山本太郎トークライブ in 岡山 夜の部 2013.5.4

記事公開日:2013.5.4取材地: テキスト動画
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(IWJテキストスタッフ・富山/奥松)

※アーサー・ビナード氏のトーク部分の全文文字起こしを掲載しました(7月15日)

 2013年5月4日(土)20時半より、岡山市北区の靴のタツオカにおいて「山本太郎トークライブ in 岡山」夜の部が行われた。山本氏の選挙活動を映像に収め続けてきた横川圭希氏と共に、昨年の衆院選を振り返った。

 はじめに、横川氏が制作した、山本氏の選挙活動を追ったドキュメンタリー映像が上映された。山本氏は「もう何年も昔のことのように思う」と当時を振り返った。また、選挙活動を行うにあたって、NGワードがある点に触れ、「たくさんの人に真実を伝えるには、選挙期間中でないと難しいと思った。インターネットや草の根運動で情報を集めている人たちは、他の候補者が話している内容に違和感を感じたのではないか」と述べた。山本氏の選挙活動を追い、映像に収めてきた横川氏は、「あれほど、普通に真実を話す候補者は、山本氏以外にいない」と語った。

 この夏の参院選への出馬について問われた山本氏は、昨年の衆院選に出馬した動機を語った上で、「まだ、出馬するかどうか決まっていない。昨年は、偏向報道で誘導されている人たちに対して、街頭で真実を伝えられるのではないか、という思いから出馬した。僕の話す内容は、(大手メディアでは)ほぼ放送禁止である。今回の参院選に出るということは、既得権益に対して、もの申すという事。自分の命と引き換えに出馬すると考えると、まだ、どうするべきか揺れている」と自身の率直な想いを語った。

 質疑応答の中、山本氏は「既得権益を逆転させるためには、年月が必要である。選挙(昨年の衆院選)の集計結果に疑問がある、という人たちもいるが、これは内部告発がなければ暴けないことだと思う。選挙の結果には、メディアによる誘導という、大きな力が働く。今、大事なことは、多くの人に意図的に隠されている現実を知ってもらうことである。放射能の危険性を認知している人々が、周りの人たちに真実を広める草の根運動を続けることが大事」と語った。

■全編動画

7分~ ビデオ上映/ 39分~ 山本氏×横川氏/1時間46分~ ミニライブ/2時間2分~ ビナード氏
  • 出演:山本太郎氏(俳優)×横川圭希氏(映像作家)/Pearlさん(シンガーソングライター)/アーサー・ビナード氏(詩人・随筆家・翻訳家)

■アーサー・ビナード氏の全文文字起こし
※有志の日々日シズクさんにご提供いただきました。

アーサー・ビナード氏 …なんかあの、いい音楽聴いて、いいお話を聞いて、なんか「日本語っていいなぁ」って思いながら聞いてた。お世辞じゃなくて。歌も太郎さんの話もなんか日本語…日本語がちゃんとこう道具箱としていい感じに使われているなぁと思ったんですね。

 …で、今日昼間二人で(山本太郎氏と)対談して、ちょっとだけTPPの話が最後にでてきたんだけど、TPPの中身…ま、漏れたものしか見られないので、全体像はいくら調べても出てこないですね。全部、極秘ですね。でも、分かって来てるものだけでも大体狙いが随分見えて来て…自由貿易は、ほとんど関係ないですね。関税撤廃どうのこうの…「米を守る」とか「守らない」とか言ってるんだけどそんなのどうでも良くて…自由貿易の為の組織作りではなくて、市民の自治権を大企業が奪う、アメリカ国民も日本国民も参加国の一般市民が、もうあらゆる分野で、生活のあらゆる場面で自治権を、権利を奪われるっていう、そのための功名な乗っ取り大作戦ですね。

  「TPPってなんの略?」って一般の日本人に聞いてもほとんど皆答えられないですよね。「TPPって何の略?」って。そうすると僕は皆に教えてたんですね。「TPPって『ただの!ペテン!パートナーシップ!』の略です。『ただの!ペテン!パートナーシップ!』」って言ってたんだけど、中身を知ってしまったら『ただの』じゃないんだ…ということが分かったんですね「『ただならぬ』ペテンパートナーシップ」…もうそんな次元じゃなくて本当に悪質なんですね。で、それにこの国の総理の安倍ちゃんが「飛んで火に入るTPPの虫」になろうとしているんですね。
っていうのは、そのトップの人達だけが利益を得る。

 なんでTPPに対して僕がこれほどの危機感を抱いているか というと、日本がTPPに日本が入ったら、僕はあの、100年後この地球で、日本語を使って生活をしている人とアイヌ語を使って生活している人の数が一緒になると思う。つまり100年後の地球で日本語が使われてない、ってことになる。日本語っていう言語がTPPにおいては非関税障壁として廃棄処分される。それくらいの大きな流れになってしまうんですね。

