日刊IWJガイド・非会員版「メディアはCLP問題を<政党による情報操作>という深刻な問題として追求を! スポンサーに沿った報道しかできないという大問題に跳ね返る!」2022.1.15号~No.3411号


┏━━【目次】━━━━━━━━━
■はじめに~メディアはCLP問題を<政党による情報操作>という深刻な問題として一般化して追求すべき!CLP問題もDappi問題も大阪府と読売新聞の包括業務提携もNHKによる五輪反対デモ捏造問題も同根! さらに、CLP問題は、そもそも大手メディアが公党に限らずスポンサーを持つことでそのスポンサーの意向に沿った報道しかできないという大問題に跳ね返る!

■2022年もIWJはピンチです! 新年早々ですが、皆さまへ緊急のお願いです!!「改憲により、国家緊急権(緊急事態条項)という万能の魔法の杖を国家に渡してはならない!」と総選挙前から訴え続けてきましたが、昨年10月の総選挙で、改憲勢力に改憲発議可能な3分の2以上の議席を占められてしまいました!! この問題を追及し続けてきたIWJは、経済的に大ピンチに! 今期スタートの昨年8月から5ヶ月目の昨年12月末までの不足金額は、355万7262円! どうか、年をまたいで、本年1月ももう一段の緊急のご支援をよろしくお願いします!!

■IWJは、市民の皆さまお一人お一人の会費とご寄付・カンパで運営しています。特定政党や特定政治団体などからの隠れ資金など、一切受け取っていません。12月のご寄付者様のご芳名を感謝を込めて順次掲載させていただきます! IWJの経済危機に手を差し伸べてくださった皆さま、誠にありがとうございます!

■【中継番組表】

■<IWJ取材報告1>「風邪のような症状の全員、PCR検査受けられないと、感染拡大止まらないのでは?」IWJ記者の質問に「感染拡大懸念地域は、無症状でも無料で検査受けられるよう対応している」と回答~1.14後藤茂之厚生労働大臣 定例会見

■<IWJ取材報告2>母国へ里帰り出産の外国人労働者は再入国可能だが生まれた子は入国不可!「『人道上の特段の事例』とは何か?」との追及に「個別の事情を勘案しつつ、必要かつ適切な対応を継続していく」~1.14林芳正 外務大臣 定例会見

■ウクライナをめぐる欧米とロシアの一連の交渉は最終会談も進展なし! 一方、カザフスタンではデモが暴動に発展! トカエフ大統領は「国外のテロリストによるクーデター」と主張、ロシア軍主導の治安部隊に鎮圧を要請! その裏で不正を続けてきた前大統領一派を一掃!! 政権内部の権力抗争か!? ロシアによる領土侵攻か!? 暴動への西側の関与は!?

■【戦争前夜! 地政学上の要衝ウクライナにはびこる反ユダヤ主義の歴史シリーズ特集 3(ソ連邦崩壊後)】本日午後7時から2014年収録「動乱のウクライナ ~岩上安身によるインタビュー 第413回 ゲスト 大阪大学助教(※収録当時)・赤尾光春氏 第3夜(後編)」を公共性に鑑み全編フルオープンで再配信します!

■<新記事紹介>対ナチス・ドイツ戦勝76周年の戦勝記念日に行われたプーチン大統領の演説は、日本でどう報じられたのか。つくられた「ロシアの強権的な独裁者プーチン」のイメージ~「ウクライナ危機」の背景(その1)
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■はじめに~メディアはCLP問題を<政党による情報操作>という深刻な問題として一般化して追求すべき!CLP問題もDappi問題も大阪府と読売新聞の包括業務提携もNHKによる五輪反対デモ捏造問題も同根! さらに、CLP問題は、そもそも大手メディアが公党に限らずスポンサーを持つことでそのスポンサーの意向に沿った報道しかできないという大問題に跳ね返る!

 おはようございます。IWJ編集部です。

 昨日もお伝えしたように、立憲民主党がCLP(Choose Life Project)に対して合計1500万8270円の資金を提供していた問題ですが、1月12日の立憲民主党の西村智奈美幹事長は「違法ではないけれども不適切だった」と釈明しています。

※<IWJ取材報告>「Choose Life Projectへの支出は公党として違法ではないが適切ではなかった」と表明! IWJ記者の質問に「第三者委員会を設ける予定はない。福山前幹事長の会見は、本人の判断」と西村幹事長~1.12立憲民主党 西村智奈美幹事長 定例会見(日刊IWJガイド、2022年1月14日)
https://iwj.co.jp/info/whatsnew/guide/50074#idx-6

 しかも、この問題に関して立憲民主党として「第三者委員会などを設ける予定はない」と明言したばかりか、資金提供の決裁者である福山前幹事長の会見も「本人の判断に任せる」と事実上の幕引きを図っています。

 西村幹事長のこうした認識がいかに甘いものであるかは、多くの識者やSNS上で批判の声が上がっていることから明らかです。

 その批判の主な特徴は、立憲民主党が、自民党とのつながりが強く疑われるツイッターアカウントDappiによる情報操作を、これまで強く批判してきたことへの「ブーメラン」としてCLP問題を捉えているということです。

 たとえば、立川談四楼氏は、1月7日に次のようにツイートしています。

 「『「CLPの生みの親は立憲民主党だった」という衝撃の事実』やや、立ち上げから関与してたのか。それじゃ子会社も同然じゃないか。『カネは支援したが、番組制作には関与してない』って福山さん、そりゃ無理がある。あなたが追及した森友が好例で、忖度するんだよ。さあ立憲、Dappiへの矛先をどうする?」

※立川談四楼氏の1月7日のツイート
https://twitter.com/Dgoutokuji/status/1479299643582586883?s=20

 1月13日付のメールマガジンMAG2NEWSも、「CLP問題を謝罪せぬ立憲民主党に怒りの声。突き刺さった「自民Dappi問題」という巨大ブーメラン」というタイトルで、CLP問題が立憲民主党にとって巨大なブーメランになっていると指摘しています。

※CLP問題を謝罪せぬ立憲民主党に怒りの声。突き刺さった「自民Dappi問題」という巨大ブーメラン(MAG2NEWS、2022年1月13日)
https://www.mag2.com/p/news/524570

