日刊IWJガイド・非会員版「パンドラの箱は開けられた! ウクライナのATACMS攻撃のもう一つの災厄はNATOによるロシア領カリーニングラード奪取だった!?」2024.11.21号~No.4385


┏━━【目次】━━━━
■はじめに~パンドラの箱は開けられた! ウクライナによるATACMS攻撃の災厄はNATOとロシアの直接対決だけではなかった! もう一つの災厄はNATO(ポーランド)による、ロシア領カリーニングラード奪取だった!?

■8月から始まったIWJの第15期も、11月で4ヶ月目に! IWJの財政状況は未達続きでピンチです! 11月からは支出をさらに削り、ご寄付・カンパの月間目標額を400万円から350万円に下げさせていただきます!「IWJしか報じていない情報」自体は激増中です! 目標を達成できるように、ぜひ、ご支援をお願いいたします!

■【中継番組表】

■<昨日20日に号外を出しました!>「レームダック状態のバイデン政権が暴走! 長距離ミサイルでのロシア攻撃を初許可! 欧米対ロシアの直接対決の構図を作り、第3次世界大戦へ世界を誘導! 政治アナリスト、コリブコ氏が『正念場』だと警鐘!」を出しました!

■<第2次トランプ政権閣僚人事・続報・ロバート・F・ケネディ・ジュニア氏(後編)>ロバート・F・ケネディ・ジュニア保健福祉長官が誕生したら? トランプ氏は、ケネディ氏に政権内の保健・食料政策を「自由に(go wild)」任せると約束! ケネディ氏は、保健福祉省を組織的腐敗から切り離し、科学を歪めている腐敗を一掃すると公言! 米国の「実存的」課題である慢性疾患の流行を阻止すると約束! ケネディ氏は議会の承認を勝ち取り、「産業界と政府間の『回転ドア』を止める」ことができるか?

■【本日のニュースの一撃!】

■【第1弾!在日米軍が司令部を横田基地から、市谷の防衛省まで4キロの六本木へ移転検討!「日米司令部統合」という名の従属体制の強化と可視化が進む!】(『スターズ・アンド・ストライプス』、2024年11月12日ほか)
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■はじめに~パンドラの箱は開けられた! ウクライナによるATACMS攻撃の災厄はNATOとロシアの直接対決だけではなかった! もう一つの災厄はNATO(ポーランド)による、ロシア領カリーニングラード奪取だった!?

 昨日もお伝えしましたが、バイデン大統領が、ウクライナ軍にATACMSシステムの使用を許可し、ウクライナ軍は19日未明、即座に、これを使用して、ロシア西部のブリャンスク州を攻撃しました。

※はじめに~ウクライナ軍が、米国製ATACMSミサイルでロシア領内を攻撃したことが明らかに! 一方、プーチン大統領は改定した核ドクトリンに署名!「ロシアが核保有国に支援された非核保有国によるいかなる攻撃も共同攻撃と見なす」との内容は、米国がウクライナに許可したATACMSミサイルでのロシア攻撃に該当! 退陣間際のバイデン政権が、停戦を公約に掲げたトランプ氏を選んだ直近の大統領選で示された「現在の民意」を踏み躙り、ウクライナ紛争の火に油を注いで、核戦争の危機に! スロバキアのフィツォ首相は、「和平交渉を妨害し、遅らせる試みだ」と非難!(日刊IWJガイド、2024年11月20日)
会員版 https://iwj.co.jp/wj/member.old/nikkan-20241120#idx-1
非会員版 https://iwj.co.jp/info/whatsnew/guide/54133#idx-1

