東電会見「平成24年度決算」について 2013.4.30

記事公開日:2013.4.30取材地: テキスト動画
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 2013年4月30日(火)、東京電力本社で、臨時定例記者会見「平成24年度決算発表について」が行われた。

 電気料金値上げ、燃料費調整費を要因として売上高は前年度比11.7%増加したが、火力燃料費の増加、為替レートなどのペイ今日により単独6943億円の損失であった。次期の見通しは柏崎刈羽原発の再稼働も不透明なこともあり、未定だと発表した。

■全編動画

  • 会見者 代表執行役社長 廣瀬直己/常務執行役 松村衛/執行役員経理部長 住吉 克之
  • 日時 2013年4月30日(火)
  • 場所 東京電力本社(東京都千代田区)

【冒頭説明】

 電気料金売上高の増加要因は、電気料金値上げ、燃料費調整費、再生可能エネルギー発電促進賦課金の3つが大きいと分析。経常費用の増加は、原発の停止による火力燃料消費量の増加、為替レートが円安方向に振れたこと、LNG燃料価格の単価高騰が大きな要因と分析している。特に燃料費は経常費用の45%を占めている。

 総合特別事業計画に基づいた経営の合理化の努力として、人件費や修繕費の削減に取組、平成24年度の目標3518億円を上回る4969億円のコスト削減を実施した。

 単独で特別利益の内訳は、原子力損害賠償支援機構からの交付金、固定資産/有価証券の売却益、退職給付制度の改定益である。特別損失の内訳は災害特別損益もあるが、原子力損害賠償費が大きい。

 売上が増加したが、通期では赤字が続いており、柏崎刈羽原発の再稼働の見通しが立たないなど厳しい状態が続いており、次期の見通しは未定である。

【質疑応答】

--柏崎刈羽原発の再稼働の見通しが立たない状態だが、再稼働しないことが損益の悪化にどれくらい影響するのか

「火力の費用の見通しが不正確なので、概算でしか示せない」

--前回の予想に比べ収益が下振れしているがその原因は何か

「原子力損害賠償費の増大が原因」

--総合特別事業計画の見直しはいつ行うのか

「これから国と相談していくこともあるだろうから、それからになる。しかし、できる限り早めに行いたい」

--災害特別損失とはどのような内訳なのか。

「単独で402億円を計上しているが、汚染水タンクの増設、使用済燃料プールからの燃料取り出し費用などである。設計が進むにつれ、都度見積もりをしなおし計上している」
「タンクは当初の予定通りに70万トン分作り、建設時期のズレはあるが、タンクそのものの増加はない。他に適宜必要なものがあれば作るため、特損に計上することになる。」

--柏崎刈羽原発の再稼働のために規制庁へ申請する必要があるが、どのような手続きをいつおこなうのか

「手続き自体がまだはっきりしていないため未定。1~7号機のどれを申請するかもまだ決まっていない」

--賠償額の累計金額はどれくらいになるのか

「新指針で再度見積もりを行ったところ3兆7千億円になった」

--柏崎刈羽原発の再稼働は黒字化のための大きな要因となるが、再稼働の申請を急がないのはなぜか

「新規準に適合させる事に最大の努力を払っており、適合しないと申請できない。適合するようにするし、そもそも適合しないと動かせない」

--その結果黒字化が達成できるのか

「三年連続赤字は企業をしてありえない」

--黒字化達成すると言うが、具体像が何も見えない。どうやって達成するのか

「新規制規準の達成を目指し、達成後に速やかに規制庁へ申請する。さらにコストダウンの積み重ねを行なっていく」

--電気料金の再値上げはいつごろになるのか

「柏崎刈羽原発の先行きがはっきりしていないので、現時点ではまだ言えない」

--社外取締役は留任だが、安倍総理との会談で留任が決まったと聞いている、この事をどう思うか

「いままで努力してきた仲間であり、また一緒に仕事できるので大変喜ばしい」

--どのような政府の支援を考えているのか

「まだ具体的な話はしていないが、基本的には政府で考えていただくことと思っている」

--柏崎刈羽原発の安全対策費用の、現在の見積額は

「以前示した7000億円は防潮堤やウォータープルーフ化のための費用。その後についてはまだ全てを見通せていないのでわからない」

--柏崎刈羽原発に、規制委員会の新規準の適合するフィルタベントを自社開発していると聞いたが、完成時期はいつごろになるのか

「まだ分からない」

--損害賠償に関して民法702条の適用を考えているのか

「実例ではまだ三年経っていないので適用されない」

--福島県議会で廃炉を求める決議がでている。5,6号機や福島第二も含め、廃炉できるものは廃炉にして費用や人件費などどんどん削減していくべきではないか

「国のエネルギー政策をもとに判断していかなけばならない」

--原産協会の会費、賛助金はまだ支払っているのか

「会員なのでまだ支払っている」

--修繕費について、更にカット削減できるものがあるのか

「既にかなりカットしているが、繰延などで時期をずらすことはできると思う」

--廃炉費用が特損になるということが財務上の足枷になっていないか

「原子力を進めてきたのは国のエネルギー政策にそっており、総合的な判断をしなければならない。」

--柏崎刈羽原発の再稼働が難しい中、電気料金の値上げをせずに増収する方法はあるのか

--除染費用は総額いくらになり、東電への請求はきているのか、支払い実績はあるのか。特損に含めないと粉飾の疑いがあると思うが、どう考えているか

「国、地方自治体、個人それぞれが負担、実施する部分がある、細かい数字は今わからない」

--円安が進んでいるが、為替予約をしている企業もある。東電ではそのような対策はとるのか

「社内でも慎重意見がある。今は円安トレンドだが、円高に反転する可能性もあるため、為替予約は行わない方針」

--東電側から見ると燃料費の増大は、調整費用などで打ち消しになるかもしれないが、消費者側とってはどうなるのか

「今後の為替レートによっては上がることも下がることありうるので、今はなんとも言えない」

--鹿児島県南大隅町の原発関係の誘致について、東電不動産が調査を民間企業に4000万で発注し、その企業が更に下請けに1000万で発注している。3000万の利益供与ではないか。コンプライアンス的に調査することを考えているか

「その件は承知していない」

--スマートメーターに対して今後の投資計画は

「その件は明日の会見で説明する」

--核燃料サイクルの見通しが立たない中、MOX燃料費用を計上しているがどう考えているのか

以下、東京電力ホームページより、リンクを表示

プレスリリース

2013年4月30日

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