 MAG2NEWSは、このブーメランを次のように述べています。

 「Twitterの『Dappi』なるアカウントが自民党から資金を受けて業務として政府・与党に有利な情報や野党を攻撃するツイートを繰り返していたとされる一連の疑惑だ。この時、『Dappi問題』を激しく追及していたのが、他ならぬ野党第一党の『立憲民主党』であった。まさに『巨大なブーメラン』がぶっ刺さったのである」

 立憲民主党の西村幹事長は、1月12日の定例記者会見の中で、CLP問題とDappi問題は本質的に異なるので、「ブーメラン」に当たらないと次のように反論しています。

 「Dappiの問題は、議員らに対する違法な誹謗中傷発言をしていたツイッターアカウントの運営者が特定の政党から支援を受けていたのではないかということ。また発言内容についても関与して世論操作を行っていたのではないかという疑念を受けている事案であると認識しております。

 今回、党とCLPの関係で申し上げれば、一切番組内容には関与していなかったということ、また、CLPで報道されたコンテンツの中では、違法な誹謗中傷発言はなかった、世論操作とも無関係であったということですので、まったく事案としては異なるものと認識しております」

※<IWJ取材報告>「Choose Life Projectへの支出は公党として違法ではないが適切ではなかった」と表明! IWJ記者の質問に「第三者委員会を設ける予定はない。福山前幹事長の会見は、本人の判断」と西村幹事長~1.12立憲民主党 西村智奈美幹事長 定例会見(全編動画の40:09から、日刊IWJガイド、2022年1月14日)
https://iwj.co.jp/info/whatsnew/guide/50074#idx-6

 西村幹事長は、CLP問題に刑事事件となるような違法性はなかった、党の番組介入もなく世論操作もなかったとしています。

 しかし、1500万円も資金提供のあるスポンサーに対しCLPの「忖度」あるいは「特別扱い」がなかったとは到底考えられません。

 問題の本質は、CLP問題が違法かどうかではなく、また、立憲民主党が公共放送を掲げるCLPの番組内容に関与したかどうかではなく、CLPへの立憲民主党の資金提供が、立憲民主党とCLPの間に大きな権力の非対称性を、立憲民主党の意に反して生むということです。つまり、いつでも立憲民主党の意向が番組に反映される「条件」が作られるということです。この認識が欠如しているのは、あまりにも稚拙です。

 立憲民主党の番組介入、あるいはCLPの番組忖度の一例として、IWJは、CLPのYouTubeで確認し、10月11月に出演した政治家を調べています。この結果、与党以外は立憲民主党 代表選候補者、森ゆうこ氏、辻元清美氏、と立憲民主党議員のみが登場しているのです。そこには、共産党議員もれいわ議員もいません。

 昨日もお伝えしましたが、この点を福山哲郎前幹事長にIWJは直接メールで問い合わせています。その回答は「番組内容などについて関与したことはありません」なのです。

 いかに、立憲民主党自体に上記の認識が欠落しているかはっきりと示ししています。

※IWJは立憲民主党・福山哲郎氏にChoose Life Projectの件について質問、公開の記者会見を求める! 福山氏は回答するも、記者会見については触れず! 福山氏と立憲民主党、CLPは公開の記者会見で説明を尽くすべき!(日刊IWJガイド、2022年1月14日)
https://iwj.co.jp/info/whatsnew/guide/50074#idx-7

 そして、この問題は、西村幹事長の弁明に関わらず、社会は、「ブーメラン」と受け止めています。それは、取りも直さず、今後の立憲民主党の与党批判や与党追及の社会的説得力を失わせることを意味します。つまり、「同じ穴の貉ではないか」と社会は見ることになるということです。

 CLP問題をきっかけにして「政党とメディアの適切な関係」に関する議論が深まることを期待すると西村幹事長は述べましたが、まるで他人事です。立憲民主党の存立根拠に関わる深刻な問題であるという危機意識は見られません。

 自分自身がこの問題を深堀り調査もせず、福山氏の処分も検討せず、「政治とメディアの適切な関係に疑惑が深まることを期待する」とは、無責任すぎる話ではありませんか。だいたい1500万円もの金の源資すら明らかになっていないのです。CLPへの出資は、福山氏のカネなのか、他の党幹部は関与していないのかは不明です。福山氏が単独で行ったしてもとしても、なぜそんな不当な支出を党がチェックできなかったのかも、問題です。立憲民主党の経理、財務そして監査はザルということでいいのでしょうか?

 昨日も言及しましたが、この問題に対して立憲民主党がまず行うべきことは、立憲民主党の支持者やCLPを信じて支援してきた人々のために、福山氏と立憲民主党、CLPによる公開の記者会見での謝罪と説明です。

 このCLP問題は、立憲民主党だけに「ブーメラン」があるのではありません。この構図は、多くの新聞社やテレビ局がスポンサーを「忖度」してスポンサーの意向に沿った報道や番組編成しかできない現実と瓜二つです。CLP問題は、大手メディアにも当てはまるのです。

 CLP問題もDappi問題も大阪府と読売新聞の包括業務提携もNHKによる五輪反対デモ捏造問題も<政党による情報操作>という問題に一般化できます。この意味でこれらは同根なのです。

 そして、本来、健全な民主主義社会において、この問題を批判的に追及すべきテレビ・新聞が、与党などの「国家利権村」と一体化したスポンサーの意向に逆らうことができません。

 CLP問題とは、日本の民主主義の本質的な問題を象徴しているのです。

 スポンサーを持たず市民に支えられた独立メディアのIWJの使命は、まさにこうした問題をその本質において批判的に追及することにあります。どうか日本の民主主義本来の姿を指し示し続けるIWJに一層のご支援をお願いいたします。

■2022年もIWJはピンチです! 新年早々ですが、皆さまへ緊急のお願いです!!「改憲により、国家緊急権(緊急事態条項)という万能の魔法の杖を国家に渡してはならない!」と総選挙前から訴え続けてきましたが、昨年10月の総選挙で、改憲勢力に改憲発議可能な3分の2以上の議席を占められてしまいました!! この問題を追及し続けてきたIWJは、経済的に大ピンチに! 今期スタートの昨年8月から5ヶ月目の昨年12月末までの不足金額は、355万7262円! どうか、年をまたいで、本年1月ももう一段の緊急のご支援をよろしくお願いします!!

