日刊IWJガイド「日本に軍事支援の圧力をかける米国バイデン政権! 嬉々として同調する政府与党!」2023.6.27号~No.3939号


┏━━【目次】━━━━
■はじめに~日本に軍事支援の圧力をかける米国バイデン政権! 嬉々として同調する政府与党! 他方、スイス連邦議会でゼレンスキー大統領の武器支援要請演説を最大勢力の国民党がボイコット! 日本は疲弊した欧米諸国の代わりに、ウクライナへの武器支援を担わされる!?

■IWJは創業以来、最大の経済的危機に直面しています! 第13期の累積赤字は毎月増え続け、6月は26日までの26日間で、98件、187万1000円のご寄付をいただきました。ありがとうございます! これは、月間目標額390万円の48%にあたります。そして、月間目標額の達成にはあと52%、202万9000円が必要になります。6月こそは少なくとも月間目標額390万円を達成したいと思います! また累積の不足額を少しでも減らしたいと願っています! ちなみに8月から5月まで10ヶ月間の累積の不足額は、1868万2900円となりました! 緊急のご支援・ご寄付・カンパを、どうぞよろしくお願いいたします!!

■【中継番組表】

■「プーチン大統領がサンクトペテルブルグに逃亡した」という『モスクワ・タイムズ』の記事は本当だったのか?「プリゴジンの乱」に揺れた週末が明けて、「プーチン政権の終わりの始まり」だとはやしたてる西側メディアを尻目に、プーチン大統領は、ビデオ演説、イラン大統領やカタール首長との電話会談など、平常業務を粛々と行なっていると、なぜかインドメディアだけが報じる!

■【本日のニュースの3連撃! 第1弾 FNNプライムオンライン、26日ほか】プーチン大統領がプリゴジン氏をベラルーシで暗殺する!? 日本のメインストリームメディアが報じる「プーチンは裏切り者を許さない」は本当か!?

■【本日のニュースの3連撃! 第2弾 Sky news、26日】プリゴジン氏のクーデターはクレムリンが仕組んだ軍や政府内反プーチン「炙り出し」の可能性もあった!? プリゴジン氏がベラルーシに亡命すれば、脆弱なベラルーシとウクライナの国境線が強化される!?

■【本日のニュースの3連撃! 第3弾 RIAノーボスチ、17日】日本でまったく報じられていない事実! 昨年4月のロシア軍のキエフ撤退は、ウクライナとの停戦協議にもとづくもの! ウクライナは署名しながら合意を破棄!! プーチン大統領が17日、アフリカ代表団を前に、文書を掲げて「停戦交渉を拒否しているのはウクライナだ」と訴え!
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■はじめに~日本に軍事支援の圧力をかける米国バイデン政権! 嬉々として同調する政府与党! 他方、スイス連邦議会でゼレンスキー大統領の武器支援要請演説を最大勢力の国民党がボイコット! 日本は疲弊した欧米諸国の代わりに、ウクライナへの武器支援を担わされる!?

 おはようございます。IWJ編集部です。

 6月20日にバイデン大統領は、カリフォルニア州で開いた選挙キャンペーンで、日本の防衛費増額について、「私は3度にわたり日本の指導者と会い、説得した。彼自身も何か違うことをしなければならないと考えた」と述べ、自ら岸田文雄総理に日本の防衛費の増額を働きかけたこと明言しました。

※日本の防衛費増額「私が説得した」、バイデン氏が岸田首相への働きかけ示唆(読売新聞、2023年6月21日)
https://www.yomiuri.co.jp/world/20230621-OYT1T50196/

 こうしたNATO水準の軍事費増額を求める米国の圧力は、ウクライナ紛争を抱えるバイデン政権になってから、急激に強まりました。

 21日付『読売新聞』は、日本をNATOに巻き込むことをバイデン大統領が明確に意図していたことも伝えています。

 「北大西洋条約機構(NATO)は加盟国に対国内総生産(GDP)比2%の防衛費確保を求めている。日本は非加盟だが、バイデン氏は『日本も巻き込むことができると思っていた。日本が欧州での戦争に関心を持ったのはいつ以来か』と述べ、日本のウクライナ支援強化も自ら引き出したものだとアピールした」

 『読売新聞』は、日本はNATOに『非加盟』だとしていますが、日本はNATOプラス(パートナー国)のメンバーとして、正式加盟国に準ずるポジションに位置しています。

※日・NATO国別パートナーシップ協力計画の改訂(外務省、2018年7月19日)
https://www.mofa.go.jp/mofaj/erp/ep/page25_001470.html

 こうした米国による、NATO並みの軍事費増額要求は、その延長線上に、近い将来の、東アジアで起こす米中戦争において、日本をウクライナのように「代理戦争」の駒とすることを最終目標としていると考えられます。他方、当面の要求としては、何度もお伝えしている通り、日本にもウクライナへ武器支援を担わせたいと考えており、手始めにウクライナ紛争で使用する155ミリ砲弾用のTNT火薬を日本に調達させようとしています。

※はじめに~仰天! 米軍がウクライナ紛争で使用する155ミリ砲弾が足りずに、砲弾生産に使用するTNT火薬の調達を日本に泣きついてきた!(日刊IWJガイド、2023年6月3日)
会員版 https://iwj.co.jp/wj/member.old/nikkan-20230603#idx-1
非会員版 https://iwj.co.jp/info/whatsnew/guide/52351#idx-1

※ウクライナへ送る米軍のTNT火薬の日本調達問題で、防衛装備庁よりIWJによる質問への回答が届きました!「防衛装備移転三原則」の「抜け道」を「大通り」にする目論見が防衛省で進行中!!(日刊IWJガイド、2023年6月7日)
会員版 https://iwj.co.jp/wj/member.old/nikkan-20230607#idx-4
非会員版 https://iwj.co.jp/info/whatsnew/guide/52369#idx-4