 プーチン大統領は、バイデン大統領のATACMS使用許可に対応して、「改訂『核抑止力分野における国家政策の基礎』(いわゆる核ドクトリン)に、19日、署名しました。

 プーチン大統領が署名した、改訂核ドクトリンのポイントは、2つあります。

 第1に、「ロシアまたは同盟国ベラルーシに対する通常兵器攻撃が主権および領土の保全に重大な脅威をもたらす場合、核攻撃を検討する」ことです。

 これまでの2020年の核ドクトリンは、敵国による核攻撃や国家存続を脅かす通常兵器攻撃があった場合にのみ、ロシアが核兵器を使用するとしていました。

 20日付『ロイター』は、「大局的に見れば、ロシアは通常兵器による攻撃に対する核攻撃の閾値を引き下げたことになります」というハンブルク大学平和研究安全保障政策研究所のシニアリサーチャーであるアレクサンダー・グレーフ氏の見解を紹介しています。

※Putin issues warning to United States with new nuclear doctrine(ロイター、2024年11月20日)
https://www.reuters.com/world/europe/putin-issues-warning-us-with-new-nuclear-doctrine-2024-11-19/

 第2のポイントは、「(米英仏など)核保有国の関与または支援を受けた非核保有国によるロシアへの攻撃は、ロシア連邦への共同攻撃と見なされる」ということです。

 これは、米国のATACMSや英仏のストーム・シャドウ(フランス名:SCALP-EG)を使用したウクライナのロシアへの直接攻撃は、米英仏ウクライナによる共同攻撃とみなし、その反撃は共同攻撃国にも及ぶ、ということです。しかも、ロシアは核による反撃を排除していません。

※Putin lowers threshold of nuclear response as he issues new warnings to the West over Ukraine(AP、2024年9月26日)
https://apnews.com/article/russia-nuclear-doctrine-putin-aggressor-fd2f2664c2589cdadfe84bd0bdb7275e

※Песков: РФ может ответить на использование Украиной западных неядерных ракет(タス、2024年11月19日)
https://tass.ru/politika/22439929

 このロシアの改訂核ドクトリンは、ウクライナ軍によるATACMSのロシア攻撃に対して、ロシアの核兵器による反撃を可能にするものです。

 しかも、その反撃先は、ウクライナと、その共同攻撃国である米国が含まれます。

 これは、ウクライナ紛争の本質を変えるものです。ウクライナ対ロシアという構図から、米英仏を中心とした西側諸国対ロシアという構図です。

 第3次世界大戦が、間近に迫っています。

 国内外の大手メディアも、昨日(11月20日)いっせいに、ウクライナによるロシアへのATACMS攻撃を報じました。

※ウクライナ高官も攻撃認める 米製ミサイル、ロシア西部に(共同通信、2024年11月20日)
https://www.47news.jp/11791140.html

※ウクライナ、米製長距離弾でロシア攻撃 侵攻から1000日目(ロイター、2024年11月20日)
https://jp.reuters.com/markets/japan/funds/NDHGRIVJRFPMFEGYNDAYK2XIDA-2024-11-19/

※“ウクライナ軍がATACMSでロシア西部を攻撃” ロシア国防省(NHK、2024年11月20日)
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20241119/k10014643621000.html

※ウクライナ、米供与の長距離ミサイルで初めてロシア領攻撃(ウォールストリート・ジャーナル、2024年11月20日)
https://jp.wsj.com/articles/ukraine-uses-u-s-provided-long-range-missiles-in-russia-for-first-time-c15b8d12

※ウクライナが米の長射程ミサイル使用か ロシア「迎撃した」と主張(朝日新聞、2024年11月20日)
https://digital.asahi.com/articles/ASSCM525QSCMUHBI02TM.html

 こうした中、東大先端研の准教授、小泉悠氏は、20日付『朝日新聞』に、以下のようなコメントを寄せています。

 「【視点】米国は当初、ATACMSの使用をクルスク州(ウクライナ軍の侵攻地域)に限るとしていたようですが、蓋を開けてみるといきなりクルスクとは全然別の場所がターゲットになりました。