IWJ代表の岩上安身です。

 IWJでは、今期第12期の年間の予算の見通しとして、支出をぎりぎりまでにしぼりにしぼった上で、ご寄付・カンパの目標額を月額420万円(年間5040万円)とさせていただきました。

 今期第12期は昨年8月から始まり、12月で5ヶ月目を終えました。しかしながら、8月は月間目標額を87万900円下回り、9月は185万2600円下回り、10月は153万290円下回り、11月は202万5900円下回りました。

 12月は31日までに、今期に入って初めて、何とか月間の目標額に達することができました。私、岩上安身からの連日のお願いに応え、ご寄付をくださった皆さまのお陰です。皆さま、本当にありがとうございます!

 しかしながら、8月から12月までの5ヶ月間の累計の不足分は、まだなお355万7262円となっております。この不足額を抱えたままの2022年への不安な越年となってしまいました。

 年明けは1月1日から13日までの13日間で、74件、75万3100円のご寄付・カンパをいただいています。ご寄付をくださった皆さまに、心より感謝申し上げます。

 しかし1月のご寄付・カンパが、折り返しも近づいた13日時点で月間目標額の18%にとどまっているのは、正直、不安や焦りを覚えます。これでは、今月も月間目標額に達せず、トータルの赤字幅がまた増えていってしまいそうです! このペースで進んでいくとIWJは、今期の途中で活動を極端に縮小せざるをえなくなるかもしれません!

 すでにお伝えしている通り、私、岩上安身は、キャッシュフローが足りなかったIWJに対して1093万円を貸し込んでおり、まだ1円も返済されていません。会社から報酬も受けとっていません。前期に続き、今期もただ働きが続いています。私は富裕層でもなんでもなく、40年間働いてきて乏しい貯えがわずかにあるだけの、もともとは一介のフリーランス、自営業者に過ぎません。

 個人が1000万円を超えるお金を会社に貸す、というのは大変なことです。第12期のスタートにあたって、前期の第11期の途中から無報酬で働いてもおりましたが、8月から始まった第12期も、1年間にもわたって無報酬で働き続けています。

 これ以上は、私、岩上安身個人の力だけではいかんともしがたい苦しい状況です。私1人の力や、無報酬のため細る一方の私の貯えでは、あと355万7262円もの不足分を穴埋めすることはできません! 2期連続で、会社から1円も報酬を受けとらずにただ働きを続けるということは、個人として、経済的、物理的、精神的にも、きわめて厳しいものがあります!

 どうか会員の皆さまのお力で、IWJをお支えください!

 IWJの会員数は現在3373人です。そのうちサポート会員は1174人です。(2021年12月30日現在)本当に心苦しいお願いではありますが、会員の皆さま全員が1054円ずつカンパしてくださるか、サポート会員の皆さまが1人3030円ずつカンパしてくださったならば、なんとかこの赤字は埋められます!

 伏してお願いいたします! どうか皆さまのお力で、この窮状をお助け願います!

※ご寄付・カンパはこちらからお願いします。
https://iwj.co.jp/join/pleasehelpus.html

 コロナ禍は、日本のすべてを直撃しています! IWJも例外ではありません!

 同じように皆さまもそれぞれ、コロナ禍で厳しい状況に直面されていることと拝察いたします。こうした状況で皆さまに、会員登録のお願いとご寄付・カンパを繰り返しお願いすることは、心苦しいことではあります。

 しかし、どうしても声を大にして、お伝えしなければならないことがあります!

 緊急事態条項の導入と米国による中国との戦争に、日本が巻き込まれる現実的な懸念が迫っているからです!

 2022年に入り、一段と急速に米中の対立は軍事的な色彩を帯びるようになってきました。日本でも「台湾有事」ならば沖縄や鹿児島が戦場に入ることは「当然」であるという情報が、自衛隊制服組からしきりに流され、しかも、住民保護や避難は自衛隊の任務ではなく、とてもできない、などという声も同時に漏れ伝えられています。戦争準備を現実に着々と進めてきているというのに、国民の保護や避難のための対策や、被害が出た時の想定や対処は、自衛隊はもちろんのこと、政府も自治体も、まったく手をつけていないのです。

 「戦争となれば、南西諸島や九州は当然、戦域になる」と、自衛隊トップの河野克俊元統合幕僚長は2021年9月2日に、南日本新聞の取材に答えて明言しています。もうそれから4ヶ月も経っていますが、政府も自衛隊も何もできていません。

※「台湾有事なら沖縄・鹿児島も戦域に。これは軍事的常識」 河野前統幕長 対中抑止へ「正面切って議論を」(南日本新聞、2021年9月2日)
https://373news.com/_news/storyid/143030/

 住民の避難などの対策を立て始めると、戦争反対の声が高まるため、国民に何も知らせず、何の避難対策も打っていないのです。これでは国民はだましうちにあうようなものです! 国民のための政府ではなく、米軍の傀儡として動くだけの政府であることは明白です!

 こうした現実は、既存の新聞、テレビなどのマスメディアに頼っていては、まったく見えてきません。意図的に、国民に現状から目をそらせるような情報操作ばかり行われています! IWJは、国民をないがしろにして戦争準備を進める政府にこれでいいのか! と声を上げ続けてきています!

 こうしたことがIWJに可能なのは、特定のスポンサーをもたないことで、何者にも縛られず、忖度せずに真実をお伝えしてゆく、独立メディアだからです! 特定の政党や、特定の政治団体などから、隠れ資金を受け取ったことなど、IWJは1度もありません! 市民の皆さまに直接、真実をお届けすることができるのは市民の皆さまから直接の、会費、ご寄付・カンパによるお支えがあってこそです!

 非会員の方はまず、一般会員になっていただき、さらに一般会員の皆さまには、サポート会員になっていただけるよう、ぜひご検討いただきたいと存じます!

 その会費と、ご寄付・カンパによって支えられてはじめて、IWJは、市民の皆さまのために役立つ、真の独立市民メディアとしてその活動を継続し、その使命を果たすことが可能となります。

 マスメディアが報じない事実と真実を報道し、売国的な権力への批判を続け、主権者である日本国民が声をあげ続けることができるようにすることが、今、絶対に必要なことであり、それが我々IWJの使命であると自負しています。本年、2022年は、本当に日本の分水嶺の年となります!