※【第4弾! スプートニク、8日ほか】「【視点】日本によるウクライナへのTNT火薬の調達は参戦である」
(日刊IWJガイド、2023年6月10日)
会員版 https://iwj.co.jp/wj/member.old/nikkan-20230610#idx-6
非会員版 https://iwj.co.jp/info/whatsnew/guide/52377#idx-6

 しかも、こうした米国の圧力に進んで同調しようという、日本政府内の秘密裏の動きが明らかになってきました。

 機関砲を搭載した陸上自衛隊の「偵察警戒車」や海上自衛隊の掃海艦など、殺傷能力のある武器を搭載していても輸出可能と、政府が防衛装備品の輸出ルールの解釈を勝手に変更した説明をしていたことがわかりました。

 これまで、輸出ルールを定めた「防衛装備移転三原則」と運用指針に関する解釈は、共同開発・生産の場合を除き輸出できない、というものでした。

※「殺傷武器搭載でも輸出可能」(ロイター、2023年6月25日)
https://jp.reuters.com/article/idJP2023062501000947

 これは、明らかに、ウクライナ紛争への武器輸出を前提とした解釈変更でしょう。

 22日付『東京新聞』は、この政府内の輸出ルールの秘密裏の解釈変更には、その前段階として、「防衛装備移転三原則」の要件緩和に向けた自民・公明両党の与党協議が21日に国会であったことを伝えています。

※日本製の武器で死者出る可能性も…輸出解禁に前のめり自民、慎重な公明 防衛装備移転三原則緩和へ論点整理(東京新聞、2023年6月22日)
https://www.tokyo-np.co.jp/article/258164

 22日付『東京新聞』で、元内閣官房副長官補・柳沢協二氏は次のように述べています。

 「紛争当事国に武器を出せば実質的な当事者になり、和平の仲介などはできなくなる。

 国際環境が激変し、戦争の危機が現実に高まっているからこそ、紛争を助長せず、平和解決を目指すことに平和国家としての価値がある。日本はその道を貫くべきだが、殺傷能力のある武器の輸出解禁は武力で紛争を解決するとの方向に傾くことになる」。

 米メディア『アメリカン・グレイトネス』の研究員で、軍事史家、コラムニストのビクター・デイビス・ハンソン氏は、6月19日付け『アメリカン・グレイトネス』の記事で、米国のウクライナへの武器支援について、「米国の兵器備蓄が事実上枯渇している」と指摘し、「米国が与えれば与えるほど、ヴォロディミル・ゼレンスキーの要求はさらに大きくなり、米国国民は彼の苦境に同情して黙認することになる」と論じています。

 ハンソン氏によると、ウクライナの年間の国防予算は、米国、中国に次ぐ世界第3位であり、「この莫大な支出は、ほぼもっぱら米国の大量の武器輸送と他のNATO諸国の武器移転の結果だ」と指摘しています。

※The Ukraine-American Gordian Knot(American Greatness、2023年6月19日)
https://amgreatness.com/2023/06/19/the-ukraine-american-gordian-knot/

 この記事の中で、ハンソン氏は、「(ウクライナへの武器支援によって)米国は同時に2つ、少なくとも1つ半の戦争を戦うのに十分な資力を常に備えていなければならないという考えも消え去った」と述べ、次のように論じています。

 「現在のアメリカの武器備蓄の減少と、我が国の悲惨な軍需生産の現状では、近いうちに、米国はウクライナの飽くなき武器需要に応えながらも、台湾に武器を与え、中国の侵略を阻止するための武器と資源を十分に持つことができなくなるだろう」。

 米国は、地球上で2つの戦争を同時に遂行することができる戦力を常に維持する、という国家戦略を長年掲げてきたのに、それが保てなくなるほど、ウクライナに足元をとられており、ウクライナ紛争は「米国と同盟国の武器の墓場」と化してしまっているのです。

 そのため、本当に武器の在庫が底をついてしまう前に、日本にも武器を出せ、金を出せと、圧力がかかっているというわけです。

 もちろん日本が欧米の肩代わりをしたところで、ウクライナ紛争という「墓場」で、根本から武器が失われてゆくことには変わりはないでしょうし、核大国のロシアを破壊することはできません。やれば核のアナーキー状態に陥り、それこそ、人類の破滅につながりかねません。

 6月4日に始まったウクライナによる「反転攻勢」について、ロシア国防省は「失敗に終わった」と指摘しています。

 6月24日付けロシア『RT』は、「ロシア国防省は22日、6月4日から6月21日までにウクライナが、約1万3000人の兵士と約250台の戦車を失ったと推定した」と報じました。

※White House evades question on Ukrainian counteroffensive(RT、2023年6月24日)
https://www.rt.com/news/578621-white-house-evades-counteroffensive/

 この『RT』の記事は、「米国とNATOの対ウクライナ支援継続は反撃の成功にかかっており、西側当局者らは今のところこの作戦は『いかなる面でも期待に応えていない』と判断している」と報じています。

 さらにこの記事は、ウクライナのポドリャク大統領府長官顧問が、「成果が上がらなかったのは『必要な武器を提供するようパートナーを説得するのに時間を費やした』せいだと述べた」とも報じています。

 ウクライナ政府は、ロシア相手に戦果をあげられるか否かは、あくまで西側の武器支援次第であると、厚かましい要求を西側に突きつける姿勢を崩してはいません。

 『共同通信』は25日、前述の防衛装備品の輸出ルールの変更について、政府が「現行制度で定められた『警戒』など非戦闘の5分野に使用目的が該当すれば、殺傷能力のある武器を搭載していても輸出可能と与党側に説明していたことが分かった」と報じました。

※「殺傷武器搭載でも輸出可能」 政府、与党協議に提示(共同通信、2023年6月25日)
https://nordot.app/1045676587721392473