 ちゃんと米国との調整の上でなのか、ウクライナが独断でクルスク以外に使用したのかが気になるところです。

 また、この攻撃の直後にロシアは『核抑止に関する国家政策の基礎』という文書の改訂版を公表しました。

 以前から予告していた通り、米国の軍事支援やそれを用いたロシア領内への攻撃が核使用の要件になりうるとの内容が追加されています。

 逆にいうと、ATACMSに対するロシアのエスカレーションは今のところ宣言政策の変更という形でなされており、実際の核使用に結びつくものではないように見えます(実際、HIMARSやウクライナ製ミサイル/ドローンによるロシア領内攻撃に対しても核で応じているわけではない)」。

※コメントプラス(朝日新聞、2024年11月20日)
https://digital.asahi.com/articles/ASSCM525QSCMUHBI02TM.html

 前段は、軍事の専門家のコメントとは思えません。長射程のミサイルは、米国の軍事衛星からの情報にもとづき、米軍が操作しなければ、発射できない、とされています。ウクライナ政府やウクライナ軍が、米軍の協力を得ずに発射できるものではないのです。

 クルスクを狙うならば、長射程のミサイルをわざわざ用いる必要はありません。これは、クルスク以外の、ロシア深部を狙った今回の攻撃を、ウクライナの暴走かのように表現し、米国のバイデン政権、あるいは米軍をかばいだてするための発言でしょう。

 後段は、ロシア側の対応は、『核抑止に関する国家政策の基礎』の改訂版の公表だけであって、「今のところ」実際の核使用には結びつかない、ということを述べています。これも、ATACMSによる攻撃のもたらす影響を、できるだけ低く、小さく見積もるためになされた発言です。

 自身の発言に「保険」をかけることの多い小泉氏は、今回の発言にも、「今のところ」と時間制約を付けています。まさに、これは、「今のところ」は、核使用に結びついていない、というだけのことなのです。

 この射程距離300キロのATACMSの攻撃が持つ意味は、「今後」、ロシアのブリャンスク(ウクライナ北部から約150km。軍需産業が集中する都市)や、ロストフ・ナ・ドヌー(東南部ウクライナ=ドネツク地方から約250km。ロシア軍の南部作戦司令部が所在)、ヴォロネジ(ウクライナ国境から約180km。軍事・産業の重要な拠点)、クリミア半島の軍事拠点(例:セヴァストポリ)など、ロシア領内の重要な軍事施設や補給路を効果的に攻撃できる能力を得た、ということです。ATACMSの使用制限の解除によって、戦況が大きく左右される可能性が出てきた、ということになります。

 こうした諸都市を、ウクライナ軍と米軍が攻撃する時間は、トランプ氏就任の1月20日まで、約2ヶ月間もあるのです。

 さらに、このATACMSの攻撃は、英仏が供与する長距離ミサイル、ストーム・シャドウ(フランス名:SCALP-EG)による攻撃をもうながすことでしょう。

 小泉氏のコメントは、現実を意図的に過小評価している点で、無責任です。

 パンドラの箱が、開けられたのです。

 この箱には、実は、NATO対ロシアの間で、核兵器の使用可能性が高まる、という危機の他に、もう一つ、深刻な災厄の種が入っています。

 それは、ロシアの飛び地、カリーニングラード(ドイツ名はケーニヒスベルクで、音楽家リヒャルト・ワーグナー、哲学者イマヌエル・カント、作家E.T.A.ホフマン、数学者ダフィット・ヒルベルトなどの著名人の住居もあった)のNATOによる占領の可能性です。

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 10月の1日から31日までの31日間、120件、314万5240円のご寄付・カンパをいただきました! これは月間目標額の90%にあたります。目標達成まで、10%に迫りました。ご支援いただいた皆さま、本当にありがとうございます!

 しかし、ご寄付・カンパの月間達成率は、8月は39%、9月は58%に続いて、10月も90%と目標額には到達しませんでした。3ヶ月連続の未達です。IWJの財政状況は、まだピンチが続いています。

 今月からは、より一層、支出を絞り、ご寄付・カンパの月間目標額を400万円から350万円に下げることといたしました。

 また、今月11月は、18日までの18日間で、38件、44万6000円のご寄付・カンパをいただきました。ありがとうございます! この額は、単独月間目標額350万円の13%にあたります。残りの10日で、月間目標額の87%を集めないと目標に未達となってしまいます! すでに現時点で見通しが厳しくなっています!