 決して負けられないこの戦いに、私は、IWJのスタッフを率いて全力で立ち向かいたいと腹をくくっています! 皆さまにはぜひ、ご支援いただきたくIWJの存続のために、会員登録と緊急のご寄付・カンパによるご支援をどうぞよろしくお願いしたく存じます。

 自民・公明・維新・国民の従米改憲勢力によって、憲法に「緊急事態条項」が書き加えられるのは、本当にすぐそこまで迫っています。

 自民党は改憲4項目を示していますが、その中の「緊急事態条項」こそが改憲の「本丸」なのです。IWJは、2012年に自民党が最初の憲法改正草案を出した時点から、約10年間もその点を指摘し、批判し続けてきました。

 実際に私は、梓澤和幸弁護士、澤藤統一郎弁護士と対談を重ねて、それを共著『前夜』としてまとめ、自民党の「緊急事態条項」を含む憲法改憲草案の危険性を徹底的に記しています。

※【増補改訂版・岩上安身サイン入り】前夜 日本国憲法と自民党改憲案を読み解く(IWJ書店)
https://onl.tw/bTT5q4T

※前夜 ~日本国憲法と自民党改憲案を読み解く(配信記事)
https://onl.tw/TNrR5Re

 以下のURLに緊急事態条項の特集記事を掲載しています。すべてフルオープンで公開しておりますのでぜひ御覧になり、また拡散もお願いします!

※これこそ「ナチスの手口」!9条を含めすべての現行憲法秩序を眠らせ、日本改造を行う「緊急事態条項」 この上ない危険性!!(HP特集記事)
https://onl.tw/KrAQB7g

 しかし、ここまで緊急事態条項の必要性を正面に掲げるようになっても、改憲勢力は「災害のため」というカムフラージュを相変わらず口にして平然と国民を欺き、マスメディアも、緊急事態条項の中身の検討、その危険性については、まったく触れません。

 はっきりと言いきります。

 緊急事態条項は、「台湾有事」という言葉でしきりに安倍元総理らが煽り立てている、米国と中国との戦争に日本を参戦させること見すえてのものです。

 この緊急事態条項によって、日本に戦時独裁体制を築き、国民の反対を強権発動で抑え込んで米国の傀儡国として、米本土を守るため、日本国民を犠牲にする無謀な戦争に突っ込むための仕掛けです。

 問題は、それだけではすみません。戦争には莫大なカネ(戦費)がかかるのです。

 景気の回復やコロナ対策どころか、膨大な戦費調達で無制限に国債を増発して国の借金がどうにもならなくなったら、国家緊急権をもって、国民に対して大増税を強行するという腹づもりも、この緊急事態条項導入の裏側には隠されているはずです。

 1946年、第二次大戦の敗戦の翌年、日本政府は国民に強制的に買わせた戦時国債がインフレで価値がなくなっている時、国家緊急権(緊急勅令)を発令して、新円切り替えと預金封鎖という強硬策を行い、その上で「一回限り」という言い訳つきで全国民から財産を没収し、(最高税率90%!)インフレのために価値のなくなった戦時国債の形ばかりの返済にあてて、表向きデフォルトをまぬがれた「前科」があるのです。

※(再掲)改憲で緊急事態条項が通れば「国民に『お前らの財産没収します!』なんてこともできます!」と明石順平弁護士が危惧!~岩上安身によるインタビュー 第937回 ゲスト 『データが語る日本財政の未来』著者 明石順平弁護士 第3弾
https://onl.tw/Lt1N5Jw

※【エッセンス版】改憲で緊急事態条項が通れば「国民に『お前らの財産没収します!』なんてこともできます!」と明石順平弁護士が危惧!岩上安身によるインタビュー 第937回 ゲスト 明石順平弁護士 第3弾
https://onl.tw/7aPS1sP

※【矢野財務事務次官寄稿『このままでは国家は破綻する』について識者は語る・切り抜き5】岩上安身による弁護士 宇都宮健児氏、エコノミスト 田代秀敏氏インタビュー
https://onl.tw/wLkTg8Q

 その恐ろしい「財産税」のために、新円切り換えと同時に緊急勅令(=国家緊急権)を用いて、全国民の預金封鎖を行うという荒業まで用いたのでした。

 国家緊急権は、国家が、国民の意志とは無関係に超法規的な強大な権力をふるえるようになる、「悪魔の魔法の杖」の如きものです。

 国家緊急権という万能の「魔法の杖」を国家に渡さないように、IWJはこれまでもずっと、この問題に警鐘を鳴らし続けてきました! しかしこの問題は、マスコミではタブー扱いになっています。

 選挙後も、「改憲」の話は出ても、「緊急事態条項」については大きく取り上げたり、コミットしないよう、各政党の政治家も、御用記者クラブメディアも、慎重にふるまっています。口裏もあわせずして、大手メディアがことごとく、「緊急事態条項」については黙り続ける、こんな芸当がどうしてできるのでしょうか?

 多くの国民は、緊急事態条項について、マスコミが取り上げず、世間の話題にもならないため、その危険性に気づかず、眠るように忘れさせられてゆくのです。

 その点の危うさを、IWJはずっと「炭鉱のカナリア」のように、近づく危機を1人でも多くの方に知らせるべく、叫び続けています!

 戦後憲法は、明治憲法に書き込まれていた、この危険な国家緊急権を取り除きましたが、自民党をはじめとする現在の改憲勢力は、再び憲法に書き入れようとしています。

 もしも書き込まれれば、どうなるのでしょうか。暴力的な愚行を一度やらかした政府です。二度とやらないなどと誰が保証できるのでしょうか。

 こうして、マスコミが沈黙し続けている自民党改憲案の危険性を訴え続けているIWJが、今、活動費が足りずに沈没しかけています! 市民の皆さんからの緊急のご支援がどうしても必要です!

