日刊IWJガイド「注目の市長選、3市すべてで現職市長が再選!接戦を極めた宜野湾市長選!八王子では投票率32.6%、目も当てられない!現職再選はこうした低投票率と組織票の底堅さが原因?進まぬ野党共闘のほころびが出始める!」2016.1.25日号~No.1229号~


■■■ 日刊IWJガイド「注目の市長選、3市すべてで現職市長が再選!接戦を極めた宜野湾市長選!八王子では投票率32.6%、目も当てられない!現職再選はこうした低投票率と組織票の底堅さが原因?進まぬ野党共闘のほころびが出始める!」2016.1.25日号~No.1229号~■■■

 おはようございます!IWJ学生記者の城石エマと申します!

 昨日は沖縄県・宜野湾市、山口県・岩国市、東京都・八王子市で市長選の投開票が行われました。この日、西日本を中心に寒波が襲い、沖縄県でも最低気温5.8度という記録的な寒さとなりました。

 岩国と八王子ではこの寒さも影響したのか、投票率が低迷。岩国では投票率47.49%。八王子ではなんと32.6%と、市民の4人に1人程度しか、投票に行きませんでした。様々な意味で「冷え込み」ました。

 他方、沖縄・宜野湾市の市長選。こちらは、政治熱が冷え込むことはありませんでした。投票率は68.72%をマーク。前回の63.90%を上回りました。沖縄・宜野湾市長選の期日前投票率は19.5%、投開票当日の14時の投票率は約44%でした。

 さらに昨日24日は、京都でも市長選が告示されました。自民、民主、公明、社民の推薦する現職の門川大作氏と、共産党推薦で新人の本田久美子氏が一騎打ちをかけます。

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・2016/01/24 【京都】京都市長選挙 門川大作候補 街頭演説 ―応援弁士 石破茂 地方創生大臣(動画)
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/284237
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 各地で始まった選挙戦。こうした市長選挙の結果も、来夏の参院選の帰趨に関わってきます。国のカタチを根本から変えようとする今の政治に、有権者がどのような評価をくだすのか、ご注目ください。

 まずは、東京都・八王子市長選の結果を、街宣の取材に行ったIWJの青木浩文記者よりご報告いたします!

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■八王子でも現職市長が当選 投票率32.6%の深刻な低迷

 IWJで中継やテキスト関係のお手伝いをしながら報道現場の勉強をしています青木浩文です。

 昨日、1月24日に発表された今回の八王子市長選挙の投票率は、前回より2.35ポイント少ない32.6%。(当日有権者数451,641人)22時過ぎ、現職の市長、石森孝志候補の当選確実が発表されました。

 今から36年前、一浪をして中央大学に合格した私は、19年間暮らした生まれ故郷の札幌を後にして、八王子の北野という町で学生生活を始めました。大学が八王子にあったからです。大学の最寄りの駅は多摩動物公園駅でした。

 初めての東京での一人暮らし。八王子市が東京都心からどれほど離れているかという距離感覚もない私は、山々に囲まれた北野にある下宿先を下見した時に、「自然がたくさんあって、北海道に似ているから住みやすいかも」などという理由で即決したのでした。

 しかし、住みはじめてその不便さに初めて気がつきました。当時はコンビニなどという便利な流通形態は存在せず、駅前に京王ストアが1軒あっただけ。それも19時には閉店。定食屋も居酒屋もなく、夜お腹が空いたら自分で米を炊くか、翌朝大学の学食が開くまで我慢するしかありませんでした。さらに、裏山にはたぬきは出るわ、玄関前にヘビがのたうち回っているわ。故郷札幌よりもワイルドな町でした。

 そんな八王子での学生生活を送っていた私が、1月17日八王子選挙に立候補した五十嵐仁氏(64歳)と石森孝志氏(58歳)、両候補の初日の街頭演説を中継・取材するため南大沢駅を訪れました。ちなみに、南大沢駅が完成したのは1988年。久々の八王子にも関わらず、私がなんの懐かしさも感じなかったのは当然の事。私が大学生活を送っていた当時は、「南大沢駅」は、まだ存在していませんでした。

 両候補が初日の街宣場所として南大沢駅を選んだ理由は、多摩市、町田市、そして八王子市にまたがる多摩ニュータウンで第一声をあげたい、という思いがあったからでしょう。南大沢駅はそのニュータウンの中でも、多数の新興住宅と、学校、商業施設を有する、八王子における重要な拠点なのです。