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 岩上安身拝

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◆中継番組表◆

**2024.11.21 Thu.**

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◆中継番組表◆

**2024.11.22 Fri.**

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自民党は39人処分するだけで幕引きをはかる!?「裏金問題はまだ始まったばかり」! 自民党議員らと岸田総理と後援会を次々と刑事告発!~岩上安身によるインタビュー 第1153回ゲスト 神戸学院大学法学部・上脇博之教授 2024.4.5
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「1994年の政治制度改悪が裏金作りを生み『米国の利益のための戦争をする国作り』に直結した!」~岩上安身によるインタビュー 第1154回ゲスト 神戸学院大学法学部・上脇博之教授 2024.4.18
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「『パンデミック合意』の中身は遺伝子製剤を使った儲け話の分け前。世界の保健とか、健康とか、ましてや命の話ではない! WHOは反社! 邪悪そのもの!! しかも日本はその主犯! WHOの親善大使・武見敬三氏が厚労大臣になって、バリバリ進めた!!」作られたパンデミックである「プランデミック戦争」から日本人の命を守るには!?~岩上安身によるインタビュー 第1167回ゲスト 立憲民主党・原口一博衆議院議員 2024.10.3
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/524918

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■<昨日20日に号外を出しました!>「レームダック状態のバイデン政権が暴走! 長距離ミサイルでのロシア攻撃を初許可! 欧米対ロシアの直接対決の構図を作り、第3次世界大戦へ世界を誘導! 政治アナリスト、コリブコ氏が『正念場』だと警鐘!」を出しました!

 17日、「(バイデン大統領が)ロシアのクルスク地方(を侵攻しているウクライナ軍)部隊の防衛のため、ウクライナ軍に(長射程の地対地ミサイル)ATACMSシステムの使用を初めて許可した」と『ニューヨーク・タイムズ』が報じました。

 ウクライナ軍が、米国の許可と米軍の協力を得なければ使うことのできないATACMSをロシアに向けて発射する、ということは、米軍が事実上、ロシアを直接攻撃することになり、米露直接対決のステージが開幕したことを意味します。

 バイデン大統領自身も、ウクライナ紛争が勃発してから、激しくロシアとプーチン大統領を非難してきましたが、同時にロシア国内の奥深くを攻撃できる長距離射程の兵器を、ウクライナに供与しているものの、ロシア国内への使用は認めないと発言してきました。なぜならば、それは米露の直接対決を意味し、「第3次世界大戦となる」と、自身で何度も釘をさしてきたのです。

 それだけの危機認識があったのにもかかわらず、政権末期になって、紛争をエスカレートさせて、次のトランプ政権が公約に掲げてきた、停戦の実現をしようとしているとか、思えない暴挙です。

※はじめに~『ニューヨーク・タイムズ』が「バイデン政権が、米国製長射程ミサイルでロシア国内を攻撃することを、ウクライナに許可した」と報道! ウクライナ支援を制限し、停戦を公約に掲げているトランプ氏就任前に最後の悪あがきか!? ただし、ホワイトハウス、米国務省、米国防総省とも、公式な発表は何もなく、真偽は不明! 事実なら、ウクライナ対ロシアの構図から、欧米対ロシアの戦争に発展! こんな卑劣な大統領は前代未聞! バイデンこそ戦争犯罪者であり、訴追すべきではないのか!?(日刊IWJガイド2024.11.19号)
会員版 https://iwj.co.jp/wj/member.old/nikkan-20241119#idx-1
非会員版 https://iwj.co.jp/info/whatsnew/guide/54131#idx-1

 19日、ロシア国防省は「ウクライナ軍は、ブリャンスク地域でATACMS(エイタクムス)弾道ミサイル6発による攻撃を開始したが、防空システムが攻撃を撃退した」と報告しました。