 下記のURLから会員登録いただけます。ぜひ、会員登録していただいてご購読・ご視聴お願いいたします。

https://iwj.co.jp/ec/entry/kiyaku.php

※ご寄付・カンパを取り扱っております金融機関名です。どうぞ、ご支援のほどよろしくお願いします。

みずほ銀行
支店名 広尾支店
店番号 057
預金種目 普通
口座番号 2043789
口座名 株式会社インデイペンデント ウエブ ジヤーナル

城南信用金庫
支店名 新橋支店
店番号 022
預金種目 普通
口座番号 472535
口座名 株式会社インディペンデント.ウェブ.ジャーナル

ゆうちょ銀行
店名 〇〇八(ゼロゼロハチ)
店番 008
預金種目 普通
口座番号 3080612
口座名 株式会社インディペンデント・ウェブ・ジャーナル カンリブ

 どうか、ご支援のほど、よろしくお願い申し上げます!

岩上安身拝

■IWJは、市民の皆さまお一人お一人の会費とご寄付・カンパで運営しています。特定政党や特定政治団体などからの隠れ資金など、一切受け取っていません。12月のご寄付者様のご芳名を感謝を込めて順次掲載させていただきます! IWJの経済危機に手を差し伸べてくださった皆さま、誠にありがとうございます!

 12月は31日間で、490件、692万2428円のご寄付・カンパをいただきました。ご寄付をくださった皆さま、本当にありがとうございます。

 ここに感謝のしるしとして、掲載の許可をいただいた方200名様につきましては、順に、お名前を掲載させていただきます。また、弊社ホームページにも掲載させていただくと同時に、ツイッター、フェイスブック等のSNSにて告知させていただきます。

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天野文子 様
T.T. 様
東田 伸夫 様
石山敏夫 様
鈴木 美奈子 様
T.O. 様
M.Y. 様
藤宮礼子 様
金子昇 様
H.K. 様
K.N. 様
BUNYU AIDA 様
S.H. 様
竹田 緑 様
K.T. 様
N.N. 様
藤本ひさ子 様
S.K. 様
M.K. 様
T.N. 様

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 皆さま、コロナ禍の厳しい経済情勢の折、誠にありがとうございました。

 いただいたご寄付は、大切に、また最大限有効に活用させていただきます。

 今後とも、ご支援をよろしくお願い申し上げます。

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◆中継番組表◆

**2022.1.15 Sat.**

あくまで予定ですので、変更、中止、追加などがある場合があります。また電波状況によっては、安定した中継ができない場合もございますので、ご了承ください。

【戦争前夜! 地政学上の要衝ウクライナにはびこる反ユダヤ主義の歴史 シリーズ特集 3(ソ連邦崩壊後)・IWJ_YouTube Live】
19:00~「動乱のウクライナ ~岩上安身によるインタビュー 第413回 ゲスト 大阪大学助教(※収録当時)・赤尾光春氏 第3夜(後編)」
視聴URL: https://www.youtube.com/user/IWJMovie/featured

 2014年3月に収録した、岩上安身による赤尾光春氏インタビューを再配信します。これまでIWJが報じてきたウクライナ関連の記事は以下のURLから御覧いただけます。
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/tag/ukraine

[記事URL] https://iwj.co.jp/wj/open/archives/134763

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◆中継番組表◆

**2022.1.16 Sun.**

あくまで予定ですので、変更、中止、追加などがある場合があります。また電波状況によっては、安定した中継ができない場合もございますので、ご了承ください。

【タイムリー再配信 1049・IWJ_YouTube Live】19:30~「デルタ株拡大、『第5波』のなかで迎える東京五輪の開催決行 懸念される日本の脆弱な検査体制とワクチン接種の遅れ~岩上安身によるインタビュー 第1046回 ゲスト 医療ガバナンス研究所理事長・上昌広医師」
視聴URL: https://www.youtube.com/user/IWJMovie/featured

 2021年7月に収録した、岩上安身による上昌広氏インタビューを再配信します。これまでIWJが報じてきた上昌広氏関連の記事は以下のURLから御覧いただけます。
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/tag/%e4%b8%8a%e6%98%8c%e5%ba%83

[記事URL] https://iwj.co.jp/wj/open/archives/494484

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◆昨日アップした記事はこちらです◆

IWJ検証レポート~アリソン・レポートの衝撃(その1)「米国は科学技術の覇権を握っていない」グレアム・アリソンが政権移行のメモをレポート「偉大なるライバル」(技術編)で「10年で中国は米国を抜く」
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/501076

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■<IWJ取材報告1>「風邪のような症状の全員、PCR検査受けられないと、感染拡大止まらないのでは?」IWJ記者の質問に「感染拡大懸念地域は、無症状でも無料で検査受けられるよう対応している」と回答~1.14後藤茂之厚生労働大臣 定例会見

 1月14日午前10時10分頃より、後藤茂之厚生労働大臣の定例会見が、厚生労働省にて開催され、IWJが生中継しました。

 はじめに後藤大臣が、「特定石綿被害建設業務労働者等に対する給付金等に関する法律の施行期日を定める法令」が同日閣議決定され、同法が1月19日に本格的に施行されることを報告しました。

 質疑応答では、IWJの記者が以下の質問を行いました。

 「新型コロナウイルスのオミクロン株は、感染した場合、のどの痛みや、咳、発熱、全身倦怠感など風邪の諸症状と似た症状が出るといわれています。重症化率は比較的低く、逆に感染率は高いと言われており、冬場に誰でも1度や2度はひくであろう、風邪との区別が当人にも周囲にもつきにくいことは、市中感染を広げてしまう大きな要因となると思われます。

 風邪なのか、オミクロン株なのかは、PCR検査を徹底するしかありません。

 また、PCR検査を行って、新型コロナウイルスの陽性か陰性を調べ、さらに遺伝子の種類でオミクロン株か否かを判断するとのことですが、オミクロン株は、通常の新型コロナウイルスの潜伏期間より短く3日で症状が出ると言われており、このような検査方法ですと多くの日数を要します。検査を行った方々をすべて隔離するなりしないと、軽症の陽性者を野放しにして、市中感染を拡大する恐れがあります。

 単なる風邪だろうと放置している人、無症状の人がいることもあわせ、感染拡大が急激に増加している状況で、発熱していなくても、風邪のような症状が出た人は全員、PCR検査を、病院でもどこでも受けられるようにしないと、感染拡大は止まらないのではないでしょうか。