 自民党、公明党、連合東京、市民・民主クラブ等などの推薦を得た現職の石森氏陣営は、このニュータウン再生をはじめとする、八王子のさらなる開発事業を手掛けることを訴えました。応援弁士には、自民党の八王子選出の萩生田光一内閣官房長官や、数多くの都議会議員が駆けつけ、国、東京都とのつながりを強調しました。

 また、自民党の近藤充・東京都議会議員は、「向こう側の陣営は『原発反対』とか『安保法制反対』だとか言っているだけの、6万5千人くらい、八王子には“あんぽんたん”が住んでいるんですよ」と八王子市民を侮辱し、石森候補が万が一敗れるようなことがあれば「街づくりは、完全にストップする」と脅しめいた言葉まで口にしていました。

 他方、対立候補で新人の五十嵐氏は元法政大学教授で、共産、社民、八王子・生活者ネットワークなどの支援を受けていました。訴えていたのは、「安保関連法廃止」と、石森氏が推し進めようとしている「大型開発行政」を中止し、その予算を「福祉や教育」に振り向けることでした。

 「緑の山を切り崩して、赤字の山を築くような、愚かな市政を転換し、そのお金を本当に人の命や暮らし、営業が守られる方向に使ってゆきたい」と、訴えていた五十嵐候補の言葉が印象に残っています。「緑の山」とは、八王子の豊かな自然を知る者の実感です。

 応援弁士には、日本共産党の小池晃参議院議員、民主党の有田芳生参議院議員、社民党副党首の福島みずほ参議院議員、維新の党の初鹿明博衆議院議員、元日弁連会長の宇都宮健児氏、慶応義塾大学名誉教授である小林節氏などが駆けつけ、五十嵐候補への支持に加え、今回の市長選挙は国政にも大きな影響を与える重要な選挙であると訴えていました。

 五十嵐候補の応援していた小林氏が、八王子市民を厳しく批判していたのが、2012年に行われた八王子市長選挙における34.95%という投票率の低さです。

 2012年の当日有権者数は450,659人。約30万人もの八王子市民が投票に行かなかったことになります。石森氏は、得票率48.05%である74,273票を獲得し当選しましたが、これは八王子の全有権者のたった16%でしかないのです。

 1月17日、八王子駅前で行われた五十嵐候補の応援演説には、主催者発表で1000人の聴衆が集まり、私自身その熱気と盛り上がりを肌で感じていました。その一方で、国会正門まで安保法制に反対の声を上げていた方々の姿を幾人か見かけたこともあり、「はたして、この中に八王子市民は何人いるのだろうか」という不安もよぎりました。また、その中に、全くと言っていいほど若い人たちの姿がなかったことも気になっていました。

 さて、36年前に遡り、八王子で暮らす大学生だった自分は、選挙に興味を持っていただろうか、と思いを巡らせてみました。答えは「NO」です。では、どんなきっかけがあれば、当時の自分が興味を持つことができただろうか、と過去を振り返って、想像をめぐらしてみました。

 思い至ったことはひとつ。周囲にコンビニも、定食屋も、居酒屋もない、北野の山の上の下宿先で、共に暮らし、夜な夜な語りあった、大学の先輩、同期との話のなかで、選挙の話題が出ていれば、選挙について考えるきっかけが生まれたのだと思います。

 1978年、なぜ中央大学が駿河台から八王子へ引っ越ししたのでしょうか? 学生運動をさせないために、学生の非政治化をはかり、それが見事に結実したということなのでしょうか?

 政治に無関心でもよかった時代は、本当に終わりましました。もう、真面目に働き、仕事の後には通勤電車に揺られ、ベッドタウンでしずかに眠る、一方政治のことには無関心な、そんな「善良な小市民」というだけでは生き残ることすらできなくなるのだと実感しています。

 ぜひ、語って下さい。皆さんの身近な人に、皆さんご自身の言葉で。家族、両親、兄弟、友人、そしてパートナーに。2016年、これから夏まで続く数々の選挙が、私たちの未来にとって、どれほど大切な選挙なのかということを。

 私も本気で語り始めようと思います。

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 青木記者、ありがとうございました!自身の若かりし頃に思いを馳せつつ、選挙の低投票率にため息をつく青木記者でした。