 プーチン大統領は、同19日、即座にロシアの核ドクトリンの改定を承認しました。

※はじめに~ウクライナ軍が、米国製ATACMSミサイルでロシア領内を攻撃したことが明らかに! 一方、プーチン大統領は改定した核ドクトリンに署名!「ロシアが核保有国に支援された非核保有国によるいかなる攻撃も共同攻撃と見なす」との内容は、米国がウクライナに許可したATACMSミサイルでのロシア攻撃に該当! 退陣間際のバイデン政権が、停戦を公約に掲げたトランプ氏を選んだ直近の大統領選で示された「現在の民意」を踏み躙り、ウクライナ紛争の火に油を注いで、核戦争の危機に! スロバキアのフィツォ首相は、「和平交渉を妨害し、遅らせる試みだ」と非難!(日刊IWJガイド2024.11.20号)
会員版 https://iwj.co.jp/wj/member.old/nikkan-20241120#idx-1
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 バイデン大統領の後継者として、2024年の大統領選挙を戦ったカマラ・ハリス副大統領が、トランプ氏に敗北したことで、バイデン政権は事実上のレームダック状態に陥っています。

 トランプ陣営は、矢継ぎ早に第2次トランプ政権を担う閣僚人事を発表し、バイデン政権のウクライナ支援政策に反対してきた人物を次々と登用しています。しかし、連邦議会の承認が必要な人事もあります。

 レームダック化したバイデン政権とはいえ、まだ1月のトランプ政権発足までは2ヶ月を残しており、米国における権力の移行期に何が起こるのか、世界は非常に危険な時期に差し掛かっています。後の責任はもう知らない、といわんばかりのバイデン大統領のふるまいは、世界をあえて第3次世界大戦に誘導しようとしているかのように見えます。

 モスクワを拠点としながら、多極化への世界的な体制移行を専門に研究している米国の政治アナリスト、アンドリュー・コリブコ氏は、18日、「正念場 – ウクライナが西側の長距離ミサイルを使用した場合、ロシアはどのように対応するか?」を『サブスタック』で公開しました。

※The Moment Of Truth: How Will Russia Respond To Ukraine’s Use Of Western Long-Range Missiles?(Andrew Korybko’s Newsletter、2024年11月18日)
https://korybko.substack.com/p/the-moment-of-truth-how-will-russia

 コリブコ氏の、「正念場 ― ウクライナが西側の長距離ミサイルを使用した場合、ロシアはどのように対応するか?」の全文仮訳を、号外としてお送りしました。ぜひIWJの会員となって、号外で全文をお読みください。

■<第2次トランプ政権閣僚人事・続報・ロバート・F・ケネディ・ジュニア氏(後編)>ロバート・F・ケネディ・ジュニア保健福祉長官が誕生したら? トランプ氏は、ケネディ氏に政権内の保健・食料政策を「自由に(go wild)」任せると約束! ケネディ氏は、保健福祉省を組織的腐敗から切り離し、科学を歪めている腐敗を一掃すると公言! 米国の「実存的」課題である慢性疾患の流行を阻止すると約束! ケネディ氏は議会の承認を勝ち取り、「産業界と政府間の『回転ドア』を止める」ことができるか?

 トランプ次期大統領が、ロバート・F・ケネディ・ジュニア氏を保健福祉長官に指名した件の続報です。

 仮にケネディ氏が保健福祉長官として承認されれば、世界最大の公衆衛生機関群(食品医薬品局、疾病予防管理センター、国立衛生研究所、メディケア・メディケイドサービスセンターなど)と、その1兆8500億ドル(2024年実績)の予算、人件費なども含めれば、米国連邦予算の23.4%に当たる2.86兆ドルを管理することになります。

※Department of Health and Human Services (HHS)(USA Spending.gov、2024年11月17日閲覧)
https://www.usaspending.gov/agency/department-of-health-and-human-services?fy=2024