 日本が欧米に代わり、ウクライナに武器支援を担う日が、着々と近づいています。米国の要求に唯々諾々と従っていれば、日本が、欧米諸国がそうであるように、日本の国力を削っては「墓場」に捨ててしまうようなことを繰り返すだけです。

 戦争の賛否を別にして、日本が防衛力を維持し、高めている理由は、東アジアにおける紛争・戦争を想定してのことなのに、遠く東欧で国力を乱費させられるのは、左右を問わず、不本意なはずです。

 米国は、2つの戦争を戦いうる、というかつての国家戦略が、今や幻想でしかないことを潔く認めて、泥沼化したベトナム戦争からの撤退を思い出し、ウクライナへの軍事支援からも手を引いて、停戦への道を開くべきです。

 日本もまた、自国のため、同時に「重要な同盟国」である米国の果てしない消耗を防ぐためにも、停戦を進言して、米国にストップをかけるべきではないでしょうか。

■IWJは創業以来、最大の経済的危機に直面しています! 第13期の累積赤字は毎月増え続け、6月は26日までの26日間で、98件、187万1000円のご寄付をいただきました。ありがとうございます! これは、月間目標額390万円の48%にあたります。そして、月間目標額の達成にはあと52%、202万9000円が必要になります。6月こそは少なくとも月間目標額390万円を達成したいと思います! また累積の不足額を少しでも減らしたいと願っています! ちなみに8月から5月まで10ヶ月間の累積の不足額は、1868万2900円となりました! 緊急のご支援・ご寄付・カンパを、どうぞよろしくお願いいたします!!

 いつもIWJをご支援いただきまして、誠にありがとうございます。

 6月に入り、昨年8月1日から始まったIWJの第13期も、残り2ヶ月を切りました。

 厳しい経済状況の中、ご寄付をお寄せくださった皆さま、誠にありがとうございました!

 しかしながら、今期第13期5月末までの累積の不足額は、1868万2900円となりました。この累積の不足額を少しでも削れるように、引き続き、どうぞご支援をお願いします!

 6月は26日までの26日間で、98件、187万1000円のご寄付をいただきました。ありがとうございます! これは、月間目標額390万円の48%にあたります。そして、月間目標額の達成にはあと52%、202万9000円が必要になります。

 ぜひ、皆さま、今月6月こそは、まずは月間目標額を達成できますよう、どうぞ緊急のご支援をお願いいたします!

 また、現状の会員数をお知らせします。

 5月末時点での会員総数は2648人(前年同日比:1113人減)でした。会員の方々の会費と、ご寄付が、IWJの運営の二本柱です。ご寄付も、連日お伝えしているように、目標額を下回っていますが、会員数も会費も減少しています。

 経営は本当に赤字が連続し、厳しい運営状況が続いています。

 どうぞ、皆さま、IWJを知人・ご友人、地域の皆さまへIWJの存在をお知らせいただき、独立系メディアの意義と、米国に忖度する日本政府、大手主要メディアの「情報操作」の恐ろしさについて、広めてください。

 IWJの内部留保も底を尽き、キャッシュフローが不足したため、私、岩上安身が、個人的な私財から、IWJにつなぎ融資をいたしました。

 私がこれまでにIWJに貸し付けて、まだ未返済の残高は約600万円。これにつなぎ融資1000万円と合計すると、IWJへの私の貸し付け残高は約1600万円にのぼります。近いうちに、また私がIWJにつなぎ融資をしなければならない見込みですが、本当に貯金が底を尽きます。

 私の貯えなどたかがしれていますから、この先も同様の危機が続けば、私個人の貯えが尽きた時、その時点でIWJは倒れてしまいます。

 皆さまにおかれましても、コロナ禍での経済的な打撃、そしてこのところの物価上昇に悩まされていることとお察しいたします。

 しかし、会費も減少し、ご寄付までもが急減してしまうと、たちまちIWJは活動していけなくなってしまいます。

 ウクライナ紛争に続き、「台湾有事」を口実とする米国の「代理戦争」が、東アジアで画策されている今、私、岩上安身とIWJは、破滅的な戦争を回避すべく、また、ウクライナ紛争報道で明らかになった、偏向マスメディアの不誠実な「情報操作」に代わるべく、少しでも正確な情報を皆さまにお届けできるよう走り続けたいと存じます。

 その結果として、日本が戦争突入という悲劇に見舞われないように、無謀な戦争を断固阻止するために、今後も全力で頑張ってゆきたいと思います。

 日本は、米国への依存から脱却をはかり、独立した主権国家として立つべきです。同時に、エネルギーと食料の自給ができず、資源をもつ他の国々からの海上輸送に頼らなければならない、孤立した「島国」であるという「宿命」を決して忘れず、国外にそもそも「敵」を作らない、多極的な外交姿勢をめざすべきではないでしょうか?

 皆さまにはぜひ、マスメディアが真実を伝えない、こうした問題について、IWJが追及を続けてゆくために、どうか、会員登録と緊急のご寄付・カンパによるご支援をどうぞよろしくお願いしたく存じます。

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支店名 広尾支店
店番号 057
預金種目 普通
口座番号 2043789
口座名 株式会社インデイペンデント ウエブ ジヤーナル

城南信用金庫
支店名 新橋支店
店番号 022
預金種目 普通
口座番号 472535
口座名 株式会社インディペンデント.ウェブ.ジャーナル

ゆうちょ銀行
店名 〇〇八(ゼロゼロハチ)
店番 008
預金種目 普通
口座番号 3080612
口座名 株式会社インディペンデント・ウェブ・ジャーナル カンリブ

 IWJホームページからも、お振り込みいただけます。

※ご寄付・カンパのお願い
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 どうか、ご支援のほど、よろしくお願い申し上げます!

