自由報道協会主催 ヴャチェスラヴ・マクシンスキー氏、広河隆一氏 記者会見 2012.12.18

記事公開日:2012.12.18取材地: テキスト動画
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(IWJテキストスタッフ・富山/奥松)

 2012年12月18日(火)17時、東京都千代田区の自由報道協会 麹町報道会見場で、自由報道協会主催「ヴャチェスラヴ・マクシンスキー氏、広河隆一氏 記者会見」が開かれた。『福島の子どもたちと共に生きる「チェルノブイリから学ぶ福島の子どもの保養」』をテーマに、原発事故によって被害を受けた子ども達にとって、保養がいかに重要であるか、また、その受け皿となる保養施設、子どもセンター「希望」について語られた。

■ハイライト

  • 会見者
    ヴャチェスラヴ・マクシンスキー氏(チェルノブイリ被災地の子どもたちのための保養所「希望21」所長)
    広河隆一氏(NPO法人 「沖縄・球美の里」代表、DAYS JAPAN編集長)

 マクシンスキー氏は、1986年4月26日に起きたチェルノブイリ原子力発電所での事故と、事故直後数ヶ月の被爆、長期的な微量放射線の影響による市民の健康の悪化について解説した。マクシンスキー氏は「チェルノブイリ事故以前は、小児甲状腺がんは非常に稀な病気だった。年々発症率は増加しており、現在は、かなり多くみられる小児疾患である」と述べ、一番の原因は放射性ヨウ素であることを説明した。

 また、1986年から2000年の14年間で、甲状腺がんの手術を受けたベラルーシの子どもの人数が945人にのぼる点を説明し、発症率が、事故前のレベルと比較して、大人が4、5倍であるのに対して、子どもは86倍にも高まったと指摘した。

 続いて、事故の長期に渡る影響を考慮して、1991年にベラルーシ共和国が、事故被害者に対して、18歳未満の子ども達が無料で保養を受ける権利を与える法律を発令したこと、子どもセンター「希望」という保養施設が設立された経緯、「希望」に来る8割の子ども達に対して、政府はしっかりと資金を出し、残りの2割の子ども達についても、日本や海外の慈善団体が援助をしていることを説明した。マクシンスキー氏は「保養地での治療は、汚染された地域に住む子ども達にとって、明らかに良い効果をもたらしている」と保養効果の重要性を語った。

 広河氏は「事故が起こった後に、何をするべきかは、専門家や医学者から学ぶのではなく、経験豊富な救援団体から学ぶのが一番である」と述べ、子どもセンター「希望」と自身の経験、日本における保養プログラムの実施例を語った。

 スライド写真と、いくつかの事例を挙げて、子ども達の保養がいかに大切かを説明し、「保養という観点から、一番力があるのは自然である。日本では、保養というものが真面目に語られないが、保養が子どもを守るために、非常に重要であると理解してもらえるように、訴えかけていきたい」と述べた。

 また質疑応答の中では、「政治家も、医学の専門家も、事故が起こった後、まずやらなければいけなかった事をやらなかった。それは子どもと女性を避難させることである」と述べ、今からでも、被曝する可能性がある場所から遠くに避難させることの必要性を訴えた。新しい政権について問われた広河氏は、「ガス抜きの意味で、彼らの管理下での保養には乗り出すかもしれないが、新政権に期待できることは少ない」と述べ、今後、子ども達を実験動物のように扱う可能性について、警鐘を鳴らした。

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