 トランプ氏は、ケネディ氏に政権内の保健・食料政策を「自由に(go wild)」任せると約束しました。

※Trump to select Robert F. Kennedy Jr. to lead HHS(Politico、2024年11月14日)
https://www.politico.com/news/2024/11/14/robert-f-kennedy-jr-trump-hhs-secretary-pick-00188617

 「ケネディ保健福祉長官」が担当することになる範囲は非常に広く、食品と医薬産業への影響は重大です。

 『ポリティコ』は、「これは、米国の幅広い産業の収益にとって大きな脅威となる可能性がある」「米国の企業権力者達は、国内で最も有名な民主党一族出身のワクチン反対活動家を、保健福祉省の責任者に据えたトランプの決定に、明らかに動揺している」と、煽るように報じました。

※Washington’s lobbyists are stunned Trump chose RFK Jr.(Politico、2024年11月15日)
https://www.politico.com/news/2024/11/15/industry-rfk-donald-trump-hhs-00189674

 米国では、慢性疾患が蔓延しています。特に若年層の慢性疾患は、重大な社会問題となっています。

 CDCは、2019年、18~34歳の成人における11種類の慢性疾患の有病率の中央値を49.4%と発表しました。若年層の米国民の2人に1人が、慢性疾患に病んでいるのです。一般財団法人国立医学情報センターが、CDCの報告を抄録しています。

 18~34歳の成人の53.8%(3980万人)が、11疾患のうち1つ以上を、22.3%が複数を有していました。11種類の慢性疾患とは、うつ病、関節炎、心臓病/脳卒中、慢性閉塞性肺疾患、癌、腎臓病、糖尿病、高コレステロール、高血圧症、喘息、肥満です。4人に1人は肥満(25.5%)で、5人に1人はうつ病、10人に1人が高血圧症という結果でした。

※18~34歳の成人における慢性疾患 – アメリカ、2019年(一般財団法人国立医学情報センター、2022年7月29日)
https://www.imic.or.jp/library/mmwr/21983/

 『CBS』によると、ケネディ氏は、11月2日、トランプ氏から「米国の慢性疾患の流行を終わらせるよう」に依頼された、と述べています。

 「(トランプ氏は)私に、この国の慢性疾患の流行を終わらせるよう依頼した。そして、2年以内に慢性疾患の減少について測定可能な結果を見たいと言った。それで私は、『大統領、そうします』と言った」。

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 第2次トランプ政権の人事の「当該分野で戦ってきた、あるいは苦しめられてきた人物」を登用するという方針は、まさに保健福祉の分野で巨大企業と行政を相手に戦ってきたケネディ氏の、保健福祉長官への指名に、最も鮮明に現れているといえるでしょう。

 IWJは、ケネディ氏が大統領選挙への出馬を表明した、昨年5月の歴史的な「ボストン・スピーチ」を仮訳・粗訳しています。この機会に、ぜひお読みください。

※【IWJ号外】ロバート・ケネディ・ジュニア氏が大統領予備選立候補発表後に行った、歴史的なボストン・スピーチをIWJが全文仮訳!(第1回)米国最良の精神は、アメリカ独立戦争の精神だった! 2023.5.26
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/516183

※【IWJ号外】ロバート・ケネディ・ジュニア氏が大統領予備選立候補発表後に行った、歴史的なボストン・スピーチをIWJが全文仮訳! (第2回)企業権力と国家権力の癒着が「分断」を生む! 2023.6.2
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/516354

※【IWJ号外】ロバート・ケネディ・ジュニア氏が大統領予備選立候補発表後に行った、歴史的なボストン・スピーチをIWJが全文仮訳!(第3回)父のエピソードから、米国民に真実を伝えようとする! 2023.6.17
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/516665

※【IWJ号外】ワクチン懐疑派として知られる米民主党のロバート・ケネディ・ジュニア氏が、米大統領選に出馬を表明! 軍産とバイデン政権の癒着を批判、ウクライナへの関与は「米国の国益にならない」! 2023.4.22
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/515627