 続いては、私、城石エマから、山口県・岩国市長選の投開票結果をご報告します。

■こちらも低投票率 「極東最大の軍事基地」を抱える岩国では、現職・福田良彦氏が当選

 宜野湾市と同じく米軍基地を抱える山口県・岩国市では、自民・公明推薦の現職・福田良彦(ふくだよしひこ)氏(45)と、無所属で元市議の姫野敦子(ひめのあつこ)氏(56)との一騎打ちとなりました。

 結果は、現職・福田氏の勝利。投票率は、47.495で、2012年1月の64.01%の最低記録を塗り替えました。

 岩国にある米海兵隊の航空基地では、2017年までに厚木基地から空母艦載機を移設することが決まっています。厚木基地から空母艦載機が移設されれば、岩国基地は極東最大の軍事基地となります。

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※【IWJブログ】岩国住民投票を力にする会の元会長・吉岡氏直撃インタビュー!「岩国は米軍の上陸作戦の露払いとして使われる」~極東最大の基地へ拡大する岩国基地と全国展開するオスプレイ
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/162519
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 今回の選挙で、新人の姫野氏は、基地への反対姿勢を徹底し、移転にも反対を訴えました。基地交付金に頼らない、町の「自立」を掲げて争いました。

 対する福田氏は、基地交付金を子どもの医療費の助成金として充てることなどで「基地との共存」を目指すとしつつも、厚木基地からの移転については態度を明示しませんでした。

 福田氏が今後、厚木基地からの空母艦載機移転にどう対処していくのか、騒音被害を訴える住民の声をどう反映していくのか、要注目です。

…(後半へ続く)

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◆中継番組表◆
本日のIWJの中継番組表をお送りします。
あくまで予定ですので、変更、中止、追加などがある場合があります。また電波状況によっては、安定した中継ができない場合もございますので、ご了承ください。

**2016.1.25 Mon.**

【録画配信・Ch4】15:00~「シンポジウム・後藤健二さん殺害事件から1年ジャーナリストはなぜ『戦場』へ行くのか~取材現場からの自己検証」
視聴URL: http://iwj.co.jp/channels/main/channel.php?CN=4
※1月15日(金)に収録した、「危険地報道を考えるジャーナリストの会」主催のシンポジウムを録画配信します。

【録画配信・IWJ_WASHINGTON】17:00~「島ぐるみ会議訪米取材<後編>11 ~滞在6日目:ホワイトハウス前アピール」
視聴URL: http://www.ustream.tv/channel/JqmK3j24b4V
※2015年11月18日に行った、「島ぐるみ会議訪米取材」の滞在6日目、ホワイトハウス前アピールの模様を録画配信します。

【Ch2】17:30~「東京電力 定例会見」
視聴URL: http://iwj.co.jp/channels/main/channel.php?CN=2
※東京電力による定例会見を中継します。

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◆明日の中継番組表◆

あくまで予定ですので、変更、中止、追加などがある場合があります。また電波状況によっては、安定した中継ができない場合もございますので、ご了承ください。

**2016.1.26 Tue.**

【録画配信・IWJ_WASHINGTON】17:00~「島ぐるみ会議訪米取材<後編>(12) ~滞在4日目:グリーンピースUSA」
視聴URL: http://www.ustream.tv/channel/JqmK3j24b4V
※2015年11月18日に行った、「島ぐるみ会議訪米取材」の滞在4日目、グリーンピースUSA訪問の模様を録画配信します。

【IWJ_HYOGO1】18:30~「安保法とは何か、どう廃止するか ―講師 上脇博之・神戸学院大学教授」
視聴URL: http://www.ustream.tv/channel/iwj-hyogo1
※「安全保障関連法に反対する神戸女学院有志の会」主催、神戸学院大学教授の上脇博之氏の講演を中継します。

【Ch5】19:00~「猿田佐世ND事務局長講演会 外交のしくみを紐解く ―安保・原発・TPP・沖縄基地と日米関係の実像―」
視聴URL: http://iwj.co.jp/channels/main/channel.php?CN=5
※「新外交イニシアティブ」主催の、猿田佐世ND事務局長講演会を中継します。

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(前半の続き)…

 この一週間、IWJからは佐々木隼也記者と谷口直哉カメラマンが沖縄・宜野湾市入りし、宜野湾市長選を徹底取材してきました。皆さんのお支えもあり、マスコミが決して拾い上げないような、住民に密着した非常に濃厚な取材を行うことができました。佐々木記者の目から見た市長選の総括は、明日発行のガイドでたっぷりお届けする予定ですが、寝る間を惜しんで精力的な沖縄取材に励んだ佐々木記者は、投開票の直後、燃え尽きた心境を歌に詠んでいます。「志村負け/心襟正す/参院選/オール日本の/民度問われる」。

 佐々木記者、谷口カメラマン、おつかれさまでした!

