前原誠司、泉健太、山井和則候補ら5人の民主党候補者が議席を狙う京都選挙区。選挙戦も中盤に入り、3区と6区では、自民党候補者との競り合いが続いているという。京都市下京区の京都タワー前で12月11日、民主党の枝野幸男幹事長や岡田克也代表代行らが演説に立ち、京都の有権者に支持を訴えた。
「イメージや先入観に騙されないで欲しい」。枝野幹事長は、選挙期間中、アベノミクスの成果を派手に宣伝する自民党の主張に反論。安倍政権がこの2年間で成し遂げた経済成長は、民主党政権時代の半分以下だと訴えた。他方、不安定雇を増やす労働者派遣法に言及した岡田代表代行は、企業側に有利な法改正で経済成長を目論むのが安倍政権の考え方だと話し、「国会は議論する場所。数で押し切る場所ではない」と訴え、安倍首相の暴走を止めるための一票を呼びかけた。
- 日時 2014年12月11日(木) 12:20~
- 場所 京都タワー前(京都市下京区)
※以下、発言要旨を掲載します
国民の年金積立金を2倍株に投資した安倍政権に枝野氏「株は10年に1度暴落する」
枝野幸男幹事長(以下、枝野・敬称略)「この選挙、なかなか変なことになっている。何が変かというと、『批判ばかりして』という言葉は本来、野党に向けられる言葉なんですが、この選挙、安倍さんを初め、与党のみなさん、口を開けば民主党の批判ばかりされている。何か逆ですね。しかも、その批判が的外れなことが多いんですよ。本当に日本の社会や経済は、この2年間の方が良くなっているのか。もう一度、冷静に考えていただきたい。
私たちは老後の安心や子育て支援、雇用安定、暮らしの下支えをすること。そのことが大切だと思って一歩一歩進めてきた。例えば、消えていた年金を取り戻した。グリーンピアなどに無駄使いされていた、年金の積立金をしっかりと炙りだした。ところがこの2年間どうでしょう。みなさんからお預かりした貴重な年金の積立金、今までの倍を株に投資する。間違いなく言えることは、リーマンショックのように、株は、10年に一度くらいドスンと落ちることを、我々は何度も経験しています。
10兆、20兆の株を買えば、株が上がるのは当たり前じゃないですか。では、老後の安心はどうでしょうか。高齢者のみなさんが増えていく中で、日本の介護はどうでしょうか。日本中どこにいっても介護のサービスが足りない。万が一、介護が必要になってもサービスを待たなければいけない。
若い人たちがお年寄りのお世話を嫌がっているわけではありません。介護の世界では男性の『寿退社』というものがある。大事な仕事だと、低賃金でがんばってきた人が、彼女ができて結婚しようと思ったときに、とてもこの賃金では、将来、子どもを産み育てることができず、泣く泣く別の仕事に移っていく。これで、老後の安心は作れますか。私たちは介護の現場、一歩ずつですけども、賃金の底上げをして、待遇を良くしていくことを進めました」
民主党時代の成果をアピール「老後の安心、子育ての安心、雇用の安定こそが経済対策」
枝野「救急車のたらい回し。救急医療などの過酷な医療現場。私たちは医療の崩壊を食い止めるため、診療報酬の改定を行いました。この2年間で増えていたのは、100万人の非正規雇用。いつ首になるか分からない年収100万~150万の若者に、結婚しようとか、子どもを産み育てようとか、夢が持てるでしょうか。私たちはこうした不安定な雇用を少しでも正社員に戻していく。こうしたことは一個一個地味なことです。新聞の見出しを大きくは飾らない。
救急車のたらい回しはニュースになっても、たらい回しが減ったことはニュースにならない。でも実はこうやって、老後の安心や雇用の安心を高めていくことこそが、経済対策なのです。実際に結果を出していることを知っていただきたい。イメージと先入観に騙されている人たちに、伝えて欲しい。私の3年3ヶ月、至らないことはたくさんありましたが、今のような地道な積み重ねで日本の経済は5.5%成長した。威張れる数字ではないが、東日本大震災で大きく落ち込んだのを乗り越えた。
株を上げて、大きな輸出企業を潤わせて、安倍内閣はどれくらい日本の経済を成長させたのか。私たちをあれだけ批判してる内閣、2年間で伸びた日本の経済はわずか、1.4%です。実は私たちの時の半分以下しか、安倍内閣は経済成長させていない。イメージと先入観に騙されないでください。これからの日本に必要なのは、新聞の見出しを踊らせる株価よりも、老後の安心、子育ての安心、雇用の安定、こうした積み重ねを誠実に前に進めていきたい。このことが日本を経済も社会も立ち直る道だと確信している。
今、大変な激戦を展開しているが、いまだに半分の方が、投票先が決まらないという数字も出ている。政治を動かすことができるのは、政治家や政党ではない。有権者の一票です。選挙の結果で議席の配分が決まったら、がんばれる範囲もそれによって決められてしまう。300対50では限界がある。暮らしの声を伝えていくには、選挙の時に、みなさんの一票をしっかりと使うことです」
「安倍政権の暴走を許すのか、止めるのか」の二者択一の総選挙
岡田克也代表代行「残すところ3日です。二つの選択があります。一つは、自民党に300議席以上与えるのか、安倍さんにやりたい放題やらせるのか、もう一つは、私たち民主党に議席を増やさせていただいて、国会の中で安倍さんの暴走に対してしっかりと歯止めになる。本来、国会は議論の場です。多数で押し切る場ではありません。国会の中で小さな声や多様な声を反映して、豊かな議論をして合意形成をする、そういう国会を作るのかどっちを選びますか。
これ以上自民党を大きくして、この国は大丈夫か、国会は機能するのか。二つだけ申し上げたい。一つはアベノミクス。円安になり株が上がった。多くのみなさんは、やがて自分の所にもいいことがあると、そういう期待感もあったと思います。今や、期待外れに終わっている。物価が上がって、生活が苦しくなっている。
公共事業予算も3割も未来世代の借金の中で増やしてきた。アベノミクスの一本目、二本目の矢は期待外れだった。三本目の成長戦略。これが大事だというのは私の安倍総理と同じ認識。問題は中身でしょう。派遣法の改正、改悪が出てきた。派遣労働をやりやすくすれば、成長戦略によってプラス。これが安倍さんの考え方。私たちは逆です。安定した働き方を確保することこそ、日本の将来と経済成長につながる。
過去20年間見てください。バブルが弾けました。日本の企業は人件費を削った。非正規を増やした。個々の企業にとってそれは必要だったかもしれない。しかしその結果、日本全体に何が起こりましたか。賃金と消費が下がった。デフレ経済の原因がここにあるのではないですか」