2013参議院議員選挙 マニフェスト型公開討論会 2013.6.26

記事公開日:2013.6.26取材地: テキスト動画
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(IWJテキストスタッフ・富田/奥松)

 2013年6月26日(水)19時30分から、岡山県の岡山市民会館で、が主催する「2013参議院議員選挙 マニフェスト型公開討論会」が行われ、岡山選挙区の立候補予定者全員が出席し論議を交わした。ただ、世論を2分する争点でも、原発の再稼動を否定しない発言や憲法改正への積極姿勢が目立ち、全般的に対立色が薄い展開となった。

■全編動画

  • コーディネーター 平野正樹氏(岡山大学教授)
  • 日時 2013年6月26日(水)19:30~
  • 場所 岡山市民会館(岡山県岡山市)
  • 主催 日本青年会議所 facebook

 登壇した立候補予定者は石井正弘氏(自民)、垣内京美氏(共産)、安原園枝氏(幸福実現)、高井崇志氏(無所属)、西嶋朋生氏(同前)の5人。まず、安倍首相が進める経済政策「アベノミクス」について発言を求められると、高井氏は、金融緩和と財政出動が景気好転の期待感を国民に持たせた点を評価しつつ、「第3の矢に相当する成長戦略が十分ではない。安倍政権の、官僚や経済団体への遠慮が透けて見える」と指摘。自民党から出馬予定の石井氏は、第3の矢の重要性を踏まえ、「民間投資の喚起につながる成長戦略を打ち出していくことが今後の課題」と述べた。

 垣内氏は、政権批判の矛先をアベノミクスに向ける、共産党からの出馬予定。「(マネタリズムで)投機を煽り、バブル景気を生成しているだけは、真の景気回復は実現しない」と語り、「個人消費を盛り上げるために大企業が抱える内部留保金を賃上げに回すことが大事。消費税を上げてはいけない」と訴えた。アベノミクスに一定の評価を与えた高井氏は、「これからの経済政策には、官僚主導の成長戦略との離別が必要。IT(情報技術)、医療、環境の3分野に、産業育成の軸足をシフトすべき」と主張した。

 原発の再稼動を巡っては、5人中4人が容認・推進派。「今の景気低迷は、原発の再稼動で部分的に改善されるはず。私は原発停止を求めるが、大勢の日本人が日本の経済を良くしたいと願うなら、当面は原発再稼動もやむを得ない」と話した西嶋氏に続き、安原氏は、新エネルギーの研究の必要性を認めながらも、「原発は、安全性を高めた上で再稼動を進めていくべき」と明言。「日本の技術力を駆使すれば、世界一安全な原発をつくれる」とした。石井氏は「原発はない方がいいが、国内の電気料金が日本経済に与える影響を考えざるを得ない」と述べた。

 再稼動を認めないとした垣内氏は、「福島の事故は、原発と人類が共存できないことを証明した。地震大国である日本では、どの原発も再稼動の条件を満たさない。政治は、原発事業から即時撤退を決断すべき」と語気を強め、再生可能エネルギーへの転換が、現実的なものであることを力説した。

 改憲路線を示す自民党から出馬予定の石井氏は憲法改正について、「戦後60年余り、現行憲法は国民の暮らしには定着しているが、国際情勢が激変する中で、見直しが必要な箇所が浮上している」とし、「自衛隊は憲法上で、きちんと位置づけを行うことが大切。ただ、国防軍にすることに関しては慎重な検討が必要」と語った。9条の改正に強い意欲を示したのは安原氏。「日本を守るために改憲が必要」と明言した上で、「核開発を進める北朝鮮や、沖縄を自分の領土と主張している中国が存在する以上、日本には、自分の国は自分で守る姿勢が必要。憲法9条の改正は急務だ」と強調した。

 96条改正については、改憲派の中にも温度差が見られた。石井氏が「一律に総議員の過半数以上の賛成にするのではなく、現行の3分の2以上をベースに、案件によっては緩めるやり方が考えられる」と発言したのに対し、安原氏は「96条の改正は、あくまでも一手段」との立場。「今、そこにある危機に対応するためには、憲法9条の解釈の変更が必要だ。これだと、政府が本気になれば、閣議決定で案件を進めることができる」との認識を示し、さらには、「平和を愛する諸国とはいえない国に対しては、9条の適用を外し、自衛隊法などの関連法を包括的に見直すことが大事。有事への備えを万全にするのだ」と発言を重ねた。

 出席者の中で唯一、「護憲」を掲げた垣内氏は、「96条改正を、憲法改正の手続き論として語ってはいけない」とし、立憲主義の大切さを「憲法が謳っている基本的人権を守るために、憲法によって国家権力に縛りを掛けている。今、改憲と護憲の立場を超えて、96条の改正に反対を唱える動きが起こっている」と力説。その上で、次のように述べた。「96条をはじめとし、現行憲法にあるすべての民主・平和的条項の実施こそ、日本の政治に必要なこと。憲法が時代に合わないのではなく、憲法の原則を踏みにじってきた政治こそ、時代遅れなのではないか」。

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