 一週間という徹底した取材ができたのも、ひとえにIWJを応援してくださっているみなさまのお支えのおかげです!改めて感謝申し上げます!今回も、旅費や滞在費だけでなく、宜野湾滞在中、ハードな取材に明け暮れた佐々木記者のパソコンが故障するなど、出費が重なりました。まだまだ夏の参院選に向け、各地に取材へ行くことが予想されます。どうか、まだIWJの会員になっていない方は会員にご登録いただき、また、すでに一般会員に登録されている方は、ぜひ、この機会にサポート会員にご登録いただきますよう、お願いいたします。

※IWJ定額会員へのご登録はこちらから
https://iwj.co.jp/ec/entry/kiyaku.php

 特定のスポンサーがついていないIWJの活動費は、すべて市民のみなさまの会費、そしてご寄付・カンパによってまかなわれています。会費だけですと、まだ活動費を十分にまかなうことができません。みなさまからのご寄付によって、補っていただいております。お支えいただけますように、どうぞよろしくお願いいたします!

※ご寄付・カンパもどうぞお願いいたします!
http://iwj.co.jp/join/pleasehelpus.html

 沖縄では、来夏の参院選に元宜野湾市長の伊波洋一氏と、島尻安伊子・内閣府特命担当大臣(沖縄・北方担当大臣兼科学技術政策担当大臣兼宇宙政策担当大臣)が出馬を決めています。

 島尻大臣は、辺野古基地移設の県外移設の公約破棄に始まり、「政治とカネ」や「公職選挙法違反」、果ては「放送法違反」の疑いまでかかっています。

 こちらは、先日、原佑介記者が渾身の記事をまとめましたので、ぜひご一読ください!

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※普天間「県外移設」の公約破棄だけではない!裏金作り?カレンダー配布?偏向ラジオ放送!?沖縄担当相の島尻安伊子参議院議員に浮かび上がった疑惑の数々!ついに刑事告発される!
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/277484
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 同時に、伊波洋一氏への岩上さんによるインタビューにも、ぜひお目を通してください。憲法解釈をねじまげてまで集団的自衛の行使容認を行い、「緊急事態条項」を明文改憲によって書き入れようとして、そして沖縄の辺野古に新基地建設を強行しようとする。その先にあるのは、絶望という言葉ですら虚しくなるほどの、破滅的な戦争計画です。米国の戦略家は、ぬけぬけと中国に花をもたせ勝たせる形で、日本と中国の戦争を終結させる、とまで言い切っています。

 こんな馬鹿げた戦争戦略に乗せられて良いのでしょうか!?右翼も全員このインタビューを読んで考えなおしてもらいたいと思います。参院選に備えるため、必見・必読のインタビューです!

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※2015/12/21 「中国のミサイル1400発で日本は一度壊滅させられ、中国に花を持たせて戦争を集結させる。それが米国の戦略」~岩上安身による伊波洋一・元沖縄県宜野湾市長インタビュー
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/279853
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 次は、そのサバサバとした性格と、一年の半分は農業をしながら各地を渡り歩くワイルドさから「IWJイチのいけめん」との異名をもつ、山本愛穂記者より島ぐるみ会議特別連載のお知らせです!

