【第88-90号 】岩上安身のIWJ特報!「自民党改憲草案は立憲主義を壊す」~自民党憲法改正草案についての鼎談・第4弾 2013.6.2

記事公開日:2013.6.2 テキスト独自
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(岩上安身)

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 安倍政権はこれまで憲法96条先行改正を訴え続けてきたが、ここにきて微妙にトーンが変わってきている。

 安部総理は、5月1日に外遊先のサウジアラビアで、「憲法改正は自民党立党以来の課題で、昨年の総選挙でも公約だった。その際、まずは96条ということで、当然参院選でも変わりはない」と述べ、96条改正を参院選の争点にする意向を示していた。

 さらに5月5日には、東京ドームで行われた国民栄誉賞授与式に背番号「96」のユニフォームで登場するというパフォーマンスまで行う熱の入れようだった。

 5月10日の時点でも、安部総理はまだまだ強気だった。同日放送のフジテレビ「スーパーニュース」に出演した安部総理は、「自民党として、まず96条から始める」と述べ、96条改正に取り組む強い姿勢を改めて見せていた。

 しかし、5月23日に明らかになった自民党の参院選公約の原案には「衆参それぞれ過半数に緩和」と明記されているものの、「96条改正」という言葉は出てきていない。

 この間に何が起きたのか。橋下徹・大阪市長の発言に端を発し、歴史認識問題と従軍慰安婦問題に改めてスポットライトが当てられたことが影響した可能性はありうる。自民と維新の二大改憲勢力には、橋下市長や石原慎太郎共同代表に代表されるように、人権への配慮を欠いた政治家が多いとの印象は、有権者の間に色濃く刻まれたことだろう。

 自民党と連立を組む公明党は24日、参院選に向けた両党の共通公約作成を見送った。これまでの選挙では、党の公約とは別に自公共通の公約をつくってきたが、憲法改正に慎重な立場をとる公明党と改憲を目指す自民党との立場の違いがはっきりしたかたちとなった。

 自民党内からも慎重論は出ている。24日付の朝日新聞は、23日に行われた自民党岸田派の会合で、山本幸三衆院議員が「96条改正はやめたほうがいい。ゆゆしき問題になりうるので、慎重に考えるべきだ」と発言したことを伝えている。

 産経新聞とFNNが25日と26日に実施した合同世論調査では、96条改正への反対は52%で、賛成の32.3%を大きく上回る結果となった。賛成の数字は、1カ月前の調査に比べて9.8ポイントも下がっている。産経新聞は、「自民参院選公約 96条の先行改正を掲げよ」と題した社説を25日付で掲載しているが、あからさまに96条先行改正を支持している産経の世論調査でも96条反対の声が大きいのは注目に値する。

 安倍総理にとって1番こたえたのは、5月1日に米国議会調査局が発表した報告書だったかもしれない。この報告書は、安倍総理を「強硬な国粋主義者」と指摘した上で、「その言動は地域の国際関係を混乱させ、米国の国益を損なう懸念を生じさせてきた」と厳しく批判している。

 こうした状況を踏まえて、安部総理は憲法改正を参院選の争点のひとつにはしても、目立たないように戦術を切り替えたのだろう。そもそも前回の衆院選でも、有権者の重視した政策課題は、景気対策が52%だったのに対して、憲法改正はたったの6%(※1)。改憲への姿勢が、有権者にとって、自民党を支持した主要な理由だったとは言い難い。

 しかし、選挙で勝って、与党になると、自分たちの主張のすべてを国民が支持してくれたと言って、自分たちの都合のいいように国民の声を解釈してしまう。これは危険である。有権者は、一票を投じたからといって、全権委任したのではない。

 これまで、メルマガ「IWJ特報!」でお届けした「自民党の憲法改正草案についての鼎談」の第1弾と第2弾を読んでいただいた方は、自民党の目指している憲法がどれほど危険なものか、感じ取っていただけたと思う。

 自民党が、改憲を争点にしようと、しまいと、どちらであっても、夏の参院選で自民党が勝てば、この改憲草案の実現に大きく近づくことは明らかだ。だからこそ、このメルマガを読んでいただいた方には、そこで感じ取ったことを周りの人に伝えていただきたい。現行憲法の重要性と、自民党案の危険性を伝えていっていただきたい。

 今回発行するメルマガでは、憲法21条から29条まで、さらに47条と96条の逐条解説を行なっている。鼎談2本分という大ボリュームの内容となっているが、重要な条項がいくつも含まれている。

 はじめに取り上げているのは、今まさに述べてきた憲法96条だ。澤藤統一郎弁護士は「96条改正で味をしめれば、そのあとの憲法改正に大きなドアが開く、ハードルが下がる」と述べ、絶対に96条を変えてはならないと訴えた。

 そのほかにも、22条「居住、移転及び職業選択等の自由等」や23条「学問の自由」、27条「勤労の権利及び義務等」、そして47条「選挙に関する事項」などをそれぞれ分かりやすい判例と共に解説している。

 昨年の12月から続けてきた鼎談も、来月10日に最終回を迎える。最終回の予習として、是非ご一読いただきたい。

(※1)2012年12月8日・9日「報道ステーション」世論調査(対象:1000人)
http://www.tv-asahi.co.jp/hst/poll/201212/index.html

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記事目次

  • 改憲草案の一番の焦点は96条
  • なぜ「3分の2」でないといけないのか?
  • 「3分の2」だから冷静な熟慮ができる
  • 「自民党改憲草案」の危険性を伝えないマスコミ
  • 日本国憲法にある5つの重要な要素
  • 22条に込められた新自由主義のメッセージ
  • 「公益及び公の秩序」を使って行う行政代執行
  • 公務員の権利を制約する自民党憲法案
  • 公務員の争議権にとどめを刺す
  • 自民党改憲案は在日外国人の生存権すら認めない
  • 憲法に入れるべき条項と入れる必要のない条項

(…サポート会員ページにつづく)

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