 岩上安身


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◆中継番組表◆

**2023.6.27 Tue.**

あくまで予定ですので、変更、中止、追加などがある場合があります。また電波状況によっては、安定した中継ができない場合もございますので、ご了承ください。

【IWJ・Ch5】12:55~「林芳正 外務大臣 定例会見」
視聴URL:https://twitcasting.tv/iwj_ch5

 林芳正外務大臣による記者会見を中継します。これまでIWJが報じてきた外務大臣関連の記事は以下のURLから御覧いただけます。
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/tag/%e5%a4%96%e5%8b%99%e5%a4%a7%e8%87%a3

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◆中継番組表◆

**2023.6.28 Wed.**

あくまで予定ですので、変更、中止、追加などがある場合があります。また電波状況によっては、安定した中継ができない場合もございますので、ご了承ください。

【IWJ_YouTube Live】16:00~「岩上安身による 元外務省国際情報局長 孫崎享氏インタビュー」
視聴URL(冒頭以降は会員限定)
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/420867

 岩上安身による孫崎享氏インタビューを中継します。これまでIWJが報じてきた孫崎享氏関連の記事は以下のURLから御覧いただけます。
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/tag/magosakiukeru

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◆昨日アップした記事はこちらです◆

「『出入国管理及び難民認定法』には、どこにも人権という概念がない」!~岩上安身によるインタビュー第1123回 ゲスト 社民党党首・福島みずほ参議院議員
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/516776

◆昨日テキストアップした記事はこちらです◆

【IWJ号外】米国防総省の機密文書流出事件「ディスコード・リーク」から、『ワシントン・ポスト』が5月、「プリゴジンは、ウクライナ国防省・軍事情報局に通じていた」とスクープしていた!
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/516815

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■「プーチン大統領がサンクトペテルブルグに逃亡した」という『モスクワ・タイムズ』の記事は本当だったのか?「プリゴジンの乱」に揺れた週末が明けて、「プーチン政権の終わりの始まり」だとはやしたてる西側メディアを尻目に、プーチン大統領は、ビデオ演説、イラン大統領やカタール首長との電話会談など、平常業務を粛々と行なっていると、なぜかインドメディアだけが報じる!

 『モスクワ・タイムズ』は24日、独立系メディアの情報として、「フライトレーダー24(航空機追跡アプリ)」でとらえた航空機の動きから、プーチン大統領がサンクトペテルブルクに逃亡した可能性がある、と報じました。

 「独立系メディアが土曜日午後、フライトレーダー24の航空交通データを引用して、ウラジーミル・プーチン大統領の飛行機がモスクワのヴヌーコボ空港を離陸し、サンクトペテルブルクに向かう途中だったと報じた。

 この航空機は、プーチン大統領の邸宅の一つがあるロシア北西部トヴェリ地域上空の追跡システムから消えたように見えた。

 クレムリン報道官のドミトリー・ペスコフは、ロシア指導者がモスクワから逃亡したという主張を否定した」

 オシント(OSINT、公的に入手可能で法的にアクセスできる情報を使った分析)には、危うさも伴います。飛行機が移動したことはわかっても、そこにプーチン大統領が実際に乗っていたかどうかまでは確認できません。

※Live: Wagner Chief Rebels Against Military Leadership(The Moscow Times、2023年6月24日、午後9時10分)
https://www.themoscowtimes.com/2023/06/24/live-wagner-chief-rebels-against-military-leadership-a81618

※Flightradar24ウェブサイト
https://www.flightradar24.com/

 岩上安身は、6月25日未明に出したIWJ号外の中で、ワグネル部隊がモスクワに向かって進軍しているときに、トップが逃亡すれば、ロシア革命のようになるかもしれないと危惧を示し、プーチン大統領がサンクトペテルブルグに「逃亡」したとすれば、非常にまずい対応だとコメントしました。

 「虚をつかれたロシア側が、このプリゴジンの反乱にうろたえ、少しでも怯んだ姿勢を見せた場合は、ロシアの各部隊は、どちらにつくべきか、迷い、中にはプリゴジン側について、プーチン体制の打倒に動くものも出てきて、ドミノ倒しのように勢いに押されてしまうかもしれません。1917年のロシア革命の時のようになれば、内戦となるかもしれません」

※【IWJ号外】ロシアの民間軍事会社ワグネルが軍事クーデター! ウクライナ幹部は「我々のシナリオ通り」!ワグネルのトップ・プリゴジン氏にはウクライナ情報局との内通疑惑も! 2023.6.25
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/516797

 週が明けてロシア大統領府は、26日月曜日、プーチン大統領がクレムリンで平常通り業務を行なっている様子を伝えています。

 ロシア大統領府によると、プーチン大統領は26日、第11回国際青少年産業フォーラム「未来のエンジニア2023」にて、ビデオ演説を行いました。

※Video address to the participants and guests of the 11th International Youth Industrial Forum “Engineers of the Future 2023”(President of Russia、2023年6月26日、モスクワ時間13時20分)
http://en.kremlin.ru/events/president/news/71524

 ロシア大統領府によると、プーチン大統領は、上述の演説の前に、カタールの首長であるタミーム・ビン・ハマド・アール=サーニー氏と電話会談を行っています。

 両首脳は、様々な分野で協力をさらに強化するという相互の関心を確認し、タミーム首長は「6月24日の出来事に関連したロシア当局の行動への支持を表明した」と報告されています。

※Telephone conversation with Emir of Qatar Sheikh Tamim bin Hamad Al Thani(President of Russia、2023年6月26日、モスクワ時間12時20分)
http://en.kremlin.ru/events/president/news/71525

 プーチン大統領がサンクトペテルブルグに逃亡した可能性があると報じた『モスクワ・タイムズ』は、その後、プーチン大統領の動静に言及していません。

 また、日本の大手メディアを含め、多くの西側メディアは、「プーチン政権に翳りがみられる」「プーチン政権が分裂した」、「プーチン政権の権力基盤が弱体化」、「プーチンの終わりの始まりだ」とはやしたてるように報じていますが、プーチン大統領が粛々と業務をこなしている様子は、一切報じていません。