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■日本の市民運動も、煮え切らない野党も「島ぐるみ会議」に学べ~年始特別連載「島ぐるみ会議訪米団密着レポート 後編:ワシントンD.C編」配信のお知らせ

 おはようございます。都会の生活も悪くないなあと思いながら、日々山の中が恋しくなっていく季節就農者の山本愛穂です。

 もともと身体を使う仕事に従事していたわけではなく、写真部でフィルムカメラをいじっていた文科系の私は、運動神経がかなり悪く、浮き輪なしで泳ぐこともできません。そんなわけで、海にいくのは怖くて苦手なのですが、ここのところ毎日ジュゴンについて調べていたせいか、海に潜りたいような気がします。

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※大変お待たせしました!最新記事がアップロードされました!↓
・2015/11/19(6)訪米5日目(前編):黒塗りされた文書;「ジュゴン訴訟」の環境影響調査を公表しない米国防総省~歴史保存諮問委員会、生物多様性センタ―訪問
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/283443
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 「ジュゴン訴訟」――。米国防総省を相手に、日米の市民団体が米国の法廷で、ジュゴンの保護を根拠に訴訟を起こす、という非常に珍しい裁判です。米国の法律が絡むこともあり、分かりにくい裁判のポイントを連載チームで整理し、噛み砕きながらまとめました。

 こちらの記事は、現在「歴史保存諮問委員会」と「生物多様性センター」訪問の様子を収めた字幕付きの動画が、期間限定のフルオープンとなっています。米国防総省による『ウェルチ2010』という、非公開の「謎の環境影響調査」報告書も登場する連載第6回目の記事をどうかご覧いただければと思います。

 さて、そして本日も、年始特別連載「島ぐるみ会議訪米団密着レポート 後編:ワシントンD.C編」配信のお知らせです。

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【IWJ_ワシントンch】
「島ぐるみ会議訪米取材<後編>(11)
~滞在6日目:ホワイトハウス前アピール」
[収録日時] 2015年11月18日(水)12:00~
[配信日時] 2016年1月25日(月)17:00~
[場所]ワシントンD.C.
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 ついに、島ぐるみ会議訪米団の連続配信も、今日と明日で終了です。

 「辺野古新基地建設は、沖縄と日本の国内問題ではない、米軍基地は米軍のものなのだから、米国も当事者だ」――。

 そのメッセージを伝えるために、沖縄の島ぐるみ会議訪米団の26名は、米国内の文化財保護法や米国の法廷、環境保護団体、従軍慰安婦問題に取り組む団体、各市議会や議員など、文字通り食事を取る時間もないスケジュールで会談を続けていました。

 その中で、多くの現地市民団体や「人権派」と言われるエリック・マー氏(サンフランシスコ市議)のような議員から、「島ぐるみ会議や『オール沖縄』の取り組みは、市民運動のモデルケース。米国も学ぶところがある」と高い評価を受けていました。

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※(2)訪米2日目前編:全ては、19年前に始まった;バークレー・沖縄、草の根の交流が新たな連帯を産む瞬間~サンフランシスコ市議訪問
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/280839
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 島ぐるみ会議のどの点が、市民運動のモデルとして称賛されるのでしょうか?

 それは、革新派や保守などの考え方の違いや支持政党、さらに沖縄県内の大企業グループである金秀グループ会長の呉屋守将氏と沖縄県の労組である連合沖縄会長の大城紀夫氏が、共に米国の労働団体を訪れ連帯を表明するなど、各界の参加者が様々な違いを乗り越え、結託して取り組んでいる点であると言えます。

 現在、参議院選まで170日を切ったにもかかわらず、野党の共闘が順調に進んでいるようには思えず、有権者の1人として私も「ちょっといい加減にしてくれないかな」と、イライラと怒りを覚えています。

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※2015/10/06 共産党捨身の「野党共闘」に反対し「7.1閣議決定による解釈改憲」を合憲と主張する民主党右派・長島昭久議員にインタビュー!日本会議、櫻井よしこ氏、アーミテージとの関わりも直撃!
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/268897

※2015/10/24 野党を惨めにしているのも、民主党のこの英断のなさ、決断のなさ」岩上安身による民主党・阿部知子議員インタビューを録画配信!
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/271976
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 党内に日本会議に出入りする議員を抱え、さらに、未だに「共産党アレルギー」などという言葉を使い共闘に難色を示す議員が多い、煮え切らない餡子にもならないただの固くておいしくない豆みたいな民主党と対照的に、辺野古新基地建設反対のただ一点で過去の確執も乗り越えた「オール沖縄」の動きは、鮮やかで潔く、見事です。

 本日の配信は、訪米最終日に行われた「ホワイトハウスアピール」です。

 強行日程をこなし、疲労の色も浮かぶ訪米団がホワイトハウスの前で新基地建設阻止のアピールを行ったもので、現地の市民も飛び入りで参加した貴重な映像となっています。こちらをぜひご覧いただければと思います。

 皆さま、引き続き島ぐるみ会議訪米団密着レポートをよろしくお願いします。

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 山本記者、ありがとうございました!島ぐるみ会議の配信も、ついに終盤です。みなさま、山本記者の渾身の取材をどうぞご高覧ください!