 検査の徹底した拡充を行う考えが政府にあるのか、大臣にお聞きしたいと思います」

 これに対して、後藤厚労大臣は次のように回答しました。

 「まず、風邪のような症状を含めて、症状のある方などについては、地域の身近な診療検査医療機関になりますけれども、医療機関で、迅速に検査ができるような体制を進めまして、今、診療検査医療機関数を3万5000か所まで増加してきているところであります。

 また、オミクロン株による感染拡大が懸念される地域では、不安を感じる場合に、無症状であっても、無料で検査を受けられるように対応しております。有症状であれば行政検査が無料で受けられるのは当然のことですが、無症状でも無料で検査を受けられるようにいたしております。

 さらに一層の検査体制の整備をするために、有症状者に対しては、医療機関において簡便かつ迅速に検査結果が判明する抗原定性検査キットの積極的な活用をお願いしたり、また民間検査機関や生産メーカー等に対して、一層の協力を依頼しているところでもあります。

 今、1日あたり検査能力が、PCRは約39万回、抗原定量が約8万件、抗原定性検査キットが87万件というふうになっておりまして、それなりの体制を整えておりますし、今後のオミクロン株の状況いかんによっては、検査キット等を対応できる体制をとっていくように考えているところでございます。

 引き続き、ご指摘のように、検査体制を充実していく、検査を拡充していくっていうことは重要なことだというふうに考えておりまして、都道府県とも連携して、検査体制をしっかりと確保していく、どういう姿勢で臨んでいきたいというふうに思っております」

 1日あたりのPCR検査能力が39万回といっても、1月13日の検査人数は14万7903人、13日の新規感染者の人数は1万8673人です。単純に新規感染者数を検査人数で割った陽性率は12.6%と高い状況にあります。検査陽性率を1%程度、少なくとも5%以下に保つためには、37万回から187万回の検査が必要なはずです。今現在、39万回の検査能力があるのであれば、その能力をフル回転させる必要があるのではないでしょうか。

 また、100万人あたりの検査数は23万9355回で、世界144位にとどまっています。

※COVID-19 CORONAVIRUS PANDEMIC(worldometer、2022年1月13日閲覧)
https://www.worldometers.info/coronavirus/

 他社からは、西日本新聞の記者が、「黒い雨」をめぐる被爆者認定制度に長崎が含まれない件について質問しました。後藤大臣は、「長崎についてどのような対応が可能か、長崎県・市の意見をよく聞き、課題の洗い出しから検討したい。今月中にも実務者レベルの打ち合わせを開始したい」と回答しました。

 そのほか、オミクロン株の濃厚接触者の待機期間、エッセンシャルワーカー等の濃厚接触者への対応、地方での感染拡大、まん延防止等重点措置の適用等について質問がありました。

 詳しくは、ぜひ全編動画を御覧ください。

※「風邪のような症状の全員、PCR検査受けられないと、感染拡大止まらないのでは?」IWJ記者の質問に「感染拡大懸念地域は、無症状でも無料で検査受けられるよう対応している」と回答~1.14後藤茂之厚生労働大臣 定例会見
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/501109

■<IWJ取材報告2>母国へ里帰り出産の外国人労働者は再入国可能だが生まれた子は入国不可!「『人道上の特段の事例』とは何か?」との追及に「個別の事情を勘案しつつ、必要かつ適切な対応を継続していく」~1.14林芳正 外務大臣 定例会見

 1月14日午後2時10分より、東京都千代田区の外務省庁舎にて、林芳正外務大臣の定例会見が開催されました。

 冒頭、林大臣より、「フィリピンに対する緊急無償資金協力」について報告がありました。

※フィリピンにおける台風被害に対する緊急無償資金協力(外務省)
https://www.mofa.go.jp/mofaj/press/release/press1_000681.html

 日本政府は、14日、2021年12月のフィリピンにおける台風22号の被害に対する人道支援として、合計1300万ドル(約14億400万円)の緊急無償資金協力をすることを決定しました。

 現在、フィリピンでは800万人近い被災者や約140万棟の家屋損壊が発生しているほか、被災地域では依然として、生活必需品の供給が間に合っていない状況であり、12月23日には、政府は、JAICAを通じて、発電機やテント等の緊急援助物資を供与しています。

 このたびの協力では、その後の現地におけるニーズを踏まえ、国際機関経由で、食料・住居・生活必需品・保険・水・衛生等の分野での支援を実施するとのことです。

 林大臣からの報告後、各社記者との質疑応答となりました。IWJ記者は指名されませんでした。

 他社の質問は、「北朝鮮のミサイル発射正当化」、「海部俊樹元首相の訃報」、そして「新型コロナの水際対策」等。その中でラジオ・フランスは、「水際対策」に関して、次のように質問しました。

※新型コロナウイルス感染症に関する水際対策の強化に係る措置について
https://www.mofa.go.jp/mofaj/ca/fna/page4_005130.html

 「新規入国について、政府は人道上、そして国益上の観点から必要な対応をすると言っているが、人道上とは何(を指すの)かを知りたい。たとえば、日本で働いている外国人は出産のために母国に里帰りしましたが、彼女は、仕事への復帰などの理由で、日本に戻らなければならない。

 彼女の再入国は可能ですが、(彼女の)赤ちゃんは新規入国だから、入国が否定されている。この事例が『人道上』の特段の事例でなければ、何が特段の事例なのか?」

 この質問に対して、林大臣は以下のとおり回答しました。

 「人道上の配慮の基準についてのおたずねだったと思いますが、これまでも、人道的な配慮が必要な場合などについては、個別の事情を踏まえて、必要な防疫措置を講じた上で、入国を認めてきていますので、引き続き、個別の事情を勘案しつつ、必要かつ適切な対応を継続していくということになっております。

 留学生の新規入国については、卒業や進級が迫る状況等踏まえて、対応を検討していくということでございます」。

 詳しくは、ぜひ全編動画を御覧ください。

※母国へ里帰り出産の外国人労働者は再入国可能だが生まれた子は入国不可!「『人道上の特段の事例』とは何か?」との追及に「個別の事情を勘案しつつ、必要かつ適切な対応を継続していく」~1.14林芳正 外務大臣 定例会見
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/501098

■ウクライナをめぐる欧米とロシアの一連の交渉は最終会談も進展なし! 一方、カザフスタンではデモが暴動に発展! トカエフ大統領は「国外のテロリストによるクーデター」と主張、ロシア軍主導の治安部隊に鎮圧を要請! その裏で不正を続けてきた前大統領一派を一掃!! 政権内部の権力抗争か!? ロシアによる領土侵攻か!? 暴動への西側の関与は!?

