【岩上安身のニュースのトリセツ】集団的自衛権という「暴挙」と危険な子宮頸がんワクチンの接種継続という「異常」とに共通する「米国からの圧力」(前編) 2014.7.18

記事公開日:2014.7.18取材地: テキスト
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(岩上安身)

 不条理が横行している。

 憲法を正当な手続きによらず、一内閣の閣議で解釈の変更を決定してしまう。あげく、日本の防衛とは直接結びつかない、米国の引き起こす戦争へ引きずられていく集団的自衛権の行使を容認してしまうという「暴挙」。

 他方、少女たちが全身のけいれんや痛みにのたうち回るほど苦しみ、記憶障害や知能低下によって母親の顔まで分からなくなってしまう、そんな危険な副反応をもたらす子宮頸がんワクチンの接種が、今なお続けられているという「異常」。

 集団的自衛権の閣議決定による行使容認という「暴挙」と、子宮頸がんワクチンの接種継続という「異常」という、一見バラバラで、まったく別の次元に存在しているかにみえるこの2つの不条理が、実は「米国からの圧力」という一点で交錯していることは、日本国民のほとんどに理解されていない。2つの不条理は、実は根を同じくしているのだ。

官邸前に4万人の市民が集結、「集団的自衛権反対!」のコール

 この2週間で起きたことを、振り返ってみよう。

 6月30日(月)、首相官邸前――。

 解釈改憲による集団的自衛権行使容認の閣議決定を翌日に控えたこの日、主催者発表で約4万人もの市民が官邸前に集まった。首相官邸の主である安倍総理に向けて、「集団的自衛権反対!」「戦争反対!」「9条変えるな!」「安倍辞めろ!」のコールが響いた。

 首相官邸前にこれほど多くの市民が集まり、抗議の声を上げ続けたのは、ちょうど2年前の2012年6月、大飯原発3、4号機の再稼働に反対し、当時の民主党・野田佳彦政権に対する抗議行動が行われて以来のことである。

 あの当時と、今回の抗議行動と、何が違うかといえば、若い人々の姿が目立って多いという点だった。10代の若者にとって、戦争は、自らが兵士として戦場に送られるかもしれない、という切実な危機感と結びついているのだろう。「憲法9条」「戦争反対」という言葉からは、老いたオールド左翼の姿を思い浮かべがちだが、この日は様相が違った。

 だが、これほどまでの抗議の声をふりしぼる国民の姿を、マスメディアは、例のごとく、ろくろく映し出さない。夜9時からのNHK・ニュースウォッチ9は、この抗議行動の様子を完全に黙殺した。IWJは4台のカメラを現場に出し、マルチチャンネルによって多元中継を行い、現場の声を拾い続けた。

▲国会記者会館屋上から撮影

「安倍総理! あなたは戦争するということがどういうことかわかっていない!」

 元自衛隊のレンジャー隊員として訓練を受けた経験を持つ男性は、強い調子で次のように訴えた――

▲元自衛隊員の男性

 「いいですか、安倍総理。私は自衛隊で一番過酷なレンジャー教育をきちんと卒業して、レンジャー隊員になりました。食糧を持たず、蛇やカエルを殺して食って、戦闘行動を行う。その基礎訓練、一週間でいいから、閣議決定した後に、閣僚とともに、体験してください!

 本当に戦争することがどういうことか、あなたは分かっていない! 安倍総理、あなたは自衛隊員22万人のトップです。このままでは自衛隊員が犬死にですよ! 海外で活躍しているNGOが犠牲になりますよ!」

法秩序を閣議決定で変えるのはナチスのやり方だ!

 弁護士で、元日弁連会長、前回、前々回の東京都知事選に立候補した経験を持つ宇都宮健児氏も官邸前でマイクを握り、国民に直接信を問うことのない解釈改憲の閣議決定という手法を、「ヒトラーのやり方だ!」と、激しい口調で批判した。

▲宇都宮健児弁護士

 「戦争に行くことになるのは、今日、官邸前行動に参加しているような若い人たちなんです! 安倍さんや麻生さんじゃないんです!

 安倍首相は、『法の秩序を守るべきだ』と、中国に対しては言っています。ところが、自分は法律を守っているんでしょうか。法律の中でも、最も大切なものは、憲法なんです。

 これを、閣議決定で変えようとしている。とても、許されることではありません。このようなやり方をやったのは、ワイマール共和国の中で台頭した、ナチスのヒトラーです。まさに安倍総理は、ヒトラーのやり方をやろうとしているんです!」

「全国の創価学会員が、がっかりしていると思う」

 「平和の党」を標榜しながら、「密室」での与党協議の末に集団的自衛権行使容認に転じた公明党に対しては、支持母体である創価学会の学会員からも批判の声が聞かれた。

▲抗議行動に参加した創価学会員の男性

 「公明党を期待していたんですけど、自民党と妥協してしまうというニュースが出ていたので、もう投票を通じて期待が反映されることがないと思い、(この官邸前の集会に)来ました。

 自分も含め、全国の多くの学会員ががっかりしていると思います。明日(7月1日)までに、考える余地があるのだったら、今からでも間に合うので、考えなおしてほしいと思います

 学会員が公明党に対して何か言うことはなかなか難しいのですが、みんな、何かしら思う所があると思います」

 カナダ・トロントからの留学生だという男性は、NHKをはじめ、日本の大手メディアがこの抗議行動を取り上げないのと対照的に、カナダのニュースでは取り上げられるだろう、と語った。

