ふくしま集団疎開裁判の会 郡山連続講演会 第1回「甲状腺疾患と内部被曝」西尾正道氏 2013.5.12

記事公開日:2013.5.12取材地: テキスト動画
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(IWJテキストスタッフ・富山/奥松)

 2013年5月12日(日)13時30分から、福島県郡山市富久山総合学習センターで「ふくしま集団疎開裁判の会 郡山連続講演会 第1回 『甲状腺疾患と内部被曝』」が開かれた。長年、放射線医療に携わってきた医師の西尾正道氏は、外部被曝と内部被曝の違いや甲状腺検査の問題点、放医研の疫学研究の問題などを解説した。

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■Ustream録画
・1/2(13:42~ 3時間0分)

■全編動画 2/2

  • 講演 西尾正道氏(北海道がんセンター名誉院長)
  • 日時 2013年5月12日(日)13:30~
  • 場所 富久山総合学習センター(福島県郡山市)
  • 主催 ふくしま集団疎開裁判の会

 はじめに、西尾氏は、日本のがん治療の推移、医師としての自身の歩みを語り、「日本のがん治療は、原発問題と同じように狂っている」と述べた。切る必要のない手術を行う外科医、抗がん剤に固執する内科医の問題点を指摘し、日本のがん治療の特徴として、手術優位の姿勢、抗がん剤の使用量の多さ、貧困な放射線治療体制を挙げた。また、日本では、医学界から小学校教育まで、放射線に関する知識がICRP(国際放射線防護委員会)の基準に依っている点を解説。さらに、学校で教えられた知識や、マスコミの情報を鵜呑みにする人の割合が、先進国の中では、日本が圧倒的に高いことを指摘した。

 続いて、外部被曝と内部被曝の違いについて、放射線が一瞬、体内を突き抜けるだけに過ぎない外部被曝の影響と、体内に留まって放射線を放出し続ける内部被曝の違いを説明し、「ホールボディカウンターでは、体内を突き抜けて表出するγ線しか測定することができず、内部被曝の影響は、正確には測れない」と指摘した。

 ICRPによる急性全身被曝時の人体影響に関するデータについては、60数年前の、原爆投下による被害のデータそのままであることを紹介し、「内部被曝も、残留放射線も、否定する立場で作られた放射線防護体系が、60年間変わらず、その後、新しいデータはほとんどない。われわれは、60数年前から時が止まった科学を、安全だと流布されている。いいかげんに、催眠術から目を醒まさなくてはいけない」と述べた。また、今後の対策として、国は、情報隠蔽しないこと、原発事故で放出された核種の種類と線量の公開、事故収束に向けた作業員数の確保と被曝線量の管理、住民の被曝線量の把握や食品の規制値の見直しなどが必要であるとし、「現在の、ご都合主義による政府の方針は、国民を馬鹿にしている」と述べた。

 2013年2月1日、西尾氏は個人として、政府に要望書を提出している。その内容について、「原発事故の被災者が、全国の医療機関で無料検査を受ける権利を証明する手帳の発行、被曝検査の画像を含めた資料の保存義務を50年とすること、当面の対策としてウクライナの基準に準じた移住措置を行うことなどを政府に訴えた」と語った。

 福島県の県民健康管理調査を実施している、放射線医学県民健康管理センターの対応を、西尾氏は「被曝者を安心させるためだけに焦点を当てた、アリバイ工作である」と指摘。「放射線の影響に発がんはない、という見解の下、子どもの甲状腺検査の目的が、保護者の不安解消に留まっている」とし、甲状腺の超音波検査が、結節とのう胞の所見を拾い上げているに過ぎないことを問題視した。また、福島第一原発事故後、一般公衆の被曝限度が年間積算線量1ミリシーベルト(以下mSv)から20mSvに引き上げられた点について、「放射線管理区域の境界の被曝限度は、年間5mSvである。現在、国は、労働基準法や医療法を無視している」と指摘した。

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