すること、定期的な健康診断や必要な処置にかかる費用は、国が全額を賄うことを求めると話した。

 さらに、原発事故に関するあらゆる情報開示の徹底や、環境回復対策として放射性廃棄物の中間貯蔵施設の問題、除染の継続についても触れた。また、避難者および帰還者の生活再建支援として、避難者向けの復興公営住宅の整備を急ぐという。

 2つ目に「原発に依存しない経済社会づくり」を掲げ、福島県を脱原発の世界モデルとして、卒原発社会、再生可能エネルギーへの転換を促進し、長期的な視点で研究開発を進めていく方向を示した。

福島県内では少子高齢化に拍車がかかる

 3つ目は「高齢・少子社会への対応強化」。震災後、特に少子高齢化の傾向が強まっている福島県において、子どもを産み、育てるための環境整備を早急に行う必要があると強調し、子ども医療センターの整備や18才以下の医療費負担軽減の継続、地域包括ケアシステムの確立を目指すことを示した。

 4つ目の政策は「未来につながる産業・雇用創造」。福島での多角的な産業振興を実現するために、再生可能エネルギー関連産業の誘致・育成、農林水産業の再生と農産物のブランド化、6次産業化を挙げた。また、「卒原発型産業構造」の構築の必要性を訴え、「魅力ある福島の創造」の一環として、県が率先して有能な女性を幹部として登用し、多様な働き方を発信すると述べた。

 熊坂氏は「原発に依存しなくても、地域内に仕事があり、お金が回り、新しい地域コミュニティが創造されるような福島を作り上げたい」とし、さらに、医療関連産業の集積も目指すと述べた。

 熊坂氏は、これらの政策の実現には、国と県民の協力が不可欠であるとし、「国に対して、主張すべきは主張し、国と県は応分の負担をして、財源の目処をつけていく」と語った。

 また、各政策の実施時期については、「3年後には、この『新しい福島 創生ビジョン』実現に向けて、着実なスタートが切れるようにして、10年先を目処に実現できるよう、汗をかいていく」と意欲を見せた。

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