「これ(議事録)が世に出ていけば、今まで(安倍)総理の答弁していたことは全部覆ります」
日本獣医師会の北村直人顧問が、2017年7月15日に岩上安身のインタビューに答えた際に予告していた「爆弾証拠」を、ついに開示した。
岩上安身は公募の2ヶ月前の11月にすでに山本大臣自らが獣医師会におもむいて根回しを行なっていたことに触れ、「公募はまるっきりの茶番だった」とツィートしている。
下記のYouTube動画はインタビュー時、北村氏が今回の文書の存在を予告したくだりの部分を抜き出したものである。
また次の動画では、文書の存在に加え、奇しくもインタビュー前日の7月14日、京都産業大学が「一大学の学部設立の断念」についてわざわざメディアを集め、会見まで開いてアナウンスしたことについて触れている。
北村氏はこれを「官邸から言われてやったこと」と一刀両断。「加計学園が越後屋で安倍政権は悪代官」と例えて、あたかも時代劇のような古めかしい利権構造があると喝破し、最後には「国会の証人喚問に呼ばれれば堂々と応じます」と、力強く答えたシーンまでを抜き出している。
現在2万回を超えて視聴されているこの動画は、今回特別ハイライト動画として、すべての方へ公開している。ぜひ一度ご覧いただき、また拡散していただきたい。
下が全編動画になるため、ぜひ会員登録の上で、すべてをご覧いただきたい。
「財政的に大丈夫か、待ったをかけていたが、今治市が土地で36億円のほか積立金から50億円、愛媛県が25億円を負担し、残りは加計学園の負担となった」
文書の日付は平成28年(2016年)11月17日、発言者は山本幸三地方創生担当相だ。この日、日本獣医師連盟委員長としての北村氏のもとへ秘書官を連れて来た山本大臣は、北村委員長と、日本獣医師会の藏内勇夫会長、酒井健夫副会長、境専務と面会した。文書は、日本獣医師連盟側がメモをもとに作成し、同席者全員で内容を確認した議事録だ。
あたかも、愛媛県今治市の国家戦略特区に、加計学園が獣医学部を新設することが決まったかのような口調だが、国家戦略特区への公募が告示されたのは2017年1月4日、加計学園が事業主体として正式に認定されるのは、2017年1月20日の国家戦略特区諮問会議でのことである。山本大臣の発言は、それより2ヶ月も前のことだ。
山本大臣の発言が事実であれば、国家戦略特区諮問会議での公募開始と正式決定前から、この話が「加計ありき」で進んできたという重大な証拠となる。
野党から繰り返し「加計学園」問題を追及され、「政府あるいは行政の判断を侮辱するような判断はやめていただきたい」(2017年3月13日 参院予算委員会)と答弁してきた安倍総理以下、「加計学園」疑惑を否定してきた安倍政権の閣僚や官僚らは、国民を騙していたということではないか。
▲岩上安身のインタビューに答える日本獣医師連盟・北村直人委員長(日本獣医師会顧問、2017年7月15日IWJにて撮影)
IWJは20日、日本獣医師会本部で北村氏に直接、お話をうかがった。本稿の最後では、日本獣医師連盟が会員に配信した山本大臣来訪時の議事録の抜粋を掲載している。ぜひ、最後までお読みいただきたい。
「獣医師会側の思い込み」「『京都もあり得る』と述べた」――山本大臣の弁明に、北村氏が反論!