■【本日のニュースの一撃!】

■【第1弾!在日米軍が司令部を横田基地から、市谷の防衛省まで4キロの六本木へ移転検討!「日米司令部統合」という名の従属体制の強化と可視化が進む!】(『スターズ・アンド・ストライプス』、2024年11月12日ほか)

 11月12日付の米軍準機関紙『スターズ・アンド・ストライプス』が、重要な記事を配信しました。

 在日米軍(USFJ)が、その一部機能(15日付『読売新聞』は司令部機能と報じています)を、横田基地から、東京六本木にある赤坂プレスセンター(現地では「ハーディ・バラックス」とも呼ばれる)に移転する可能性があると報じたのです。

 赤坂プレスセンターは、敷地内にモラール(士気)・福祉・レクリエーション施設が併設された、複合施設です。

 同施設には、海軍研究所(Office of Naval Research)を含む、いくつかのテナント機関が入っており、1952年から、米軍の準機関紙『スターズ・アンド・ストライプス』の本拠地でもあります。

※US Forces Japan scouts central Tokyo property ahead of major command overhaul(スターズ・アンド・ストライプス、2024年11月12日)
https://www.stripes.com/theaters/asia_pacific/2024-11-11/usfj-restructure-akasaka-press-center-15819793.html

※在日米軍司令部、横田基地から都心に移転案…自衛隊との連携円滑化狙い・六本木の米軍用地が候補か(読売新聞、2024年11月15日)
https://www.yomiuri.co.jp/politics/20241115-OYT1T50030/

 12日付『スターズ・アンド・ストライプス』は、次のように、報じています。

 「在日米軍(U.S. Forces Japan: USFJ)は、東京の中央にある施設、特に『スターズ・アンド・ストライプス・パシフィック』の本部が含まれる複合施設を利用する可能性がある。

 この情報は、同新聞が入手したもので、USFJが西東京の郊外からの移転を検討していることと関連している。

 USFJは、2023年7月に国防総省が発表した計画の一環として、日本の自衛隊との関係をより密接にするために、統合部隊司令部へと組織を再編している。

 この再編計画の中で、東京西部の横田基地から、東京都心の六本木地区への一部機能の移転が検討されている。移転が実現すれば、日本の防衛省が位置する市ヶ谷まで約2.5マイル(約4キロ)の近距離に拠点を構えることになる。

 この移転計画の一環として、USFJと在日米陸軍(U.S. Army Garrison Japan)は、赤坂プレスセンターが移転先の要件を満たしているかどうかを調査している。赤坂プレスセンター(現地では「ハーディ・バラックス」とも呼ばれる)は、モラール・福祉・レクリエーション施設が併設される複合施設である。

 同施設には、海軍研究所(Office of Naval Research)を含むいくつかのテナント機関が入っており、1952年からは『スターズ・アンド・ストライプス・パシフィック』本拠地でもある」。

※US Forces Japan scouts central Tokyo property ahead of major command overhaul(スターズ・アンド・ストライプス、2024年11月12日)
https://www.stripes.com/theaters/asia_pacific/2024-11-11/usfj-restructure-akasaka-press-center-15819793.html

 12日付『スターズ・アンド・ストライプス』は、横田基地から赤坂プレスセンターへ移転する可能性ついて、確定的には報じていませんが、候補地として赤坂プレスセンターは、好条件を備えており、かなり確率は高いものと思われます。

 「米軍日本司令部(USFJ)の広報担当官である空軍のダニー・ランゲル大尉は、プレスセンターが移転先候補に含まれているかどうかについて、確認も否定もしなかった。

 同氏は、USFJが『移行を受け入れるために必要な、具体的な資源と施設を決定する初期段階にあります』と述べた。

 『USFJの統合部隊司令部への転換を支援するためには、変化が必要です。

 インド太平洋地域における進化する課題に対応し、日本のパートナーと効果的に肩を並べるために必要なことです』と、ランゲル大尉は11月6日に、『スターズ・アンド・ストライプス』への電子メールで語った。

