都議会の冒頭解散を掲げ当選した小池百合子新東京都知事、就任会見で早くも対決姿勢弱める! ~就任2日でさっそく記者クラブとの「仲良し」ぶりも 2016.8.2

記事公開日:2016.8.3取材地: テキスト動画
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(取材:浅野百衣・城石エマ、文:城石エマ)

※8月3日テキストを追加しました!

 291万票を集めトップ当選した小池百合子新東京都知事が2016年8月2日、初登庁をした。記者会見に臨んだ小池知事は、「『劇団1人』と揶揄されていましたが、1人から始めて291万人余の人に、改革を求めるうねりが広がりましたことに、正直驚いています」と当選の喜びを語るのもそこそこに、さっそく、都政改革の具体策を語り始めた。

 小池知事の口から語られたのは、「都政改革本部」「情報公開調査チーム」「オリンピック・パラリンピック調査チーム」の設置。小池知事を本部長とする都知事の私的懇談会としての都政改革本部では、都庁、出資団体などの業務、組織、予算等のあり方を点検するとのことで、事業や組織の廃止、経営形態の改善など抜本策に務めると言う。

 オリパラ調査チームについては、「予算、準備体制、工程表の妥当性を第三者の目を借りて検証していきたい」と意気込みを語ったものの、五輪誘致の際に五輪招致委員会からIOCに裏金が渡ったとされる疑惑の追及には、ノータッチだった。

 また、五輪の利権関係では、「都議会のドン」こと内田茂自民党都連幹事長が役員を務める会社が五輪施設の工事を複数受注していたことを、週刊文春がスクープ報道。小池知事は選挙戦を通し「利権追及」を掲げ、内田氏との徹底対決姿勢を明確にしてきたが、この日集まった記者から、内田氏の問題についても利権追及をしていくのかと問われると、「個別のことにはお答えしません」と、これまでの対決姿勢がどこへ行ってしまったのかというような答えであった。

 さらに小池知事は、出馬表明時に「都議会の冒頭解散」を掲げ話題を沸騰させたことで、この日も「これから都議会とどう関係を作るのか」と問われた。小池知事は、次のように答えた。

 「選挙期間中いろいろと発言があって不愉快な思いをされた方もいるかもしれませんが、都議会は車の両輪です。行政を代表する知事と、都民の代表でもある都議会と、これから車の両輪のように進めていきたいと思います。互いに都民の代表であるということは、必ずどこかで接点が出てくるはず」

 「冒頭解散」を掲げていたときの勢いはどこへ行ってしまったのだろうか? 当選後は一転して都議会との対決姿勢をおさめてしまったようだ。

 記者クラブ記者から、これからの都政についての質問が相次ぐ中、IWJは小池氏が「日本会議の副会長」である事実や、「在特会系の団体で講演会」をした事実、選挙演説中に「第2韓国人学校への都有地貸出の白紙化」を主張していたことについて質問しようとしたものの、小池新知事は記者クラブの記者ばかりを指名。記者の顔を見るなり、「○○社さん」「○○さん」と名前で呼び、早くも記者クラブと親密な関係を築いている様子をうかがわせた。

 結局、IWJ記者は、今回は質問がかなわなかった。

 小池新知事の定例記者会見がいつになるのかは未定のようだが、IWJは必ず今後も小池新知事と日本会議や在特会との関係について、問いただしていきたいと思う。

 以下に、小池知事の就任記者会見と記者クラブメディアの質疑応答の文字起こしを掲載する。

■ハイライト

  • 日時 2016年8月2日(火) 13:30
  • 場所 東京都庁(東京都新宿区)

小池百合子新都知事就任会見全文

小池百合子新都知事「みなさまこんにちは。今朝ほど、第20代東京都知事に就任いたしました、小池百合子でございます。みなさま、どうぞ、よろしくお願いします。

 今朝、初登庁いたすまでにも、本当に多くのみなさまから、メール、SNSなどでお声をちょうだいしました。もっとも多くのお声は、『都政改革を頑張れ!』 というお励ましの言葉でした。

▲就任会見にのぞむ小池百合子新都知事

 『劇団1人』と揶揄されていましたが、1人から始めて291万人余の方々に、改革を求めるうねりが広がりましたことに正直驚いていますとともに、重責を担ったその現実に改めて身を引き締めているところでございます。

 都知事に就任した今は、1360万人都民のみなさま方の生活、命、それぞれの環境、これらをしっかりと守っていくことに邁進をしていきたいと思います。

 私は、この選挙におきまして『東京大改革』を掲げて、多くのみなさまからご賛同いただいたところでございます。選挙のための言葉ではございません。都民のみなさまとのお約束なのでしっかりと実行していきたいと考えております。

 そこで、具体的なこれからの取組みについてご説明します。

 『都政改革本部』なるものを設置したいと考えております。都知事の私的懇談会という位置付けになろうかと思います。内容は、私自身を本部長といたしまして、都の職員、既得権益にとらわれない外部の委員とともに構成していきたいと考えております。

 目的は、都庁、出資団体等の業務、組織、予算等のあり方を点検する、その結果を都民のみなさまにご報告する。都政をまさしく都民ファーストというものに改善をしていくということでございます。