 続いて、私より甘利大臣をめぐる違法献金疑惑の続報です。

■福山哲郎議員が、疑惑の甘利大臣を今日にも追及!?一方の自民党・高村正彦副総裁は「わなを仕掛けられた」とぽろり?

 千葉県の建設業者から1200万円の違法献金を受け取った疑惑で、進退が問われている甘利明・経済再生担当大臣をめぐり、国会議員や閣僚らの発言が相次いでいます。

 週刊文春によって疑惑を報じられた直後、甘利大臣は「1週間以内には記憶の確認をしてお話できるのではないか」と述べ、説明を避けました。甘利大臣のあいまいな態度を受け、1月22日の衆院本会議では、野党6党の議員が退席し、甘利大臣は翌23日からのダボス会議へ、国会の承認を得ることなく発つこととなりました。

 甘利大臣の疑惑について、与党議員たちは擁護に必死ですが、どう見ても無理があります。昨日の読売新聞によると、世耕弘成副官房長官は、「きちっと説明責任を果たしてもらえると思う。安倍首相はまったくぶれていない」と、根拠のない自信を見せました。刑事事件の容疑者になるかもしれない人物が、自分で説明さえすればそれで済むという話ではないでしょう。安倍総理が「ぶれていない」とは何のことか、まったく意味不明です。総理の任命責任はどうなるのでしょうか?

 また、自民党の高村正彦副総裁は、献金をした建設会社が録音データなどを持っていることについて、「わなを仕掛けられた感がある。そのわなの上に、周到なストーリーがつくられている」などと発言しました。「わなが仕掛けられている」と聞くと、仕掛けた悪党がいて、甘利大臣は気の毒な犠牲者のように聞こえますが、そもそも現金を受け取らなければ「わなに落ちた」ことにはなりません。弁護士である高村副総裁、さすがは世耕副官房長官とはひと味違う法律のプロのコメント、と思いましたが、違法献金を受け取った事実は認めてしまったことになりますね、これでは。

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※2016年1月24日読売新聞「『わなを仕掛けられた』…甘利氏を擁護の声も」
http://goo.gl/hFjJxr
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 さらに、昨日放映されたNHKの「日曜討論」では、自民党の棚橋泰文幹事長代理が「事実関係を調べている短い期間、国会では、今ある世界経済の不透明感から来る景気に対する疑問や、社会保障や財政をどうするか、これを粛々と国民の前で議論するべきだ」として、国会での追及をすべきでないという驚きの発言をしています。収賄の事実が本当なら、そんな汚職議員が国会で経済問題を議論する資格があるのか、あるわけないだろ、というそもそもの話が完全に脱落しています。

 一方、日曜討論に出演した民主党の福山哲郎議員は、「金銭を受け取ったか、受け取ってないかについて、記憶があいまいだということ自体が、国民の感覚からしても考えられないので、そこをまず明示してほしい。あさって(1月26日)から衆議院本会議が予定されているので、あす(1月25日)金銭の授受について明らかにするよう求めたい」として、今日にも甘利大臣を追及していく構えを見せました。

 また、共産党の山下芳生書記局長も、「主要閣僚中の主要閣僚なので、安倍総理大臣自身が真相を究明すべきだし、国会は関係者を招致して真相解明に当たるべきだ」として、閣僚を任命した安倍総理の責任も問うています。

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※2016年1月24日NHK「甘利大臣巡る報道 与野党が議論」
http://goo.gl/LCMaJ7
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 今日の国会では、野党議員が徹底的に甘利大臣を追及していくでしょう。気をつけねばならないのは、TPP交渉や安倍政権の経済政策を担ってきた甘利大臣の今回の疑惑騒動で、TPP交渉の内容や、アベノミクスの失敗に対する批判がうやむやにされるようなことがあってはならないということです。マスコミが甘利大臣の騒動にばかり焦点を当てているうちに、世間の目がTPP交渉の中身から逸らされてしまうことはありえます。今後のマスコミの報じ方には、要注意です。もちろん、IWJは甘利大臣の疑惑も、TPP交渉の中身も、二兎を追って頑張ります!