 この日刊IWJガイドで連日お伝えしている、ウクライナをめぐる米国、NATO(北大西洋条約機構)、OCSE(欧州安全保障協力機構)とロシアとの一連の交渉は、現地時間の13日、オーストリアの首都ウィーンのOSCE本部で最後の会合が行われました。

 OSCEは、名前に「欧州」とありますが、北米や中央アジア、ロシアも含め、57か国が加盟する世界最大の地域安全保障機構です。

※欧州安全保障協力機構(OSCE)(外務省)
https://www.mofa.go.jp/mofaj/area/osce/index.html

 14日付け日本経済新聞は「閉会後に会見したロシアのルカシェビッチ駐OSCE大使は『残念ながら、(ロシアが提案した)欧州安全保障案に対して適切な回答を得られていない』と述べ、双方の溝が深いことに失望感を示した」と報じました。

※ロシアの欧州安保案「適切な回答得られず」 OSCE大使(日本経済新聞、2022年1月14日)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR13DQO0T10C22A1000000/

 また、14日付けロイターは、会合後の記者会見で、現在の議長国であるポーランドのラウ外相が「ウクライナ情勢について、ロシアはなお外交手段を諦めていないが、緊張が緩和されない事態に備えて軍事的オプションも準備しているとし、欧州が戦争に突入する危険があるとの見方を示した」と報じました。

※ロシア、ウクライナ協議「手詰まり」 ポーランドは戦争リスク警告(ロイター、2022年1月14日)
https://jp.reuters.com/article/ukraine-crisis-russia-idJPKBN2JO02M

 一方、ウクライナと並んで現在、もっとも情勢が緊迫化しているのが、中央アジアのカザフスタンです。ウクライナと同様、かつてソ連邦を構成していた15の共和国のひとつであり、91年のソ連邦解体によって、独立しています。

 カザフスタンでは年明けに政府が燃料価格の上限撤廃を決定。燃料価格が急騰したことをきっかけに、長年の政治の不公正に対する国民の不満も重なり、1月2日から大規模なデモに発展し、一部地域で暴徒化しました。

 トカエフ大統領は、「国外で訓練されたテロリストの武力攻撃に直面している」との理由をつけて、5日、ロシア主導の集団安全保障条約機構(CSTO)に平和維持部隊の派遣を要請しました。

 CSTOは6日、ロシア軍を中心とした2000人の部隊を派遣しました。

 7日にはトカエフ大統領が、治安部隊に「無警告の発砲」を許可したと発表。

 10日付けBBCは「少なくとも164人が死亡」「拘束者が5800人に上る」と報じています。

※反政府デモで少なくとも164人死亡か カザフスタン騒乱(BBC、2022年1月10日)
https://www.bbc.com/japanese/59926207

 11日付けロイターは、トカエフ大統領が、CSTOの10日の会議で、騒乱は「クーデター未遂」だと主張、ロシアのプーチン大統領も「外国が後ろ盾するテロリストから守ることができたとして勝利を宣言した」と報じました。

※カザフスタンを「外国テロリスト」から保護、ロ大統領が勝利宣言(ロイター、2022年1月11日)
https://jp.reuters.com/article/kazakhstan-protests-russia-idJPKBN2JK1D8

 このCSTOの部隊派遣と武力鎮圧については、米ブリンケン国務長官が批判している一方、国境を接する中国外交部は「上海協力機構 (SCO)の他の構成国と共に、カザフスタン情勢について直ちに声明を発表し、国内情勢の安定回復に向けたカザフスタンの指導者による措置を支持し、カザフスタン側へのSCO構成国の力強い支持を示した」と明らかにしています。

※中国はカザフスタン情勢の安定回復に資するあらゆる措置を断固支持(人民網日本語版、2022年1月13日)
http://j.people.com.cn/n3/2022/0113/c94474-9944365.html

 CSTOは、13日に部隊の撤収を開始しました。

※ロシア部隊など撤収開始 混乱収束のカザフから(時事ドットコム、2022年1月13日)
https://www.jiji.com/jc/article?k=2022011300949&g=int

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■【戦争前夜! 地政学上の要衝ウクライナにはびこる反ユダヤ主義の歴史シリーズ特集 3(ソ連邦崩壊後)】本日午後7時から2014年収録「動乱のウクライナ ~岩上安身によるインタビュー 第413回 ゲスト 大阪大学助教(※収録当時)・赤尾光春氏 第3夜(後編)」を公共性に鑑み全編フルオープンで再配信します!

 岩上安身は2014年3月23日、この年の2月に勃発したウクライナ軍と親ロシア派武装勢力及びロシア軍との軍事衝突が続くただ中に、ウクライナ極右と反ユダヤ主義について、収録当時、大阪大学助教の赤尾光春氏(現在は大阪大学、龍谷大学、関西学院大学講師)にインタビューを行いました。

 本日午後7時から、13日、14日に引き続き、「動乱のウクライナ ~岩上安身によるインタビュー 第413回 ゲスト 大阪大学助教(※収録当時)・赤尾光春氏 」の第3夜(後編)を再配信します。

 赤尾氏へのインタビュー第3夜では、赤尾氏が東部の緊張が一段と高まるウクライナ情勢の主役たちを詳細に分析しました。

 赤尾光春氏へのインタビュー 第1夜、第2夜は、こちらを御覧ください。

※ウクライナ極右と反ユダヤ主義 ~岩上安身によるインタビュー 第411回 ゲスト 大阪大学助教・赤尾光春氏 第1夜(前編) 2014.3.23
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/130775

※「諸悪の根源はユダヤ人!?」 氾濫する歪んだユダヤ人イメージ ~岩上安身によるインタビュー 第412回 ゲスト 大阪大学助教・赤尾光春氏 第2夜(中編) 2014.3.23
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/134351