 例外的にインドメディアの『WION』は26日、「ロシアのプーチン大統領、反乱阻止以来初めてビデオ演説で公の場に姿を現す」と題して、プーチン大統領が「未来のエンジニア」と題した青少年フォーラムで演説した、と報じました。

 「ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は、月曜日のクレムリンのビデオ演説で、ワグネル・グループの反乱が阻止されて以来、初めて姿を現した。(演説内容を紹介、中略)

 この演説には、週末にロシアを震撼させたワーグナーの反乱については一切触れられていなかった」

 『WION』は、「クレムリンによると、イランのエブラヒム・ライシ大統領は月曜日(26日)、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領と電話会談を行い、ワグネル・グループの反乱が中止されたことを受けて『全面的な支持』を表明した」とも報じています。

 「クレムリンは『イラン大統領は6月24日の出来事に関連して、ロシア指導部への全面的な支持を表明した』と発表した。クレムリンによると、カタールのタミーム・ビン・ハマド・アール・サーニー首長もプーチン大統領に電話し、支持を表明した」

 『WION』は、ワグネル・グループのサンクトペテルブルク本部が26日、同組織は『通常モード』で活動していると述べた」とも報じています。

※Russia’s Putin makes first public appearance in video address since aborted mutiny(WION、2023年6月26日、インド標準時間午後6時27分)
https://www.wionews.com/world/russias-putin-makes-first-public-appearance-in-video-address-since-aborted-mutiny-608861

 プーチン大統領は、実際にサンクトペテルブルクに「逃亡」したのでしょうか。仮に一時は「非難」したとして、その後、モスクワに戻ってきたのでしょうか。

 それとも、初めからモスクワにとどまり続けたのでしょうか。プーチン大統領が今どこにいるのか、ビデオ出演と電話会談だけでは確認はできませんが、粛々と平常業務を行なっていることは確かなようです。

■【本日のニュースの3連撃! 第1弾 FNNプライムオンライン、26日ほか】プーチン大統領がプリゴジン氏をベラルーシで暗殺する!? 日本のメインストリームメディアが報じる「プーチンは裏切り者を許さない」は本当か!?

 クーデター終結後、プーチン大統領によってベラルーシへの亡命が認められた、ロシアの民間軍事会社ワグネル創設者であるエフゲニー・プリゴジン氏について、日本のメインストリームメディアが、欧米メディアを引用して、「消息不明」「暗殺指令が出された」などといったニュースを報じました。

 テレビ朝日系列の『テレ朝ニュース』は25日夜11時45分、英『BBC』のニュースを引用して、プリゴジン氏が「消息不明」だと報じました。『BBC』は、プリゴジン氏が現地時間の24日夜にロシアのロストフ州を出発して以降、どこにいるのかわかっていないと報じています。

 フジテレビ系列の『FNNプライムオンライン』は26日早朝、「ロシアの独立系オンラインメディアは、ロシア軍の将校クラスから聞いた話だとして、プーチン大統領は、ワグネルの兵士に対しては反乱を不問に付すが、プリゴジン氏に対しては暗殺指令を出したと報じている」と報じました。プリゴジン氏の居場所が現在わかっていないとも、報じています。

 『産経新聞』は、26日午前8時にアップした『共同通信』の配信記事で、プリゴジン氏の消息が「丸1日不明で、(ワグネルの)指揮系統が揺らぐ可能性がある」と指摘。「プリゴジン氏の報道担当者は25日、ロシアメディアに同氏と連絡が取れていないことを認めた」とした上で、『CNN』の元モスクワ支局長が「プーチン大統領は決して許さないと思う」と述べ、「ベラルーシで生命を脅かされる可能性があるとの見方を示した」と報じました。

 『読売新聞』は、26日午前10時過ぎにアップした記事で、プリゴジン氏について「露大統領府は隣国ベラルーシへ出国すると発表したが、ワグネル部隊が占拠した露南部ロストフ・ナ・ドヌーの露軍司令部を車で撤収した24日夜以降、プリゴジン氏は沈黙を保っている」と報じ、『産経新聞』と同じく『CNN』を引用して、「プリゴジン氏暗殺の可能性を排除できないとする専門家の見方を伝えた」と報じました。

 さらにこの『読売新聞』の記事は、プーチン大統領が25日にベラルーシのルカシェンコ大統領と電話会談したことを指摘し、「プリゴジン氏への対応について協議した可能性がある」との見方を示しています。

※「ワグネル」撤収後のプリゴジン氏が消息不明(テレ朝news、2023年6月25日)
https://news.tv-asahi.co.jp/news_international/articles/000304736.html

※ワグネルトップに“暗殺指令” 兵士は不問 プーチン大統領(FNNプライムオンライン、2023年6月26日)
https://www.fnn.jp/articles/-/547613

※ワグネル創設者、丸1日消息不明 生命脅かされるとの見方も(産経新聞、2023年6月26日)
https://www.sankei.com/article/20230626-7MCH2N656VPK7FAK3I3BJL3JRM/

※プリゴジン氏、露軍司令部を撤収後は沈黙保つ…「暗殺の可能性を排除できない」との見方も(読売新聞、2023年6月26日)
https://www.yomiuri.co.jp/world/20230626-OYT1T50071/

★これらの報道の『暗殺指令』の根拠となっているのが、「プーチンは裏切り者を許さない」という、「冷酷な独裁者」像のようです。昨日のこの日刊IWJガイドでもお伝えしましたが、プーチン大統領は、スターリンのような「独裁者」ではなく、「調整型のリーダー」であり、むしろ「煮え切らず、優柔不断とさえ見える」こともある、という点について、私(岩上)は解説しました。

 実際、多くのマスコミも、一昨日の土曜日から昨日の日曜日にかけては、今回のクーデター騒ぎの原因として、「プーチン大統領の優柔不断さ」を理由にあげていたばかりです。一夜にしてまた、プーチン大統領は「裏切り者を許さない独裁者」に評価を変えてしまうのは、あまりに場当たり的ではないでしょうか。

 これらの「暗殺説」のニュースのほとんどは、ベラルーシでプリゴジン氏が殺されるとしていますが、そこには2つの疑問があります。

 第1に、まず、丸一日、「消息不明」というだけで、なぜ、プリゴジン氏がベラルーシで殺されたことになるのでしょうか? そもそもの話ですが、プリゴジン氏がベラルーシに到着した、という報道がひとつでもあったでしょうか?