■岩上さんのインタビューと講演のお知らせ

 2016年に入り、岩上さんのインタビューも続々決定しています!時代を切り拓くべく、時代のキーパーソンにどしどしアプローチを続けております。今後もご注目ください!

 またTPPの協定内容について記された正文自体が、英語、スペイン語、フランス語のみで作成され、日本語が排除されてしまいました。日本はTPP域内で米国に次ぐ第2位の経済規模であるにも関わらず、なぜ日本語が除外されたのでしょうか? 政府は「日本語で正文を作成するべきだ」と、なぜしかるべき交渉をしなかったのでしょうか?

 最近では楽天やユニクロが社内の公用語を英語化したり、大学で半数の授業を英語化するよう文科省が求めたりするなど、日本の英語化政策は、様々な場面で進行しています。

 このように母国語を廃し、外国語を導入する言語政策は、近代においてはまさに植民地政策の要でもありました。とことん米国に追随しようとする安倍政権は、安保政策やTPPだけでなく、こうした英語の事実上の公用語化によって、日本をアメリカの植民地と化すために邁進しているのだと言えます。

 グローバリゼーションの問題は、貧困の拡大だけでなく、この英語化政策によって、私たちの生活や文化の土台を根底から覆してしまう、深刻な問題なのだと、施氏は懸念されています。今回岩上さんは、施氏のご著書『英語化は愚民化~日本の国力が地に落ちる』の内容を中心に、たっぷりとお話をうかがいますので、どうぞご視聴ください!

■「饗宴VI」~DVD第2回入荷分予約受付中!

 昨年12月20日に開催された「饗宴VI~国民非常事態宣言! 露わになった『ナチスの手口』/国家緊急権を阻止せよ!」。

 安倍政権が創設を目指す「緊急事態条項」の危険性について、16名のパネラーの皆さんと岩上さんが、徹底議論いたしました。

 あのシンポジウムから一ヶ月経ち、一部のビビッドな方々には「緊急事態条項」の恐ろしさが知れ渡りつつあります。けれども、まだまだ一般の方々には十分浸透していると言えません。そこで、世論の注意を喚起すべく、IWJでは、超特急でこの「饗宴VI」のDVDを作製いたしました。

 予定があわなくて会場に来られなかったという方、会場に来たけれどももう一度見直したいという方、2016年夏の参院選までには、日本中の有権者に、後戻りできない「緊急事態条項」の危険性を知っていただかなくてはならないので、この機会にぜひともお買い求めください。そして、周囲の方々にもじゃんじゃん広めてください!

■自民党の改憲草案にある「緊急事態条項」について知るなら、『前夜・増補改訂版』をぜひとも!必読の書です!DVD『饗宴VI』とセットでお申し込みを!初版が品切れになっていましたが、重版ができあがり、再入荷しました!

 自民党の改憲草案の恐ろしさを広めるために、ぜひともお読み頂きたいのが、『前夜・増補改訂版』です!入荷待ちの状態でしたが、再入荷しました!みなさま、ぜひぜひお買い求め下さい!

 2012年の段階から、岩上さんたちが自民党の改憲草案を一条ずつ徹底的に吟味し、「緊急事態条項」の危うさもいち早く警鐘を鳴らしていたことがよくわかります。増補改訂版では、新書一冊分になる新たな加筆をし、徹底的に論じ尽くしています!

■助けてください! 経理の柱になってくださる方、緊急募集中!

 IWJでは現在、経理担当者を緊急募集しています。年明け早々、これまで担当をしていたベテランの経理担当者が、体調不良で急遽IWJを離れることになりました。今IWJは、会社の心臓部である経理担当者がいない、深刻な状態です。

 経理・総務としての実務経験をお持ちの方、簿記などの資格をお持ちの方、できれば決算まで手がけたことのあるベテランの方に、IWJの経理責任者をぜひ、お引き受けいただきたく、大募集中です!よろしくお願いいたします!

◆応募条件
※「経理・総務スタッフ」を御覧下さい。
http://bit.ly/1ALJypQ

■わとはぷ~What happened today?

