【IWJブログ】ネット上で「朝鮮人を殺す」「虐殺する」と差別・脅迫の書き込みをしていた「ヨーゲン」の正体 〜詐欺容疑で逮捕された57歳の「ネトウヨ」男は10代の子供を持つ父親  

記事公開日:2014.7.7
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 「米マイクロソフト(MS)社の技術者用会員IDを詐取した容疑で、県警サイバー犯罪対策室と栃木署は4日、福島県いわき市平、ホームページ(HP)管理業佐藤文平容疑者(57)を再逮捕した。

 逮捕容疑は2011年11月上旬ごろ、転売が禁じられているソフトウエアの認証コード『プロダクトキー』を販売する目的でMS社ウェブサイトにアクセスし、契約料を支払って技術者向け会員サービスの会員となり、MS社からIDの交付を受けた疑い」

 7月4日付の栃木県の地方紙・下野新聞(しもつけしんぶん)の記事である。

 また、同紙は「(栃木)県警によると、転売を行う目的で、MS社からこのIDを詐取した容疑での検挙は全国で初めて。 佐藤容疑者はことし6月、MS社が商標登録したロゴなどを広告として利用した疑いで逮捕されていた」と続けた。

 一見、ありふれた詐欺事件の報道である。だが、このニュースが今、ネット上で高い関心を集めている。この記事に登場する「佐藤文平」という容疑者は、「ヨーゲン(@Yougen_Sato)」や「佐東幽玄(@H0TSTUF)」というTwitterハンドルネームを持つ、一部ではよく知られた典型的な「ネトウヨ」であり、「ヘイトスピーカー(差別発言者)」だからである。

 ヨーゲンが、Twitterで日々、日課のように繰り出す韓国人、朝鮮人、中国人などに対する差別的言動は、在特会らの差別主義者と同様、政治的な批判という範疇をはるかに逸脱した、暴力的な暴言だった。

 ヨーゲンの停止中のTwitterアカウントのプロフィール欄には、「サイコパス脳を持つ異常な朝鮮人は虐殺されるほど恨まれている」などと、あからさまな差別的文言が書き込まれている。

 ヨーゲンのTweetログを辿ると、無差別虐殺の煽動すら日常的に行っていた。

「戦争になったらどうするの? ためらわず俺は朝鮮人は絶対に許せないから殺す」

「朝鮮人は抹殺するべし! そういう事をやってきた」

「在日朝鮮人は密入国者だから本来人権などない。どんどん差別しろ。国連の人種差別撤廃条約の一条二項で国籍区別は人種差別に該当しない。と書かれてある。在日は韓国人だ! 出て行け! 特権階級! これ以上日本人を差別すると虐殺するぞ!」

 彼と意見が異なる者に対しては、誰でもみな「朝鮮人」「反日左翼」などと一方的にレッテルを張り、粘着してつきまとい、「殺す」「虐殺する」と脅しの文句を浴びせるのである。

 とりわけ在日コリアンのTwitterユーザーらは、彼の差別や侮辱のつぶての格好の標的となった。「殺す」「虐殺する」などと脅迫されたことで、怒りや悲しみだけでなく、いつか現実的な暴力をふるわれるのではないかと恐怖感を覚えたことだろう。

 「ネトウヨ」や「レイシスト」、「ヘイトスピーカー」らは、多くの場合、匿名で過激な中傷や悪意に満ちた差別を繰り返す。そうした彼らの実像が明るみに出ることはまれである。

 ところが今回、事件化して明らかになったことは、言動が「犯罪的」というだけでなく、実生活においても複数の詐欺事に手を染めたと疑われる犯罪容疑者だった、という事実である。匿名性に隠れて差別や脅迫を繰り返す「ネトウヨ」の正体の、何とみすぼらしいことか。

 佐藤文平容疑者は、商標法違反容疑と詐欺容疑で逮捕、再逮捕されたが、本来なら、これまでの数々の「脅迫」的な言動から脅迫罪に問われてしかるべきではないだろうか。

 そのヨーゲンこと佐藤文平容疑者にTwitter上でもっとも敵視され、もっとも攻撃された一人がジャーナリストの安田浩一氏である。安田氏は、外国人労働者問題や人種差別問題を取材し続け、在特会(在日特権を許さない市民の会)の闇を追ったルポ「ネットと愛国(講談社)」などを著している。