 多分…僕が生まれ育ったのはアメリカというところなんだけど、僕の先祖はヨーロッパから渡った、その…先住民を殺した人達なんでね。で、多分ナバホ族の人達は、自分達の言語と生活と文化が全部なくなるということは想像してなかったと思うんですよね。多分チェロキー族もそうだしスー族もそうだし、アイヌの人達もそうだしマオリの人達もそうだし、皆自分の心と生活と全てを支えているその言葉がなくなるということを想像できない。

 でも皆さんは日本語の中で多分生まれ育っているから当然のように見えるかもしれないけど、僕は22歳の時に日本語に出会ったんです。22歳の時に日本語に出会って「日本語は奇跡だ!こんな言葉が地球にあるんだ!」と思った。だから今、日本語を使いながら仕事をしてるんだけど、もうこのまんまこの流れでいくと日本語がなくなっちゃう。日本語がなくなるってことは、この列島が残っても日本じゃないっていうこと。僕らは、本当にそういう、もう…もう取り返しがつかないところに立たされているんですね。日本語がなくなったら、僕がこれまでやって来た仕事は全部無意味。皆さんの生活も無意味。だから、どうやったらこの…脱原発も勿論やらなきゃいけない…でも…その大きな大きなその詐欺の中に僕ら組み込まれているんですね。

 で、今日質問がでて、どうやってメンタリティを維持するかって…その、とてもいい質問だな、と思ったんですけれど、自分に当てはめて考えた時に、僕は日本語が絶滅する、そして日本がこの日本じゃなくなるということは、絶対許されない、あってはならないこと。勿論チェロキー族が滅びたのも許せないことなんだけど、今自分にできることは何かって考えた時に、この日本語を生かして…この列島が住めない場所にならないこと、それを食い止めることだと思うんですね。山本さんもそういう大きな闘いに挑んでいるので、皆さん本気になって闘えば、僕は、あの、取り返しのつかないところの一歩手前まで来てるんだけど、なんとかやれる、と思うんですよね。でも本気にならなければ、僕らの全てが奪われるっていう。そういう局面だと思うんですね。で、こういう話をして、これで終わると本当に暗い、何だったんだろぅ?何だったんだ?今日の会は…

…そのために最後にちょっとお土産話としてもう一つお伝えしたいことがあります。あの、原発のこと、僕も本当に嫌で。 あの、自分が原子力を肯定することは絶対ないと思ってたんだけど。青森ってとこにずっと通ってて、青森の弘前って町に行って、そこで自分が好きな原子力を見つけたんですね。それを皆さんにお伝えしたいと思って。原子力を絶対自分が認めることはないだろうと思ってたんだけど、弘前の町のお寺がいっぱいある禅人街からちょっと外れたところに、看板があるんです。

 これは黒板じゃないから書いちゃダメですね。(後ろのボードが黒板なら書こうして)「原子力電器」っていう看板。「デンキ」は電力の「電」に「器(うつわ)」と書いて。でその看板を最初見た時「うわー…すっげぇなぁ」原子力電器だったら一部上場の大企業の筈だ…って思ったんだけど、よくみたら丸カッコに「有」って書いてあってね、だから有限会社。で、建物は四角い建屋みたいな建物なんだけど二階建てで二階が住居になってて、一階はその原子力電器。で、その原子力電器の…しかも原子力だけやっているかっていると、冬になると「灯油を扱っています」っていう看板もでているんですね。

 で、いつかそのオーナーに会いたいと思って、一昨年の夏に弘前に行って、それで訪ねていったんですけど、ちょうどお盆の頃で店が閉まっていて。どうしようかなぁと思ってその電気屋の前でウロウロしていたら、隣の家のじいさんが出て来て、じんべえ着て、夕涼みの散歩だったんだけど。そのおじいちゃんに「原子力電器スゴイですね」って言ったら「んーハラコツトム(原子力)って読むんですけどね」って言われたんですね。あ・・・そうか「ハラコさん」だ・・・と思って。青森にはね「ハラコ(原子)」って名字がいっぱいあるんです。お友達にもハラコヒデユキってヤツもいるんだけど。ハラコツトム(原子力)さんがやっている電器屋さん。そのおじいちゃんに「そうなんだ」って言ったら「うん、この頃毎日新聞に載ってますね」って。そのおじいちゃんもなかなか面白い人だったんだけど。

 で、「ハラコツトム(原子力)」っていう日本語は正しい、正しい日本語なんです。しかも「ゲンシリョク(原子力)」って日本語が作られる前に、もう名字ってものが作られた頃からそういう「ゲンシリョク」がいた筈なんですよね。だから日本語にはそういう自由があるんです。日本語って本当に素晴らしい言語で…色んな非常口が用意されている。「ゲンシリョク」って読み方を僕らは強制されているんだけど、でも日本語には「ハラコツトム」「ハラコチカラ」「ハラコ」っていう非常口があるんだ。だから皆さん、新聞広げて「福島第一ハラコツトム発電所」って読んでも良いし「国際ハラコツトム機関」って言ってもいいし「ハラコツトム規制委員会」って言ってもいい。そういう日本語の自由があるんだ。で、その日本語の自由を奪い返すと僕らの…その日本語の生き残る道が開かれる、と思うんですね。日本語の自由、その権利を僕ら、取り戻すっていうところからやらないといけないと思うんです。

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