日本獣医師連盟が公開した文書について、山本大臣は20日、「獣医師会側の思い込みと私の発言を混同したもので正確ではない。私からは『京都もあり得る』と述べた」と弁明した。
一方、山本大臣の反論に対し、北村氏は、「(文書の発言は)そのままです」「(京都産業大学という話は)記憶にないですね。記録にもないです」と反論。そして、次のように述べた。
「(2016年)11月9日、全国会長会議を開いているときに、東京から連絡が来た。『広域的に限り』ということを決定したというので、驚きをもってみんな、『四国、今治、加計で決まりだな』と、共通認識を持った」
山本大臣が日本獣医師連盟を訪問する以前の11月9日に、国家戦略特区諮問会議で、「広域的に獣医師系養成大学等の存在しない地域に限り」獣医学部の新設を認める、と決定したとき、すでに大阪府立大獣医学部が近隣にあった京都産業大学は、応募条件から外れていた。山本大臣が11月17日の訪問の際に「京都もあり得る」と発言したのが事実だとすれば、その真意がよくわからない。事実でなければ、議事録が明らかになったことで、あわてて嘘の上塗りをしていることになる。いったいどちらなのか。
「今治市の財政状況については、北村氏の要請により調べたところを概略説明」――北村氏は「要請」をきっぱりと否定
北村氏によると、この面会で山本大臣が「加計学園」に直接言及をしたのは、「今治市が土地で36億円のほか積立金から50億円、愛媛県が25億円を負担し、残りは加計学園の負担となった」という部分だけだという。
山本大臣は日本獣医師連盟のこの記録について、「今治市の財政状況については、北村氏の要請により調べたところを概略説明したが、加計学園という特定は一切していない」と反論している。
山本大臣の言う「北村氏の要請」という部分について、北村氏はこう述べる。
「『4条件がクリアしたかどうか、それをしっかり精査してほしい、今治の財政は大変だと聞いているので、山本大臣は大蔵官僚も務めた方ですから、財政的なことも詳しいですから、よく中を見てくださいね』と、会うたびに4条件のことと今治の財政のことは言い続けてきた。要請したのではない」
「山本大臣側は、秘書官がメモを取っていたものの保存はしておらず、また、議事録も作成していない」――民進党の調査チーム会合に呼ばれた内閣府参事官が追求を受けて矛盾した答弁の果てに逆ギレ!
北村氏と山本大臣の発言は食い違うばかりだ。両者の違いははっきりとしている。北村氏側はしっかりした文書での記録を残し、複数の証言者がいるのに対し、山本大臣側は、自身の主張を立証する文書などの記録がないことだ。
日本獣医師連盟が「加計ありき」を裏づける新証拠を公開したことをうけ、20日13時、民進党の調査チームは衆議院第一議員会館において会合を開き、内閣府担当者を厳しく追及した。
会合に出席した内閣府の塩見英之・地方創生推進室参事官は、「獣医師会幹部らの面会に出席した山本大臣側は、秘書官がメモを取っていたものの保存はしておらず、また、議事録も作成していない」といった旨を説明。山本地方創生相が公募の2ヶ月前に加計学園に決定したと伝達した事実はないと否定し、日本獣医師連盟が示した議事録は一方的な受け止めであって「不正確」だと強弁した。
▲塩見英之・地方創生推進室参事官
さらに塩見参事官は、山本地方創生相が獣医師会を訪問した際、「加計学園」という言葉を一切使っていないと断言。今治市を前提にした話も一切していないと強調したが、民進党の議員らからは、「記録も残していないのに、なぜ獣医師会側が間違っているとわかるのか」と、当然の疑問を問いただされると、「山本地方創生相が自身の記憶について『よく覚えている』と言っている」などと、なんとも間抜けな回答を披露し、終始、議員らから失笑を買う場面が続いた。
民進党調査チームの前線に立つ議員の中には、玉木雄一郎議員や福島伸享議員など、財務省や経産省の元官僚がいる。福島議員らは、大臣本人が出席する会議の議事録を残していないのは「あり得ない」と語気を強めて、もし、記録に残していないのであれば、それはそれで大問題で「大臣失格だ」と批判した。
IWJは山本大臣に、20日付でFAXの質問状を送ったものの、同日中に回答はなかった。24日、25日に予定される衆参両院での、安倍総理出席の閉会中審査で、山本大臣が逃げずに出席すれば、集中放火は必至である。北村氏は7月15日の岩上安身のインタビューで、参考人招致にとどまらず、偽証罪にも問われうる証人喚問にも、前向きに応じる覚悟を見せた。ぜひ、国会において、北村直人氏と山本大臣の両者を呼んで証人喚問を行い、真偽を明らかにしてもらいたい。
日本獣医師連盟が発表した議事録を全公開! 山本大臣ははっきりと「加計学園の負担」に言及!
以下に、日本獣医師連盟の北村委員長が、会員に配信した「国家戦略特区による今治市への獣医学部新設に係る対応について」の文書を掲載する。
がんばってください。