 プリゴジン氏がもうすでにベラルーシに到着していることを前提に、彼に忠誠を尽くすワグネルの兵士らから切り離されて、孤独な身で処刑されているイメージを抱いているのかもしれません。しかし、ベラルーシに到着したという、確実な情報がないのであれば、プリゴジン氏が、まだワグネルの軍勢と離れて、ベラルーシへ向かっていない可能性を、第一に考えるべきではないでしょうか。ワグネルはプリゴジン氏の私兵集団であり、彼らに守られている間、プリゴジン氏だけを殺害するなど、容易なことではありません。

 私(岩上)は、昨日(6月25日日曜日朝発刊)の日刊IWJガイドのニュースの記事の論評で、「プリゴジンの乱」は、モスクワ進撃をストップし、ロストフ・ナ・ドヌーの市街地から出てワグネルの軍勢が野営した、というところで「ひと幕目は終わった」と書きましたが、そのあと「ふた幕目」の可能性もありえると、含みをもたせて書きました。

※はじめに~プリゴジン氏のクーデター計画を、米政権もウクライナ軍当局も事前に知っていた! プリゴジン氏はロシア軍司令部とクレムリンの分断に失敗したが、正規軍やロシアの治安機関にもある程度の支持者がいたと、米政府当局者が指摘!(日刊IWJガイド、2023年6月26日)
会員版 https://iwj.co.jp/wj/member.old/nikkan-20230626#idx-1
非会員版 https://iwj.co.jp/info/whatsnew/guide/52452#idx-1

 モスクワにとって重要なことは、プリゴジン氏とワグネルとを切り離し、ワグネルの武装解除を速やかに行うことです。そうでなければ、ワグネルの暴発の可能性は残されています。ワグネルの武装解除がすでに行われた、という情報はありません。そんな状態で、ボスのプリゴジン氏は、自分の私兵集団から軽率に離れるでしょうか?

 むしろ、モスクワの考えを探り、自分の事実上のクーデターの呼びかけに応じなかったロシア軍の各部隊の動向を見渡し、あるいは内通していたウクライナ側の出方を確認するため、野営陣地で息をひそめているのかもしれません。

 ロシア軍内部が割れ、ウクライナ軍が怒涛のごとく攻め込めば、「プリゴジンの乱」は、ロシア崩壊の雪崩を起こせたかもしれませんでしたが、ロシア内部で、プリゴジン氏の反乱に呼応する雪崩は、ウクライナや西側諸国が期待したようには起こりませんでした。同時に、プリゴジン氏が癇癪を爆発させても、それに対してすぐ武力で鎮圧する、ということも行いませんでした。

 西側では、この不見識に思われる、2つの動きについては、昨日の日刊IWJガイドで読み解きましたので、ぜひ、そちらを御覧ください。

 「暗殺説」への疑問の、2つ目は、ベラルーシで暗殺が行われると、根拠もなく、なぜ、欧米メディアは予断をもつのか、そしてそうした予断を軽率に日本メディアは引用してそのまま報じるのか、ということです。

 ベラルーシのルカシェンコ大統領は、いつもは西側から「独裁者」扱いされている人物です。そんな人物が、「窮鳥懐に入る」とばかりに、亡命しようとしているプリゴジン氏を受け入れようとしているのに、騙し討ちのようにプリゴジン氏を暗殺するでしょうか?

 西側のマスメディアは、プーチン大統領はプリゴジン氏を「絶対に許さない」、だから、プーチン大統領が「暗殺」を命じるだろうと、憶測を報じています。しかし、場所は、ベラルーシです。「独裁者」呼ばわりされている強力な権力者ルカシェンコ大統領のお膝元で、ルカシェンコ大統領の権力と、ベラルーシの主権を侵す形で、プーチン大統領のロシアがプリゴジン氏を暗殺するでしょうか。

 それは非常にスキャンダルで、ショッキングであり、静かに、暗闇に隠れて行う暗殺ではありません。世界中の注目が集まっています。ベラルーシの主権を否定し、「窮鳥」を保護すると約束した、ルカシェンコ大統領の顔に泥をぬることになります。

 西側のセンセーショナルな憶測報道の前提には、プーチン氏とルカシェンコ氏の2人が、あたかもボリシェヴィキが独裁支配を行っていた時代の、「独裁者」であるかのように決めつけてしまっている感があります。

 しかし、彼ら2人は共産党のトップ、特にスターリンのような本物の独裁者ではありません。まがりなりにも普通選挙を行い、民主主義、法の支配、国内外の批判を気にしている政治指導者であり、世界中が注視している中で、法の手続きを踏まずに、暗殺を強行しても、プーチン大統領にも、ルカシェンコ大統領にも、政治的なプラスはありません。また、プーチン大統領が、ルカシェンコ大統領に殺害命令を下す、という上下関係も考えにくいと思われます。

 もしプーチンの手下が、ベラルーシに入国していて、本当にプリゴジン氏を殺したら、主権の侵害でロシアとベラルーシの外交関係はガタガタになってしまうでしょう。

 主権を侵害して、自国にとって有害な人物を外国で殺害した例としては、近年では、米国がパキスタン国内に隠れていたビン・ラーディンを爆殺した2011年の例があげられます。この時、米国はパキスタン政府に通報せず、許可を得ずに、主権を侵害する形で、爆殺を不意打ちで強行しました。パキスタン政府関係者らは、米国の行動に屈辱を受け、激怒して抗議したものの、米国の力の前に押し切られています。

 今のロシアのプーチン大統領に、その時の米国の指導者だったオバマ大統領のような、有無を言わせない、強引な力があるでしょうか?

