岡田外務大臣会見 2010.1.26

記事公開日:2010.1.26取材地: テキスト動画
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 2010年1月26日岡田外務大臣会見。この日は、国会があり、その後に閣議も予定されていたので、記者会見のスタートは夜8時から。遅かったので、大臣だけでなく、記者達もややお疲れモード。それでも岡田大臣は、質問がある限り応じ続けたため、またしてもロングラン会見となった。外務省は、ホームページ上で動画と会見記録を公開しているので、ここでは私が質問した部分を中心にアップする。

■全編動画

岡田「遅い時間にすみません。今日は予算委員会が1日中ありまして、その後、長い閣議がありましたので、この時間になりました。私からは何点か申し上げたいと思います。

 私からの第1点目は、ハイチにおける地震被害に対する緊急無償資金協力、本日の閣議で決定したものであります。25日に我が国政府はハイチにおける地震による甚大な被害を踏まえ、追加的支援の一部として2000万ドルを上限とする緊急無償資金協力を行うことを決定いたしました。この追加支援は、現地時間25日、モントリオールで開催されたハイチ支援に関する閣僚級会合において、武正副大臣より表明した7000万ドルの支援に含まれるものです。これら支援は各国より高い評価を得ました。今後ともハイチの復興支援に向けて我が国の知見を生かした支援を国際社会と協調して行ってまいります。

 それから、2点目は、これも先程、関係閣僚委員会で行ったものでありますが、国連気候変動枠組み条約事務局に対する我が国の目標提出ということであります。総理の方からご発言がありましたので、私から重ねて申し上げることは避けたいと思いますが、1990年比で2020年までに温室効果ガスを25%削減するという目標を提出することを確認したものであります。ただし、その際に『すべての主要国による公平かつ実効性のある国際枠組みの構築及び意欲的な目標の合意を制定する』という条件をつけて提出するものであります。今日、在ドイツ大使館を通じて、条約事務局に我が国の目標を提出する予定でございます。

 それから密約調査について申し上げたいと思います。先程、北岡座長から中間報告を受けたところでございます。委員会としては、関連文書の検証を行うとともに、外務省OBを含めた関係者から聞き取りを行うなど、精力的に活動していただいているところでございます。

 報告書の提出については、先に私からお願いした際、『1月中にお願いしたい』と申し上げた訳ですが、この点については、本日、北岡座長より、『検証すべき関連文書が膨大であることに加え、機微な文書を扱うため、基本的に外務省によって行わなければならないという制約もあり、委員会として責任ある報告書を提出するために、さらに1ヶ月程度の時間が必要である』との話がありました。私としても、有識者の方々に拙速を避け、当時の歴史的な背景も含めて、この問題について十分に検討して頂き、将来の検証に耐えうる報告書を作成していただきたいと考えておりますので、報告書の提出時期については、北岡座長の意向に沿った形で差し支えないと判断し、申し上げたところでございます。

 それから、政務三役会議を昼に行いました。今日は、武正副大臣と吉良政務官がそれぞれ海外出張中でありますので、政務三役3名で行ったものでありますが、私からは、ハイチの地震を踏まえて緊急援助体制のあり方について、省内で少し検証が必要だということ、それから行政刷新、公益法人、独立行政法人の対応について、今日はおられなかったのですが、武正副大臣を中心にしっかりチームを作って検討してもらいたいということです。

 それから、ODA改革、これは福山副大臣、西村政務官の方からODAのあり方に対する検討体制について報告があり、意見交換を行ったところであります。1週間後頃くらいに、この場で、具体的な体制、検討項目等をご報告できるのではないかというふうに思っております。

 それから、私の方から、ちょっと気が早いのですが、『5月の大型連休の政務三役の海外出張について、よく役割分担して、戦略的に行うべきだというふうに考えて、よくこれから具体的に相談して行きましょう』ということを申し上げたところでございます。私からは以上です」

 大臣の冒頭のスピーチを聴きながら、手元の携帯でツイート。

岡田大臣会見始まる。ハイチへの被害の追加支援、2千万ドル、決定。国連の気候変動枠組み。首相の公約と同じ話。密約問題、座長から中間報告。1ヶ月程度時間をほしいとの要望、了承。 posted at 20:06:33