 ※2013/12/10 安田浩一氏「事実無根のデマを放置、容認してはいけない」 ~世界人権宣言65周年記念東京集会

 安田氏はTwitter上で何度となくヨーゲンこと佐藤文平容疑者に罵倒されながらも、対話を試み、ついには福島県いわき市にある佐藤容疑者の自宅をつきとめて訪問までした(ヨーゲンは面会に応じず、警察を呼んだ)。今回の佐藤容疑者逮捕を、安田氏はどのようにみているのだろうか。

 IWJの取材に対し、「今回のヨーゲンの逮捕は普通に報道で知りました」とこたえた安田氏は、「ただ、こうした商いを営んでいたことは把握していたし、警察の動きも知っていたので立件されるかもしれないことは予測していました」と、事件の予感があったことを明らかにした。

 「彼(ヨーゲン)は、ネット上に流通する情報を信じ込んで、闇雲に相手を攻撃する典型的なネトウヨです。罵倒、中傷をして攻撃する相手は、特に在日の女性でした。悪罵を投げつけるという行為は許し難いが、一方で、彼がどんな人物なのか、そしてなぜそういう行動、言動に走ったのか、その根拠が知りたくて、手を尽くして家まで会いに行きました」

 安田氏は、「粗雑な言葉使い、稚拙な論理から若い人間だと思っていた」そうだが、実際には自分よりも年上の人物だったことに驚いたという。「普通の中年のおっさんが、『金持ちで会社を経営している』と虚勢をはっていたわけです。彼はアパート暮らしで、10代の子どももいます。

 近隣でもあまり評判は良くなく、飲食店に来ていた韓国人女性客に暴言を吐くなどし、出入り禁止になった店もあります。彼は精神的に病んでいたのではないかとも思います。彼の日常は家に閉じこもりがちで、内実と言えばインチキ商売、朝から晩までネットに噛り付き、自分から見て弱い相手に対し執拗に戦いを繰り広げる毎日でした」

 ヨーゲンの逮捕が今後、ネトウヨや在特会などのレイシストたちにどのような影響をおよぼすのか。安田氏は次のような見解を述べる。

 「住んでいる場所が地方だったこともありますが、彼は差別デモにはほとんど参加せず、デモを応援する立場でした。ヨーゲン逮捕が差別デモに与える影響は少ないと僕はみています。今回の逮捕も、彼の差別的な発言が裁かれたわけではなく、あくまでも別件逮捕ですから。もっとも、警察がヨーゲンのネット上での差別的な物言いに目をつけていて摘発に及んだ、という可能性も、もしかしたらあるかもしれません」

 安田氏は、ヨーゲンこと佐藤文平容疑者の言動について、「本来、彼の差別的な書き込みや発言が問われるべき」と語った。

 「『死ね』『殺せ』と言っても、ハーケンクロイツの旗を掲げても何の罪に問われないというこの社会環境は問題です。今回の逮捕で、彼のヘイトスピーチで傷ついた人が救済されるわけでもない。そういう意味では忸怩たる思いがあります」

 ヨーゲンこと佐藤文平容疑者は、詐欺行為が立証されれば、その罪の代償は支払わされることになるだろう。しかし、差別や暴言、脅迫についての罪の代償は、支払わされてはいない。そして彼と同様のふるまいにおよぶネトウヨやレイシストは、まだまだ多数存在する。

 差別や脅迫がとがめられることなく、野放しにされ、被害者が救済も補償もされないような現状は、いつまで放置されるのだろうか。

(取材・文:原佑介、ぎぎまき 記事構成:岩上安身)
 
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11件のコメント “【IWJブログ】ネット上で「朝鮮人を殺す」「虐殺する」と差別・脅迫の書き込みをしていた「ヨーゲン」の正体 〜詐欺容疑で逮捕された57歳の「ネトウヨ」男は10代の子供を持つ父親

  1. 人品骨柄卑しいアラシク。こんな偏狭な50代になったら往生だ。ご愁傷様。

  2. こんな奴でも家庭を持てたのに俺ときたら…

  3. 「ネトウヨ」の実態を理解する上で参考になる

  4. 「ネトウヨ」「ヘイトスピーカー」は、匿名。実像が明るみに出る事は稀

  5. 偏見に満ちた男!捕まりはしても肝心の差別問題は何も解決せず!

  6. どうしてこういう人が出てきてしまったんでしょうかねぇ。
    原因はこの人個人的な問題でしょうか。

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