2014年8月6日――原爆が投下され、69年目の朝を迎えた広島は、大雨洪水警報が発令され、強い雨に見舞われていた。
平和記念公園で開催された原爆死没者慰霊式・平和祈念式には安倍総理のほか、米国のケネディ駐日大使など、68カ国の代表らも参列。雨の中の式典開催は43年ぶりだが、約4万5千人もの市民が参列した。
(IWJ・原佑介)
特集 戦争の代償と歴史認識
2014年8月6日――原爆が投下され、69年目の朝を迎えた広島は、大雨洪水警報が発令され、強い雨に見舞われていた。
平和記念公園で開催された原爆死没者慰霊式・平和祈念式には安倍総理のほか、米国のケネディ駐日大使など、68カ国の代表らも参列。雨の中の式典開催は43年ぶりだが、約4万5千人もの市民が参列した。
記事目次
■ハイライト
広島市の松井一実市長は式典で、複数の被爆者の体験談を交え、核兵器を「絶対悪」と表現した「広島平和宣言」を読み上げた。
「当時12歳の中学生は『今も戦争、原爆の傷跡は私の心と体に残っています。同級生のほとんどが即死。生きたくても生きられなかった同級生を思い、自分だけが生き残った申し訳なさで張り裂けそうになります』と語ります。辛うじて生き延びた被爆者も、今なお深刻な心身の傷に苦しんでいます」
さらに、「『本当の戦争の残酷な姿を知ってほしい』と訴える原爆孤児は、廃墟の街で、橋の下、ビルの焼け跡の隅、防空壕などで着の身着のままで暮らし、食べるために盗みと喧嘩を繰り返し、教育も受けられず、ヤクザな人々のもとでかろうじて食いつなぐ日々を過ごした子どもたちの暮らしを語ります」と、原爆投下後の広島における凄惨な実態を紹介した。
その上で松井市長は、「子どもたちから温かい家族の愛情や未来の夢を奪い、人生を大きく歪めた『絶対悪』をこの世からなくすためには、脅し脅され、殺し殺され、憎しみの連鎖を生み出す武力ではなく、国籍や人種、宗教などの違いを超え、人と人との繫がりを大切に、未来志向の対話ができる世界を築かなければなりません」と展開した。
続けて、松井市長は、「その『絶対悪』による非人道的な脅しで国を守ることを止め、信頼と対話による新たな安全保障の仕組みづくりに全力で取り組んでください」と政府に提言し、憲法に言及した。
「唯一の被爆国である日本政府は、我が国を取り巻く安全保障環境が厳しさを増している今こそ、日本国憲法の崇高な平和主義のもとで69年間戦争をしなかった事実を重く受け止める必要があります。
今後も名実ともに平和国家の道を歩み続け、各国政府と共に新たな安全保障体制の構築に貢献するとともに、来年のNPT(核不拡散条約)再検討会議に向け、核保有国と非核保有国の橋渡し役として、NPT体制を強化する役割を果たしてください」
7月1日に閣議決定された「集団的自衛権の行使容認」問題に触れるかが注目されたが、現行憲法のもとで69年間戦争しなかった事実を受け止める必要がある、と牽制するにとどまった。
(…会員ページにつづく)
被爆69年にもなって日本は何をやっているのか。フクイチではいまだ高レベルのごみの片付けの真っ最中、あ~
去年もそうだったが、核兵器の廃絶には言及するが原発の廃絶には言及できない首長の限界を情けなく感じてしまう