 USFJは、日本に駐在する約11万5000人の軍人、民間人、家族を統括している。

 日本の防衛省は、USFJの再編計画について『日米の作業部会で議論される』と予想しているが、『現時点では、具体的な場所を含め、何も決定されていない』と、日本の防衛省の広報担当官が金曜日(8日)に『スターズ・アンド・ストライプス』への電子メールで述べた」。

 赤坂プレスセンターへの移転を不確定にしている要素の一つは、地元の港区住民です。

 この赤坂プレスセンターの敷地は、戦後に米軍に接収された土地で、港区と港区議会は、ヘリポートの騒音や事故の不安があるとして、毎年、早期撤去を国と都に要請しているのです。

※六本木交差点から約500メートル、東京のド真ん中にある米軍基地! 大統領も「日米合同委員会」出席者も降り立つ!「米軍による日本の占領状態が続いている事実が、この基地から見える」~4.18麻布米軍ヘリ基地撤去集会 2024.4.18
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/522672

 12日付『スターズ・アンド・ストライプス』も、「地元メディアは市内上空の低空飛行やヘリポートの運用について、しばしば問題視している」と報じています。

 これだけでなく、そもそも、日米合同委員会が、六本木のニュー山王ホテルで、毎月開催されており、ここでの発言資格は対等ではなく、米軍から日本政府への事実上の上意下達であり、ここでの決定事項は、日本国政府を規定する日本国憲法以上の効力を持った支配関係になっています。

 このことが、徐々に社会的に知られるようになってきており、ニュー山王ホテルで、日米合同委員会が開催されるときには、日本の市民による抗議行動が起きているのです。

 IWJは、日米合同委員会を問題視する日本の市民社会の動向について継続的に報じています。

※日米合同委員会関連のIWJの取材
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/tag/%E6%97%A5%E7%B1%B3%E5%90%88%E5%90%8C%E5%A7%94%E5%93%A1%E4%BC%9A

 横田基地の機能の赤坂プレスセンターへの移転は、日米の司令部統合・再編成という名のもとで行われる、米軍による支配関係の強化に他ならず、この点が、今後日本の市民社会に問題視されることは明らかです。

 12日付『スターズ・アンド・ストライプス』は、移転されるUSFJの機能は不明だとして、次のように報じています。

 「USFJの機能のうち、どれだけが六本木のゲート付き複合施設に移転するかは不明である。

 六本木は、ビジネスと娯楽、特にナイトライフで知られる地区だ。この施設にはヘリポートがあり、米国の政治家(大統領を含む)、高官軍人、外国の要人などが訪問する際の、市内交通拠点として利用されている」。

※US Forces Japan scouts central Tokyo property ahead of major command overhaul(スターズ・アンド・ストライプス、2024年11月12日)
https://www.stripes.com/theaters/asia_pacific/2024-11-11/usfj-restructure-akasaka-press-center-15819793.html

 仮に移転されるとすれば、それは、USFJの司令部機能に他なりません。なぜなら、USFJの司令部機能は、自衛隊の陸海空の統合作戦司令部の上位に位置する司令部にもなるからです。

 赤坂プレスセンターに、USFJの司令部機能が移転すれば、日本の防衛省が位置する市ヶ谷まで約2.5マイル(約4キロ)であり、この距離は、ヘリでの移動で2分もかからないのです。

 つまり、市ヶ谷の自衛隊幹部を、2分以内にUSFJの司令部に呼びつけることが可能になります。

 この結果、USFJの司令部には、自衛隊の統合作戦司令部が常駐するのと同じことになり、日米の司令部が、上意下達のまま、空間的にも一体化することになります。

 したがって、移転するUSFJの機能は、司令部機能以外には、考えられないのです。

★このUSFJによる自衛隊の支配関係の強化については、民族派団体の一水会が、ますます従属体制が可視化されると、11月17日のX(旧ツイッター)へのポストで、述べています。

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