▲カナダ・トロントからの留学生

 「日本は平和のリーダーとしてやってきたのに、安倍首相がそのことを捨てようとしていると思います。それはとても危ないことです。自民党の行動は、とても危ない。

 カナダのアクティビストは、日本のニュースを興味深く見ています。カナダのニュースは、とても進歩的です。この平和に対するデモンストレーションを支持し、しっかりと取り上げると思います」

子どもたちに説明できない安倍総理の決断

 3人の小さなお子さんを連れて参加した女性は、安倍総理の考えを「理解できないし、子どもたちに説明することができない」と、悲痛な表情で訴えた。

▲お子さん連れの女性

 「仮に安倍政権を止めることができず、戦争のできる国になってしまったとしても、私たちが何もしなかったのでは子どもたちに申し訳がたたないので、今日は来ました。

 集団的自衛権について、子どもたちに説明しながら、どうして安倍総理がこのようなことをしようとするのか、まったく説明ができません」

14歳の少女「集団的にやったってなにも楽しくない」

 男の子と女の子が入り混じった、まだ中学2年生だという数人のグループは、大人の引率なしで、自分たちだけで話し合って、この官邸前までやってきた。

▲中学2年生のグループ

 14歳の女の子が口を開いた――。

 「集団的自衛権を嫌だと思い、みんなで話し合ってここにきました。集団的自衛権は良くないと思う。良い政治をしてくれる人だったら、誰でも良いから。納得できることだけ、今日は叫んでいます。同盟国であっても、国は国。戦争をやめると決めたところから、どんどん緩くなっていくのはおかしいと思う。集団的にやったってなにも楽しくないし」

 同じく14歳の男の子が話す。

 「可決したら、戦争になっちゃう。戦争は、ただ単に町を壊すだけだと思います。何も解決しないと思う。戦争はしたくない。みんなに伝えられることがあるかもしれない、9条を壊さないということを伝えたい」

 これだけ多くの市民が集まり、怒りの声を上げているにも関わらず、その模様を、既存メディアはろくろく伝えようとしない。しかも、伝えないばかりか、この抗議行動を取材しようとするフリーランスのジャーナリストや、インタ―ネットメディアを妨害しようとすらした。

 Our Planet TVの白石草氏や、寺澤有氏、田中龍作氏らといったフリーランスのジャーナリスト、そしてIWJのぎぎまき記者が国会記者会館の屋上から抗議行動の模様を撮影しようとしたところ、国会記者会館の職員に制止されるという一幕があった。白石氏は、撮影をやめるように言う国会記者会館の職員に対し、激しい剣幕で強く抗議した。

▲Our Planet TVの白石草氏と国会記者会館の職員

 「明日、閣議決定がされようとしているんですよ。これから大変なことになるんですよ! 分かってます? 今、何が起こってるのか分かってんの、あなた!」

「政府が判断すれば何でもやれることになってしまう」元内閣法制局長官が危機感あらわに

 この日、解釈改憲による集団的自衛権行使容認に対し、反対の声を上げていたのは、首相官邸前に集まった市民だけではなかった。ほぼ同時刻、参議院議員会館では、憲法学者ら有識者でつくる「国民安保法制懇」が緊急の記者会見を開き、閣議決定の中止を求める声明を行なっていた。

 “憲法の番人”こと内閣法制局長官を務めた経歴を持つ阪田雅裕氏は、「明日、ルビコンを渡ることになるのは事実だと思います」と、解釈改憲の閣議決定がまさに日本の「国のかたちを変える」ことであると強調し、次のように語った。

▲元内閣法制局長官の阪田雅裕氏

 「集団的自衛権の行使を容認するには、憲法改正が必要だというのが憲法学者の一致した意見です。今の9条のもとで、海外で武力行使ができるということを、解釈変更で行うことを是とする人はいません。どうしてみんなが思っていることが官邸に届かないのか。虚しいし、悔しい思いがします。

 どこかで砲艦を交えている米軍を助けないと日米の信頼関係が揺らぐとか、中東有事で原油がスムーズに輸入できないということが国民の権利を脅かすとか、今回の閣議決定の文面をそう読めば、限定ということにならず、政府が判断すれば何でもやれるということになってしまいます」

このままではイラク戦争と同じ轍を踏む

 閣議決定に反対する抗議の声は、翌7月1日になってもやむことがなかった。IWJは7月1日も現場の様子を中継し、市民の声を「可視化」し続けた。夕方にも臨時閣議が開かれるとの情報が伝えられる中、抗議行動の参加者は、時間を追うごとにどんどん増えていった。

 終戦を小学2年生の時に迎えたという、76歳の男性の方は、集団的自衛権行使の容認について、次のように証言した。

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【岩上安身のニュースのトリセツ】集団的自衛権という「暴挙」と危険な子宮頸がんワクチンの接種継続という「異常」とに共通する「米国からの圧力」(前編)」への3件のフィードバック

  1. 見出しに?と疑問に思ったら(思わなくても)読んでほしい。

  2. 子供達にも安倍さん達がいかに危険かを説明すべきです。人を信じられないのは悲しいけれど、権力はつねに疑って警戒すべきものだと。⇒集団的自衛権と子宮頸がんワクチン・・・共通する「米国からの圧力」(前編)

  3. 子供ができたからってわけじゃないけど、
    やっぱできたからか、さすがに黙ってちゃダメだな。一生懸命生きている人が楽しくない国にしちゃいけない。

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