「原発賛成?反対?」プラカードを持った市民は「犯罪者」なのか 〜表現の自由侵害行為についての記者会見 2013.7.9

記事公開日:2013.7.9取材地: テキスト動画
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 キーワードは「犯罪」だ——。警察官が、一般市民の住所、氏名、電話番号などの個人情報を聞き出すには、警察官職務執行法の第2条に基づかなければならない。

 警職法第2条は、「警察官は、異常な挙動、その他、周囲の事情から合理的に判断して、何らかの犯罪を犯し、もしくは犯そうとしていると疑うに足りる相当な理由のある者、またはすでに行われた犯罪について、もしくは犯罪が行われようとしていることについて知っていると認められる者を、停止させて質問することができる」と規定している。

■ハイライト

 参院選公示日である7月4日、福島駅前で行われた安倍総理の第一声となる演説会に、「総理、質問です。原発廃炉に賛成?反対?」と書いた自作のプラカードを持って参加した、40歳女性のプラカードが、自民党・亀岡偉民衆議院議員秘書・尾形と名乗る男性と、3名の警察官と思われる男性によって没収された。

 さらに、警察官らは、女性を取り囲み、「住所、氏名、電話番号」をしつこく聞き出した。恐怖感を覚えた女性は泣き出し、プラカードを没収されたまま、その場を後にした。

 市民の表現の自由を侵害し、さらには違法とも取れる警察の行為に対し、抗議の意志を示す弁護士・有志らは9日、弁護士会館で記者会見を開いた。

 代表の梓澤和幸弁護士は、「警察官が人の氏名などを聞くには法的要件がいる。キーワードは『犯罪』だ」と前置きし、「警職法第2条に基づき、犯罪を犯そうとしている者、もしくはすでに発生した犯罪について何か知っていると思われる者でなければならない。40歳の女性が一人で演説会に参加して、何が犯罪か。何の関連性もない」と、警察官がプラカードを持った市民を犯罪者扱いしたと指摘した。

 また、「参院選の第一日といえば、もっとも国民の政治的関心が高まる日。まだ表現もしないうちに、警察官が公権力を行使して、表現をさせなかった―。これを許してはいけない。選挙期間中にこういうことがあってはならない」と鋭く指摘し、最後に「女性が泣き出すまで追い詰めるとは、武士道に反する」と憤った。

 プラカードを没収された女性本人に聞き取り調査をおこなった倉地智広弁護士によれば、女性は現在、「プラカードを用意したのは、純粋に安倍総理の気持ちを聞きたかったから。とにかく怖かった。私は大変な罪を犯し、逮捕されてしまうのかと思った。住所を聞かれ、集団で押しかけられることになるかと思った。早く恐怖から開放されたい」などと、心境を語っているという。

 弁護士らは5日付けで安倍総理、自民党福島県連、警察庁、福島県警察本部本部長宛に、これらの行為を糾す質問書を送付しているが、回答はない。今後の法的措置については、当事者である女性と調整中だという。

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「「原発賛成?反対?」プラカードを持った市民は「犯罪者」なのか 〜表現の自由侵害行為についての記者会見」への6件のフィードバック

  1. 西浦 朋盛 より:

    自民党の、自由な言論に対する抑圧的、横暴な姿勢は、憲法改変で危険な言論統制する表れと考慮しています。

    警察官が国民を守る側ではなくて、権力の走狗であることは明白な事実で、その事を立証しました。

    いはば、自民党は、民主党の幼稚さによって墓場から蘇った時代遅れの、無用の長物のゾンビであることは

    確かです、彼らを自由にすれば日本は、魑魅魍魎の利権社会に逆戻りするでしょう。

  2. さぶろう より:

    安倍 晋三氏自身が違憲の塊のような人物ではないでしょうか。

    例えば、彼自身の公式サイト内で「現行の憲法は、日本が占領されている時代に制定され、また、六十年近くを経て現実にそぐわないものとなっています」と言っています。
    また、2013年4月26日、憲法をテーマに産経新聞の単独インタビューに応じ、「いまだかつて国民は自分たちの手で憲法をつくる経験をしていない。改正することで、初めて憲法を自分自身のものとして国民の手に取り戻せる」と述べています。

    これらは『憲法第九十九条【憲法尊重擁護の義務】天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ。』に抵触しています。

    今秋に国会に提出される国家安全保障基本法などは、違憲立法審査に付するべきだと思います。

  3. さんし より:

    一国の首相の演説前で、そんなプラカードを掲げてたら
    犯罪を犯すかもと予備的動作する事はおかしくはないでしょう。
    最も周囲を警戒してしかるべき人物ですよ。首相なんだから。
    それに、本文読むと秘書の尾形という人物は名乗って身分を明かしているし、
    この一連のやり取り、何か不思議がありますか?
    演説を邪魔されたらとりあえずそれを取り上げることは別に良くある話ですよ。
    選挙妨害でしょ?
    聞けばプラカードを後で返却するから住所などを聞いたのに、
    女性は逃走したため返せなかったという片方の発言を無視してるし、
    恐怖して泣いてたとか弱者装ってますけど
    弁護士まで引っさげて訴えに出るなんて
    プロ市民のやることは本当に日本の政治の足を引っ張ることしか
    頭にないんでしょうか?

    コメント欄も気持ち悪い意味不明の
    自民叩きしてますが、せめて
    本文に対するコメントくらいしたらどうですかね。

  4. かむら より:

    上の方へ

    その発言も如何なものかと。
    論理的な意見を述べているように見えますが、
    演説に対し抗議した、妨げた訳ではなく、首相の口から何かの答えを得たいと一有権者考えた手段だっただけでは?

    それを掲げることを選挙妨害と考えるのは、原発廃炉に関して答えたくない、答えさせたくないという思いがあったからという、演説側の都合ではないでしょうか?

    掲げたが故に他の人間が演説を聴けなかった。
    その行為により聴衆が何かしらの不利益を被ったのであれば選挙妨害に該当すると思いますが。

  5. @55kurosukeさん(ツイッターのご意見) より:

    「原発賛成?反対?」プラカードを持った市民は「犯罪者」なのか 〜表現の自由侵害行為についての記者会見 http://iwj.co.jp/wj/open/archives/89619 … @iwakamiyasumi
    警察官がプラカードを持った市民を「犯罪者扱い」。自民党の街宣では、こういうことが得てして起こり得ます。
    https://twitter.com/55kurosuke/status/607456289250111488

  6. AS より:

    時は流れ2019年7月。全く同じ情景が札幌で。
    https://www.jiji.com/jc/article?k=2019071701066&g=soc

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