司会「ご質問のある方。岩上さん」

岩上「フリーの岩上です。

 先日、名護市長選が行われまして、辺野古への移設反対派の、移設反対を唱えている候補が当選いたしましたけれども(※「名護市長選 稲嶺進氏が初当選 普天間の辺野古移設反対」(2010年1月25日 琉球新報))。これによって、より辺野古案ではなく、他の地域もしくは県外の候補を探さなければいけないというですね、探す必要性が高まったのではないかと思われるのですけれども、政権内部での温度と、それからアメリカの意向と言いますか、受け止め方の度合いみたいなものを、感触を教えていただければと思います」 岡田「米国の考え方は特に承知をしておりません。それから、これは確かにひとつの争点になりましたので、そういう意味でひとつの民意の表れだというふうに思いますが、この普天間代替施設の問題は基本的に国が責任を持って決める話であります。そういう意味では、今、検討委員会でゼロベースであらゆる可能性を含めて検討しておりますので、今回のことはひとつの出来事ではありますが、だから(辺野古案の)可能性がなくなったという風には考えておりません」

 国が決めること、とはいっても。日米そのものの合意には地元の意思を尊重するということも含まれている。辺野古案がなくなったとはいえない、というのは事実として、荘なのかもしれないが、沖縄県民の反発は避けられないだろう。即座に、この質問と回答をツイートする。

今、最初の質問。名護市長選の結果、県外への異説の必要性高まったと思うが?政権内部、米国の温度は?大臣、米国の反応は聞いていない。選挙は民意のあらわれではあるが、国が決めること、辺野古への可能性もなくなったわけではない、と。 posted at 20:17:02

司会「ほかに関連の質問がある方。水島さん」

時事通信-水島「時事通信の水島です。普天間ですが、官房長官は本日の会見で『地元との合意がなくても移設先を決定することは可能である』という認識を示しておられますが、基本的には大臣も同じ認識ということでよろしいでしょうか」

岡田「これはそのように言ってしまうと、何か地元をまったく無視するような印象を与えますので、表現に気を付けなければならないと思います。なるべく地元のご理解を得るための努力ということも必要だと思いますし。どこに決まったと言う訳でもありませんので、どこに決まったとしても、その地元の理解を得るということは必要だと思います。

 ただ、法的に言いますと、例えば埋め立てをする、海岸を埋め立てするということになれば、これは知事の権限ということに関わってくることになりますけれども、法的にどうかという視点からいうと官房長官が言うようなお答えになるのではないかと思います。そのことが地元の意向を無視してでも、あるいはまったく地元の意向を聞かずしてやっていくというように受け止められるとそれは少し違うということです」

上西川原「共同通信の上西川原です。同様の質問ですけれども、普天間問題が十何年間もなかなか前に進まなかった原因として、沖縄の中の県内移設への反発というものを政府がある意味見誤った部分というか、過小評価した部分があるのではないかと思いますが、今後の移設先を決めるに当たって、今回の市長選挙ではひとつの争点であり、新市長は明確に反対の意思表示をしていると思うのですけれども、地元の合意はどの程度重要だとお考えでしょうか」

岡田「具体的に場所が決まった訳ではありませんので、仮定に基づいて議論する必要がないと、私は思います。あとは、先程言ったことに尽きていると思います。地元への説明、そしてご理解を頂くための努力ということは当然求められると思います」

司会「ほかに関連のご質問はございませんか? 滝本さん」

滝本「どうも、琉球新報の滝本です。関連しまして、一方で5月末までの決着と言うのでしょうか、アメリカ側の理解も得てということもあると思いますけれども、アメリカ側とは、向こうの理解を得た案にまとめるのが5月末までというふうな理解でいるんですけれども、そこのなかに地元の理解も全部収まったものが5月末というスケジュールになると、大臣はどのようなご理解でいらっしゃるのでしょうか」

岡田「地元については、先程申し上げたとおりであります。地元に対してもきちんと説明をして、そしてなるべく理解していただくために努力をいなければいけないというふうに思います。そういうことも全体を含めて、政府として決めるのが5月末ということであります」