 ソ連崩壊後の1990年代のロシアでは、オリガルヒと呼ばれる新興財閥が誕生しました。急速に資本主義化を押し進める過程で、多くの国有企業はかつての経営者層にそのまま受け継がれる形で民営化されました。一躍大資本家となったこれらオリガルヒは、新聞やテレビなどのメディアも手中におさめ、エリツィン政権との癒着を強めていくこととなります。

 90年代後半に全盛を誇った「ビッグ・セブン」と呼ばれた7人の代表的オリガルヒのうち、6人までがユダヤ系だったと言われています。ただし赤尾氏は、「こう聞くと陰謀論的な話になりがち」と話し、「この人たちがみんなユダヤ人として動いていたわけではないし、個人的利害もある。自身のユダヤ人性を否定するような人も中にはいた」と続けました。

 プーチンのような権力者にとって、「ユダヤ人」という存在は、どのように映るのでしょうか。赤尾氏は興味深い指摘を行いました。「プーチンは少数民族や宗教マイノリティーの代表者と会って、見せ場を作る。だから西側も、プーチンを『反ユダヤ主義者』とは言いづらい」と赤尾氏は見ます。

 また、常に外部からの攻撃にさらされやすい脆弱な立場にあるユダヤ人側にとっても、権力者とのつながりを持つことは、自分たちのアイデンティティを守りつつ、生存の条件を確保することを意味してきました。

 「オリガルヒのような有力者で、政治権力とつながりがあり、場合によってはユダヤ共同体の利害や安全を守る、そのような人物のことをヘブライ語でシュタドランといいます」。

 そう述べ、赤尾氏はこう続けます。

 「シュタドランは『仲介者』という意味。シュタドランの伝統がユダヤ教のディアスポラでは、古代から現代に至るまである。政治権力とコネを作っておくのは危機に備えた生存の一つの知恵でもあります」。

 ウクライナ暫定政権は発足直後に、ドネツクとドニプロペトロウシク2州の知事に、新興財閥オリガルヒ出身の人物を任命しました。ドネツク、ドニプロペトロウシクともウクライナ工業の中心地であり、しかもロシア系住民の比率が比較的高い地域です。

 「押さえておきたい場所に有力オリガルヒを送り込んでいる」と赤尾氏は語ります。

 「ロシア語が話され、ロシア人も多い地域が、クリミアのように、ロシア寄りになりすぎるのは避けたいと考えている」。

 したがって、この知事任命人事からは、経済の舵取りに秀でているとされるオリガルヒ出身の人物に重要拠点の統治を任せることで、東部の安定化を図ろうとする意図が透けて見えると赤尾氏は説明を加えました。

 この続きは、ぜひ本日の再配信をご視聴ください。公共性に鑑み、どなたでも御覧いただける、全編フルオープンで配信します。

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【戦争前夜! 地政学上の要衝ウクライナにはびこる反ユダヤ主義の歴史 シリーズ特集 3(ソ連邦崩壊後)・IWJ_YouTube Live】19:00~
動乱のウクライナ ~岩上安身によるインタビュー 第413回 ゲスト 大阪大学助教(※収録当時)・赤尾光春氏 第3夜(後編)
視聴URL: https://www.youtube.com/user/IWJMovie/featured

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※動乱のウクライナ ~岩上安身によるインタビュー 第413回 ゲスト 大阪大学助教・赤尾光春氏 第3夜(後編) 2014.3.23
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/134763

■<新記事紹介>対ナチス・ドイツ戦勝76周年の戦勝記念日に行われたプーチン大統領の演説は、日本でどう報じられたのか。つくられた「ロシアの強権的な独裁者プーチン」のイメージ~「ウクライナ危機」の背景(その1)

 2021年5月9日、ロシアの対ナチス・ドイツ戦勝76周年を記念する行事において、プーチン大統領の行なった演説が注目を集めました。

 日本のメディアの報道では、プーチン大統領の文言は「再び攻撃を企むものには容赦しない」という部分が切り取られ、「ロシアの強権的な独裁者プーチン」の脅しともとれる発言、というニュアンスで伝えられました。

 しかし、海外メディアの報道もあわせて読むと、プーチン大統領は、ネオナチの旗を公然と掲げるウクライナの極右民族主義者たちを批判していたことが明らかとなります。

 理由も不明確なまま「敵愾心を剥き出しにする攻撃的なプーチン」というイメージは、「西側」の欧米諸国のメディアによる偏向報道と、それをそのまま無批判に流す日本のメディアの印象操作によって生み出されたものだといえます。

 ウクライナには反ユダヤ主義の極右集団があり、ウクライナ西部で活動しています。岩上安身は、ウクライナ危機が高まった2014年ユダヤ問題に造詣の深い赤尾光春氏、ウクライナにおけるネオナチ的な反ユダヤ運動についてインタビューをしました。

 同じく2014年、岩上安身は、ドイツまで足を運び、ライプチヒ大学のシュテフィ・リヒター教授に、ウクライナ危機がどのように報じられているかを問うインタビューをしました。リヒター教授は、ドイツでは「ロシア=プーチン、プーチン=悪魔」という非常に単純化した報道がほとんどで、それではウクライナ危機の本質は理解できないと指摘し、「今のヨーロッパは、米国の『マリオネット(操り人形)』」だと述べました。

 欧米系のメディアの情報をそのまま鵜呑みにして報道する日本メディアの情報だけを追っていると、ロシアという国、プーチン大統領という指導者の本質、ヨーロッパとロシアの間の近現代史そして2022年現在再び高まってきるウクライナ危機の本質を見誤る可能性があります。

※対ナチス・ドイツ戦勝76周年の戦勝記念日に行われたプーチン大統領の演説は、日本でどう報じられたのか。つくられた「ロシアの強権的な独裁者プーチン」のイメージ~「ウクライナ危機」の背景(その1)
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/501141

 それでは、本日も1日、よろしくお願いします。

※日刊IWJガイドのフルバージョン(会員版)は下記URLより御覧ください。
https://iwj.co.jp/wj/member.old/nikkan-20220115

IWJ編集部(岩上安身、六反田千恵、浜本信貴、渡会裕、木原匡康、尾内達也、城石裕幸、富樫航、中村尚貴)

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岩上安身サポーターズクラブ事務局
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