 これから先、起こることは、「一寸先は闇」であって、いったんは恭順したかに見えた「プリゴジンの乱」の「ふた幕目」が、突然、始まるかもしれませんし、その反対に、流血沙汰を回避して、ワグネルの武装解除が行われるかもしれません。

 しかし、問題はその先にあります。プリゴジン氏の行った、ウクライナとの内通と武装反乱未遂は、間違いなく大きな犯罪です。

 ロシアではなく、どこの国で起きたことであったとしても、プリゴジン氏がやったことは、裁判にかけて罪を問うべき行動ですし、いかに司法が権威をもたないロシアにあっても(旧ソ連時代は、共産党の絶対的統治下にあって、民主主義の複数政党制と、三権分立は事実上否定されており、91年にソ連共産党が解体され、民主化されたあとも、司法の権威はまだ十分に確立されていない。ファシズムの後の戦後日本の司法の弱さと同様である)、プリゴジン氏は公開の裁判にかけて、正当な手続きで罪を問い、罰を決めるべきです。

 また、その前の取り調べの段階で、プリゴジン氏がウクライナ情報局と内通した証拠や、相手側の情報を確かなものにする必要があります。

 ロシアでは、想像もつかないことが起こり得る、という意味では、プリゴジン氏の暗殺が起こる可能性が、ゼロ、というわけではありませんが、それは世界中にいるアンチ・ロシア、アンチ・プーチンの「期待」にあまりにも素直にこたえ過ぎる回答です。

 わざわざ、そんなアンチの「期待」にこたえる必要はないし、ロシアが共産党支配から脱却して以後の約30年間、民主化して法の支配をまがりなりにも進めてきたのだ、と証明するためにも、プリゴジン氏に裁判を受けさせる権利を認めるべきでしょう。

 世界各国のメディアは、「暗殺か!?」とはやしたてるより、プリゴジン氏の身柄を確保した上で、同氏の功績と、彼の罪を、プリゴジン氏の頭にもわかるように説いて聞かせて、罪は罪として償わせるべきだと、社説などで、論陣を張るべきです。その上で、恩赦が認められるならば、それに越したことはない、と付け加えるのはそれぞれの自由でしょう。(IWJ)

■【本日のニュースの3連撃! 第2弾 Sky news、26日】プリゴジン氏のクーデターはクレムリンが仕組んだ軍や政府内反プーチン「炙り出し」の可能性もあった!? プリゴジン氏がベラルーシに亡命すれば、脆弱なベラルーシとウクライナの国境線が強化される!?

 英『スカイニュース』が26日付け記事で、プリゴジン氏のクーデターについてロシア軍や政府内の不満分子「炙り出し」のためのクレムリンの画策だった可能性について報じています。

 この『スカイニュース』の記事によると、大西洋評議会(the Atlantic Council)の上級研究員マイケル・ボジュルキウ(Michael Bociurkiw)氏は、「これはクレムリンによって仕組まれたことであり、おそらく最高幹部の大掃除であると同時に、軍関係者や他の高官たちの忠誠心を試すためのものだったという可能性も捨てきれない」と、『スカイニュース』に語ったとのこと。

※Russia-Ukraine latest: Wagner boss Prigozhin’s mutiny ‘may have been orchestrated event’(Sky news、2023年6月26日)
https://news.sky.com/story/ukraine-russia-war-latest-putin-wagner-prigozhin-rostov-on-don-live-updates-12541713?postid=6098138#liveblog-body

■【本日のニュースの3連撃! 第3弾 RIAノーボスチ、17日】日本でまったく報じられていない事実! 昨年4月のロシア軍のキエフ撤退は、ウクライナとの停戦協議にもとづくもの! ウクライナは署名しながら合意を破棄!! プーチン大統領が17日、アフリカ代表団を前に、文書を掲げて「停戦交渉を拒否しているのはウクライナだ」と訴え!

 少し時間が経ってしまいましたが、アフリカ諸国の首脳がウクライナに続いてロシアを訪問し、6月17日にウクライナ紛争をめぐり、早期停戦と外交的解決を求めて、サンクトペテルブルクでプーチン大統領と会談を行いました。

 この会談の内容を、17日付けロシア『RIAノーボスチ』が詳しく報じていますが、日本ではプーチン大統領が「交渉を拒んでいるのはロシアではなくウクライナだ」と述べた、という程度にしか報じられていません。

 しかし、この会談でプーチン大統領は、アフリカ諸国の首脳を前に、日本のメディアがまったく報じていない事実を訴えています。

 昨年3月29日にトルコのイスタンブールで行われた停戦協議では、ウクライナの中立(NATO加盟断念)と、東部2州とクリミア半島の扱いが話しあわれました。

 『RIAノーボスチ』の記事に付けられた動画では、プーチン大統領が、そのイスタンブール協議での和解に関する草案をかざし、「ここにあります。これです」と述べ、「いわゆるウクライナの永世中立と安全保障に関する条約です。あなた方がおっしゃる(アフリカ側が提案している)通りの保証です。18の条文があります」と指摘し、次のように語りました。

