「住民の安全を守るために、この基準が適正かどうかを問いただすのは、社会の公器としてのマスコミの役割じゃないの?」
7月31日の定例会見で、東京電力柏崎刈羽原発6、7号機の再稼働に向けた安全審査申請について、記者からの質問が相次いだことに対し、泉田裕彦新潟県知事は、マスコミに向け苦言を呈した。
原子力規制委員会の田中俊一委員長が、再三にわたって泉田知事との面会を拒否していることについても、「会わないということをずっと言うのであれば、不適格。権限のあるところには説明責任がある。どうして圧力をかけられるかもしれないから説明しなくていいという話になるのか。説明責任を果たさなければ、不適格」だと厳しく批判した。
- 日時7月31日(水)
- 場所 新潟県庁(新潟県新潟市)
さらに、ここでもマスコミに対して、「説明責任のある人が説明責任を果たさないのであれば、私に聞いても仕方がない。みなさん(マスコミ)が田中委員長に説明責任をなぜ果たさないのかと聞いてほしい。会わないと言っているのは向こう」と述べ、マスコミにこの問題を追及するよう訴えた。
会見において泉田知事は、一貫して規制委員会からの新規制基準に関する説明を求める考えを示し、「住民に対してなぜこれで基準が安全なのかを説明する責任は当然ある」とコメントしたほか、「福島の検証・総括なくして、なぜ基準がつくれるのかという説明もしない。正式にパブリックコメントで聞いているのに答えていない」と、規制委員会の姿勢を鋭く指摘した。
再稼働に向けた安全審査申請をめぐり、泉田知事は30日に甘利明経済再生担当相と会談したが、両者「すれ違いだった」との見解を示しており、31日の原子力規制委の定例会見で田中委員長は、「規制庁に新潟県への説明をしてもらっている。特にお会いしなければいけないとは思っていない」と発言。再稼働に難色を示す泉田知事との溝は深まるばかりだ。