 都政改革本部におきましては、過去の慣例にとらわれることなく、効率、効果、透明性の観点を重視し、取り組んでいくものとします。

 改善策が出されましたならば、日常業務の改善にとどまらず、事業や組織の廃止、経営形態の見直しなどの抜本策を含み改善に導いていきたいと思います。

 必要と思われる場合は、追加にさらに投資をする、組織の再編など硬直化しないで、より都民の皆様方のニーズに即した都政にしていくための機関です。

 都政改革本部の下に、特定の課題について調査チームを設置したいと考えております。

 現時点で考えておりますのは、2つありまして、一つは『情報公開調査チーム』です。選挙中からも情報公開の必要性を訴えてきましたとおり、東京都は情報公開について遅れている、というより、下から数えたほうが早い状況でございます。

 もう一つは、都民のみなさまにもご負担をおかけする、『オリンピック・パラリンピックについての調査チーム』。都民のみなさま方のお金が適正に使われているのかどうか、もちろん、都庁内、行政で行われているものもございますけれども、一方で外部のみなさま方にもご参加頂く形での改革本部の中のオリパラ調査チーム。外部の視点を尊重しながら、都民のみなさまの立場、都民のみなさま方にご負担をお願いする観点から、助言をいただくという形になると思います。

 いずれにしましても、都政改革でもっとも重要なことは、徹底した情報公開だと思っています。各種の調査を見ていましても47都道府県において、東京都は最低に近いわけでございます。開かれた都政にはまだまだ遠い。暴くというより、開いていくことを目的にしたいと思っております。

 『情報公開調査チーム』におきましては、都庁の情報公開の実態評価を公開しまして、あるべき姿を論じ、本日から知事主導で可能な限り、あらゆる情報を見える化してまいりたいと思います。最終的には、情報公開のルール、規制の見直しなどをしてまいりたいと考えております。

 つねに、都民のみなさまに見える都政を進めていきたいと考えております。

 『オリンピック・パラリンピックの調査チーム』でございますけれども、こちらは、予算の軽重、準備体制、工程表の妥当性を第三者の目を借りて検証していきたい。東京都と関連省庁の責任分担体制も明確にしていきたいと思います。

 入札購買等に関しましてもチェックをし、次回の都議会の定例会の開催前、9月には、『オリパラ調査チーム』の中間報告ができるように進めたいと思っております。

 いずれにしましても、2020年のオリパラは成功させていかなければなりません。都民のみなさまのほとんどがそう考えていると思いますが、都民のみなさまに愛され、国民のみなさまが参加し、盛り上げていくような東京オリンピック・パラリンピックにしていかなければならないと考えております。

 国とオリンピック組織委員会、東京都、これらがきちんと連携していくためにも、東京都といたしましても、運営体制を明らかにして、都民のみなさまにそのことを明らかにしていきたいと思います。

 課題は山積していますが、もたついているわけにもいきません。スピードを優先させながらも、細かい部分もきっちりと詰めていきたい。

 私の都政における理念は、あくまでも都民ファースト。都民が第一。都民のみなさんが今、一番何を問題とし、何を必要としているのか。私のもとにもそうした声を届けていただきたいと思います。

 そのための情報インフラ、双方向のインフラシステムを早急に用意いたしたい。

 都民のみなさまのご協力なしには都政改革、東京大改革は進まないわけでございますので、ぜひとも都民の皆様方にも参加していただいて、東京大改革を勧めたいと思っております。

 その上で、私が目指す東京は、3つの新しい首都東京・シティを作りたいと申し上げてきました。

 一つは、安心・安全な『セイフ・シティ』。二つ目が、全ての都民のみなさまが活躍できる『ダイバーシティ』。三つ目が、将来の成長戦略につながる『スマートシティ』。

 本日、都庁の職員のみなさま方に訓示を行わせていただきました。この間、職員のみなさま方は、知事の交代が相次いだ中で、やる気、士気を高めるのも知事の役目です。

 みなさまにお願いしたことは、『できない理由を探すよりはできる方法を考える』『どんどんと提案を』『大義と共感』――役所は予算の獲得にはしゃかりきになり、きちんと執行もする、だけど効果についてはフォローアップしていない。これは中央官庁にも同じことが言えまして、都民のお金を使うのだから、知恵を使いましょう。クールビズも引き合いに出して、お話させていただきました。いろんな工夫をしていくことが大事か思います。

 最後に、本日都知事に就任いたしましたのを機に、私の心情を申し上げたいと思います。

 大西洋の無着陸飛行をしたことで有名なリンドバーグさんの奥さんは、この方は女性飛行家の草分け的存在であります。アンモロー・リンドバーグという方です。この方は、『成長や改革、変化の中にこそ本当の安定がある』。私はぜひ、東京を大改革し、それはすなわち本当の安定につながると確信いたしまして、これから都知事としての重責に一つずつこたえて、都民のみなさまに新しい都政がいかに有効であるかということを実感していただけるよう、粉骨砕身していきたいと思います。

(…会員ページにつづく)

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