 「さらに、付属文書もあります。それら(条文)は、軍隊やその他のことにも適用されます。戦闘装備や軍隊の人員に至るまで、すべてが明記されています。

 ここにこの文書があります。キエフの代表団のサインが入っています。署名されているのです。

 しかし、我々が約束通り、キエフから軍隊を撤退させたあと、キエフ当局は、彼らの主人がいつもやるように、すべてを歴史のゴミ箱に投げ捨ててしまったのです。

 きちんと知的な言い方で整理しましょう。彼らはそれを放棄したのです」。

 さらに同じく17日付け『RIAノーボスチ』の別の記事では、昨年10月4日に、ウクライナのゼレンスキー大統領が、プーチン大統領との交渉そのものを禁止する法律に署名・施行したことを、プーチン大統領が指摘し、次のように語ったと報じています。

 「彼ら(ウクライナ)が協定を拒否し続けないという保証はどこにあるのでしょう。しかし、このような条件下であっても、私たちは交渉を拒否しませんでした。親愛なる友人の皆さん、私たちではなく、ウクライナ指導部が交渉しないと発表したのです。

 私もその考え(戦争に対するアフリカ代表団の懸念)を共有します。そしてもちろん、私たちはあなたの提案(停戦交渉案)を検討する用意があります。私たちは交渉を拒否しません。ウクライナ側は拒否しました。そして(プーチン大統領との交渉禁止という)政令さえ発令されました。彼らは私たちに何を求めているのでしょうか?」。

 さらにこの『RIAノーボスチ』の記事は、ゼレンスキー大統領が昨年11月にインドネシアで行われたG20首脳会議でビデオ演説し、「(停戦合意の)ミンスク3はあり得ない」と発言したことも指摘しています。

※Путин показал делегации Африки проект Стамбульского договора по Украине(RIAノーボスチ、2023年6月17日)
https://ria.ru/20230617/dogovor-1878916997.html

※Путин: Россия не отказывалась от переговоров, в отличие от Украины(RIAノーボスチ、2023年6月17日)
https://ria.ru/20230617/peregovory-1878916544.html

※Meeting with heads of delegations of African states
http://en.kremlin.ru/events/president/news/71451

※プーチン大統領がウクライナ和平に懐疑 南アなどが早期停戦を提案(産経新聞、2023年6月18日)
https://www.sankei.com/article/20230618-AJNY2RG64VJSVJSLQIAMA6KCVU/

※中立化・東部の主権が焦点 ウクライナ停戦協議(中東調査会、2022年3月31日)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR300U30Q2A330C2000000/

※プーチン大統領との交渉「不可能」に ウクライナが法令施行(毎日新聞、2022年10月5日)
https://mainichi.jp/articles/20221005/k00/00m/030/071000c

※ウクライナ大統領のミンスク3否定、ロ報道官「交渉意思なし」(ロイター、2022年11月15日)
https://jp.reuters.com/article/ukraine-crisis-zelenskiy-russia-idJPKBN2S50VA

★ロシアとウクライナの停戦交渉をめぐっては、昨年3月7日のベラルーシでの3回目交渉の直前に、ウクライナの和平交渉代表の一人、デニス・キレフ氏が、ロシア側と内通した疑いで、裁判にかけられることもなく、ウクライナ治安局(SBU)の手によって暗殺されたことも、忘れるわけにはいきません。

 外交交渉を担った高官が暗殺されるという国家テロは、SBUの独自の暴走とは到底、考えられず、ゼレンスキー大統領自らの意向を反映したものと考えられます。

 西側の政府も、西側のマスメディアも、なぜかこの事件のことを大きく扱ったり、十分に論難したりしていませんが、こうしたやり方こそ、スターリンに負けず劣らずの独裁者のくだすテロの見本です。ウクライナのゼレンスキー政権のどこに、自由や民主主義や法の支配、人権といった普遍的価値感が西側諸国と共有されているというのでしょうか?

 西側は、この事件に目をつぶったまま、共通の普遍的価値感と民主主義国家と専制主義国家の闘い、という図式を喧伝し続けていますが、支援しているウクライナは、確実に専制国家です。確かにゼレンスキー氏は選挙によって選ばれましたが、ヒトラー率いるナチスドイツも選挙によって議会に絶対的な権力を掌握する足場を築きました。

 民主制から専制や独裁が生まれることは、歴史的に見て、少しも珍しいことではありません。

 停戦交渉のプロセスについて、話を戻しましょう。さらに重要なことは、ロシアがキエフ(キーウ)から完全撤退した、昨年4月当時、日本のメディアは「攻略に失敗した」「東部での態勢立て直しのため」などと、米国の軍事シンクタンクなどの分析を鵜呑みにして報じていましたが、プーチン大統領の発言からは、停戦協議によってロシアがキエフから撤退したことや、その後、ウクライナが一方的に協定を破ったことがわかります。

 ウクライナがロシアを騙したわけです。その反対ではありません。

※和平交渉に参加の二重スパイをウクライナ当局が殺害!? 領土防衛隊には既決囚による囚人部隊! マリウポリではネオナチ民兵のアゾフ大隊が住民避難を妨害! マリウポリの断水は独立を求める「人民共和国」への飲料水を遮断するため!?(日刊IWJガイド、2022年3月8日)
会員版 https://iwj.co.jp/wj/member.old/nikkan-20220308#idx-5
非会員版 https://iwj.co.jp/info/whatsnew/guide/50367#idx-8

※キエフ攻略は失敗と欧米が認定 ロシア撤退説には「だまされるな」(朝日新聞、2022年3月30日)
https://digital.asahi.com/articles/ASQ3Z62RNQ3ZUHBI01R.html

※ロシア軍はキーウ撤退、東部に集中へ 5月9日の「勝利の日」意識か(朝日新聞、2022年4月3日)
https://digital.asahi.com/articles/ASQ435G17Q43UHBI015.html

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 それでは、本日も1日、よろしくお願いします。

IWJ編集部(岩上安身、尾内達也、前田啓)

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岩上安身サポーターズクラブ事務局
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