滝本「アメリカ側との合意も含めてということでしょうか」

岡田「それは総理が国会で何度も述べられているとおりであります」

司会「他に関連のご質問ございませんか」

西野「共同通信の西野です。名護市長選の中では、県外移設という声が強く出て、1600(票)ぐらいの差ではあったんですけれども。大臣は昨年、検証作業を進めていく中で、県外移設は無理ではないかと。それは抑止力の観点ということだと思うのですけれども、1月の名護市長選というひとつの節目を越えた今ですね、やはり県外移設は難しいのではないかという認識にお変わりはないでしょうか」

岡田「今、検証委員会で議論しているところですから、私が何かを申し上げるのは適当ではないという風に思います」

司会「他に関連の質問はありませんか。では、ニコニコさん」

七尾「ニコニコ動画の七尾です。視聴者の質問を代読いたします。確認も含めてでございます。東京新聞が25日、オバマ米政権が日本側に、米軍普天間飛行場移設問題をめぐり、『決着するまでは、首脳会談には応じない』と通告していたことが明らかになった、と報じました。複数の日米関係筋が24日明らかにしたとのことですが、この通告がまず事実であるのか、また事実であるとすれば、この通告に対する大臣のご見解をお聞かせ下さい」

岡田「私が承知している限り、そういう事実はありません」

 ここでツイート。8時21分。

東京新聞で報じられた記事について。オバマ大統領が、普天間問題が決着するまでは、首脳会談は行わないと報じたが、その真偽。岡田外相は、あっさりと、そうした事実は承知してないと否定。 posted at 20:21:09

司会「他に関連のご質問ありませんか。では、禰津さん」

禰津「NHKの禰津です。アメリカ国務省のクローリー次官補が、『あくまで普天間の移設に関してはアメリカの立場は変わらない』ということをおっしゃっていまして、キャンベル国務次官補も同じようなことを言っている訳ですが、改めて、アメリカの立場が変わらないという中、5月末までというデッドラインがある中で、どのように今後アメリカと交渉していくのか、特に来週、キャンベル国務次官補が来日されるということで、その辺についてどういった話し合いをするかの見通しについてお願いします」

岡田「アメリカの主張は一貫している訳ですから、そのことが繰り返されているということであります。それを超えるような新しい案を見つけることができるかどうか、そして地元も含めて、それを政府としてですね、きちんとアメリカ側に提示できるところまで持っていけるかどうか, ということが問われているということであります」

岩上「フリーの岩上です。ちょっと打って変ってくだけた質問ですが、最近ツイッターというミニブログが流行っております。代議士や議員の方々もコミュニケーション・ツールのひとつとしてお使いになられて、閣僚の中でも原口大臣のように非常に積極的に活用されている方もいらっしゃいます。岡田大臣としてはこのツイッターをお使いになってダイレクトに国民、有権者とコミュニケーションを図るというお考えはありますでしょうか。お考えをお聞かせください」

岡田「私は週平均二回程度のブログ、そこには色々な御意見も寄せられます。それも目を通すことにしておりますが、あまりこう頻繁に反応ということになると、それを見ている暇もないし、そもそも発信をするタイミングも, 今の生活の中ではなかなか難しいので、今のところやろうという気持ちはありません。もうちょっと少し流行ってきたら考えたいと思います」 (笑い声)

岩上「大臣のつぶやきを聞きたいという人も、いると思いますけれども」

岡田「今のブログも、実は書いたものではなくて、しゃべっているものをそのまま文章に起こしている訳ですが、あれ(ブログ)を週二回やるだけでも結構大変なんですね。ですから、それ以上は、もう少し生活環境を改善しないと無理だと思います」

 8時41分ツイート。

再び、僕の質問。ツィッターについて。国民、有権者とのダイレクトなコミュニケーションツールとして、つぶやく可能性はあるか?、残念ながら、答えは今のところ、消極的。週二回のブログでも、大変なので、とのこと。もう少し流行ったら考えるそうです。 posted at 20:41:45

 岡田大臣が、twitterをやったら……。独白が面白いかどうかはわからないが、会見を見る限り、どんな質問でも、記者が手をあげなくなるまで答え尽くす強靱な生真面目さから、フォロワーへの質問には、答えまくるのではないか。そうなったら本当に公務に差し支えるかもしれない。さしつかえのない、ぎりぎりのところまで、ぜひ、国民とのダイレクトなコミュニケーションをはかってもらいたいと思う。

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