 ちょうど一年前の今日、1月25日、シリアでISに拘束されていた湯川遥菜さんが、ISによって殺害されたとされる映像が流されました。そしてそれから1週間後の2月1日、同じく拘束されていた、後藤健二さん殺害の映像も流されました。

 「民間軍事会社」を経営していた湯川さんが、シリアのアレッポでISに拘束されたのは、2014年8月16日。YouTubeに、湯川さんと見られる方が、頭から血を流し横たわる映像が流されました。ISは、直後に湯川さんを殺害したとする声明を発表しましたが、約半年後の2015年1月20日、ISが湯川さんと、10月下旬よりシリア入りしていたと見られる後藤さんを人質に、犯行声明を出しました。

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【岩上安身のニュースのトリセツ】イスラム国による邦人2名殺害:「報復」の名の下に国民を「テロとの戦争」に巻き込む安倍政権
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/230052
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 「日本の国民よ。日本政府はイスラム国に対する戦いに2億ドルを払うという愚かな選択をした。お前たちは人質の命を救うために、2億ドルを支払う賢い決断をするよう、政府に迫る時間が72時間ある。さもなければ、このナイフがお前たちの悪夢となるだろう」――。

 犯行声明が出される数日前の2015年1月17日、中東を歴訪した安倍総理がエジプトで、中東地域に25億ドルの支援をすることを発表しましたが、その際、ISの活動拡大を鑑みて、「テロや大量破壊兵器を当地で広がるに任せたら、国際社会に与える損失は計り知れない」などと発言しました。

 日本人がISに拘束されていることを知りながら、ISを挑発するような発言をした安倍総理大臣は、ISに人質の口実を与えてしまったのです。

 その安倍総理は、2月1日の後藤さん殺害をうけ、「政府として、全力を挙げて対応してまいりました」、「テロリストたちを絶対に許さない。その罪を償わせる」などと声明を出しました。

 しかし政府は、1月20日に犯行声明が出される前に、湯川さんや後藤さんが拘束されている事実を知りながら、ISへの空爆に賛同しISを挑発する発言を繰り返し、対イスラム国支援を打ち出したのです。人質となった湯川さんと後藤さんの救出のために「全力をあげて対応した」などと、とても言えたはずはありません。

 それどころか安倍総理は、日本人が海外でテロに巻き込まれた場合に、自衛隊が救出できるよう法改正するべきだとして、ISによる湯川さんと後藤さんの殺害事件を、安保法案「正当化」の口実に利用したのです。

 22年の人生の中で、私ははじめて「人質にとられた人」の映像を見ました。犯行声明が出された1月20日から毎日毎日、固唾を呑んでニュースを見ていました。身代金支払い期限とされた1月23日午後14時頃、大学で期末試験を受けていた私は、気が気でなかったのを覚えています。

 湯川さんと後藤さんが殺害されたことを知ったとき、怒りのような、悲しみのような、よく分からない気持ちになって、気がついたときには涙がこぼれていました。毎日悲惨なニュースを目にしない日はなく、どこかで誰かが殺されたと聞いたとしても、平然と毎日を過ごせるくらい、私の感覚は麻痺してしまっています。しかし、湯川さんと後藤さんの殺害のニュースは、そんな「悲惨」に慣れてしまった私でも、確かに痛みを感じたニュースでした。

 ご家族やご友人、関係者の方々の心痛は私の想像も及ばないほど深いものだともいます。到底及ばないとしても、私と同様、ニュースを見守っていた多くの人たちが、悔しさや悲しさを感じたことと思います。しかし、そうした人たちの気持ちを利用して、「憎きテロリストを懲らしめよう!日本も武力強化を!」などと言った愚かしい空気を作りだそうとするやり方には、徹底して抵抗しなければならないと思います。

 本日15時からチャンネル4では、1月15日に行われた「シンポジウム・後藤健二さん殺害事件から1年ジャーナリストはなぜ『戦場』へ行くのか~取材現場からの自己検証」の録画配信も行われます。こちらもぜひ、ご覧ください。

 湯川さんと後藤さんの殺害から約10カ月、パリで同時多発テロが起きました。妻を失った、ジャーナリストのアントワーヌ・レリスさんの言葉を最後に紹介したいと思います。

 「決して君たちに憎しみという贈り物はあげない。君たちの望み通りに怒りで応じることは、君たちと同じ無知に屈することになる。君たちは、私が恐れ、隣人を疑いの目で見つめ、安全のために自由を犠牲にすることを望んだ。だが君たちの負けだ」

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